みなさんこんにちは。クライアントのオウンドメディアやWebサイトのコンテンツ制作を行なっています、外部メディアコンテンツ制作チームのエディター・バズーです。
先日、新卒としてLIGに入社してからの半年間、ベテラン編集者のたまき先輩から学んできたことをまとめて記事を書きました。この「前編」では、企画考案からライター・カメラマン手配までのポイントをお話ししています。
新卒の私がベテラン編集者のたまき先輩から学んだこと【前編】〜企画考案からライター・カメラマン手配まで〜
つづく今回の「後編」では、取材場所の手配から取材当日までの流れを見ていきたいと思います!
目次
取材・撮影場所の手配について
制作する企画によって取材・撮影をする場所はさまざまです。レンタルスペース、カフェ、貸し会議室、観光スポットなどなど場所によって、手配の仕方や撮影許可の撮り方も異なるので、ここでは私がこれまで経験した撮影申請の仕方や、予約方法、注意事項をまとめました。
公園を使っての撮影の場合
公園を使用する場合は、事前に公園を管理している自治体の窓口に撮影許可を取らなければいけません。
ここで、営利目的の取材や撮影の場合は利用料が発生します。この利用料は時間や日数、スチール撮影か動画撮影か、で大きく変わります。また、機材の台数や使用面積でも料金が変わってくるので、自治体の窓口の方に確認をしましょう。詳細や申請方法については使用したい公園名を検索すると、管理している自治体の窓口がわかります。
大体の公園の申請期間は使用日の1週間前から1ヶ月前が一般的で、この申請期間が過ぎてしまうと受け付けてくれない場合もあります。公園での撮影が必要となった場合は、いちはやく公園とその窓口を探し、申請することが大切です。
実際に公園での撮影を行った際も、はじめに電話で問い合わせをしました。必ず最初に「どんな撮影」で、「どのような媒体に載るのか」を聞かれるので、電話をする際は企画書を手元に用意して電話をしていました。そして、電話でやり取りをしたあと、メールやFAXで企画書を送付してほしいと言われることがほとんどでした。
公園申請で大変だったのは、管理している自治体の窓口に、申請書を直接持って行かなければいけないことと、料金も直接支払いに行かなければいけないケースが多かったことです。
最初は自治体の窓口を探せず、総合窓口に連絡をして繋いでいただいたり、担当の方とのやりとりで時間がかかってしまったりと慣れませんでしたが、3〜4回目の公園申請になると窓口の名前をみて「ここは違う」や「ここだ」とわかるようになりました。公園申請は申請回数を重ねることによって慣れてくるものだと思います。
カフェでの撮影手配の場合
カフェで取材・撮影を行う場合は、媒体のトーン&マナー(以下トンマナ)にあったカフェを探すことが大前提です。なんだか記事内の写真が浮いてしまった……なんてことがないように、サイトイメージや記事イメージにきちんと合わせましょう。
カフェでの撮影料金はカフェによってさまざまです。スタッフなどの人数分の飲食代のみの場合や、利用時間で金額が決まる場合、使用時間と使用面積で料金が決まる場合などがあります。使いたいカフェを見つけたら、運営会社に電話かメールで問い合わせを行い、料金についてはしっかり確認しましょう。
カフェの撮影手配では、以下のまとめサイトで探しています。
- ▼東京都が運営している『東京ロケーションボックス』
http://www.locationbox.metro.tokyo.jp/catalog/restaurant/▼スペースマーケット
https://www.spacemarket.com/
Webで検索してロケハンに行くこともありますが、プライベートに行ったお店で素敵なところがあったら、カフェカードを持って帰ってストックしておくと撮影場所を探すときに役立ちます。
レンタルスペースを使う場合
Webメディアでも写真にこだわるサイトは多く、ハウススタジオやレンタルスペースを手配することもあります。そんなときは、以下の項目を事前に決めておいて撮影場所を探すとスムーズです。
-
- 予算
- 取材日(だいたいの期間でもOK)
- 使用時間(前後に30分の準備片付け時間を設ける)
- スチールか動画なのか
- 使用人数
- 場所(取材対象者がいる場合はその方の希望する場所がベスト。ただし、予算にもよる)
カフェを探すときと同様に、こちらもレンタルスペースやハウススタジオをまとめているサイトで探すことが多いです。
