DXに「デザイン」が必要な理由

DXに「デザイン」が必要な理由

Teppei Maejima

Teppei Maejima

Strategy&Consulting 部長の前島です。

私は前職のアクセンチュア時代から10年以上にわたり、コンサルタントとして企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しています。

「DX」は、2010年頃からしばしばビジネスの現場で用いられるようになりました。2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を出したことで一気に広まり、2020年にはデジタル庁が発足。「DX推進」を掲げる企業が増えています。

今回はそんなDXの変遷を長年現場で見てきた私から、DXに「デザイン」が必要である理由をお話しします。

DXとは

そもそもDXとはいったいなんでしょうか。

もし全国の経営者に「DXとしてどんな取り組みをおこなっていますか?」という質問を投げかけたら、「アナログ業務をデジタル化するツールを導入しました」と答える方が多いでしょう。

たしかに10年前までは、「アナログをデジタルへ置換すること」がすなわちDXでした。しかしいま、私の言葉で説明するならば、DXとは「企業のパーパス(存在意義)を再定義すること」です。

2022年現在、デジタル技術の進化に後押しされて、GAFAやUberといったイノベーティブなプレイヤーが台頭し、いたるところで業界のルールそのものが覆っています。

ルールと競争相手が決まっていれば、ゲームに勝つための戦略を立てることは容易です。しかしながら、明日になったら競争相手が変わるどころか、ルールそのものが変わっているかもしれない。同じやり方でビジネスを続けていては、もう生き残れない時代です。

そのためどの企業もパーパスの再定義・DXを迫られているのです。

では、いざDXを推進するためにはどうすればいいでしょうか。答えの一つは、サービス開発に「デザイン思考」を取り入れることです。

デザイン思考とは

デザイン思考とは、顧客を深く観察することで心の奥底に抱えているニーズを見つけ出し、そのニーズに応えるアイデアを発散させて、試行錯誤しながらサービスを生み出していくプロセスです。

デザイン思考において特に重要なのは、 目には見えないものを創造する力

たとえば、みなさんの目の前に1本の木があるとします。木の幹や枝葉をじっくりと観察し、その根っこが土の下でどのように広がっているのかをイメージして、言語化する。目に見えないものを創造する力とは、こういうものです。

「顧客を理解できていますか?」と聞けば、ほとんどの方が「できています」と答えるでしょう。しかし土の下の根っこの部分、「顧客の心の奥底にあるニーズを理解し言語化できていますか?」と聞けば、「できています」と自信をもって答えられる人はきっと少ないはずです。

このように、目には見えないものを創造することは決して容易ではありません。だからこそ、その見返りとしてイノベーションの可能性を拓けるのです。

DXにデザイン思考を取り入れるには

ここまで読んでいただいた方はお気づきかと思いますが、デザイン思考の「デザイン」は、グラフィックやWebサイト、プロダクトにおける表層的な「デザイン」とは異なります。

いざデザイン思考を取り入れようとすると「優れたUI/UXデザイナーを採用しましょう」と考える方が多くいらっしゃいますが、プロジェクトに必要なのはいわゆる「職業デザイナー」ではありません。顧客を観察し、心の奥底にあるニーズを言語化しようと模索し続けている人です。

なお、デザイン思考の知見は我々のような支援会社に頼ることもできます。しかし一つだけ、絶対に委託できないものがあります。それは覚悟を持った経営者・リーダーの存在です。

デザイン思考は目には見えないからこそ感覚的で、正解がわからないからこそアイデアの発散を重んじます。こうしたプロセスは、データドリブンや論理的思考、効率化を重んじる企業にとって、非常に回りくどいと感じられるものです。

そんなデザイン思考の現場に「成果はどうなの?」「いつ売上利益につながるの?」と経営者から毎度プレッシャーをかけようものならどうなるでしょうか。どんなに優秀なメンバーが揃っていたとしても、嫌になって辞めてしまうはずです。

よって経営者は、人材の創造性とコミットメントを引き出すことに注力すべき。この覚悟を決められるかどうかに、DXの成功がかかっています。

さいごに

これまで多くの日本企業は、自分たちが築き上げてきたものが壊れるのを恐れ、目に見えない未知なるものにとまどい、真なるDXを進められずにいました。

しかしながら、激動のコロナ禍において、時代や業界の変化に適応しなければ淘汰される、とみなさんもまざまざと感じたはずです。

いよいよ本気で、創造性を取り戻す必要があるのではないでしょうか。

 

最後に、弊社LIGがお手伝いできることを紹介させてください。

デザイン思考をより多くのビジネスの現場で実践するために、カナダ・トロントにあるExperience Point社と提携しています。同社が保有するデザイン思考のプログラムは、Fortune100(グローバル企業の総収入ランキングトップ100)の半数以上で導入されており、世界最高水準といって過言ではありません。我々はこの体系化されたプログラムを用いて、ビジネスの課題抽出やデザイン思考のトレーニングをおこないます。

また、DXを推進し新たなパーパスを現場に定着させるためには、部門横断のコミュニケーションが欠かせません。しかしながら、セクショナリズムが強い日本企業において部門間の認識を合わせることは容易ではなく、大抵うまくいかないものです。そんなとき、あらゆる企業のDXの現場で鍛えられてきた戦略ファーム出身のコンサルタントが力になります。各ステークホルダに説明して回ったり、ワークショップをおこなったりと、泥臭く現場を支援します。

「顧客視点で価値を共創できていない」「関係者が多すぎてプロジェクトが長期化している」といった課題を抱えた企業様にとって、弊社は大きな推進力となれるはずです。ぜひ一度お問い合わせください。
 

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Teppei Maejima
Teppei Maejima Strategy&Consulting / Consultant / Partner / 前島 哲平

アクセンチュア株式会社にて、通信・メディア・エンタメ業界を中心に、営業改革(SFA/CRM)、CX(カスタマーエクスペリエンス)、デジタルマーケティング、分析基盤、個人情報の匿名加工、ERP/BPRなど約10年間に渡り、デジタル化戦略 & コンサルティングに従事。LIG入社後は、DX推進によるデジタル化戦略を支援している。

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