こんにちは、LIGコンサルタントの高瀬です。
最近ニュースなどでよく「ESG」や「ESG投資」という言葉を耳にしますよね。その意味について「知らない」「知ってはいるが、何をすればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。ですがESGはこれからの時代、企業成長のうえで欠かせない要素なんです。
そこで今回はESGとは何か、ESGに取り組むメリット、具体的な対応方法などをご紹介します。
目次
ESGとは
ESG・ESG投資とは
「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの頭文字をとった言葉です。企業が長期的に成長していくために取り組むべきこととして注目されています。
それぞれ具体的には次のような内容を指しています。
- 環境:気候変動対策、生物多様性の保全、海洋マイクロプラスチック削減など
社会:ダイバーシティの実現、労働環境の改善、人権対策など
ガバナンス:法令遵守、適切な情報開示など
「ESG投資」とは、投資の際に企業のESGに対する姿勢・取り組みを考慮することです。
これまで投資の判断基準といえば財務情報、つまり儲けていることが最重要視されてきました。ですが今は再生エネルギーを積極的に活用しているかどうかなど、ESGが投資の大事な判断基準になっているのです。
ESGとSDGs、CSRの違い
ESGは「SDGs」や「CSR」とも関係が深いと言えます。それぞれの用語を簡単に説明しておきます。
- SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)。2015年に国連のサミットで採択、2030年までの達成を目指す。「貧困」「気候変動」「ジェンダー平等」など17のゴールがある
CSR:企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)。利益だけを追い求めるのではなく、従業員や投資家などあらゆる利害関係者に対して適切な行動をとること
ESGを進めることはSDGsにつながっており、CSRやSDGsはESG投資の基準にもなる。それぞれが密接に関わっているといえます。企業はどれか一つではなく、これらすべてに対して積極的な取り組みが求められています。
なぜ今ESGなのか
ESGが注目されるようになった背景
「ESG」という言葉が注目されるようになった背景は、主に3つあります。
1つ目は、2006年に国連が提唱した「責任投資原則(PRI)」です。投資先選びの判断指標として「ESGの視点を組み入れること」といった項目が盛り込まれたことで、ESGが広く使われるようになりました。日本でも2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名したことをきっかけに、ESG投資が進みました。
2つ目は、SDGsの広がりです。2015年以降、世界中で国や企業がSDGsに積極的に取り組んでいて、その動きは市民レベルでも広がっています。日本でも2020年に「2050年カーボンニュートラル宣言」が出されており、取り組みが行われています。
3つ目は、新型コロナウイルスの流行です。コロナ禍により従業員の健康や安全、雇用などが重視されるようになりました。これまでのようにコストや効率性だけを追い求めるのではなく、そこで働く人が大事にされるようになってきています。
ESG投資は右肩上がり
ESGは単なるバズワードではなく、すでに長期的なトレンドになってきています。図のように世界のESG投資額は右肩上がりの状況が続いています。2020年は35.3兆ドルと、2018年に比べて約15%も増加しています。
最近は特に若い世代を中心に、商品やサービスを選ぶときに環境や人権問題といった点を気にする消費者が増えています。
ESGを重視することで、コストがアップし商品価格が上がってしまうこともあります。ですが消費者は環境や人にやさしく、自分が納得できるものであれば買ってくれます。実際、パッケージをビニールから紙に変えて商品の値段はあがったものの、売上が伸びた商品もあるのです。一方で製造工程での人権問題が指摘され、批判にさらされた企業もあります。
ESGに対応していないことは投資家から見れば一つのリスクです。それもあってESGが投資のうえでより重要視されてきているとみられます。
ESGのデメリット
このようにESGはもはや企業の成長のためには欠かせません。ですが、短期的に効果が見えづらいというのはデメリットといえます。
ESGに取り組んでいるとアピールしても、すぐに株価があがったり売上があがったりするとは限りません。材料を変えるなどしたことでコストがアップし、経営上の負担になるおそれもあります。
ですがESGについてまったく取り組まなかったり、すぐにやめてしまったりすることは、長期的にはプラスにはならないでしょう。できるだけ長い目で見ることが大事です。
企業が「ESG」の観点ですべきこと
ESGの具体策
では企業のESGとしては具体的にどのような対応があるのでしょうか。項目別でみてみましょう。
まず「E(環境)」については、エコパッケージへの切り替え、再生エネルギーの活用などが考えられます。商品パッケージや広告宣伝物に取り組みについて記載すれば、消費者の目にもとまりやすく、ブランディングにもつながるでしょう。
「S(社会)」は女性活躍の推進、性的マイノリティの採用・配慮、長時間労働の撲滅やワークライフバランスの実現などが考えられます。これらを進めることは、優秀な人材の確保にもプラスに働くはずです。
「G(ガバナンス)」については、コンンプライアンスの徹底、社外取締役の設置などがあります。
サービス業などの業種では、E(環境)について目立った取り組みはしにくいでしょう。また中小企業の場合、コストアップが経営の足かせになる可能性もあります。
そういったケースでは、労働問題の改善、適切な情報開示などの「S」や「G」の部分に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。どの業界・企業でも比較的時間や手間、コストをかけずに取り組めるはずです。
ESGをパーパスに取り入れよう
ESGは企業価値にも関連してくる要素です。そこでぜひ、ESGをパーパスに取り入れることを考えてみてください。
昨今「パーパス経営」が話題になっていますが、パーパス、つまり企業の存在意義をしっかり定義しておくことは、DXを進めていくうえでも重要です。またESGをパーパスに取り入れて進めることで、長時間労働で社員に訴えられるなど、会社の信用が失墜するリスクも軽減できます。
パーパスの策定の際は会社全体で話し合って決めていくことが必須です。ところが社員間で意見が対立してしまうことは珍しくありません。そのため策定の際には、外部のアドバイスを受けることがおすすめです。
LIGでは企業のDXコンサルの一環として、パーパス策定のサポートを行っています。これまで多数のワークショップを行い、人を巻き込んでイベントを進めてきたノウハウを生かして、議論を前に進めるお手伝いをいたします。コンサルのみならず、ESGのWebサイトなどの制作まで一気通貫で対応可能です。お気軽にご相談ください。