あけましておめでとうございます! 広報室(≒LIGブログ編集部)所属のアシスタントエディター、マコです。
さてさてこの年末年始、お家でゆっくりされている方も多いのでは? 寒い冬にぬくぬく過ごしたい、そんなとき欠かせないのものといえばコタツですよね。お正月といえば、コタツと、ミカンと、ネコ……いまだにそんなイメージ、あると思います。
かくいう私も、このお正月は九州の実家に帰省し、コタツに潜り込んでごろごろと過ごしていました。そこでふとある考えがよぎったのです……。
「オレ、あんまりコタツのこと、知らないかも……」
こんなにも、こんなにもコタツのありがたみを享受していながら、実はなにもわかっていなんじゃないか。
コタツって、なんなんだ。
一度気になったら最後、もう、頭から「コタツ」の文字が離れません。ただでさえ、物理的にもこの身を掌握されているというのに、あまつさえ精神まで乗っ取ろうとするとは……コタツ、おそるべし! ならば、ならば徹底的に調べてやるまでよォ、ということで今回はいきなりコタツ大解剖スペシャル! です!
コタツとは
そもそもコタツってなんなんでしょう? もちろん私たちがイメージするアレ、ヒーター付きのテーブルに毛布がかぶさっているアレに相違はないはずですが、もう一度その定義から調べ直してみました。
コタツの定義について
困ったときの「コトバンク」! 主な検索結果は以下のようなものでした。
デジタル大辞泉
- 炬燵/火燵
- 熱源をやぐらでおおい、その上に布団を掛けて暖をとるもの。切りごたつ(掘りごたつ)・置きごたつ・電気ごたつなど。《季 冬》「下戸一人酒に逃げたる―哉/太祇」
大辞林 第三版
- 炬燵・火燵
- 〔「火榻」の唐音から〕 暖房具の一。炭火や電気の熱源をやぐらで囲い、布団をかけて暖をとるもの。 [季] 冬。 《 耳遠く病もなくて-かな /虚子 》
精選版 日本国語大辞典
- 炬燵・火燵
- 〘名〙 床に炉を設け、上にやぐらを置き、ふとんを掛けて暖をとるもの。掘りごたつ。また、簡便にやぐらの底に板を張ってこれに火入れをおく置きごたつや、電気ごたつなどもある。室町時代に禅宗から広まり、古くは、やぐらそのものをこたつと呼んだ。おこたつ。おこた。《季・冬》 〔文明本節用集(室町中)〕
百科事典マイペディア
- こたつ(炬燵)【こたつ】
- 日本独特の暖房用具。畳に切り込んだ掘りごたつと,移動できる置きごたつがある。炭火,たどん,豆炭などが熱源に使われたが,近年は簡便な電気ごたつが広く普及。やぐらの上面に電熱器を取り付けるが,赤外線ランプを照射する赤外線電気ごたつも多く使用されている。
株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版
- こたつ【こたつ(炬燵)】
- 炉の上に櫓(やぐら)をかけ布団で覆って暖を採る設備。炬燵,火燵,火闥,火榻などと書くが,日本での造語である。掘りごたつと置きごたつとあり,掘りごたつは囲炉裏から,置きごたつは火鉢から発達している。掘りごたつのほうが古く,室町時代に出現した。最初は,囲炉裏の火が〈おき〉になったときなどに上に櫓をかけ,紙子(かみこ)などをかぶせて,櫓に足をのせて暖めていたようだ。このため櫓も低く,形も櫓の上面が格子でなく簀の子になっていたようである。
……なるほど。基本的な定義としては、何かしらの「熱源」を「やぐら」で囲い、その上に「布団」を被せたもの、という要素が共通しているようです。「やぐら」とはなんぞと思いますが、要はテーブルですよね。これは大体のひとのイメージ通りでしょう。
そのほか、あらためて検索してみるだけでもいろんな発見がありました。
たとえば、『デジタル大辞泉』の説明を見るとコタツに「切りごたつ(掘りごたつ)」「置きごたつ」「電気ごたつ」などのバリエーションがあることがわかります。
さらに、『精選版 日本国語大辞典』や『世界大百科事典 第2版』によればコタツは室町時代から広まったのだとか! これははじめて知りました。室町時代にコタツでぬくぬくしていた日本人がいたなんて、なんだかほっこりしますね(コタツの歴史については、後ほど詳しくみていきたいと思います)。
コタツの語源について
また、そもそも「炬燵」「火燵」は造語で、『大辞林 第三版』によると「火榻」の唐音に日本人がつけた当て字なのだそう。こちら、気になったのでもう少し調べてみたところ、『知泉Wiki』というサイトで下記のような説明を見つけました。
- こたつの語源は、こたつのやぐら部分が牛車の乗り降りに利用する踏み台「榻(しじ)」に似ていることから「火榻子」と漢字表記し、それを禅僧が唐音で読んだ「火榻子(くゎたふし)に由来すると考えられている。
この「火榻子」由来の語源が少し難しいという事から、炉やかまどの前に小さな脚立をおき、そこに座って暖をとった事から「踏立(けたつ)」や「脚立(きゃたつ)」が語源。という説がよく紹介されるが、実際にはこれは後付の説とされている。
どの程度信ぴょう性があるのかはちょっとわかりませんが、大辞泉の内容とも一部被っているので「火榻」あるいは「火榻子」の唐音である「くゎたふし」が「こたつ」に転じたというのはある程度定説とみていいのではないでしょうか。
もっとも、
くゎたふし、くゎたふし、くゎたふし……。
「くゎたふし」を「こたつ」に変形させるのはちょっと強引な気がしなくもありません(でもわからなくもない……ですかね?)。
コタツの歴史
さてさてそんなコタツですが、いつ、どのようにして生まれたのでしょう。
コタツのはじまりは室町時代
先ほどの『精選版 日本国語大辞典』や『世界大百科事典 第2版』にも記述があった通り、コタツの起源は室町時代にまで遡るようです。
