サービス志向に基づいた戦略を策定する際の3つのポイント

サービス志向に基づいた戦略を策定する際の3つのポイント

Teppei Maejima

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みなさんこんにちは。コンサルタントのてっぺーです。

以前より、サービス志向への価値観の変革をお伝えして参りましたが、今回は戦略的な事業戦略を形作る要素について書いていきたいと思います。

前回の記事はこちら。

それでは、早速いきましょう!

はじめに

さて、戦略を語る前に、サービス志向で色々考えると「結局、売上良くなるの? 取引先の反応が良くなるの?」と言われることがあります

答えはNoです。そうですね、より多くの売上を自社にもたらすのにサービス志向ってどのように適用できのかを尋ねたくなるのは自然なことです。この回答ですと、失望される方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、サービス志向とは、自社の売上げ低迷、他社との競争性について、処方的な意味合いで直接的に作用するものではなく、利益向上を目指す企業の高い生存性を提供する考えですので、戦略的かつ仮説的なもので、間接的なものと考えるのが相応しいのかもしれません

また、サービス志向で戦略を考えることにより、モノ中心の思考では見ることのできない視野を提供することができるので、戦略との相性が良いと言えます。では、このサービス志向に基づいた戦略について、その要点を見てみましょう。

サービス志向に基づいた戦略の3つの要点

1.より大きな絵を見る

企業活動の中で事業戦略を考えるときに、もっと売れる顧客や業種はどんなところか、ついミクロ・レベルでの活動にズームインしてしまいます。

しかし、マクロな視点へズームアウトすることが重要で、サービス志向においては、ミクロとこのマクロな視点を行き来して向かうべき方向性を見るようにしなくてはなりません

例えば、レストランの収益を考えたとき、店舗の立地、広さ、価格、接客品質、料理の品質など直接的な要素を考えて対策を決定してしまいます。しかし、少し広い視点で考えると、レストランとは食事サービスとその提供方法についても大きな要素が存在するので、ドライブスルーやフードデリバリ、セルフサービス、ファーストフードサービスなどその方法も様々です。

従来では、オーダーを受けてから調理を行い、顧客へサーブするという慣習から事前調理されたものを顧客自身がカウンターで注文するようにすることでレストランを産業化することもできるのです。これは、第三の場を提供するコーヒーチェーンや自分で組み立てる家具の場合も同様です。

上記のように直接的な要素から少し広い視点で見ることにより慣習の壁を取り除き、産業化するための戦略へと昇華することができるということです。

2.エコシステム化

従来のバリューチェーンでは、部材の供給者、メーカー、流通チャネル、販売店、消費者といった一連のプロセスにおいて、各プレイヤーが価値をモノに埋め込んで提供し、消費者によって価値を消費していました。

この従来のプロセスでは、自社を取巻く内部環境と外部環境が自社の経営資源に大きな影響を及ぼし、優位性を確保するための戦略となってしまいます。

サービス志向とはこのプロセスにおいて、広範囲な利害関係者や顧客も含めて価値を共創していくものですので、いかに顧客を巻きこんで価値を創造していけるか、共創パートナーをどう構築していくのかが戦略となります

例えばフリマアプリでは、売り手/買い手以外に、レビュー者や配送業者など、複数の利害関係者と買い手が一体となってサービスを形成しています。競合企業であっても価値を一緒に創出するアクターとして捉えることによって、様々な利害関係者を含めたエコシステムを構築することができるのです。

特にイメージしやすいのはUberやAirbnbがその代表例でしょう。今日では、価値を消費する時代から価値を共創する時代へと進化しています。

3.価値の提案

現在は、顧客や供給事業者、利害関係者たちのニーズは劇的に変化しており、常に絶えず新しい価値提案を行わなければならない状況であると思います。

しかし、このダイナミックな変化に対して従来の慣習やナレッジでは何の価値も生まなくなってきており、知識それ自体ではなく学習していくことに焦点が当てられていると考えています。

つまり、成功や失敗よりもそれを咀嚼した学習が企業を強固にしていく時代にいるのです。当然、この価値提案は顧客にとって魅力的なものでなくてはなりません。その価値提案は企業の従業員を含め顧客にも共感を与えるものであるか、その理由は何かを考える必要があります。

上述のように、価値を共創していく中で、顧客が魅力的に思う価値とは何かを日々アップデートし、試行を繰り替えして形作っていかねばなりません。

最後に

いかがでしたでしょうか? 事業戦略を考える際は、上記を踏まえ自社の資源の再配置や価値創造のデザインについても検討いただけると良いと思います。

また、戦略は競合事業者に焦点を当てるのではなく、顧客とその周囲にある利害関係者も含めて共創していくものと捉えることができれば、競争状況を再構築できるのです。正しい戦略は良いキャッシュ・フローを生み出し、企業を存続可能な状況にもたらします。

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Teppei Maejima
Teppei Maejima Strategy&Consulting / Consultant / Partner / 前島 哲平

アクセンチュア株式会社にて、通信・メディア・エンタメ業界を中心に、営業改革(SFA/CRM)、CX(カスタマーエクスペリエンス)、デジタルマーケティング、分析基盤、個人情報の匿名加工、ERP/BPRなど約10年間に渡り、デジタル化戦略 & コンサルティングに従事。LIG入社後は、DX推進によるデジタル化戦略を支援している。

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