こんにちは。観音クリエイション(@kannnonn)です。
突然ですがみなさん、ここ最近のAI(人工知能)の進歩が目まぐるしいですよね。
少し前に話題をかっさらった「Midjourney」の登場は記憶に新しく、キーワードを指定するだけでプロのイラストレーターが描いたようなハイクオリティな絵をポンポン出力してくれる機能は衝撃的でした。
AIに「コンピューターおばあちゃん」を描くよう頼んだら思った以上のやつができてきた。 #midjourney pic.twitter.com/PaSjawbWnE
— 仏像ピクト(butsuzopict) (@butsuzo_pict) August 5, 2022
Japanese God というシンプルな呪文で召喚したもの。すごくないですかAIの発想… #MidJourney pic.twitter.com/PbLGITsya3
— ネコノクロミン (@dementiumxx) August 3, 2022
絵描けないし、漫画の作り方も知らないけど。
midjourneyで生成した画像を漫画的に配置してみた。
よく分からんけどちょっと面白そうかもしれない…。
(これ以上は何も考えてません)#midjourney #AiArt #comic pic.twitter.com/VHYXVT73iQ— Ryo Sogabe / Creative Video Manager of CLE (@sogachin) August 7, 2022
AIはイラストだけでなく、音楽業界にも浸透しつつあります。
僕も作曲の仕事ではがっつりAIの力を借りていて、作った楽曲の仕上げ作業のミックスダウンやマスタリングの作業は、楽曲を分析して最適な調整を提案してくれるiZotope社の「Neutron」や「Ozone」などのソフトを使っています。自分の耳だけでイチからやるより断然早いしクオリティも申し分ない。
そしてついに執筆領域にもAIが登場しました。それがこちら。
AIライティングアシスタントツール『Catchy』
Catchy(キャッチー)は、日々の文章作成をより簡単にするためのAIライティングアシスタントツール。キャッチコピー、記事のタイトルや見出しや本文、Web広告を出稿する際の説明文など、140を超える様々なシチュエーションの文章をAIが自動的に生成。サービスリリースからわずか2ヶ月で会員数が1万人を突破。
試しにCatchyの機能のひとつ、「要点から文章を膨らませる」を使って、「伝えたい要点」に「猫と犬はどちらも可愛いので、日本ではしばしば議論が行われる。」と入力すると、5秒ほどで以下のような文章が生成されました。
え。すごいな……。想像以上にちゃんとした文章が返ってきました。続いて「目が覚めたらまずはベッドメイキングをしたほうがいい。」とだけ入力してみます。
自己啓発書の序盤にこのまま載ってそう! マジですごい!
……すごいんですけど、同時に恐怖を覚えました。これ、ライターの仕事、片っぱしから奪われてしまうのでは? 特に取材を伴わないコタツ記事みたいな執筆なんかは、このクオリティをこのスピードで出力してくるAIには普通に勝ち目がない気がします。
さて、そんな時代が来たとき、僕らができることは何なのでしょうか?
