私は3年間壱岐という離島に住んで、本当に良かったと感じています。空気も食も美味いし、人も温かいし、自然を常に満喫できるからです。ただ、簡単な考えで引っ越しをしてしまうと大変な目に遭うので、私が壱岐で過ごして感じた移住前に確認すべきことを今回は紹介します。地方移住を検討している方は参考にしてみてください。
やっぱり車の免許は必須!
壱岐に暮らすにあたり、問題だったのが車の運転。私は運転を昔からしていたため問題はありませんでしたが、妻は免許をとって以来、20年以上一度も運転しておらずキレイなゴールド免許でした。
運転に対しての苦手意識もあり、壱岐に到着して4ヶ月ほどは、どこに出かけるのも常に私の助手席に座っていました。
しかし、なかなかお互いの時間を合わせるのも難しくなり、妻に何度も頼み込んだ結果、ようやく壱岐の自動車学校でペーパードライバー講習をしてもらったようです。案外、覚えは早く、運転講習から2週間も経つと、壱岐の道をスイスイと走っていました。これでようやく仕事と生活がスムーズになったのです。
壱岐では、車がないと本当に不便。とにかく坂が多いので、自転車では生活ができません。電車バスなどの公共交通機関が発達していない地域は、車の免許がないと不便でしょう。
もし倒れたら? 救急の医療が問題
壱岐には、離島としては珍しいのかもしれませんが、大きい総合病院がいくつかあります。診療科の先生は固定もありますが、週に何回か福岡の先生が来られる場合が多いです。また、怪我や病気の重症度によっては福岡の病院に行かなくては治療や手術ができません。
ある日、近所の友人が脳梗塞で倒れました。脳梗塞といえば、手術までに1分1秒を争う病気で、早期に適切な治療を受けないと後遺症をきたしたり、死亡してしまう可能性がある病です。
友人はまず壱岐の一番大きな総合病院に搬送されましたが、博多での手術が必要とのことでヘリコプターを使って博多に運ばれました。
後から聞いた話によると、この日は天気が悪く、なかなかヘリコプターが飛ぶのも難しかったらしいです。不幸中の幸いで、その日のうちに博多の病院まで到着して手術ができ、後遺症はなかったと聞いています。
ただ倒れてからこの手術までの時間は、悪天候のせいでヘリコプターがなかなか到着と出発ができなかったのもあり、8時間は経過していました。多くの場合は後遺症が残るか最悪死が待っていたと思います。
このように島では何かあった時に島では解決できないものも、どうしても出てきてしまいます。島の生活をしていて、自分や家族が緊急な状況になった場合に都会と同様の治療ができなかったことを考えると、とても不安でした。
家を探すって簡単と思ってない?
空き家がたくさんあるから家はすぐに見つかると思うか方も多いかもしれませんが、安くて住める家を探すのは意外と大変です。
ここでなぜ「安くて」といったかというと、不動産会社に相談すれば、賃貸の家を見つけるのは簡単でしょう。
しかし、ここは離島。不動産会社も2件しかありません。従って、取り扱っている賃貸物件は思ったより安くはないのです。なんなら博多のほうが安いのでは? と思ったこともあります。そういう物件は多くの場合、3年程度の赴任で島外から来られる公務員や会社員が借りているのです。
一方、不動産会社が取り扱っていない空き家は島に多く存在します。しかし、見ず知らずの人に貸すことはなかなかないし、空き家を賃貸として貸すことはしたくない人が多いようです。自分たちも高齢にもなってきたし、持っていても保険や固定資産税がかかる。壊すのにもお金がかかる。売って処分したいと考える人が多いからだと思います。
ただ、地元の人と知り合いになって「うちの亡くなったおばあちゃんの家が空いてるから、そこ貸してもいいよ」というものもあります。しかし、状態がいい物件はかなり少なく、水回りが非常に汚かったり、床が腐って抜けそうだったり、トイレがボットンだったり。これを修理するのに、お金がけっこうかかりそうな物件が多かったです。
その土地のすべての季節を知っているか?
まず、引っ越す前には、その土地に足繁く通うことをおすすめします。なるべくなら季節をすべて体験したほうがいいです。春夏秋冬それぞれ訪れることで、全く違った印象をもつでしょう。
そして、仕事をどうするかを考えておくことも大切です。田舎の経済は思っているよりも厳しいのが現実。仕事を見つけるのも、給料にしても都会と比べるとかなり低いものが多いです。これは、もし遠隔で仕事が都会と変わらずにできる場合は大丈夫でしょう。
また、地元の人の声を聞くことも大切。地元の人に直接相談したら、地元に住んでいる人にしか見えない問題を教えてくれます。それに、移住前からコミュニケーションをとっておくことで、田舎特有の地元の繋がり(祭りや掃除など)にも参加しやすくなるでしょう。
最後に自分の目と足で感じよう
まずは自分の足で気になった場所に行ってみましょう。壱岐は私にとっては非常に良かったです。第2の故郷と思っています。ただ他の人には合わないかもしれません。とにかく移住を検討している場合は、自分の目と足で感じてみましょう。