こんにちは、シエロです。
みなさん、さいごに紙に絵を描いたのはいつでしょうか?
紙に絵を描くといえば、デッサンが思い浮かぶ人は多いのではないでしょうか。とはいえ、「デッサンをやってみたいけど……自分にできるのかな」という声を聞くことがあります。
デッサンは、「モチーフを観察して、そのイメージを紙でいかに表現するか」というもの。観察眼を鍛えることで、いままでみていた世界を少し違った視点で捉える体験ができるので、体験するのは今からでも遅くありません。
そこで、芸大出身で高校時代受験デッサンばかり描いていた私から、デッサンに必要な道具と「デッサンってこんな感じですよ」という概要をご紹介しようと思います。デッサンを始めるきっかけになったらうれしいです。それでは少しばかりお付き合いくださいませ。
目次
用意する道具
鉛筆
デッサンを描くうえで欠かせないものが鉛筆です。鉛筆の芯はいくつか種類があり、ときには、その違いを利用して質感の違いを表現します。(もちろん一種類の鉛筆で描くことも可能です)
鉛筆の芯には、H/B/Fといった芯の濃さと硬さを表す表現があります。
鉛筆に付いているH、B、Fといった記号は、芯の濃さと硬さを表すものです。
HはHARD(ハード:かたい)、BはBLACK(ブラック:黒い)の略字で、Hの数字が多いほど薄く硬い芯を示し、反対にBの数字が多いほど濃く柔らかい芯を示します。FはFIRM(ファーム:しっかりした)という意味で、HとHBの中間の濃さと硬さを持った芯のことです。
(引用:H、B、Fの意味 | えんぴつのナゾを解く | お客様相談室 | 三菱鉛筆株式会社)
下記が私がよく使っていた鉛筆です。ステッドラーは少しお高めなので、まずはユニから始めると良いと思います。
ちなみに木炭で描く木炭デッサンもありますが、木炭は入手先が限られるうえ、手が汚れます。もっと本格的にデッサンをしたい! と思ったときに導入するのが良いのではないでしょうか。
消しゴム
近くの文房具屋さんに売っている消しゴムで問題ありません。私はトンボ鉛筆社「MONO」かシード社「Rader」を気分によって使い分けていました。
(消しゴムも鉛筆もAmazonではバラ売りしてないようなので、お近くの文房具店か画材店でお探しください……!)
カッターナイフ
鉛筆を削るために必要です。削り方は結構特徴があるので、「デッサン 鉛筆の削り方」で調べると動画が出てきますので、ご参照ください。
紙
紙の種類もいろいろあり、紙によって鉛筆のノリ方が異なってきます。ケント紙はツルッとした表現ができ、画用紙は柔らかく重さのあるものを表現できる……といった感じです。
紙のほかにもカルトンと呼ばれる画板があると下敷きとして使えるほか、できたデッサンの保存もでき便利なのですが、大きいのでちょっと邪魔になるかもしれません。最初は画用紙のスケッチブックのみでも良いのではないでしょうか。
一冊スケッチブックを買ってデッサンをはじめると、そのスケッチブックのページが終わるころには、コツもつかめていると思います。一つ目標にしてみてはいかがでしょうかs。
モチーフの下に敷く白い紙か布
デッサンではモチーフだけでなく、モチーフを置く面(机)も描きます。その際、机の質感も見えてしまうため混乱しないよう白い紙か布を敷きます。白いテーブルクロスがちょうど良いのではないでしょうか。
デッサンするときに意識すること
以上、5種類の道具がそろえば、もうデッサンがはじめられます。やろうと思えばすぐにできちゃうものです。
ではさっそく描いてみましょう。何事もやってみることが肝心だと思います。デッサンするときに気をつけたいポイントはこちら。
場所
光源に気をつけましょう! 室内にはさまざまなところに照明があります。照明の位置によっては逆光になったり、あまり綺麗に光が当たらなかったりするので、モチーフを置く場所には気をつけてくださいね。
姿勢
前かがみにならないように気をつけましょう。
人間集中するとつい、前かがみになって視野が狭くなってしまいます。モチーフを観察する目線は、極力一定の姿勢を保つように気をつけてください。そうしないと視線を逸らすたびに目線がずれ、見ているモチーフの形が変わってしまいます。視点を変えながら描いてしまうと、あとになってから終わらない修正地獄が待っています……。
