TikTok再生数2,700万超え!VFXを始めたきっかけとバズるコツをきむらえいじゅんさんに聞いてみた

TikTok再生数2,700万超え!VFXを始めたきっかけとバズるコツをきむらえいじゅんさんに聞いてみた

山田井ユウキ

山田井ユウキ

突然ですが、皆さんは「VFX」を知っていますか?

見ていただいたほうが早いと思うので、まずはこちらをご覧ください。

これが、VFXです。

VFXとは「ビジュアル・エフェクツ」のこと。撮影した映像をコンピュータで加工したり、CG合成を施したりして、現実では起こり得ない現象を表現する技術です。

近年、映画やゲーム、ミュージックビデオなど様々な映像制作において、VFXはなくてはならない技術として重宝されています。それに伴ってVFXクリエイターの存在感も増しており、今後はさらに多くの業界で需要が高まっていくことが予想されます。

そんなVFXですが、どのように生み出されているのか気になりますよね。

そこで今回、冒頭でご紹介したVFX動画の作者でもあるフリーランスのVFXクリエイター・きむらえいじゅんさんにインタビューを実施。どのようにVFX動画を制作しているのか、映像作りのこだわりやVFXを始めたきっかけ、作業環境やおすすめの機材などについてうかがいました。

6秒間で日常を非日常に変えるVFXクリエイター

きむらえいじゅん
実写合成を得意とするVFXアーティスト。2017年よりVFX制作を始め、翌年にはテレビドラマのVFXパートを担当するなど頭角を現す。現在は広告、テレビドラマ、MVなどのエフェクトを制作するほか、個人としても多数のVFX動画を制作しており、TwitterやTikTokに動画を投稿。総再生回数は数千万回に達するなど、気鋭のクリエイターとして注目を集めている。

▶︎Twitter:https://twitter.com/kuro_40
▶︎TikTok:https://www.tiktok.com/@kuro_40?
▶︎YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCn8EenegTrVhrxO6pW6XnMg

――きむらえいじゅんさんといえば、TwitterやTikTokに投稿されている6秒間のVFX動画が毎回大きな話題を呼んでいます。冒頭で紹介した、PCとタワーマンションを組み合わせた「タワー“PC”マンション」や、ストロングゼロにSFのような演出を施した「これが日本の福祉です」などの動画は爆発的なバズを起こしました。こういったSNSで発表されている映像は、企業からの依頼ではなくご自身の映像ですよね。非常にユニークなアイデアばかりですが、どのようにして生まれてくるのでしょうか?

きむら:よくやっている発想法としては、目の前にあるものと別の何かをかけ合わせるというやり方です。たとえば、スマホがあるとして、スマホと何をかけ合わせると面白くなるのかを考えていくんです。スマホは人工のものだから、あえてまったく逆の「自然」とかけ合わせてもいいかもしれません。スマホの画面から木が生えてくるとか。

または、スマホと似たようなものを組み合わせてみるとか。あるいは、スマホという言葉と韻を踏んでみるとか。こういった発想でいくつもパターンを出して、その中から一番マシなアイデアを選んで作っていくんです。

――なるほど、発想のロジックがあったんですね。きむらえいじゅんさんの映像には、あまり人が登場しませんよね。ものとかお菓子とか道路とか、日常の1コマをテーマにした作風が印象的です。どのようにしてこの作風に至ったのでしょうか。

きむら:僕の映像は、どれも自分の頭の中にある視野をそのまま形にしています。だからいつでも一人称視点なんです。映像の中に人が出てこないということは、僕が人をあまり見れていないのかもしれません(笑)。

それから、お菓子や飲料など商品のパッケージを題材としているのはもう一つ意味があって。「こんな広告どうですか?」とちょっとした提案もできるので、そういった意味合いも込めて作っています。


