こんにちは 財務経理部のじょうです。
株式会社LIGは、2020年10月1日にLMAP野尻湖事業(ゲストハウス)を、LIGの完全子会社として分社化しました。LAMP野尻湖事業を子会社化することで、LAMP野尻湖事業の自律的経営と、LIGグループの経営パフォーマンスアップを目指しています。
謄本には、「令和2年10月1日株式会社LAMPに分割」と記載されています。これは組織再編の手法の1つである新設分割という手法を活用したからです。
今回は、組織再編・子会社化・新設分割・債権者保護手続き・事業譲渡について、色々と調べて、グループ再編を進めたことをレポートします。
組織再編とは
組織再編とは、その言葉の通り、株式会社の組織の再編成をすることです。たとえば、2つの組織を1つの組織に統合することや、1つの組織の中にある特定の事業のすべて、あるいはその一部を他の組織へ移すことや、組織の所有権である株式の取得をすることにより子会社化するなどがあります。
組織再編の目的は、事業規模の拡大、利益体質の改善など、グループ収益力の向上を目指すことが多いです。
会社法において規定されている組織再編の手法は「合併」「株式交換」「株式移転」「会社分割」の4つがあります。これらはそれぞれにメリットや特徴は異なりますが、今回は株式会社LAMPの子会社化で活用した、「会社分割(新設分割)」を取り上げます。
子会社化について
子会社化とは
子会社化とは、ある会社が他の会社の発行済株式の過半数以上を買い取ること、企業内においては、特定の事業部を独立させて法人を設立することです。
子会社化をすると、親会社と子会社が別々に経営管理を行うことになり、親会社と子会社の財務諸表が明確になります。親会社にすべての事業を集中しているときよりも各事業の経営成績を把握しやすくなるでしょう。
親会社であるLIGの規模が大きくなってくると、小さな事業の経営成績を見極めにくくなる問題がありますが、子会社LAMPを設立することにより、LAMPだけの経営成績を見極めやすくなります。
経営成績を見極めやすくなると、売上原価や販売管理費のコスト内容についてもわかりやすくなります。不要なコストを削減して、経営成績をさらに向上させることが期待できるでしょう。
子会社化のメリットは、経営成績が見極めやすくなるだけでなく、子会社経営者の意思決定スピードが向上し、小さな組織ならではの責任の明確化や団結力の向上などにより、迅速かつ的確な経営判断ができるようになり、経営が安定しやすくなることです。
子会社化の方法「新設分割」とは
新設分割とは、子会社化をする1つの方法で、会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることであり(会社法2条30号)、分割された事業の権利義務を承継する会社を「新設分割設立会社」、事業を分割する会社を「新設分割会社」といいます(会社法763条1項本文、同5号)。
LIGの場合は、「新設分割設立会社」が「株式会社LAMP」で、「新設分割会社」が「株式会社LIG」です。
新設分割は、成長部門の独立などの分社化に活用され、分社化することにより、事業を独立採算にしたり、子会社にて経営管理者の経験を積ませたりすることができます。
ただし、新設分割の場合に、許認可を新規取得しなければいけないケースも存在し、新設分割では分割効力発生日まで新設会社が存在しないため、許認可の取得申請ができず、分割効力発生日から円滑に事業を行えない可能性がある点に留意する必要があります。
債権者保護手続とは
債権者保護手続とは、新設分割会社(LIG)の債権者に対し、新設分割について異議を述べる機会を与えることです(会社法810条)。新設分割では債権者保護手続が不要な場合があります。それは、新設分割設立会社(LAMP)に債務が承継されない場合です(会社法810条1項2号)。
債務承継がなければ、LIGの債権者は分割後もLIGに支払請求ができるので、分割前後で債権者に影響が及びません、承継する事業に関する資産は減少しますが、対価としてLAMPの株式が新設分割会社に交付されるので、形式的にLIGの資産は減少しません。
おまけ:事業譲渡とは
事業譲渡とは、会社分割による手法と異なり、個々の資産・負債、雇用契約などを含む契約関係を個別に承継させることから、事務が煩雑になりやすいというデメリットがある一方で、債権者保護手続きのための公告が特に必要ないというメリットがあり、小さな事業の移転においては便利な手法であります。
実務上、新設会社に対して事業を移転させる方法として採用する場合が多いので、紹介しました。新設会社に対して「事業」を移転させる場合には、単なる会社の設立とは別の手続きが必要になります。
まとめ
株式会社LIGは株式会社LAMPや海外子会社を含めたLIGグループとしての経営ガバナンスが必要となっています。
今回は、既存事業であるLAMP事業を子会社化し、より経営パフォーマンスの高いガバナンスに移行することができました。また、新規事業をM&Aする場合にも、株式取得による子会社化をすすめることで、経営基盤の早期獲得を実現することができ、これまで以上のグループの経営成績向上にチャレンジすることができます。
LIGの経営パフォーマンスを上げるために、財務経理部としてやることはたくさんあると思いますので、経営の意思決定とシンクロできるようこれからも精進したいと思います。
では。