こんにちは、デザイナーのまいまいです。
夏に差し掛かってきて暑くなってきた今日この頃。近代デザイン史が気になります🦀
今回はデザイン史のなかで生まれたミッドセンチュリーデザインについてご紹介します。デザインの幅を広げたいと思っているデザイナーの方は参考にしていただけると嬉しいです。
そもそもデザイン史とは?
デザイン史とは、デザインの歴史のことです。デザインの歴史のなかでも、近代デザイン史とは1880〜1990年代のことを指します。
今では慣れ親しまれているデザインという言葉ですが、デザインとは19世紀末の産業革命をきっかけに生まれたものなので、実は140年くらいの歴史しかない新しいもの。
産業革命後、大量生産が行われるようになったため、安価な工業品が出回り、職人たちは職を失ったのと同時に、手作業で作っていた美しい製品はなくなってしまいました……。
そこでモダンデザインの父と呼ばれるウィリアム・モリスがアーツ・アンド・クラフツ運動*を牽引。
アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts Movement)は、イギリスの詩人、思想家、デザイナーであるウィリアム・モリス(1834年-1896年)が主導したデザイン運動である。美術工芸運動ともいう。1880年代から始まった[1]。 ヴィクトリア朝の時代、産業革命の結果として大量生産による安価な、しかし粗悪な商品があふれていた。モリスはこうした状況を批判して、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張した。モリス商会を設立し、装飾された書籍(ケルムスコット・プレス)やインテリア製品(壁紙や家具、ステンドグラス)などを製作した。
Wikipediaより抜粋
彼の活躍によりデザイン史が始まり、約140年という短い時間のなかでデザインは爆発的な成長を遂げ、現在のような存在になりました。
今回は、約100年の近代デザインの歴史のなかで生まれた、ミッドセンチュリーデザインについてご紹介します!
ミッドセンチュリーとは?
ミッドセンチュリーとは、直訳すれば「世紀の半ば」を意味します。その名の通り、年代を示していて、その年代のデザインを総称する呼び方です。
そのため、ミッドセンチュリーにはさまざまな呼び方があります。一昔前までは、国ごとに分けて名前を呼んでいました。日本にもミッドセンチュリーはあったので、ジャパニーズミッドセンチュリーと呼ばれていたそうです。
今回ご紹介するミッドセンチュリーは、アメリカンミッドセンチュリーです! 20世紀中盤の1940〜1960年代のアメリカで生まれた、家具などの新しいデザインのことを指します。
アメリカンミッドセンチュリー
第二次世界大戦後、戦勝国となったアメリカでは、本格的な大量生産・大量消費の時代が始まっていました。戦争に行っていた若い世代の人たちも社会復帰したことで住宅ブームも到来し、家具の需要が強く高まりました。
それもあってか、安価に大量生産が可能な上、自由なデザインのミッドセンチュリーデザインは、アメリカ国民に親しまれ、世界中に広まっていきました。強い影響力もあってか、ミッドセンチュリー=アメリカの1940年代〜1960年代ごろのデザインといった印象となりました。デザイン史の本などで出てくるのも、アメリカンミッドセンチュリーが多いですね。
ミッドセンチュリーデザインは、モダンデザインの機能性や造形を引き継ぎつつ、プラスチックや合板などの新素材を使用した曲線の美しい近未来感のフォルムとポップで多彩なカラーが特徴的です!
特に有名なのが、シェルチェア! LIGにもよく似た椅子が置いてありました。
ミッドセンチュリーを代表するデザイナーたち
この写真は1961年7月号のプレイボーイに掲載された写真だそう! この6名はミッドセンチュリーを代表する伝説的なデザイナーたちです。左から、紹介していきますね。
- ネルソンマシュマロソファで有名なジョージ・ネルソン
- Three hinged cushionsのエドワード・ウォームリー
- チューリップチェアが代表作のエーロ・サーリネン
- ダイヤモンド・チェアを作ったハリー・ベルトイア
- シェルチェアのチャールズ・イームズ
- リゾムチェアを作ったknollデザイン社のジェンス・リゾム
この写真では当時の各々の代表作に腰掛けているらしいのですが、どれも色とりどりだったり、流線的で、どこか近未来感あるデザインですよね。
ちなみに日本ではラタンチェアが代表作で、ヤクルトのパッケージも手がけた剣持勇、バタフライスツールで有名な柳宗理などが有名です。
ミッドセンチュリーの特徴
先述したとおり、ミッドセンチュリーデザインは、モダンデザインの機能性や造形を引き継ぎつつ、プラスチックや合板などの新素材を使用した曲線の美しい近未来感のフォルムとポップで多彩なカラーが特徴的です。
北欧デザインとの違い
ミッドセンチュリーインテリアと混ざりがちな北欧インテリア。間違えられることも多いですが、「ミッドセンチュリーモダン」という北欧インテリアをベースに作られたデザインもあり、全く違うというわけでもないです。
ただ、ミッドセンチュリーが「宇宙的」や「サイケデリック」といった言葉で表現されるのに対して、北欧デザインは「モダン」や「シンプル」と表現されることが多いです。不思議ですねえ。
カラフルでプラスチックを使っているなどの共通点が多いものの、北欧の家具は淡い木材が多く、アメリカの家具は濃い色の木材を使用していることが多いからかもしれません。
ミッドセンチュリーの特徴でwebデザインを作ってみよう。
- プラスチックや合板
- 曲線
- 近未来感
- ポップで多彩なカラー
以上の情報から、webデザインにもミッドセンチュリーのデザインを活かせないかな〜と考え、Webサイトのメインビジュアルを作ってみました。
プラスチックや合板
プラスチックや合板のイメージをつけるために、全体的にツルッとした印象を意識しました。中央にある椅子に影をつけてあげることで、ツルツルした床の上にあるような印象になったかなと思います。
曲線
美しい曲線が特徴的なミッドセンチュリーの家具。ビジュアル内全体を回遊するようにダイナミックに曲線を入れてみました。
近未来感
不規則な大小差のある円の配置や、無機質な色味の椅子。軌道っぽくあしらった線などでSFっぽさを演出しました。
ポップで多彩なカラー
ミッドセンチュリーの家具に使用されている色味の強いカラーリングを意識して色をあしらってみました。
メインの書体は、Helveticaです! アメリカンミッドセンチュリーと同じくらいの時代にスイスで生まれ、ヨーロッパ・アメリカへの販促拡大を目的としてその名を名付けられ、その後の広告などで爆発的な人気を誇った書体。住宅ブームを起こしたアメリカンミッドセンチュリーとピッタリかなと考え、選びました。
どんなデザインにも合うといわれている書体で、今も根強い人気があります。
終わりに
いかがでしたか?
こんなふうに、眠たくなっちゃうような歴史の勉強でも、好きなことと組み合わせると楽しいですね。またやってみたいです。
ばいなら
LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。