動画ではなく「番組」を作れ!YouTubeマーケティングのススメ

動画ではなく「番組」を作れ!YouTubeマーケティングのススメ

Mako Saito

Mako Saito

こんにちは、LIGのマーケターのまこりーぬです。

実は弊社、2021年よりWebクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」(通称デジLIG)のYouTubeチャンネルを運営しているのですが……

https://www.youtube.com/channel/UCOoAKiMQqNdUMmJe1N_U1Qw

「動画を作るのがとにかく大変!」
「凝った企画はアサインが大変で頓挫しちゃう」
「気づいたら無難な企画が多くなっちゃった(涙)」

などなど、それはもう運営方針に迷走しております。コンバージョンにはつながっているのでもっと有効活用したいのですが、片手間で運営するにはだいぶ大変で……(言い訳)。

「さすがにこのままじゃマズいぞ!」という危機感から、動画マーケティングのプロである株式会社Lumii 代表取締役の宮原さんにいろいろと教えていただく機会をいただきました。YouTubeチャンネルの運営方針に悩めるみなさま、ぜひご覧ください!

ico 株式会社Lumii 代表取締役 宮原 駿 氏

YouTube検索で引っかかろうとするのはムダ?

まこりーぬ:宮原さん、本日はよろしくお願いいたします! 現状弊社はチャンネル運営にあまり工数をかけられないこともあり、「YouTube検索でヒットするような動画を積み上げていくほうがいいのでは?」なんて思っているのですが、ど、どう思われますか……?

宮原: YouTube検索の流入増加を狙う方針は、正直なところあまりオススメはできません。YouTube上でユーザーと接触できる場面は大きく分けて「検索結果画面」「ホーム画面」「関連動画」「登録チャンネル画面」などがありますが、「検索結果画面」から流入する割合は、多くの場合通常10%未満なんです。

YouTube検索からの流入に注力することを否定するつもりはないですが、再生回数やチャンネル登録数を増やす手段として、あまり効率が良いとは言えません。

まこりーぬ:な、なるほど……!(涙)「登録チャンネル画面」はチャンネル登録者数を増やすしかないと思いますが、「ホーム画面」「関連動画」からの流入を増やすには、いったいどうしたらよいのでしょうか?

宮原:「ホーム画面」「関連動画」へ表示されるためには、YouTubeのアルゴリズムがユーザーにレコメンドしたくなるような動画でなくてはなりません。アルゴリズムは公開されてはいませんが、私は大きく二つの概念が「ホーム画面」「関連動画」表示に関わっていると考えています。

一つは、ユーザークラスターの概念。これはある特定の条件下によってカテゴライズされた母集団です。たとえば、サッカー好きクラスター、ネコ好きクラスターなどですね。二つ目はエンゲージメントの概念。その動画に対する視聴者の好感度指数みたいなものだと捉えていただいて大丈夫です。

特定のユーザークラスターのエンゲージメントが高ければ、その動画はさらに同じクラスターに表示されますし、低ければ同じクラスターには表示されづらいというのが基本的な仕組みだと考えています。ただしここで強調しておきたいのは、「ただエンゲージメントを高めればいい」というわけではないことです。

企業がマーケティングコミュニケーションとしてYouTubeを活用する場合、当然ながらターゲットに情報を提供できなければ意味がありません。よってどれだけ高いエンゲージメントを誇っていても、ターゲットとなるクラスターに届いていない場合はチャンネルの見直しが必要です。もちろんYouTubeの広告収入最大化を目指すのであれば話は別ですけどね。

つまり企業のYouTubeチャンネル運営者がやらなければいけないことは「ターゲットとなるクラスターを選定すること」「そのクラスターに対してエンゲージメントの高いチャンネルを運営すること」です。

企業のYouTubeチャンネル運営のポイント

まこりーぬ:ターゲットクラスターに対してエンゲージメントの高いチャンネルを運営するためには、具体的にどのような施策が必要なんでしょうか?

