まつもとゆきひろの情報源を大公開! “Rubyの父”のインプット習慣に迫る

まつもとゆきひろの情報源を大公開! “Rubyの父”のインプット習慣に迫る

Yu Mochizuki

Yu Mochizuki

こんにちは、広報室の望月です!

みなさんは日々、どこから情報を得ていますか? 特に、IT関連情報は領域が広く、トレンドの入れ替わりも早いため、情報収集に苦労している人は多いのではないでしょうか。

LIGの技術顧問まつもとゆきひろさんによる社内勉強会、第4回目のテーマは「まつもとゆきひろのインプット習慣」です。まつもとさんは、いつ、どこから、どんな意識で情報を得ているのか。インプットにおけるこだわりやポイントなどを伺いました。

Rubyアソシエーション理事長
まつもと ゆきひろ

プログラミング言語Rubyの生みの親であり、一般財団法人Rubyアソシエーション理事長。株式会社ZOZOやLinkers株式会社など複数社で技術顧問などを務めている。オープンソース、エンジニアのコミュニティ形成などを通じて、国内外のエンジニアの能力向上やモチベーションアップなどに貢献している。

まつもとゆきひろのインプット習慣


私は、1日のうち、PCに向き合っている時間の半分くらいをインプットに費やしています。複数の企業の技術顧問を勤め、定期的に講演や勉強会をおこなっていることから、常に人前で話すネタを探しています。今日はインプットのときに、私が意識していることを紹介しますね。

仕事の合間にインプット

私は、1日のスケジュールの中でインプットに使う時間を明確に決めているわけではありません。たとえばコンパイラを動かし始めたら、タブを切り替えてネットの記事を読む。何本か記事を読んだらコンパイラの状況を確認し、終わっていたら作業に戻り、デバックをする。このように仕事の合間に情報収集することが多いですね。

自分の認知特性に合ったインプット手法を選択

目や耳などから得た情報をどのように認知し、理解するかは人によって異なります。認知の仕方における得意不得意を「認知特性」といい、自分がどういう特性を持っているかを理解すると、自分に合った情報収集をしやすくなります。

認知特性には次のようなタイプがあります。

  • 視覚優位型…情報を目で見て処理するのが得意
  • 言語優位型…言語を通じて処理するのが得意
  • 聴覚優位型…情報を耳で聞いて処理するのが得意

私は「言語優位型」で、言語を通じて情報を認識しています。目に付いた文字はとりあえず読んでしまう癖があるので、食事中にテーブルの上にある調味料の成分表が気になってしまうことも(笑)。一方で、視覚情報は弱くて、人の顔がなかなか覚えられません。昔から本を読むのが大好きで、今はネットの記事やSNS、電子書籍から情報を得ています。

「視覚優位型」の方は、ネットの記事や書籍のなかでも、特に画像を用いて説明をされているものなどから情報を得るといいでしょう。聴覚優位型の方は、セミナーや動画の音声から情報収集す流のがおすすめです。

書籍とインターネットの使い分け

一般的に書籍とインターネットは情報の質に違いがあるといわれています。

書籍の場合、リサーチ、執筆、編集など手間がかかるため完成までに時間がかかります。それに、何人ものチェックを通るため、扱う情報の質や信頼度は高い傾向にあるでしょう。ただし内容が自動でアップデートされないという点はデメリットに。特にテクノロジーの分野は流れが早く、今は最新の情報でも、数年後には誰も使わなくなっていることはよくあります。

ネットは記事の更新が可能なため、新しい情報を手に入れる際のソースとして非常に使い勝手がいいです。しかし、誰が書いたものかわからず、内容のチェックが不十分な記事が多いこともありますね。情報の信頼度は書籍に劣ります。