しかし、そのなかで「いいところを見つけた!」と思っていても、予約ページに行くと「最低利用時間3時間〜」など、さまざまな利用についてのルールがあります。また、詳細なルールは予約ページに行かないとわからないことも多々あるので、いいところが見つかったらしっかりと調べて、早めに仮押さえをしましょう。
ロケハンの重要性
取材・撮影場所の手配で大切なのが事前のロケハンです。ロケハンとは、撮影を予定している場所に足を運んで事前確認を行うことをいいます。いまはネットが普及していて、使いたいと思っている場所の写真は大抵見ることができますが、行ってみたらイメージと違った!ということがないように、できるだけロケハンをするようにと教わりました。
ここでは記録として、学びがあったケースや事前にロケハンをしておいてよかった……と思ったケースを紹介します。
店舗での撮影で……
取材対象者に、クライアントが展開する店舗で商品を選んでいただく……という撮影だったとき。お店の商品をあらかじめピックアップして確保しておきたかったのですが、お店の都合上難しくなってしまいました。そこで、本番の1週間前くらいにロケハンをして、店舗になにがあるのかをあらかじめ確認しました。
前情報として、お店にはどんなものが売っているのかなどはネットやクライアントとのコミュニケーションでわかっていたのですが、やはり、いざロケハンに行くと「これがない」や、「撮影できるスペースが限られている……」、「思っていたよりも品数が少なかった……」といったことがあったので、このときは1週間前でもロケハンに来てよかったと思いました。
公園などの野外での撮影では……
公園のロケハンはかならず行うようにしていますが、ロケハンしたにも関わらず、取材当日になって「こんなはずじゃなかった……」という問題が勃発してしまったことがありました。
結果から言うと、ロケハンから取材当日の間に梅雨を挟んでしまったことにより、ロケハン時になかったはずの草が、当日は腰の高さまで生えていたのです……!
撮影当日、現場に到着してたまき先輩と唖然としました。公園を管理している自治体にもよりますが、梅雨でたっぷりの水を得た草がボーボーに生えていました。
まさに、wwwwwwwwww←これ状態。心の中で「大草原不可避」をこんなに的確に言い表した風景はないだろうなと思ったのを覚えています。
ロケ撮影日の天気は重要ですが、ロケハン時にも季節を考えることを忘れないように……。
場所の手配とロケハンについては以上です。
一通りの準備が整えば、あとは取材日を待つのみ。
次の項目では、実際の取材・撮影当日に向けての準備を書いていきます。
取材・撮影当日に向けての準備
取材当日に向けて、まだまだ準備は終わっていません。すべての手配が完了したら、次の準備に取り掛かります。
取材日1週間前にすること
事前にライターさんと記事の構成などをすり合わせ、作成した質問案と進行表を取材対象者本人もしくは担当者、ライター、カメラマンに送付します。
質問案は、当日質問することを企画アウトラインに沿って必要なだけ箇条書きで書きます。それぞれの質問の下に、「このカテゴリではこんなことを聞きたいです」など、質問の補足説明を書いておくと、取材対象者やライターさんに編集側の意図が伝わり進行しやすくなります。
進行表については、企画概要と取材内容を書き、その下に詳細なタイムテーブルを記入しました。そして、ここで忘れてはいけないのが、撮影カットです。ここは、カメラマンさんと取材対象者に向けて、できるだけわかりやすく詳細に記入するといいと教わりました。
はじめて取材を受ける方や、あまり取材を受けたことがない方に「アイキャッチ撮影」と書いても意味が伝わらないこともあります。たまき先輩は「メインビジュアルの撮影」と記入していたり、「取材対象者さまが○○を持ってカメラ目線で微笑んでいる様子」とほしいカットの詳細を記入していたので、わたしもそうするようにしています。
質問案と、進行表ができたら、関係者の方々に送りましょう。
取材日前日にすること
当日の準備は必ず前日までに行いましょう。当日の朝に取り掛かったりすると、なにか漏れがある場合は対応できなくなってしまいます。準備するものは以下でリストアップしますが、それよりも大切なことは、各関係者に「明日はよろしくおねがいします」というリマインドを含めた挨拶メールを送ることです。
過去にほかの先輩の案件で、カメラマンが集合場所に来ず、連絡が取れない状況で、取材対象者が持っていたデジカメを借りて編集者が撮影したという事件がありました。撮影日を勘違いしていたらしいのですが、そんな状況は想像するだけでも恐ろしいです……。