▲OREOを題材にしたVFX動画「次世代型オレオ」

――VFXというと、映画で使われるような派手な映像を思い浮かべる人もいると思いますが、きむらえいじゅんさんの映像は「日常をアレンジした非日常」が多いですよね。

きむら:僕は、VFXや3DCGで異世界のようなファンタジーな世界よりも、生活の中で妄想してしまうようなシーンを表現する“現実ありきのVFX”が好きなんです。僕の映像を見て面白いと思ったら、ぜひ普段の生活でもっと妄想を膨らませてもらえたらうれしいですね。

「自分にしかない武器」を求めてVFXの世界へ

――非常にユニークな映像を生み出し続けるきむらえいじゅんさんですが、そもそもVFXを制作し始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

きむら:VFXに触れたのは2017年の頃ですね。VFXを始めた理由は2つあります。まず、必要に迫られたからです。僕は2013年頃、学生時代に動画制作を始めて、趣味でYouTubeに投稿していました。そのとき作っていた動画は、いわゆるYouTuber的な動画です。撮影して、カット編集して、テロップを入れて完成する簡単な動画でした。そこから、動画の最初におしゃれなPVを入れたいなと思って、本格的に映像撮影を始めたんです。そうやって動画投稿を続けていたところ、翌年にはご縁があって動画制作や編集のお仕事をいただけるようになりました。

――動画制作を始めて1年後ですか! すごいことですね。

きむら:ただ、できることはYouTuber的な動画の範疇でしたから、限られていました。VFXのような特殊効果は当時は作れなかったし、After EffectsやCINEMA 4DなどのCG制作用ソフトも使ったことがなかったんです。そうこうしているうちに大学を卒業したのですが、就活はせずにそのままいきなりフリーランスで映像制作を請け負うようになりました。ただ、ここでつまずいてしまったんです。

――すごくスムーズな流れに思えますが、どんなつまずきですか?

きむら:あるとき、自分の動画にコメントがついたんです。「きむらえいじゅんさんの動画はすごくいいけど、何か足りない気がする」という内容でした。実は、それは自分自身が悩んでいたことでもあったんです。動画編集ができるとはいっても、同じようなスキルを持った人はたくさんいます。他の人にはないスキルを身に着けなければ、このままフリーランスではやっていけないという危機感を覚えていました。そこで、YouTubeのコメントをきっかけに、ずっとやらなきゃと思いながら逃げていたAfter Effectsに取り組むことにしたんです。

――After Effectsというと?

きむら:After Effectsは映像の合成をしたりアニメーションやエフェクトを制作するのに特化したソフトで、VFX動画を作るのに欠かせないスキルです。2017年にAfter Effectsの勉強を始めて、何とか仕事で使えるレベルになるまで3ヶ月かかりました。

――After Effectsはどうやって学習されたのですか?

きむら:独学ですね。After Effectsの解説をしてくれている海外のYouTubeを見たり、初心者用の書籍を読んだりして学びました。

――独学なのにわずか3ヶ月で業務レベルに上達するのはすごいですね。

きむら:それは、僕が楽しみながら学んでいたからだと思います。After Effectsは僕にとって遊び道具なんです。誰かから「こんなふうに使ってみましょう」と指示されたらむしろ嫌になっていたかもしれません。だから、むしろ独学のほうが良かったのかもしれませんね。もちろん、業界のスタンダードな使い方を覚えたいという場合はスクールに通うほうが近道だと思います。

――VFXを始めたもう1つの理由は?

きむら:そもそも映像が好きだったからです。昔から映画なんかでVFXはよく目にしていて、大好きでした。『ジュラシック・パーク』や『ジュマンジ』、『マスク』など、どれも古い映画ですが、VFXに関してはすでに当時の時点で完成されていたといっても過言ではありません。現実にVFXを足して非日常を作る手法は僕も強い影響を受けています。

何より、VFXに夢中になった最大のきっかけは、イギリスのロックバンド、Coldplayの『Up&Up』という楽曲のミュージックビデオです。見た瞬間に衝撃を受けました。僕の好きなものが詰まっていて、いまだにこれ以上に好きなMVはないと思っています。

――実際にVFXを活用したお仕事の依頼がくるようになったのはいつ頃でしたか?