そう、食レポです。
だってAIには味覚も嗅覚もないから。あいつら味わかんねーから。匂い、味、歯ごたえ、実際に食べて何を感じたのかなどなど、感想を上手く伝えることができるはずがないのです。
これからはAIの土俵で戦わず、人間だけが活躍できる方向性の仕事をやっていくべきなのです。
というわけで、今回は世界一臭い缶詰「シュールストレミング」を食べて食レポすることにします。
主にスウェーデンで生産される、塩漬けのニシンの缶詰。その強烈な臭いから、「世界一臭い食べ物」と評されることもある。
どんな食べ物でもよかったんですけど、一風変わった食べ物を食べた方が、人間にしかできないいい感じのリアクションができるはずで、そうすると「やっぱAIには執筆の仕事はまだまだ任せらんないですね! 今後もライターのお仕事お願いします! よろしく人間!」という明るい未来が見えるからです。
私は絶対に勝つ戦以外興味がない。
一人で食べるのもアレなので、今回はLIG社員のお友達も誘いました。ものすごく嫌そうな顔をしている。これから世界一の缶詰を食べられるというのに。
イチロー LIGの新卒4年目の営業。今まで食べた中で一番臭い食べ物はブルーチーズ。なんとか食べきれた。 |
ゆりてん LIGの新卒2年目のコンテンツマーケター。今まで食べた中で一番臭い食べ物は納豆だが、最近食べようとしたところ臭いが無理で食べきれなかった。 |
観音クリエイション 今回の言い出しっぺ。鮒寿司、ドリアン、臭豆腐などの臭い食べ物は一通り挑戦してきたが、どれももう一度食べたいとは思わない。 |
Catchy 株式会社デジタルレシピが提供するAIライティングアシスタント。今まで臭いものはおろか食べ物を食べたことがない。 |
ここからは以上のメンバーでお届けします。人間3人 VS AIの圧倒的有利な状況で勝ちにいくぜ。
ちなみにシュールストレミングは開封の時点で強烈な臭いを放つらしく、室内や人が密集する都心部の公園で食うと大問題になるおそれがあります。海外ではそのあまりの異臭からガス漏れと勘違いして大パニックが起きたり、嫌がらせに利用された事件が起きているほど。
今回は某県の山奥にあるキャンプ場にて、撮影の許可をいただき行いました。
ベンチとテーブルもあって便利。やったね(この後テーブルを汚さないように持参したテーブルクロスをかけました)。
はじめまして。シュールストレミング
ゆりてん:はあ……。ほんとに食べるんですか? 来る前にWikipediaで調べてみたら臭さを数値化したグラフが出てきて、それ見たらシュールストレミングがぶっちぎりでちょっとビビっちゃったんですよね。
▲参考:シュールストレミング – Wikipedia(2022年11月18日時点での最新版から取得)
イチロー:納豆の17倍以上臭いんだ……。
ゆりてん:私その納豆すら食べれないんですよ。
イチロー:そのポテンシャルで今日よく来たね。
イチロー:缶、意外とデカいんですね。しかしこんなに気が進まない食レポは初めてです。普通に寿司とかカレーを食べたかった。
観音:まあおふたりともそう言わずに。このシュールストレミング、手に入れるの大変だったんですよ。地球温暖化の影響でバルト海のニシンの収穫量が落ちたことで2022年生産分のシュールストレミングってほぼ日本に輸入されていないらしくて。
イチロー:どこで買ったんですか?
観音:スウェーデン大使館に連絡して、大使館内の自動販売機でゲットしてきました。
ゆりてん:なんなんですかその執念。
イチロー:ちなみにこれって1缶いくらするんですか?
観音:5,500円。
ゆりてん:たっか!!!
イチロー:5,500円あれば寿司もカレーも食えるのに……。
イチローさんはシュールストレミングの缶を振って「うおおおチャプチャプ鳴ってるー!!! やべーーー!!!!」ってビビってましたが大体の缶詰は振ったらチャプチャプ鳴ると思います。果たしてこのメンツの知能でAIに勝つことができるのでしょうか。
さて、ここで試しにCatchyの「短文を長文に」の機能で「臭いものを食べたくない。」だけ入れてみました。Catchyから自動生成された文章は以下の通り。
すごいな……。イチローさんとゆりてんさんはゴリ押したら食べてもらえそうだけど、Catchyは空気読まずにロジカルに断り続けてくる芯を感じます。あんまり無理に食わせようとしたら訴訟とかしてきそうな強さ。
AI、思ってたより手強いかもしれない。
シュールストレミング、開封の儀
観音:よっしゃ。開封しましょう。
イチロー:ちょっと待って何ですかこの重装備。
観音:なんかシュールストレミングって発酵時に発生するガスの作用で缶を開けたときに汁が飛び散るらしくて、その汁が服に付いたら一度洗濯してもなかな臭いが取れないんですって。あと汁が目に入ったら危険らしいです。なので防護服とゴーグルとゴム手袋を装備して挑みます。そして缶は大きめのビニール袋で覆った状態で作業に取り掛かります。
ゆりてん:食べ物の話をしてるんですよね?
イチロー:扱いが劇薬なんよ。
赤のコードと青のコードどっちか切ったら爆発するみたいな緊張感が漂う中、コードではなく缶を切ります。
いざ!
