SmartHR社に聞く!社内外の架け橋になるためにインハウスエディターが身につけておきたいスキルとは?

SmartHR社に聞く!社内外の架け橋になるためにインハウスエディターが身につけておきたいスキルとは?

Yuri Iwata

Yuri Iwata

こんにちは! LIGブログ編集チームのゆりてん(@yuriten0122)です。

私はインハウスエディター(社内編集者)というポジションで、LIGブログに公開する記事の企画・取材・執筆・編集など、記事制作のすべての工程に携わっています。

インハウスエディターになって1年。もっともっと成長したい! と日々思うのですが、自社メディアの記事は企画〜公開まで社内で完結できてしまうことも多く、なかなか他のインハウスエディターの方たちがどんなふうにお仕事しているか、知る機会って少ないんですよね……。

それならば社外のインハウスエディターの先輩に話を聞きに行ってみよう! ということで、今回はインハウスエディターの先輩、株式会社SmartHRの藤田隼さんに取材をしてきました

SmartHR社におけるインハウスエディターの役割や、たくさんのメディアを運用していく体制についてお伺いしましたので、ぜひご覧ください!

株式会社SmartHR マーケティンググループ マネージャー
藤田隼(ふじたじゅん)さん

SNSマーケティングや自社メディア運営を経験したのち、メディア事業会社で複数サイトの編集を担当。2017年SmartHRへ入社し、2020年まで『SmartHR Mag.』の編集長を務めたほか、『SmartHR ガイド』、『オープン社内報』の編集も歴任。現在は、コンテンツマーケティングユニットおよびアドボカシーユニットのマネージャーを務める。
Twitter:@fujijun89

社内のあちこちに編集者がいる組織

―― 本日はよろしくお願いいたします! SmartHRさんは膨大な量のコンテンツを更新されている印象がありますが、インハウスエディターの体制はどうなっているのでしょうか?

コンテンツマーケティングユニットというユニットと、アドボカシーユニットという2つのユニットがあり、僕は2つのユニットのマネージャーをしています。コンテンツマーケティングユニットには僕を含め7人のインハウスエディターが在籍しています。
※アドボカシーユニット・・・SmartHR社でコミュニティの企画・運営に専門特化する組織

また、コンテンツマーケティングユニットだけでなく、カスタマーサクセスや、採用広報など他の組織にも編集に携わっているメンバーはもはや計算できないくらいたくさんいますね(笑)。

現在の役割が編集者でなくとも、編集畑出身でUXライティングに携わっているメンバーもおり、何らかの形で編集に関わってきたメンバーが活躍しているシーンが多い会社だなと思います。

―― 各組織に編集者がいる状態は藤田さんが入社された頃からあったのでしょうか。

僕が入社したときは全然いなかったのですが、3年ほど前から徐々に増えていった記憶がありますね。

SmartHRはいわゆるSaaSであり、継続的に使い続けてもらう必要があるビジネスモデルです。ありがたいことに導入企業が日々増えておりますが、そのなかで人力だけでカスタマーサクセスやカスタマーサポートを提供するのは現実的に難しいと考えられます。持続可能な体制でスケールを目指していくうえで、ひとつの鍵になるのがコンテンツの力です。

そのような背景から、マーケティンググループに限らない様々な領域で、コンテンツ制作に注力できるような体制が形成されていきました。

―― そうだったのですね。藤田さんはどのような業務をされているのでしょうか?

現在の業務としては、編集者としての直接的なコンテンツ制作にはあまり関わっていないですね。とはいえまったく担っていないわけではなく、最近の業務の一部を紹介すると、弊社は人材マネジメント領域のプロダクトを提供していて、SmartHRが実現したい世界観における人材マネジメントの立ち位置がどのようなものかをわかりやすいように冊子にまとめた『ジンマネ』というコンセプトブックを制作しました。

SmartHR Mag.の編集部には入社数ヶ月から半年ほどの新メンバーが多いので、編集部としての業務標準化もおこなっています。その他原稿チェックに関わったり、色々なコンテンツのタイトルやコピーライティングの壁打ち相手になることもあります。

―― 編集者のなかでクオリティの目線合わせをしていくのはなかなか難しいことなのではないかと思いますが、具体的にどのようなことをしているのでしょうか?