まとめると、時間が経ってもあまりアップデートがない普遍的な情報は書籍で、最新のトレンド情報を求める場合はネットからインプットをするのがいいと思います。

インデックスをつくり、いつでも取り出せる状態に

日々WebメディアやSNSを見ているなかで、役立ちそうな情報を見つけたら、キーワードを書き出して記憶しておくことをおすすめします。頭の中にインデックスをつくるんです。書籍やネットの記事を読んでも、すべての内容を覚えておけるわけではありません。見出しのキーワードだけでも頭に残しておくことで、1年後にその情報が必要になったとき、記憶の中から引っ張り出して活用することができます。

その際におすすめしたいのが、RSSリーダーです。私は「Feedeen」というものを使っています。

情報を追いたいサイトを登録しておくことで、そのサイトのコンテンツの見出しや概要が一覧で表示できるもの。見出しを見て気になるものだけクリックすれば、そのサイトに遷移し記事を読むことができるので、サイトを一つひとつ渡り歩いて記事をチェックする必要がなく、効率的に情報収集できます。

日常的にチェックしているWebサイト

『Feedeen』にはいくつかのサイトを登録して、最新記事の見出しを随時チェックしています。私がよくチェックしているwebメディアを紹介します。

日常的にチェックしているTwitterアカウント

Twitterはフォローしすぎると情報が追いきれなくなるため、主に技術関連で有益な情報を発信してくれるアカウントを厳選してフォローしています。私にとって有益である代表的なアカウントは以下の4つです。

テクノロジー以外の分野も学び、横展開を意識する

プログラマーをしていると、ついついテクノロジー関連の情報ばかりチェックしてしまうと思います。ですが、私はほかの分野も学び、その内容を横展開することを意識しています。

最近『科学的な適職(著:鈴木祐)』という書籍を読みました。この本は、科学的根拠(エビデンス)に基づいて、「キャリア選択」の悩みに答えを出す方法を解説しています。私は、職業選択について不満はないのですが、この書籍にも書かれてある心理的バイアスに注目し、技術的選択をするときに役立つだろうと感じました。

このように、別ジャンルの情報が今の仕事に活用できないか考えながら読むことが大事です。特に心理学や脳科学系の話は応用しやすいため、積極的に読むようにしています。

プログラミングのインプットに意識すべきこと

プログラミングにおいて、一番のモチベーションとなるのは成功体験です。インプットしたら、はじめは理解できなくてもプログラムを打ち込み、実際に動かしてみる。そこで、試行錯誤し、失敗・改善・成功を繰り返していくことが学びにつながります。この一連の体験が、開発と次のインプットに向かう動機になるのです。

その過程で「やればできる」ということを実感することが大事。特にプログラミング初心者は、開発へのモチベーションを高めるためにも、インプットするだけでなく実際に手を動かし、コンピューターと対話をすることがポイントです。

組織としてインプットを習慣化するには

インプットは個人だけでなく、組織全体で取り組んでいる企業もあります。

たとえば、「ライトニングトーク(LT)」を導入している企業があります。LTとは5〜10分程度の短いプレゼンテーションのこと。メンバーがそれぞれ気になっているテーマについて勉強し、その内容を短時間でプレゼンテーションし、それに対してほかのメンバーがコメントをするというものです。

インプットは直接利益には結びつかないため、わざわざ時間を割きたくないという会社もあるでしょう。ですが開発だけをしているとモチベーションは下がります。組織的として、インプットを奨励したり情報収集の機会を設けたりすることで、長い目で見ると組織としてうまくいくことが多いと考えています。

まとめ:自分なりのインプット術を見つけよう

テクノロジー関連の情報は流れが早いため、情報収集の仕方や時間管理で悩んでいる方は多いようです。今回紹介していただいた内容はすぐに活用できる部分も多いので、ぜひ参考にしていただければと思います。インプットのやり方に正解はありません。自分なりのやり方で知識を身につけていきましょう!

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アパレル企業にて販売員を経験後、編集プロダクションにて、エディターとしてのキャリアをスタート。雑誌編集、アパレルブランドや商業施設の販促物・Webコンテンツ・店頭装飾物・ビジュアル制作などに関わる。2020年7月にLIGに入社し、さまざまな企業のオウンドメディア支援に携わる。2022年7月より広報チーム所属。

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