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実は違う!請負契約と準委任契約の会計上の売上タイミングの違いについて解説

なおき

財務・経理部のなおきです。

LIGは設立から14年ほどの企業ではありますが、Web制作に限らず、セブの人材をお客様へ提供しシステムなどの開発を行うBiTT開発、メディアの記事・広告の制作、デザインスクール運営などなど、多岐にわたる事業を運営しています。

もちろん、各事業の運営を継続していくためには、より良いサービスを提供し、お客さまに満足いただき、その結果として売上が立ち、利益が得なければいけません。

では、この「売上」が会計上ではいつのタイミングで認識されているのか? 会社で数字を管理されている方だけでなく、日々業務に取り組まれている社員一人ひとりが理解していることはとても大切だと思います。

そこで今回は、契約形態ごとの収益認識(売上計上)基準について解説します。

請負契約と準委任契約について

まず、LIGが請け負っている仕事の中では大きく2つの契約が存在しています。それが「請負契約」「準委任契約」です。2つの契約形態について、簡単に説明します。

請負契約とは?

まずは請負契約について、民法には以下のように定義されています。

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(民法 第9節(請負)第632条より)

LIGのケースに置き換えると、Webサイト制作依頼を顧客から受け、Webサイトを制作・完成させ、顧客に納品することにより、報酬を受け取ることを約束するといった契約になります。

注意点としては、「仕事を完成すること」を約束しているので、ただ作ったものを納めるだけでは終わりません。納品し、客先が納品物のチェック(検収)を行い、合格したことによって、はじめて「仕事を完成」したことになります。

このように請負契約においては、契約書上で納品物など「仕事の完成」について定義されており、その請け負った仕事を完成させることで、契約が履行されたという取扱いになります。

準委任契約とは?

準委任契約の説明をするにあたって、まず委任契約について民法上にはどのように定義されているか見ていきましょう。

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(民法 第10節(委任)第643条より)

法律行為を委託することが委任契約の定義とされており、それに準じて事務処理の部分を委託する契約を「準委任契約」と民法上は定義されています。

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
(民法 第10節(準委任)第656条より)

請負契約と大きく異なる点は、(契約内容にもよりますが)一般的に準委任契約は、「仕事の完成」について定義がされていません。「仕事の完成」が定義されていないということは、納品物が定義されていない=納品物を納める義務がなく、役務を提供することで契約を履行したということになります。

LIGのBiTT開発事業は、この準委任契約での取引を行っています。例えば、顧客のシステム開発作業の委託を受け、その開発作業を行った稼働に対して報酬を受け取ることになります。

契約形態ごとの収益認識のタイミング

続いて、契約ごとの会計上の収益認識のタイミングについて、説明します。

会計上、収益を認識するにあたっては、契約内容や履行義務の識別(どのような契約条件か?・どのような行為によって契約履行となるか?)など、取引をする前段階から確認するステップを踏む必要がありますが、そのなかでも契約で定められた履行義務を充足することが収益を認識するタイミングとされています。

企業は約束した財又はサービス(本会計基準において、顧客との契約の対象となる財又はサービスについて、以下「資産」と記載することもある。)を顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する。
(企業会計基準第29条 収益認識に関する会計基準(5)履行義務の充足による収益の認識 35.より)

請負契約の売上計上タイミング

請負契約取引においては、契約書上で定義されている納品物が納品し、客先の検収合格を受けた(仕事が完成した)時点が売上計上タイミングとされています。

例)請負契約取引でWebサイト制作を200万円で受けた。納期は8月と設定。
6月:取引開始・着手金100万円を請求
7月:制作に着手
8月:Webサイトを納品、客先検収をもらい残額100万円を請求

6月に着手金として客先に請求をしていますが、こちらが売上になることはありません。実態としては完成前に代金をいただいているだけなので、会計上は「前受金」として処理されます。

契約書上で定義されたWebサイトの制作が完了し、客先の検収合格を受けた時点で売上になりますので、8月に200万円の売上が計上されることになります。

会計上の売上仕訳イメージ
6月:現金100万円 / 前受金100万円
7月:仕訳なし
8月:売掛金100万円 / 売上200万円
   前受金100万円 /

このように請負契約取引においては、いかに納品・検収を早めるかが、売上計上タイミングを早めるかに繋がっていきます。もちろん、売上を意識するあまり品質がおろそかになってはいけません。納品までのリードタイムを縮めつつ、品質をいかに担保するかが、安定的に売上を積み上げていくために大切になっていきます。

準委任契約の売上計上タイミング

(成果物が定義されていない)準委任契約においては、毎月設定された稼働時間×単価によって売上金額が定まり、毎月の稼働が完了した時点で売上計上することになります。

例)準委任契約取引でシステム開発作業を月20万×5人月分の発注を受けた。契約期間は6月~8月の3ケ月で設定。
6月:稼働完了 20万×5人月=100万円を請求
7月:稼働完了 20万×5人月=100万円を請求
8月:稼働完了 20万×5人月=100万円を請求

請負契約とは異なり、稼働ごとに売上計上をします。納品物もありませんので、客先への納品・検収を確認する必要もありません。

会計上の売上仕訳イメージ
6月:売掛金100万円 / 売上100万円
7月:売掛金100万円 / 売上100万円
8月:売掛金100万円 / 売上100万円

民法改正による準委任契約への影響

準委任契約については、稼働に応じて報酬を得ることができ、会計上も売上計上ができると言われてきました。しかし、2020年4月に民法が改正されたことにより、一部準委任契約において取扱いが変更になった部分があります。

まず、成果物が定義されていない準委任契約は「履行割合型」と言われ、従来までの準委任契約はこちらにあたります。

一方、民法改正により新設されたのが「成果完成型」と呼ばれるものです。これは準委任契約のなかでも、成果物が定義されているものは、その成果物が完成し、客先に納めた時点で報酬を得ることができるというものになります。

任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
(民法 第10節(準委任)第648条の2より)

この成果完成型の準委任契約を締結し、取引を行った場合、会計上は稼働に対して売上を計上できず、請負契約と同様に契約の中で定義された成果物が完成した時点で売上計上します。契約の内容によって会計処理が異なるため、準委任契約を締結する際にはその契約が「履行割合型」か「成果完成型」か、どちらにあたるかを把握したうえで対応をしていく必要になります。

最後に

会計上の収益認識タイミングを判断する上で、契約書は重要なエビデンスになります。取引の前提には契約書があり、その契約に沿って取引の実態があり、その実態に紐づく取引証憑(検収書や請求書)に基づいて、会計へと反映されることになります。

そのため、取引においても会計においても、まずは契約書が大切ということをこのブログを通じて少しでも理解いただければ幸いです。

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