Design部マネージャーの長谷川です。
私はアカウントプランナーとして、年間約400件のWebサイト制作のご相談を承っています。入社して2年強、相談対応数は累計1,000を超えました。
私たちLIGはWebサイト制作のプロとして、お客様が望む成果を達成できるよう日々プロジェクトに向き合っています。しかし残念ながら、なかには大幅に納期が遅延してしまったり、想定外の費用が発生してしまったりと、トラブルが起きるケースもゼロではありません。
そこで今回、過去の経験から「こうやってご依頼いただくと後でトラブルが起こりやすいパターン」を4つ抽出しました。
実際にこれらのパターンが発生した際には、ご発注前にお客様へリスクをお伝えするよう徹底しています。とはいえ発注側であるみなさまにもぜひあらかじめご認識いただきたく、こうして記事にまとめました。
これからWebサイト制作を予定しているみなさま、ぜひご覧ください。
目次
1. 見た目が古くなったので、新しくしたい
サイトリニューアルの理由としてもっとも多いのは「なんかちょっと見た目が古くなったから」です。
しかし、デザインの刷新 “だけ” を目的に制作をスタートしてしまった場合、デザインの良し悪しを判断する基準が非常に曖昧です。その結果、デザインの確定に必要以上に時間がかかり、プロジェクトの長期化につながる恐れがあります。
そのため、月並みな表現ではありますが、やはりリニューアルを実施する目的の設定が重要です。「どんな人にどんなアクションを起こしてほしいのか」「その目的に対して現在のサイトはなにが課題なのか」を明確にできれば、構成やデザインにおけるよしあしの判断基準がクリアになり、プロジェクトメンバー全員でアイデアを出し合える環境を作れます。
仮にお問い合わせいただいた時点で目的が明確でない場合は、ヒアリングを通じて言語化をサポートするよう心がけています。「現在サイト経由のお問い合わせ数はどれほどですか?」「いまサイトを運用するなかで不便に感じていることはありませんか?」といった質問を重ねるなかで、サイトの理想像を一緒にクリアにしていきます。
2. 中身はまだ決まっていないけど、とりあえずこの予算で発注したい
ページ数や撮影の有無が決まっていない段階で「とりあえず予算500万円でコーポレートサイトを発注したい」とおっしゃるお客様が時折いらっしゃいます。これは「とりあえず5,000円で行けるところまで行って」とタクシーを走らせるようなものであり、「目的地に到達できなかった」と後からトラブルになる確率がもっとも高いパターンです。
サイト制作のお見積りは、ディレクターやデザイナー、エンジニアの想定稼働時間をベースに算出するため、仕様として確定したページ数や撮影の有無によって大きく変動します。弊社においては「500万円でコーポレートサイト1つ」という換算にはなりませんし、通常そのような条件で請負はしていません。要件定義後にページが増えれば、その分製造原価も変動します。
この認識がズレていると、「ページ追加には費用が発生します」「いやいや、予算内でなんとかしてくださいよ」「弊社の持ち出しが大きくなって赤字になるため、ご相談をお受けすることが難しいです」というやり取りが生まれ、お互い気持ちよくプロジェクトを進めることが難しい状況になってしまうのです。
制作を進めていくなかで追加のご要望が生まれることは多々あります。よって「ページ追加に伴う費用の変動は比較的よく起こり得る」とあらかじめご認識いただけると幸いです。
また、予算取りの都合上、どうしても中身を決める前に費用感を出す必要がある場合には、「既存サイトをそのままの構成でリニューアルした際にどれほど費用がかかるのか」を見積もりとして提示するようにしています。リニューアル時に大幅にページ数を減らす/増やすことはほとんどありませんし、お客様にとっても成果物のボリュームをイメージしていただきやすいため、参考数値としてご案内しています。
3. サイトマップは自社で作ったので、デザインとコーディングだけお願いしたい
「サイトマップは自社で作ったので、デザインとコーディングだけお願いできますか? その分制作期間はなる早で、費用も抑えてほしいです」とご要望いただくことが時折あります。ただ、お客様ご自身で作られたサイトマップのまま完成を迎えることは、残念ながら実際にはほぼありません。
というのも、サイトマップの作成は見た目ほど簡単ではありません。目的に対して導線が適切かどうか、コンテンツに過不足がないか精査する必要がありますし、サイト改善やSEO(検索エンジン最適化)の知見も求められます。抜け漏れやダブリ、論理的な整合性といった観点で精緻なものを作る必要があり、結果的にお客様の構想からは変更する箇所が出てくることになるのが通常です。
上記のケースにおいては、私どももやはり精査をすることには変わりないので、費用の削減には結果として繋がりません。このためサイトマップの作成はぜひ我々制作会社にお任せいただき、正しい設計図を用意した状態でプロジェクトをスタートさせることをおすすめします。
また、「制作期間はなる早で」とご相談いただいた場合、制作会社側としてはどうしてもと距離をとってしまいがちです。なぜなら、「なる早」という言葉はたいていお客様側の期待値が高く、制作会社側にとって実現が難しい期限設定になっていることが多くあります。
当然、ご期待に応えたいとは思うものの、お客様のご希望に沿ったWebサイトを制作するためには一定の期間が必要です。例えば◯月末でなどと具体的な期限に置き換えるだけでも双方の会話のしやすさが変わると思いますので、ご検討ください。さらに具体的な納期、その納期を期待する理由や背景を共有いただけると大変ありがたいです。
Webサイト制作という業務の構造上、余裕をもった期日でご依頼いただくほうがご相談を承りやすいという点もぜひご理解いただけると幸いです。
4. サイトをリニューアルしたら流入は増えますよね
「サイトをリニューアルしたら流入も増えますよね?」とご質問いただくことが多々ありますが、残念ながら、見た目を新しくするだけのサイトリニューアルで流入が増えることはありません。
もちろん「ページのタイトルに検索キーワードがまったく入っていない」「画像の容量が大きくサイトの読み込みスピードが著しく遅い」といった、技術的なSEOにおけるマイナス面が多いサイトにおいて、Googleに評価してもらいやすいよう内部の構造を見直せば多少改善する可能性もあります。しかし現代においてそこまで明らかにマイナス評価されているサイトはあまり存在しません。
流入を増やすために必要なのは、読み手の悩みや課題を解決してくれるコンテンツをサイト内に増やすことです。なおかつ、コンテンツを増やしたからといってすぐにはGoogleに評価されないことや、中長期的に良質なコンテンツを増やし続けることでようやく検索流入が増えていくこともあらかじめご理解いただく必要があります。
検索流入を増やすためには時間も労力もかかるため、ビジネスの都合上短期的に流入数を伸ばしたいのであれば、Web広告の活用も視野に入れるべきでしょう。お客様が目的を達成するための手段として、我々はSEOや広告施策も合わせてご提案するよう努めています。
さいごに
「あぁ、このフレーズ使っちゃってたな……」
と心当たりがあるみなさんもいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。こうしたフレーズが出てきた際、事前にリスクを説明するのは制作会社の仕事です。しかしながら発注者であるみなさまも事前に知っておくことで、予算や制作期間の計画を立てやすくなると思います。当記事でお伝えしたことが少しでも参考となれば幸いです。
これから始めるWebサイト制作プロジェクトが、成功することを願っています。もちろん、弊社にも気軽にご相談ください!
LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。