シュールストレミングのニオイレポ
パキッ、プシャッ。
観音:うわあああっあああぁぁぁぁ汁はじけた!!!!!!
ゆりてん:えッ!!! はゥッ!! オ゛!!!!!
イチロー:ちょっと待ってくっっっっっさ!!!!!!!!!! ォクッ!!!
今までの人生で嗅いできた臭いものを圧倒的に超えてくる臭さ。臭いの方向性でいうと下水とか腐った魚とか生ゴミとかなんですけど、それらを全部混ぜてぐつぐつ煮詰めて凝縮したような強烈な臭気が広範囲に広がります。ゾンビ系の敵が繰り出してくる全体攻撃。感覚器にいろんなステータス異常が起きそう。
イチロー:後ろにいるだけでも臭いがエグいっす。たくあんを100回腐らせてドブ川の水でスムージー作ったような臭い。なんで大使館の自販機でこんなもの売ってるんですか。
ゆりてん:やば……。ウッ……。気を抜いたら吐きそう……。はー……。これ本当に食べるんですか? 食べたら死ぬやつですよね?
観音:僕のゴム手袋についた汁の臭いがさらにヤバいです。ちょっと嗅いでみてください。
イチロー:マ゛ッ
ゆりてん:オ゛ッ
観音:ね?
イチロー:ね? じゃないですよ。これ、犬とかがダイレクトに嗅いだらその場で死んでますよ。
ゆりてん:古い公衆トイレを一気飲みしたおじいちゃんの唾を乾燥させたような臭いがします。今すぐ嗅覚を捨てたい。
と、食べる前から人間ならではのコメントを数多く引き出すことができました。
ここで再びCatchyの「要点から文章を膨らませる」機能を使ってみましょう。「シュールストレミングの臭いを嗅いでみた。」と入力して文章を生成してもらいます。
観音:こいつ嗅覚もないくせに……!
イチロー:もうCatchyの勝ちで良くないですか?
ゆりてん:賛成! 解散! お疲れ様でした!
観音:勝手に解散しないでください。せっかく開けたんだからちゃんと食レポをしましょう。
シュールストレミングの下ごしらえ
シュールストレミングの中身はこんな感じ。臭いからもっとグジュグジュのヘドロみたいなのが入ってるもんだと思っていましたが、適切に冷蔵保存されていたおかげでニシンがちゃんと原形をとどめていました。つるつるすべすべ。
中から身を取り出し、流水で洗います。
皮と骨を除去します。ずっと臭いです。鼻の奥でバキュームカーがアイドリングしている。
分けました。可食部はこんな感じ。
1皿に1切れを盛り付け。こうしてみると寿司ネタみたい。実は食べてみたら普通に美味しい可能性があるのでは?
シュールストレミング、毒味試食
スウェーデン大使館の方によると現地の人でもこのまま食べる人はいなくて、普通はパンに乗せて、玉ねぎや芋やハーブなんかと一緒にサンドして食べるとのこと。
今回はCatchyに「シュールストレミングを食べてみた感想」とだけ入力して文章を生成してもらいたいので、条件を揃えるために、人間の僕たちもあえて素材のままいただくことにします。
2cm角ぐらいの一口サイズにカットしました。いただきます。
観音:ありがとうございました。
イチロー:いやいやいやいや!
ゆりてん:ちょっと! 食レポをしてください。
観音:ああ、はい。
イチロー:思いっきりテンション下がってるじゃないですか。
観音:いやー……。これ単品で食べるのはかなり厳しいですね。ほんのひとかけなのに、口に運んだ瞬間から臭いが爆発して鼻に抜けていって、普通に気絶するかと思いました。気合い入れて噛もうと思っても怖くてなかなか噛めない体験は初めてです。ドリアンとか比じゃないレベルで臭い。危険。脳が「お前それ絶対に噛むなよ」って指令を出してきました。
イチロー:食べてる間ずっと小刻みに震えてましたよ。
ゆりてん:明確な拒否反応。
観音:死ぬほど臭いんですけど、面白いことに噛み続けていくとちゃんとニシンの味が認識できるんですよね。旨味もちゃんと感じます。めちゃくちゃしょっぱいけど。あと「腐敗」じゃなくて「発酵」なんだなって。ちゃんと食品です。食えます。もう食いたくはないけど。
ゆりてん:何か他の食べ物にたとえたりできますか?
