こんにちは! ありさんです。
わたしはLIGブログのクリエイティブ制作チームのリーダーをしていて、毎月新規バナーのクリック率や経過をみています。
その際に話題に上がるのがクリック率!!!!!!
めちゃ目に見えやすいので、バナーの成果をクリック率で判断しちゃうときってありますよね……。
今回クリック率が悪かった……それに落ち込む作ったデザイナー……次はクリック率を上げなくてはと焦る……
それならいっそのこと、水着の姉ちゃんをバナーに使おうか……
ちょっとまってーーー!!!!!!!
クリック率だけみてなにがわかるの?????
もちろんクリック率はKPIになるときもあるし、結果から反省することは大事です。
でもバナーの役割はそこだけじゃないでしょ!!!😠
それよりももっと大事なのは、ゴールとそれに紐づくKPIを認識してつくることです。
クリック率が低いクリエイティブは悪なのか
作ったクリエイティブが100発100中当てられるならデザイナーもマーケターも必要ありません。数回クリック率が悪いクリエイティブを作ったくらいで落ち込むな。誰も正解はわかりません。
どうしてもいいたいのが、「数字が悪かった」という結果がでたのは良いことということです!!!
一番よくないのは、「結果が悪いクリエイティブを作ってしまった……」と落ち込んで、どんどん新しい切り口ができなくなっていくことです。デザイナーとしてちゃんと仮説を立てて反省をすることは大事だけど、むやみに落ち込まないで……!
そもそも、クリック率がKPIにならないケースだってあると思います。
クリック率がKPIになる場合、ならない場合
Webの広告運用では、広告のクリック率と遷移先のランディングページのCVR(コンバージョン率)で経過を確認していきます。
認知拡大や購入やお問い合わせが目的になる場合は、クリック率がKPIになることが多いです。でも、すべての広告のKPIがクリック率になるとは限りません。
クリック率がKPIになる場合
前述したように認知拡大、お問い合わせ増の場合はクリック率がKPIになる場合が多いです。
こちらは、いいオフィスというコワーキングスペースの認知拡大のための広告です。実際にLIGブログ内に掲載していたものです。
最終的なゴールは「店舗に足を運んでもらうこと」ですが、今回広告で達成すべきことは、「いいオフィスが渋谷にあるということをできるだけ多くの人に認識させること」でした。
広くターゲットを設けて多くの人の「興味を引く=クリックさせる」という行為が達成条件になるので、まさしくクリック率がKPIとなります。
クリック率がKPIにならない場合
なかには「え? すべての場合でクリック率はKPIになるやん!」という方もいるかとおもいます。
では、どういうときにクリック率がKPIにならないのでしょう。
弊社でよくあるのは採用のケースです。LIGの場合、ひとつのポジションで10人20人と大量採用することはなく、たいてい1〜3人を採用したい場合が多いです。
少人数に絞った採用が目的の場合、クリック率はKPIになりません。なぜなら母数をたくさん集めることが、必ずしもよいことではないからです。
もっというと一番ダメなケースは応募数が多くてマッチング率が低いことで、一番嬉しいケースは応募数が少なくてマッチング率が高いことです。
前者の場合は、数回の面接コストだけがかかって採用できない、となるので面接対応すればするほど人件費がマイナスになってしまいます……。
この場合クリック率ではなく、人件費がマイナスにならないように、マッチする人材を絞ることが広告の大事な役割となります。そうなるとクリック率が高いことは、目指すべきことではなくなりますよね?
