2022年のベトナムで感じた、オフショア開発の“変化”の兆し

2022年のベトナムで感じた、オフショア開発の“変化”の兆し

Tomohiro Oyama

Tomohiro Oyama

こんにちは。
LIG代表の大山(@oyama_tomohiro)です。

LIGは2021年7月に、ベトナムの開発拠点として「LIG Technologies Vietnam Company Limited.」(以下、LTV)を設立しました。フィリピンに次いで2拠点目となる海外開発拠点になります。

開設当初の様子はこちらをご覧ください。

コロナ禍が続いていたため、私自身は現地に行けていなかったのですが、今年の11月にようやく現地への渡航が実現。LTVオフィスへの訪問、現地の事業拡大に向けたマーケット調査、現地企業とのMTGなどを行いました。本記事では、ベトナム出張で感じた現地の街や人やマーケットの様子、今後のオフショア開発の展望についてお届けしていきます。

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変わり続けるベトナムの街

私は、2011年にベトナムで「エボラブルアジア」というオフショア開発会社を立ち上げ、退任後もオフショア開発と関わり続けながら、現地のマーケットを10年以上見てきました。

私のオフショア開発の軌跡はこちらの記事をご覧ください。

今回は、約3年ぶりの訪問。はじめてベトナムに来たときから比べると、変わらない古き良き文化・生活がありながらも、急速な発展を感じました。

LTVオフィスがあるホーチミン市は、昔から変わらずバイクが行き交う一方、オフィスビルが乱立し、変化を感じます。2023年以降にはホーチミン市初のメトロが開通予定であり、オフィス近くにも「タンカン駅」というメトロの駅が建設真っ最中。今後、人々の生活の足になっているバイク移動にも影響が出ると思いますし、街はさらに発展が進んでいくでしょう。

また、ホーチミン市は、ここ数年で不動産価格が軒並み上昇が続けていており、中心部に構えていたオフィスから移転する企業は増加。オフィステナントの賃料については、場所によって、東京とほぼ変わらないか、もしくは東京以上になっています。しかし、ここ数ヶ月で不動産価格の急落が起こり、一転してマーケットが不安定な状況にも。大きなチャンスとなるか、大きなリスクとなるか、変化のタイミングでもあります。

それに伴い、不動産業界に勤めていたIT人材が安定した環境を求めて転職する動きも出てきているようです。我々のようなオフショア開発会社へ転職する人も多く、IT人材の流動化が起こっています。

次世代のIT人材によって世界とつながっていく

今回の出張では、現地法人の代表の方々と意見を交わしているなかで、ベトナムの街とともに、教育や産業における変化も感じました。

教育環境・学生の意識が変化

ベトナムでは、2020年より施行された教育法改正にて、義務教育期間が9年間から10年間に変更されました。近年の教育現場では、デジタル化・ITツール導入が加速しており、2018年頃からはSTEM教育(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Mathematics:数学)に力を入れています。過去に行われた国際的な学力到達度調査では、科学的リテラシーや数学的リテラシーの高さが証明されています。

また、最近では、ベトナム初の技術系総合大学であり、国内の理系トップであるハノイ工科大学を目指す学生が増えているようです。毎年多数の卒業生がエンジニアとして活躍し、卒業生のなかには政界を目指したり、海外のテック企業へ就職する人も増えているとのこと。次世代の人材の活躍は、現地のIT業界全体の底上げに繋がっていくでしょう。

世界へ発信していくデジタル産業

2020年6月には、ベトナムのフック首相によって「2030年に向けた2025年までの国家デジタル・トランスフォメーション計画」が承認され、まさにデジタル政府・デジタル経済・デジタル社会の形成と、世界的競争力のあるデジタル産業の確立を進めています。

そんな環境下で、新サービスの開発も積極的に行われており、ベトナム初のサービスを国外へ発信していこうという流れも出てきているようです。今後はベトナムから日本へ進出していく企業もあるでしょう。

技術者を正しく評価し、持続可能な開発環境をつくる

日本では、オフショア開発に対して、安かろう・悪かろうという印象を持っている人もいるのではないでしょうか。日本に比べて、労働意欲・スキルが劣るのでは……という声も耳にします。しかし、現地の変化を見ていると、優秀な技術者が増えてきており、これから、オフショア開発事業のクオリティUP・コストUPは一層高まっていくだろうと感じました。

そんな背景で、今後、日本とベトナムがオフショア開発を通じて発展していくには、改めて適切な「人月単価」を設定し、日本の市場に啓蒙活動をしていく必要性を感じました。

オフショア開発は、日本への人材提供と引き換えに現地の雇用を生み出し、お互いの国の課題を解決する社会貢献にも繋がっています。しかし、発注側の“安さ“だけに耳を傾けていたら、現地で働く人たちの給料は上がらず、雇用環境を良くすることはできません。そのような状況に、現地では、単価の高い欧米の仕事を獲得する流れも出てきており、日本との関係が希薄になっていく可能性もあります。結果、日本とアジアのオフショアの仕組みが崩壊することにもなりかねません。

現地の技術者を正しく評価することは、持続可能な開発環境をつくることにつながっていきます。

ベトナムだからこそできるチームがある

3年ぶりの訪問で、現地のさまざまな変化を伝えてきましたが、ベトナムで働く人たちの“人柄”は10年前とは変わっていないなと感じました。そして、その“人柄”が、持続可能な開発に重要な役割を果たすことも実感しています。

日本人と親和性の高い国民性も影響していますが、ベトナムの人たちには、特有の明るさや人当たりの良さがあります。現在も、飲みニケーション文化が色濃く残っており、日頃からの社員同士のコミュニケーションや商談などでも顔を合わせてお酒を交わし、お互いに向き合う姿勢を大切にしています。

LTVのメンバーも、ポジティブにコミュニケーションを取り合う文化が醸成されており、チームとしての一体感が育まれています。まさに、LIGが掲げているスローガン「Build Team Together」が根付いていました。

オフショア開発を通じた課題解決には、“チーム”がとても重要です。国を跨いでコミュニケーションを図り、開発を進めていくためには、欠かせないポイントです。ベトナムの人たちは、親日国として日本の文化について理解や関心があり、さらには真面目で向上心が強い。また、労働時間は日本と変わらず、年間休日はむしろ日本よりも少ないぐらいです。そんなベトナムの国民性や文化があることで、あらゆる解題に立ち向かえる、最適な“チーム”づくりができるのです。

新たにオフショア開発を考えている方、過去にオフショア開発に失敗したものの再チャレンジを考えている方、ぜひ私たちと一緒に新しいチームをつくってみませんか?

 
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新卒にて株式会社ユナイテッドアローズ入社。イギリス留学を経て、株式会社リクルートに入社。その後、ベトナム法人EVOLABLE ASIA Co., Ltd代表取締役社長に就任。退任後は株式会社リンクバル入社。IPOを経験後、株式会社ケアクル創業。2017年より株式会社LIGに参画。2021年10月より代表取締役。

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