観音:えー……。なんだろう……。闇堕ちしたアンチョビ?
イチロー:あーーーこのあと食べるの怖えーー。
お待たせしました。おふたりのターンです。はいどうぞ。
観音:ふたりとも虚無になっちゃった。どうですか、味。
イチロー:……とんでもないですね。ひと噛みして脳天に稲妻が落ちました。口が閉じられなくなる。食感だけがものすごくやわらかくて優しい。味は腐った海水。
ゆりてん:最初に口に入れたときの第一印象、発する臭いそのまんまの味なんですね。ほんとに死ぬかもって思いました。衝撃的な不味さ。けど噛んでいくうちに表面についていた臭いの味が取れて、魚と塩分の味がして、だんだんマシになってくるのは確かに感じました。
観音:ふたりともレビュー力めっちゃ高い。もう一口いっときますか?
イチロー:いきません。
観音:ちなみに何かの味にたとえられます?
ゆりてん:飲める下水?
イチロー:「食べるラー油」みたいに言うな。
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さて、人間チームは結構いい食レポができたのではないでしょうか。最後にCatchyにシュールストレミングの食レポをしていただきましょう。「シュールストレミングを食べてみた感想」と入力して、文章を生成してもらいます。
シュールストレミングは発酵させたニシンの一種で、悪臭を放つことで有名です。実際、スウェーデンでは公共の場で食べることが禁止されていることもあるほど、臭いのだそうです
缶を開けると、すぐに臭いが襲ってきた。確かに強烈でしたが、思っていたほどではありませんでした。試しに飲んでみることにした。
味は…おもしろかった。
もちろん塩辛くて生臭いのだが、酸っぱさもある。嫌いではないが、また食べたいと思うかどうかはわからない。全体として、面白い経験でした。シュールストレミングを試してみてよかったと思いますが、習慣化することはないでしょう」
……なんか僕らと一緒にシュールストレミング食べてたメンバーの1人で、しかもリーダー格みたいにうまくまとめてきますね。やるなCatchy……。
まとめ
Catchyを使う前は「執筆の仕事がAIに奪われるー!」と思ってビビっていたのですが、そもそも対決して勝ち負けを決めるのは間違っていました。AIはツール。競うのではなく、うまく使って人間の仕事に役立てるのが正解な気がします。
たとえば、今回みたいに自分がやったことないことや食べたことがないものが題材の記事を書く場合、Catchyに前もってざっくり文章を生成してもらっていれば「なるほどこんな感じか」と予備知識を持ってどしっと構えて取材に挑めていたと思います。
あとは記事内に出てくるアイテムの説明(今回だと「シュールストレミングとは」にあたる部分)なんかはWebや書籍で調べたのを組み合わせて文章を作るよりも、Catchyに生成してもらって整えるだけで時短に繋がりそう。
Catchyには他にも140以上の機能があるので、ライターの方だけでなく、メールやチャットで長文のコミュニケーションをとる機会が多い方や、いろいろと企画を考える方などにはかなり使えるツールだと思います。興味ある方は導入を検討してみてはいかがでしょうか?
Catchyのいいところ
- 記事のたたき台をCatchyに生成してもらって人間はそこに肉付けしていくことで全体の執筆時間を短縮できる
- Catchyをブレストの壁打ち相手にすることで今までと違う企画を作れる
- 類語を調べるようなノリで自分の引き出しにはない言い回しと出会える
おまけ
シュールストレミングのような強烈な臭いで嗅覚が麻痺したときはコーヒー豆の香りを嗅ぎましょう。コーヒー豆には嗅覚をリセットしてくれる効果があるようで、
この状態でもう一度シュールストレミングを嗅ぐと
初めてシュールストレミングの臭いを嗅いだときのインパクトを何度も体験することができます。お試しあれ!