LIGの採用広告の事例
実際にLIGで制作した採用クリエイティブを例にします。
当時編集職の募集では、LIGならではの問題を抱えていました。
おもしろ記事の印象が強いためか、「いかにおもしろいか」が採用基準と思われているフシがありました。
採用募集を出せばそれなりにエントリーもあるけど、なかなかマッチする人材に会えない、という悩みです。
外からの見え方に反して、編集部はメディアと真面目に向き合っている人が多く、同じように採用したい人物像も「メディアと真面目に向き合っている人」でした。
以前の募集内容では、応募は96人とかなり多い数字にもかかわらず、採用に至った人は0人でした。これはもっとも悲しいケースですね……。面接の人件費コストだけかかってしまう最悪のケースです。
上記を踏まえて、あたらめて広告制作を行いました。
ゴールは、面接コストを抑えて採用獲得すること。
広告で達成すべきことは、応募数が少なくても「メディアと真面目に向かい合っている人」からの応募を得ることです。
そのために行ったことは下記2つ。
- 入口となるクリエイティブで、ペルソナに共感してもらう
- 遷移先のランディングページは、真面目さや信念が伝わる文章にリライトし、想いを知ってもらった上で応募してもらう
1. クリエイティブの役割
▲実際に公開したクリエイティブ
クリエイティブは、「職人っぽく静かで真面目な感じだけど、内側に熱量を秘めている様子」を出して、メッセージに共感してもらうことを目的としました。
また、「ビジュアルよりもコピーを見る」という編集者さんの意見をもとに、コピーから考えていきました。
より多くの人の共感を得るというよりも、共感した人だけにクリックしてもらうことを意識しました。
2. ランディングページの役割
広告は入口にすぎません。クリックして遷移した先のコンテンツがめちゃくちゃ大事です。
そこで、現場の編集者さんにお願いして、想いを書いてもらうことにしました。すると、さすが本職……すごい文章量になりました……。
それだけで、熱量と真面目さが伝わってたのかなとおもいます。
結果
エントリーが29人で採用が2名という結果になりました!(わー! ぱちぱち)
選考段階でも真面目な人が多く、面接を担当した社員さんも喜んでくれました。
前回のクリエイティブと比べて閲覧数自体は多かったのですが、エントリー数はかなり絞られています。広告バナーのクリック率も、平均クリック率より低い結果となりました。
ですが、目標は達成しています。
このように、できる限りセグメントを狭めた広告の場合、クリック率はKPIになりません。KPIにしてしまうことで、結果幸せにならないケースもあります。
意外と見失う、目標にかけたコストの話
正しい目標設定に加えて、目標を達成するためにかかったコストを把握し見直していくことが、クリック率よりも大事なことだと思っています。
広告運用の場合、CPA(成果単価)が大きな判断基準になりますが、意外と見落としがちなのが人件費です。もちろん人件費もCPAの一部です。
たとえば制作時間も、関わる人数も、ミーティングの時間にも、無駄なコストがなかったか見直すことが大事だと思います。
ゴールがお問い合わせ数だった場合、獲得できたのが同じ5件でも、5万円かけたのか10万円かけたのかで、1件あたりのCPAは大きく変わってきます。
目的に対してどれだけのコストをかけたのか、それは本当に適切で無駄がなかったのか、次は削減できるのか……クリック率だけじゃなくそういう話をしていくべきだとおもいます。
クリック率とどう向き合うべきか
もちろんクリック率は大事な数字です。ですが、クリック率は絶対的なゴールではなく KPIのひとつにすぎません。ゴールから逆算して本当にクリック率がKPIになるのか、つねに意識しなければなりません。
クリック率よりも向き合わなくてはいけないことは、ゴール、KPI設計、費用対効果です。そもそもなにを達成したいのか、誰を幸せにしたいのかを考えて話すことで、クリック率の話にも説得力が出て、より伝わりやすくなるんじゃないかと思います。
- 広告で向き合うべきこと
-
- ゴール:なにを達成したいのか、誰を幸せにしたいのか
- KPI設計:ゴールのためになにがKPIとなるのか
- 費用対効果:ゴールのためにかかる費用や人件費は適切か
大事なことは、ゴールを把握すること、ゴールからKPIに落とし込むこと、結果はコストもみること
すごい偉そうなことを言ってきましたが、わたしもバナーを大量に作っていたころ、自分がつくるバナーのクリック率が低くて落ちこんで、どんどん新しいアイディアを取り入れるのが怖くなっていきました。
この記事がそんな当時のわたしのようなデザイナーに届いてくれたらいいな〜と思います。
もちろんクリック率がKPIになることは多いです。でも、それはKPIであってゴールではありません。クリック率に左右されずにゴールを見つけるのは大変なことですが、人をデザインで幸せにするためには必要なことだと思います。
では楽しいデザインライフを〜〜〜!
LIGはWebサイト制作を支援しています。ご興味のある方は事業ぺージをぜひご覧ください。