デザイン思考とは?フレームワークの5つのプロセスを解説

デザイン思考とは?フレームワークの5つのプロセスを解説

Takashi Suwabe

Takashi Suwabe

はじめまして! 株式会社LIGでコンサルタントをしている、わべと申します。

さっそくですが、皆さんは「デザイン思考」という言葉を聞いたことはありますか? 学生の方はあまり聞き馴染みのない言葉だと思いますが、社会人の方は最近耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。

デザイン思考という言葉をはじめて聞く人からすると、「デザイン思考ってデザイナーの人がやってるあのデザイン?」と思われるかもしれません。しかし、デザイン思考≠デザインで、今や多くのビジネスパーソンに求められるスキルとなりつつあります。

そこで今回、私がデザイン思考とは何か、そしてデザイン思考を学ぶ中で気づいた点をまとめてみました。デザイン思考という言葉を耳にしたことはあるものの、具体的な内容についてはあまり理解できていない方や、これから学んでいきたい方は是非参考にしてみてください!

デザイン思考って何?

デザイン思考とは、一言でわかりやすく言うと、「ユーザー目線で、ヒットするサービスや商品を創出するためのマインドセット」のことです。

ここで使われているデザインとは、一般的な「装飾」という意味のデザインではなく、「設計」という意味で使われており、ある問題や課題に対し、その解決策を生み出す(設計する)ための思考術という意味で「デザイン思考」と呼ばれています。

そして、あらゆる業界・職種の中で問題や課題が発生している現代においては、幅広く活用することのできる重要なマインドセットです。

デザイン思考がなぜ今求められているのか

それではなぜ最近になってこの「デザイン思考」に注目が集まっているのでしょうか。一昔前と現代とでビジネスがどう変化したかについて見ていきましょう。

一昔前のビジネス

一昔前、約20年前の世の中ではパソコンやスマホといった今では当たり前のモノが普及していなくて、人々は新しいモノに対して寛容でした。よって、使い勝手があまりよくなかったり機能としてもそこまで満足のいくモノでなくとも、人々は新鮮さを求めていました。

現代のビジネス

現代の社会においては、商品やサービスが飽和しており、人々も目新しいモノに対して寛容ではなくなりました。どういったモノを使うかよりも、モノを使ってどんなコトができるのかをより重要視するようになったのです。

わかりやすい例を挙げると、スマホが世に出た当初は人々は機能性などはそこまで重視しておらず、目新しさを重要視していたため、企業は新しいモノを作ったらそれで終わり、次の新しいモノ作りに取り掛かっていました。

しかし、ほとんど誰もがスマホを持つようになった現代においては、スマホを使ってどんなコトができるのかという点を重要視するようになり、企業もスマホを使ってどんなコトができるのか、という点で他社との差別化を図るようになりました。

つまり、この例で言うと、企業はスマホ(モノ)を作ってそれで終わりなのではなく、スマホを使ってどのような体験(コト)をユーザーに届けるかを考えなければなりません。

  1. 誰に対して、どのターゲット層に対して届けるのか
  2. どんな体験をユーザーは望んでいるのか
  3. どのようなコンセプトでいくのか
  4. 詳細な機能をどのようにしていくか
  5. 実際にユーザーがどのように感じているのか

ユーザー目線に立ち、様々なことを考慮しなければユーザーに受け入れてもらえない時代になりました。そして、まさにその課題を解決するための思考方法が「ユーザー目線で、ヒットするサービスや商品を創出するためのマインドセット」「デザイン思考」なのです。

デザイン思考のフレームワーク

ここまでデザイン思考の簡単な紹介を行ってきましたが、ここからは少し具体的な内容に入っていきたいと思います。デザイン思考のフレームワークについてみていきましょう。

1. 共感

まずはユーザーの思考を理解し、ニーズを探っていくところから始まります。デザイン思考においては、ここで「ペルソナ」を設定することが重要です。

「ペルソナ」とはいわゆる「ターゲット」のことを指しますが、一般的に「ターゲット」といえば「30代女性」といったような幅広い層のことを指すのに対し、デザイン思考における「ペルソナ」とは、「年齢・居住地・職業・家族構成・趣味・現在の悩み・日々の生活スタイル」など、実際に実在する人物であるかのような詳細な部分まで設定していきます。