メディアの価値を高めるには、「書き手にとっての価値」、「読者にとっての価値」、「事業としての価値」の3つのバランスがすごく大事だと考えています。あわせて、持続可能なメディア運営のために「アカウンタビリティ」、「アクセシビリティ」、「サステナビリティ」の3つのアビリティを求めています。

これらの価値観をドキュメント共有ツール上で明文化しつつ、編集部のオリエンテーションを実施しました。編集部のメンバーには、これらの価値観を、メディア自体の運営はもちろん、記事の企画・構成などにおいて意識してもらうようにしています。

それ以外の取り組みでは、編集における目線を合わせるために「編集修行」と題した勉強会も実施しています。おこがましい話ではありますが、インターネット上で見つけた他社さんのメディアの記事をピックアップし、「SmartHR Mag. ならこう編集する」というトンマナの調整をしたり、「ここのデータは合っているかな? 総務省のデータを参照してみよう」とファクトチェックをしたりしています。

参加メンバーが一人ひとり編集でのポイントを発表していくことで、「みんなここの数値の誤りに気づいたよね」とか「こういう編集の仕方があるんだ」という目線合わせができるんです。

SmartHR社のメディア運営におけるメリット

―― SmartHR ガイドではSmartHRを活用したより良い人事・労務のためのヒントを配信されていて、とくに質が高い導入事例が数多く掲載されているのが印象的です。オウンドメディアで導入事例を発信するメリットについてお伺いできますか。

メリットはいくつか考えられます。

まず、インサイドセールスとセールスの視点では、メディアは第三者話法として活用できるということです。「SmartHRの導入メリット」を営業ではない第三者が勧めるコンテンツは、受注に向けた動きを後押しします。

次に、アドボカシーとカスタマーサクセスの視点では、導入事例のインタビューの場自体が関係構築の場になるという点です。お客様はインタビューのなかで、SmartHRの活用方法について言語化することで、自社の活用方法を再認識することができます。 また、ユーザー間でのナレッジシェアにもつながります。

―― なるほど。インサイドセールス、フィールドセールスの部門では、実際に記事が活かされているのでしょうか。

そうですね。より活用しやすい導入事例の制作を目指し、導入事例領域を担当しているメンバーが、定期的にセールスやインサイドセールスのメンバーからアンケートを取っています。具体的には、日々配信するペースや、業界・従業員規模の網羅性、記事の質などについての満足度とフィードバックコメントをもらって日々改善しています。

また、セールスの勉強会に、各事例記事のインタビュー担当者が参加することで、「こういう事例記事が出ました、特に熱く語っていただいたのは●●機能についてでした」と要点を解説するなど、解像度高く知ってもらう、触れてもらう機会もあります。

成功体験が成功体験を生み、積極的な発信が増加

―― noteについても、たくさんマガジンがあって頻繁に更新されている印象がありますが、これはどのように管理されているのでしょうか。

まず、コンスタントに配信するために会社側から特別な管理をしたり書いてもらうためにお願いしたりは基本的にしておらず、社員が自主的に更新しています。

強いていえば、noteで発信するメンバーが増えたため「株式会社SmartHR」という公式アカウントに紐付けるかたちで、マガジンが用意されています。

―― 発信が増えたことについてはどのような背景があったのでしょうか?

成功体験が成功体験を生んでいったのだと思います。例えば僕は割と早い段階からnoteを使っていましたが、記事がシェアされ、フォロワーが増え、同じようにインハウスエディターの人と情報を共有できるようになるという好循環が生まれていました。

そこで繋がった人を募り、勉強会を開催することでオウンドメディアの運営方法や導入事例のグロースのさせ方、制作フローなどのナレッジを共有するコミュニティが生まれたほか、時には採用につながることもあり、実務上のメリットが還元されていきました。

僕のエピソードに限らず、このような成功体験を近くで目の当たりにした人が、「自分もやってみよう」と各所で広がっていったのだと思います。さらにそうやって成果が生まれていったのは、もともと発信が得意なメンバーばかりではなく「自分ごと化」できたというのもポイントとしてありそうです。

テクニカルスキルとポータブルスキルの両立を

―― インハウスエディターはどのようなスキルを身につけたらいいと思いますか。

「傾聴力」、「人と会う力」、「コンテンツ形式を問わない表現力」は汎用性が高く、活かしやすいスキルだと感じます。

まず前提として、スキルという概念を分解すると、「どの業界・職種でも活かせる、持ち運びやすいポータブルスキル」と「その業界・職種だから活きる、持ち運びにくいテクニカルスキル」の2つに分けられると考えられます。

