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海外子会社のガバナンス問題とその解決策をお伝えします

じょう

こんにちは、財務経理部のじょうです。

今回は海外拠点のガバナンスやコントロールの難しさについて、自らの学びを整理したいと思います。

日本国内での企業統治(コーポレートガバナンス)と内部統制(インナーコントロール)と同じように、海外拠点も正しく経営管理をしたいのですが、難しさを感じています。

企業統治は、株主など利害関係者の権利保護と不祥事防止のための経営監視の仕組みです。内部統制は、業務を法令遵守のもと着実に遂行するための仕組みです。

企業統治と内部統制に共通する目的は、情報開示の透明性や財務報告の信頼性を担保することです。企業の不祥事を未然に防ぎ、健全な経営を行うためには、二つの仕組みが機能することが重要です。

「統治(ガバナンス)が効いていない」というのは、「統制(コントロール)が効いていない」ということです。海外拠点のガバナンスが難しいということは、コントロールが難しいということです。

コントロールが難しい原因を考えた結果、内部統制を遂行する組織があれば、安定した企業統治ができると、考えています。

海外拠点の現状

LIGの海外拠点は、フィリピン・セブとベトナム・ホーチミンにあります。セブは2016年5月に設立した拠点で、100人前後の組織。2021年夏に新しい現地責任者として日本からノアさん(岩田憲昭さん)が赴任しました。

ホーチミンは2021年6月に買収した拠点で、20人前後の組織。同年12月より現地責任者として日本からつづさん(廿浦稜介さん)が赴任しました。

今回の学びは、フィリピン・セブについて考えたいと思います。LIG財務経理部は、以前より、フィリピン拠点と週次会議を開催し、情報開示の透明性や財務報告の信頼性を担保するため、業務の進捗を進めています。

日々の業務遂行はSlackの中で進め、特に重要な内容については、週次のオンラインミーティングで共有/議論をしています。

当初は、フィリピンにて会計マネージャー(以下MGR)と人事MGRをフィリピン人から採用していましたが、現在は会計業務と給与計算業務をすべてアウトソーシングしています。管理業務の中でも、攻めの人事採用や育成は現地社員を中心に進め、守りの給与計算・会計は、アウトソーシングすることでより業務を適正に遂行しています。

アウトソーシングする経緯は、2年間、会計MGRが定着しなかったことと、人事領域において、正しくない業務が繰り返されていたにもかかわらず、発見することができなかったからです。今回、新しい責任者(ノアさん)が赴任するにあたり、正しくない業務を見つけることができ、給与計算業務もアウトソーシングすることになりました。

企業統治(コーポレートガバナンス)

あらためて、企業統治(コーポレートガバナンス)とは、企業の組織ぐるみの不祥事を防ぐために、社外の取締役・監査役などによって経営を監視する仕組みのことです。

株式会社の所有者である株主や、その他の利害関係者の利益を最大化するため、企業不祥事の防止と長期的な企業価値向上を目的として、所有(株主)と経営(取締役)と執行(CXOなど)の分離を進めたり、監査機能を設置したり、仕組み化することです

海外拠点にとっての利害関係者は、株主であるLIGと海外拠点の社員です。利害関係者の権利を保護するために、法令遵守の業務を遂行をする組織が必要となってきます。

内部統制(インターナルコントロール)

内部統制とは、会社が社員に守らせる社内ルールのことで、法令や規程や倫理を会社が守ることを目的としています。たとえば、上長承認の業務フローを設計したり、情報漏洩を回避するための情報通信機器類の持出禁止なども内部統制の仕組みです。日本の上場会社では、会社法と金融商品取引法により、内部統制の整備が義務化されています。

内部統制については、業務の規程を整備するだけでなく、実際に運用されなければいけません。仏作って魂入れずという状態では、内部統制は機能しません。

海外拠点のガバナンスの難しさの原因

現地の業務ミスが見えない

日本国内であっても、毎日小さな業務ミスは起きています。ミスが繰り返されないよう業務改善をします。社員全員が業務品質改善を継続しなければいけません。

一方、海外拠点での業務ミスは、日本国内から見ることができません。特に財務経理部の仕訳登録が正しく登録されているのか、日本国内から見えないミスが根雪のように固まっていきます。とても、情報開示の透明性や財務報告の信頼性を担保することはできません。

日本とは異なるローカル事情

日本では社会保険料は当局より当月の納付通知と前月の納付領収について書面が届きます。万が一、納付ができなかった場合は、当局より連絡があります。

一方、フィリピンでは、社会保険料の納付ができなかった場合は、当局からの案内はなく、納付者自らがWebサイトでチェックする必要があります。

間違いが積もり積もって根雪の状態となり、なかなか改善ができません。

経営判断に必要な適正な財務報告への意識が弱い

現地では公認会計士が会計処理をしていますが、月次損益へ影響のある費用計上について、正しく仕訳をする意識が弱いのが現状でした。BIRという税務署への申告については意識が強いのですが、経営判断に必要な適性な財務報告への意識が弱いです。

例えば、年1回の保険料を月次一括費用計上していたり、月2回の給与支払い(10日締め15日払い、25日締め月末払い)の25日〜月末分を毎月費用計上していませんでした。仕訳登録の手間が毎月増えるわけですが、適正な財務報告には必要な業務となります。

上記の業務に対する内部統制が機能しない理由は2つあると考えています。

  1. 海外拠点の組織運営に描かれていない、親会社メンバーの判断に依存している
  2. 海外拠点の日々の管理業務を随時チェックする役割/責任が組織設計されていない

組織は戦略に従う

組織は戦略に従うというのは、戦略が変われば組織が変わるということです。11人のサッカーでも、9人の野球でも、それぞれにポジションごとの役割と責任があり、定型的な連携をどうするか、非定型的な連携をどうするか、日々練習を繰り返し、チームワークを高めています。そして、ゲームの局面に合わせて戦略が変われば組織もかわります。

内部統制は、経営管理における戦略の一つです。内部統制という戦略を遂行するためには、その戦略にあった組織が必要となります。海外拠点の「内部統制」(インナーコントロール)を改善するためには、まずは「組織」を作るしかありません。

解決策

海外拠点の内部統制が難しい原因を考えた結果、内部統制を遂行する組織があれば、安定した企業統治ができると考えています。

日本国内と同じように、「組織規程ー業務分掌規程ー人事評価」に基づいた組織運営が必要です。業務分掌に明記されていない業務がある場合は、タスクフォースなど一時的な組織を組成し、専任・兼任の配置をきめ、組織運営することが必要です。

海外からの学びだけでなく、国内においても同じです。子会社のガバナンスを機能させるには、以下のような組織作りが必要です。

①親会社の配下に子会社管理機能を集約する組織もしくは業務を新設

役割責任:親会社側の子会社管理機能の主管(各所管は、管理本部配下の各部)

定例会議:親会社管理本部会議に出席、子会社経営会議へ親会社の立場で出席

②子会社の配下に、管理業務の責任者(部長兼MGR)として配置

役割責任:子会社の管理機能の陣頭指揮

定例会議:子会社経営会議&子会社管理会議へ子会社立場で出席

なお、親子間の兼務が発生しガバナンスに求められる牽制機能が働かなくなるが、コスト抑制のためには、親会社メンバーによる子会社兼任は合理的です。

以上を進めれば、海外拠点についても内部統制が機能すると考えています。