きむら:2018年の末頃だったと思います。YouTubeスペースというYouTubeのオフィシャルスタジオに通っていた頃に知り合ったYouTuberの紹介で、某テレビドラマの監督をご紹介いただいたんです。そのご縁で、とある人気警察ドラマのスピンオフでVFXを担当させていただきました。

――そのドラマで担当されたのはどんなVFXだったのでしょう?

きむら:警察ドラマの中で、登場人物が妄想しつつ推理を繰り広げるシーンが出てくるんです。その妄想部分をVFXで視覚化する仕事でした。

――ご縁があったということですが、技術がなければ依頼はされないでしょう。それだけきむらえいじゅんさんの映像が優れていたということですね。

きむらえいじゅんさんの動画がバズる理由

――ここからは実際の制作の流れについてお聞きします。きむらえいじゅんさんはご自身の映像制作の際、撮影から編集、動画の投稿まですべて1人で行われているのでしょうか。

きむら:そうですね、自分の映像制作はぜんぶ1人で行います。アイデアが浮かんだら、まずは撮影を行います。撮影で使用しているのは、iPhone12proがメインで、ソニーのα7SIIIというカメラを使うこともあります。映像素材を撮影できたら、PCに取り込んで編集に入ります。

まずは尺を決めます。普段動画を投稿しているSNS用なら、6秒間に設定することが多いですね。これは、一度見てからもう一度見てほしいからです。6秒では見きれない情報を詰め込むことで、「もう一度、違うところに注目して見てみよう」と思ってもらえると考えて作っています。

――たしかにきむらえいじゅんさんの映像は、再生して「これは!」と驚いている間に終わってしまうので、ついもう一回見なきゃと思ってしまいますね。

きむら:ここから編集に入るわけですが、まずは映像素材をトラッキングします。トラッキングとは、カメラの動きやものの動きを検出する作業です。トラッキングできたら、次に3DCGソフトで映像に合成するモデルを作ります。この3DCGモデルは、あらかじめ細かい部分まで考えてあることもありますが、多くの場合は考えながら作っていきます。全部の工程を1人で行っている利点はここにあります。自分1人が納得すればいいので、どの段階であっても軌道修正が可能なんですよ。

――たしかに、他の人やクライアントが関わっていると、途中でいきなり大きな変更を行うのは難しいですよね。

きむら:そうやって3DCGモデルを実写映像と組み合わせたら、動画は完成です。あとはSNSに投稿するわけですが、その際にこだわるのが投稿のテキストです。なるべく1行に収まるようシンプルに、それでいて意図がきちんと伝わるようなフレーズを考えます。SNSにおけるテキストはキャッチコピーのようなものです。キャッチコピー1つで伝わるかどうかが変わってくるんです。できるだけ効果的なテキストを作れるように、キャッチコピーの本を読んだりもしています。

――その他にバズらせるためのポイントはありますか?

きむら:VFXに限らず、動画は見ている人と制作者、あるいは見ている人同士のコミュニケーションの場だと思っています。そのコミュニケーションが生まれやすくなるように、僕は動画に多くのフックを仕掛けています。“ボケ”といってもいいですね。見た人が思わずつっこみたくなるようなボケがあると、コミュニケーションが生まれやすいんですよ。SNSのコメント欄で自分が想定していたツッコミがくると嬉しくなりますし、議論が起きたりすると面白いですよね。

動画を作って公開するということは、水面に石を投げるようなものだと思います。僕は自分が投げた石が作る波紋の広がりを見るのが大好きなんです。動画制作は時間もかかるし、本当にこのアイデアで意図が伝わるだろうかと悩むこともありますが、石を投げて波紋が広がる瞬間が大好きだから苦にはならないんです。

VFXクリエイターを目指すなら、どんな機材を選ぶべきか

――きむらえいじゅんさんのように将来VFXクリエイターになりたい人や、VFXに興味が出てきて制作に挑戦してみたい人がPCを購入する場合、どんなマシンをおすすめされますか?