そのなかで、日々の仕事でその業界や事業、ユーザー、社員と向き合うことの多いインハウスエディターは、テクニカルスキルのほうがいち早く成果につながりやすい特性があると感じています。

一方で、このテクニカルスキルを習得できないうちは、なかなか成果が出しづらく歯がゆい思いをしかねません。また、その会社や業界でしか活躍しにくいことは、キャリアの選択肢が狭まりかねません。「いかにテクニカルスキルをいち早く習得できるか」が、ある種のポータブルスキルなのではないかと考えています。

そこで活きてくるのが、「傾聴力」、「人と会う力」、「コンテンツ形式を問わない表現力」であり、自分のキャリアのなかでは次のようなアクションが効果的だったと感じます。

1つめが、ユーザーさんの声を聞くことでミクロな視点を養うことです。SmartHRに入社したとき、導入事例を読み漁ったり実際にインタビューをしたり展示会に参加したりすることによって、ユーザーさんが抱えている課題や解決手段、その後の変化などを掴めました。結果的に、より良いコンテンツの企画構成やインタビューの質問設計などに活かしやすくなったんです。

2つめが、マクロな視点も得ることです。入社してから人事の方と交流したりインタビューしたりするなかで、社労士・弁護士といった専門家や、経済産業省などの省庁の方とのつながりも生まれました。

有識者の方々のお話を聞くなかで、なぜ働き方改革を進めていかなければならないのか、労働力人口が減っていくなかで国や企業はどういうアクションが必要になるのかなどの課題感を掴むことができたんです。

このようにミクロ・マクロ両方の視点が得られたことで、早い段階でSmartHRの立ち位置がくっきり見えてきました。企業を取り巻くミクロな情報とマクロな情報の両側面からストーリーを紡いでいく、編集していくことは、インハウスエディターの力を活かしやすい重要な役割のひとつだと思います。これらには傾聴力と、人と会う力が活きてきます。

3つめは自分の役割や手段を限定的にしないこと。どんなおもしろいことが眠っているか、自分が活躍できる場があるか常にアンテナを張るのが大事だと思います。

僕の場合、入社当初はSmartHR Mag. の担当でしたが、展示会のブースセミナーの脚本を作ったり、そこで配布する冊子を制作したり、オープン社内報の編集を担ったりと、役割やスキルを限定的にさせず、リソースの許す範囲内でさまざまな局面において編集スキルを活かすことで、いろいろな仕事を任せてもらえるような状態になったと思っています。役割や手段の選択肢を拡げるには、コンテンツ形式を問わない表現力が活きてきます。

これらをいち早く実践できると、仮に転職したとしても、その会社でインハウスエディターとして立ち上がる期間は短くなっていくのではないかと考えています。

―― ありがとうございます。たしかにどれも大切なことだと思います。藤田さんは今後のキャリアはどうされるのでしょうか?

マネジメントは難しいですが、やりがいがあると感じていますね。1人じゃ実現できない構想や課題解決を、チームで実現できることに楽しさを感じています。

一方で、編集自体もやはり好きな仕事なので、リソースの9割ほどはマネジメントに割きつつも、余白でプレイヤーとして活躍できる場所があれば積極的に楽しんでいきたいです!

―― すごく学びのあるインタビューになりました。藤田さん、ありがとうございました!

さいごに

今回はSmartHRの藤田さんにお話を伺いました。

お話を伺っていて一番感じたことは、「SmartHRさんのインハウスエディターの方は社内に信頼関係ができているからこそ、編集が必要なさまざまなプロジェクトで声がかかり、力を発揮できているんだな」ということです。

「インハウスエディターは自分の役割や手段を限定的にしないことが大事」というお話もありましたが、「社外の人はどんな情報を欲しているのか?」「社内にはどんな発信できる情報があるのか?」というアンテナを常に張り、社内の人と社外の人の架け橋になるのがインハウスエディターの役割なのではないかとこの取材を通して、そして藤田さんを見ていて感じました。

私も社内と社外、どちらにもアンテナを張りつつ、自分にできる業務を広げていきたいです。

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1998年生まれ。東京外国語大学卒業後、フリーランスとして記事制作に関わった後、2021年10月第二新卒でLIGに入社。LIGブログの企画・執筆・撮影・編集など、記事制作のすべての工程に携わる。

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