宮原:大きく2つのポイントが存在します。一つ目はチャンネルの一貫性、二つ目はチャンネルの独自性(希少性)です。それぞれ解説していきますね。

①チャンネルの一貫性

まずYouTubeのアルゴリズムは、2022年現在はまだ動画単体ではなく、チャンネル単位で動画を表示させるクラスターを選定している可能性が高いと感じています。ちょっとわかりづらいと思うので、例を挙げて解説しますね。

たとえば私が「宮原チャンネル」を運営していたとします。1本目にビジネス系動画を投稿した場合、YouTubeのアルゴリズムはある程度ビジネスクラスターに動画を表示させます。当然ながら高いエンゲージメントを得られるでしょう。

そのあと2本目に料理動画を投稿したとします。YouTubeのアルゴリズムはチャンネル単位で表示させるクラスターを判断しているので、料理動画であってもビジネスクラスターに動画が出てしまいます。基本的にビジネスクラスターは料理動画を見たいと思っていないため、エンゲージメントは下がってしまう傾向にあります。

続いて3本目に改めてビジネス系動画を投稿した場合、YouTubeのアルゴリズムからすると「宮原チャンネルの動画をビジネスクラスターに表示させたらエンゲージメントが低かった」という失敗経験があるので、「このチャンネルの動画はビジネスクラスターに表示させるべきではない」と判断してしまい、別のクラスターを探しにいってしまいます。

このように、一貫性がないとターゲットに動画を届けることができなくなってしまいます。さらには、どんどんズレたクラスターへ動画が表示されてしまうので、エンゲージメントも低くなります。

※将来的に動画単体で動画を表示させるクラスターを選定することも十二分に考えられます

②チャンネルの独自性(希少性)

続いて、チャンネルの独自性について解説します。当たり前ですが、有名YouTuberと同じコンテンツを出しても視聴者は見てくれません。ここにしかないコンテンツを投稿することで、ようやく視聴者はその動画を見てくれます。なので、どれだけ動画の独自性(希少性)を生み出せるかが重要なテーマといえます。

独自性を作り出す方法は大きく2つあります。1つ目は、テーマをブレイクダウンすること。たとえば「ビジネス」のなかでも「SaaSの営業ノウハウ」を発信することに絞ることで尖らせる、という方法です。

2つ目は、動画の表現自体に独自性を持たせること。動画自体にエッセンスを加えることで、土台は一緒でも全く別のコンテンツに昇華させる方法です。たとえば同じ営業ノウハウを解説する動画であっても、セミナー形式で淡々と語るコンテンツと、某バラエティ番組のように過去のしくじり経験をもとにコミカルに語るコンテンツとであれば、まったく別物と認識するはずです。

  • パーソナル:出演者の特徴(美男美女など)
  • 演出:実写、アニメーションなど
  • 構成:ドッキリ、実践企画など

のいずれかで、自社が発揮できそうな独自性を見つけましょう。

なお、可能な限り後者の方法で独自性を発揮するように心がけることをオススメします。なぜなら、テーマのブレイクダウンは比較的容易ですが、同時に視聴者の母数を減らしてしまうことに直結してしまうためです。

クオリティと更新頻度、どちらを優先すべき?

まこりーぬ:詳細な解説ありがとうございました! ちなみに、表現にこだわった独自性のあるコンテンツを作るとなると更新頻度を高めることが難しそうなのですが……クオリティと更新頻度、どちらを優先すべきでしょうか?

宮原:100%クオリティを重視したほうがいいですね。雑なコンテンツを連投してエンゲージメントを下げてしまうと、そもそもターゲットクラスターにおすすめ表示されなくなってしまいます。それにクオリティの高い動画を1本作れば、雑なコンテンツ1,000本分の再生回数を叩き出しちゃうことも普通にありますからね。

まこりーぬ:おっしゃるとおりですね……。YouTubeチャンネルの運営方針、全面的に見直そうと思います!!!(涙)宮原さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

さいごに

戦略がいかにズレていたのかを気付かされた1時間でした……。やはりその道のプロから学ぶことは大事ですね!!!

なお、宮原さん率いるLumii社では、優秀なクリエイターと企業を直接マッチングするプラットフォーム事業や、YouTubeコンサルティング事業をおこなっていらっしゃるとのこと。ご興味あればぜひお問い合わせしてみてくださいね。

以上、まこりーぬがお届けしました!

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Mako Saito
Mako Saito LIGブログ編集長 / 人事部長 / 齊藤 麻子

1992年生まれ。2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。2023年にLIGブログ編集長、2024年に人事部長に就任し、現在は自社のマーケティング・人事業務を担う。副業ではライターとして活動中。あだ名は「まこりーぬ」。著書『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』(日本実業出版社)

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