そうすることで、マーケティングに関わる多くの関係者の中で詳細な共通認識が生まれ、マーケティングの方向性がズレてしまうことを防ぐことができます。また、この部分で設定したペルソナは、その時代において容易にイメージできるような人物像である必要があるため、社会の変動が激しい現代においては頻繁にペルソナを見直していく必要があります。

このペルソナ設定のプロセスを怠ってしまうと、この先にどんな良い案を出したとしてもマーケティングが上手くいかなくなってしまうため、フレームワークのはじめの部分である「ペルソナの設定」が特に重要なプロセスです。

ペルソナを設定してそこで終わりではなく、設定したペルソナの情報を背景としてそこからその人物に共感し、潜在的にどのような課題を抱えており、どのようなニーズを抱えているかを次のフェーズで探っていきます。

2. 定義

前段で設定したペルソナの情報をもとに、その人物の潜在的な課題やニーズを探っていきます。

ここで有効な手段の一つとして、カスタマージャーニーマップの作成が挙げられます。カスタマージャーニーマップとは、顧客がある商品・サービスの購入に至るまでの行動・感情・思考などを時系列順に可視化してマッピングしたものです。

この場合で言うと、前段で設定したペルソナの情報をもとに、その人物のカスタマージャーニーマップを描いていきます。そして、そこで可視化された行動や思考をもとに、その人物の潜在的なニーズや課題を探っていくことで、新たなサービスとしてのコンセプトの部分を定義していきます。このフェーズも前段同様、サービスのコンセプトに関わってくる部分であるため、重要なプロセスとなります。

3. 概念化(アイディエーション)

ペルソナの持つ課題やニーズを定義した後は、それを解決するための案やアプローチを概念化させていきます。

ここで重要なポイントとして、案出しにおいては質よりも量を重視することであり、ブレインストーミングなどの手法を用いることによって考えつくアイデアを次々に出していきます。その後、出てきたアイデアをカテゴライズし、精査していくことで形にしていきます。

4. 試作(プロトタイピング)

次に、出てきたアイデアをもとに、そのアイデアを組み込んだ試作品(プロトタイプ)を実際に見えるような形・動くような形で作っていきます。実際にプロトタイプを作成することで、アイデアを具現化することができ、イメージがわきやすくなります。

ここで重要なのは、試作品を時間をかけて細部まで作りこむのではなく、低コストで早期に作成することでレビュー・改善のプロセスを回し、これまで見えてこなかった課題点を洗い出い出すことでプロダクトとして高品質なものへブラッシュアップしていく点にあります。

5. テスト

プロトタイプを作成して終わりではなく、そこからユーザーレビューなどを通すことによってこれまで見えてこなかった課題を洗い出していきます。そして、レビュー・改善のサイクルを回していくことによってプロダクトとして高品質なものへと昇華させていきます。

その後、実際に完成したプロダクトを市場に出した後も、このサイクルを回し続け、常に改善させていくことが重要です。

おわりに

今回はデザイン思考のは何か? という部分から具体的な内容の部分まで紹介しました。

「デザイン思考ってマーケティングにしか使えないんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、デザイン思考の本質は「ユーザー中心で問題を解決するための思考法」なので、冒頭でもご紹介させていただいたように幅広い業界や職種、あるいは社会人でなくとも活用することができます。

現在、「会社の中で課題が発生している・新たなサービスを創りたいがコンセプト策定のところで詰まってる」といったような方は是非この記事を参考にしてデザイン思考を取り入れてみてはいかがでしょうか?デザイン思考は「使う」ことがゴールではなく「身につける」ことがゴールですので、何度も繰り返し行うことが大切です。

ここからは余談ですが、弊社でもデザイン思考を取り入れています。世界的に有名なデザインコンサルファームであるIDEO社監修の「イノベーション創出プログラム」を提供しているExperience Point社(以下EP社)と日本で2番目に提携させてもらっていて、EP社の提供するイノベーション創出プログラムを日本でも先駆けて提供しています(Fortune100と呼ばれる企業の約半数がこのプログラムを取り入れています)。

デザイン思考を取り入れてみたいけど具体的な方法がわからないという方や、やってみたけど上手くいかないといった方は是非弊社へ連絡していただければこのプログラムを提供させていただきます。

以上、デザイン思考とそのフレームワークについてでした。

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慶應義塾大学にて経済学部を修了。 LIG入社後はマネジメントコンサルタントとして、アパレルEC企業における業務プロセス改善や、加工機械製造メーカーにおけるシステム開発業務の標準化支援など複数プロジェクトに参画。

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