きむら:まずは、VFX制作でよく使われるソフトの推奨スペックを満たしていることが大事だと思います。具体的には、After Effects、Cinema 4D、Blenderなどですね。なかでも重いのはCinema 4DとBlenderです。これらのソフトの推奨スペックを公式サイトで確認してみてください。

その上で、重要なのはやっぱりお財布事情ですよね。自分が出せる予算を決めて、その範囲で買える最高のスペックのPCを選びましょう。

――予算よりも安く抑えるのではなく、予算いっぱいまで費用をかけるということですか?

きむら:そうです。そのほうが後悔が少ないからです。たとえば予算から2万円安いPCを購入して、そのときは「安く済ませられた」と喜ぶかもしれませんが、だんだんと「あのとき余っていた2万円をつぎ込んで買っていたら、もっと良いPCが買えたのでは……」と悶々とすることになります(笑)。そんなふうに考える脳のリソースがもったいないじゃないですか。だったら最初から出せる予算のぎりぎりまでお金をかけて最高のPCを買ったほうが後悔しません。

または、逆の考え方もあります。予算に迷うようなら、推奨スペックを満たした上で一番安いPCをさっさと買ってしまうのです。

――それはなぜですか?

きむら:ポイントは“さっさと買う”ということです。というのも、創作意欲ってすぐに失せてしまうものだからです。あるいは、思いついていたアイデアが先に別の誰かに実現されてしまうかもしれませんよね。そうなってしまったら、せっかくのやる気もなくなってしまいます。僕自身も最初は4年型落ちのPCで制作していました。PCをとことん吟味することよりも、とにかく創作意欲に従って始めることを優先したんです。

――ちなみに、きむらえいじゅんさんは現在、どんなPCを使われていますか?

きむら:2019年に購入したデスクトップ型のPCです。操作性が好きで愛用しているのですが、決してコスパが良いPCではないですし、そろそろもっと良いPCを追加で購入したいですね(笑)。

――これから購入されるなら、どんなスペックのPCにしますか?

きむら:VFXを制作するには高いグラフィック性能が必要なので、GPUはGeForce RTX 3080やGeForce RTX 3090がほしいですね。CPUはintelのi9プロセッサー、あとはメモリがたくさん積めるマザーボードがあれば最高です!

――では最後に、これからVFXをはじめとする映像制作を始めたい人にメッセージをお願いします。

きむら:映像制作を趣味として楽しんでもらえたら嬉しいし、映像だけじゃなくて何かを作ること自体を好きになってくれたら嬉しいと思います。もし、仕事にしていきたいのであれば、どうすれば相手が喜んでくれるかを意識できるようになれるといいと思います。その意識が作ったものに乗って相手にきっと伝わるので。皆さんの想いをぜひ世の中に出していってほしいです。

――ありがとうございました!

パソコン工房のSENSE∞ならVFX制作も快適!

数多くのVFX動画を発表し続けるきむらえいじゅんさん。機材選びについては、やはりVFXに関するソフトウェアがストレスなく動作する推奨スペックを満たすことが重要ということでした。そのうえで、予算の許す限り良いスペックのPCを買うか、または最低限の推奨スペックを満たしたPCを購入して早く制作に入るのがおすすめとのこと。

とはいえ、どんなPCを購入すればいいのかわからない……とお悩みの方におすすめしたいのが、パソコン工房のSENSE∞(センスインフィニティ)シリーズです。Cinema 4DやAfter Effectsなどのソフトウェアを活用したVFX制作や、もっともPCに負荷がかかるレンダリング処理にも十分耐えうるスペックとなっており、BTO(Build To Order=受注生産)での注文にも対応。制作環境や作業内容に合わせてスペック調節ができるため、コスパ面でも優秀です。

VFX制作を本格的に始めたいと考えている方は、ぜひラインナップをチェックしてみてください!

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おまけ

パソコン工房のPCを題材に、きむらえいじゅんさんにVFX動画を作っていただきました!

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山田井ユウキ
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