工程
- ①形をとる→②陰影をつける→③質感を表現する
この順番で描いていきます。逆の順番で描いたり、工程をいったりきたりすると違和感が大きくなるので、私はこの順番で進めていました。
前の工程に戻りたい……ということはよくありますが、その場合はいまの工程をしっかりやりきるか、諦めてもう一枚描きましょう。
モチーフ
デッサンは感覚で描くことではなく、モチーフを構成する要素を理解し、自分というフィルターを通して再構成することだと思っています。これこそがデッサンの醍醐味でもあります。
この世の物はざっくり大きくわけて3つの要素から成り立ちます。
①形状
この世のどんな物も基本の形の組み合わせてできているので、この基本をマスターできると応用が効きます。
- 球体
- 立方体
- 柱(円柱・四角柱など)
- 推(円錐・三角錐など)
初めてデッサンをはじめるなら、まず基本のシンプルな形からはじめることをオススメします。簡単に思われるかもしれませんが、意外と基本が難しいもの。
練習用のモチーフもありますが、用意などが少し面倒なので入手しやすい方法をまた別の記事でご紹介できればと思います。
②陰影
人間は目の前の物の立体感を陰影(光のあたり方)でとらえます。
ちなみに西洋と東洋では文化的に陰影の捉え方が異なり、物体の見え方が異なる傾向があります。調べてみると、日本的・アメリカ的・ヨーロッパ的……など文化や思想の違いを感じられるかもしれません。
③質感
どの物質も、光を反射する性質を持っています。光を反射させる性質の違い(拡散反射)が質感の違いを生んでいます。たとえばタオルは光をあまり反射させず吸収する傾向にあるので、柔らかな質感になります。洗剤の詰め替えパックなどのビニールパッケージは光を反射させる傾向があるので、つるっとした質感があります。
僭越ながら……高校生当時描いていたデッサンをご紹介させていただきます。なんとなく違いを感じていただけますと幸いです。
一つのデッサンを仕上げるのに、だいたい4時間ぐらいかけていました。手前のコマを描くのは楽しかったのですが、奥の洗剤は嫌でした。つるっとした薄い質感があんまり好きじゃないのです……。人には好きな物もあれば嫌いな物もあります。ただ嫌いな物があるということは、自分が何に興味を持っているかの傾向を知れるので、まずはいろいろな物を描いてみると良いと思います。
一つひとつのモチーフがしっかりと描けたら、それぞれを構成してひとつの画面に配置してみてください。画面の中でどのようにモチーフを配置すれば座りがいいか見えてくると思います。
デッサンはトレーニングと一緒
「絵は才能だから」そんな声を聞くことがあります。でも、まったくトレーニングをしていなかった人がいきなりフルマラソンを完走できないように、いままで絵を描いたことがない人がすぐに上手く描けるわけないのです。上手い人だって、たくさん描いて上手くなっていったのです。
上達のコツとしては……
- 薄目で自分の絵とモチーフを見比べる
- 何度も引いて見直す
- 時間を決める
- 何回か同じモチーフを描く
- 何人かでやる
ということでしょうか。
最近はYouTubeやブログなどで描き方を説明している方もいらっしゃいます。
近くに詳しい方がいなくても、いろんな方の動画をみながら練習するとかなりコツがわかったりすると思います。
さいごにオススメの書籍をご紹介して終わりにしたいと思います。
物の構造を学ぶなら……
デッサンではなくスケッチですが、物の形を捉える・質感を捉える観察ポイントを丁寧に紹介してくださっています。
人体の構造を学ぶなら……
人体の構造を解剖学の視点から紹介しています。人体はとても複雑な構造をしているので、構造を理解してから描くと立体感が増します。新書はなく、ほぼ中古しかないようですが……。
世界を普段とは少し違う視点で見てみる
物をじっと観察していると、世界の見え方が少し変わる瞬間があります。そんな瞬間に興味がある方はぜひ一度デッサンにチャレンジしてみてくださいね。ふだん何気なく見ている物の美しさを見つけるのはちょっとお得な気がして楽しいですよ。
それではまた。シエロでした。
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