考案者が誰なのかまではわかりませんが、囲炉裏の上にやぐらを組み、蒲団をかけて暖をとる……といったコタツの原型はこの時点で生まれていたとのこと。そこから、囲炉裏を床より低い場所に設置したいわゆる「腰掛けごたつ(のちの『掘りごたつ』の原型)」のようなスタイルも派生して誕生。当時はもちろん電気もありませんので、熱源としては主に木炭などを用いていたのだとか……。
さらに江戸時代にかけて、囲炉裏ではなく火鉢から暖をとる「置きごたつ」と呼ばれるタイプのコタツが生まれました。これまでと違って、場所を移動させることができるので重宝されたようです。今、家具店などで購入できるコタツも同じで、言ってみれば「可動式」ですよね。好きなところに設置できるコタツというのも、当たり前のようですが進化・発展の賜物なのです。
このあたりから、一般家庭でもコタツが用いられるようになってきます。
コタツの進化
明治時代になると、今にも残る「掘りごたつ」が登場します。これは考案者についてもある程度明らかになっているようで、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチという人物が作ったと言われています。正座が苦手だったことから、腰掛けるタイプのコタツを考え出したのだとか。
また、それまで用いていた木炭や炭団といった熱源は、火傷や一酸化中毒の可能性がありました。それを改善するため、大正後期から電気を用いたコタツの開発がスタート。戦後にかけて、赤外線ランプヒーターや石英管ヒーターを備えた、現在の私たちが慣れ親しんでいるスタイルのコタツが確立されていきました。
そのほか、詳しい歴史については下記のページが詳しかったのでぜひ参照ください。
- 参考ページ
- https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00345/
https://wanosuteki.jp/post_19008
https://ja.wikipedia.org/wiki/炬燵
コタツこぼれ話
ちなみにコタツは日本独自のものだと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、世界各国に似たような暖房器具が存在しています。たとえばイランでは儀式などにも使われている「コルシ」……その見た目はコタツそっくりです。実際に、ヒーターの上に机を置き、その上に布団をかぶせるというスタイルもコタツと同じですよね。
ほかにも「ブラセロ(アルゼンチン)」、「サンダリ(アフガニスタン)」、「キュルス(トルコ)」などいろいろ。
決着のつかぬ「発案はどの国だ」論争もあるようですが、寒い冬をぬくぬく過ごしたい……そう思ったとき、行き着くフォルムは万国共通なのかもしれませんね。
- 参考ページ
- https://togetter.com/li/1062058
https://jp.globalvoices.org/2016/01/15/39511/
https://matome.naver.jp/odai/2144863254666581601
コタツの今
さて、ザーッとコタツの歴史を振り返ってみました。現在のコタツ・トレンドはどんな風になっているのでしょう?
Amazonで検索してみると、ベストセラー第一位になっているコタツはこちらでした。
「カジュアルこたつ」というワードがあるんですね……たしかにスタイリッシュ! 私は一人暮らしでコタツは持っていませんが、こういう形なら違和感なく部屋にも置けそうです。
価格は執筆時点で税込5,480円。これが大体最安値で、一般的にはコタツテーブル、布団など諸々セットで1万円前後が相場とのこと。
さらに、
家具といえば……のニトリのウェブサイトで調べると、安いもので7千円、高いものだと5万以上もざらでした。もちろん高額なぶん、普通のコタツとは一味違います。
たとえば、「洋風ダイニングこたつ(税込42,300円)」。「洋風ダイニング」と名につく通り、布団をかけなければそのままリビングに置けそうなテーブルになっています。さらにさらに、「高さを自由に変えられる」「布団がいらない」といった、コタツの常識を覆すコタツ「昇降式布団レスこたつ(税込59,900円)」も人気のようです。これはすごい。最初におさらいした、「炭火や電気の熱源をやぐらで囲い、布団をかけて暖をとるもの。」という辞書の定義にもほぼ当てはまらない形状に進化しているんですね。
もちろん、元来のコタツの形状を守りつつ、より洗練されたデザインを目指す動きもあります。その辺りは東洋経済オンラインに掲載されていた下記の記事なんかにも書かれていますので、興味のある方はぜひご一読を。
- 参考ページ
- ダサくない!「こたつ」はここまで進化した
https://toyokeizai.net/articles/-/209926
コタツとこれからも……
いかがでしたか? 室町時代から私たち日本人の冬を暖めてくれてきたコタツ。今回いろいろと調べてみて、また少しその魅力を知ることができたような気がします。
より便利に、より生活に馴染みやすく。時代によって形状は変わっても、根っこのソウルは永久不変です。いつだってホッとさせてくれる、そんな存在……コタツはこれからも私たちのそばに、そっと寄り添ってくれるでしょう!
そして最後に……。コタツに入ってゴロゴロしながら、懐かしいキャラクターたちといっしょに平成を楽しく振り返りませんか? 2019年度のLIGの年賀サイトは、こちらからご覧いただけます!
みなさんも、幸せなコタツライフを! マコでした。