こういうことが起こらないように、リスクヘッジとして私はリマインドメールを送るようにしています。
あらためて、当日用に準備しておくものは以下です。
-
- 人数分の進行表
- ライターさんと編集メンバー分の構成案と質問案
- 事前にインプットしたときの資料(必要であればライターにも共有)
- ケータリングの準備
- スタジオ撮影やロケ撮影をこちらが主催して行う場合やインタビューなどを行う場合は、関係者全員分の飲み物をかならず用意します。
- 取材がお昼近くや夜遅くになる場合など、拘束時間が長い場合は簡単な食事を用意しましょう。手を汚さない、簡単に食べれるものがベストです。
- いままで子どもにも大人にも好評だったのが「まい泉」のサンドイッチでした。
- 小さなお子様がいるときは緑茶ではなく、カフェインレスの「麦茶」を用意してあげる。ジュースの場合は炭酸飲料は避けて、カルピスや果物ジュースを用意する。
一通りの印刷や準備が終わったら、進行表や構成案を見ながら簡単な打ち合わせを行います。気をつけるべき点や、進め方の細かい部分を話し合い、疑問や不安点をつぶす時間です。たまき先輩と担当していたサイトは、写真にも高いクオリティーが求められていたので、取材しながらの撮影の段取りも細かく詰める必要がありました。
一番最初の打ち合わせでたまき先輩から教えていただいた、いまでも忘れない言葉があります。
それは、「とにかく臨機応変に」ということでした。
「取材対象者やインタビューをしているライターさんの飲み物は空いてないかなど、細部まで目を届かせるようにしましょう」とそのときに教えていただきました。
取材日当日
やってきました、いざ出陣の日。
ほとんどの取材では、ライター・カメラマンも含めたスタッフは開始の30分前に現場入りし、簡単な打ち合わせを行なうようにしています。
私たちはそのさらに10分前くらいに現場に行き、控室や荷物が置ける場所があれば手配しておくことが多いです。事前の打ち合わせでは、ライターさんと企画について補足があればお話したり、カメラマンさんには現場を案内し、撮影場所を決めていただいたりしています。
そのあとは、私とたまき先輩で最後の打ち合わせを行い、取材対象者の到着を待ちます。私はこの待っている時間に、ライターさんとカメラマンさんに用意していた飲み物を渡すことが多いです(渡すタイミングは都度変わってきます)。あとは、撮影の段取りなどを確認したり、ライターさんと雑談しています。
時間になって取材対象者がいらっしゃったら、取材開始です。まずは簡単なご挨拶をして、名刺交換。そして、時間どおりに進行できるようその場をディレクションしていきます。ここからは、事前に準備した資料をどれだけ頭に叩き込んでいるかによって、進行具合が変わってきます。
取材で一番気をつけなければいけないことは、オンタイムで進行することです。インタビュー中に話が脱線したりして終了時刻が長引くと、皆さんの貴重な時間を無駄にしてしまう上に、必要なことが聞けなかったり、撮影時間が十分に取れないといったことも起こり得ます。これではいいものをつくることはできないので、時間配分は重要です。アシスタントの私は、ライターさんがインタビューをしている間に物撮りを同時並行で行うなど、取材時間を伸ばさないことに尽力しました。
撮影時に注意しないといけないことも学びました。当たり前ですが、写真に写り込んでしまうところに立ってはいけません。最初は撮影現場になかなか慣れず、「そこ写ってるよ!」と言われたことが何回かありました。こういうときは、カメラマンさんの後ろに立てば間違いありません。そして、カメラマンさんが後ろに来たら、私もすばやくその後ろに移動します。
人物写真の場合は、服のシワや汚れ、髪の毛など直してあげることも大切です。気にされる方であれば、iPhoneの内側カメラなどでチェックしてもらいます。タレントさんにはメイクさんやスタイリストさんがつきますが、そうでない場合は、編集者が直さないといけません。これは私でもできることなので、撮影を見ながら気づいたことがあればすぐに直せるよう、心がけています。
やはり慣れないうちは大変でしたが、取材を何度か経験するにつれて「次はなにをしようか」「これがまだだ」と考えながら、オンタイムで終わらせるように調整していくことは、とても楽しい業務だと感じています。もちろん、まだまだ未熟な部分はありますが……。
用意しておくと安心なアイテム
ここでは、私が取材時に用意しておくと安心だと思うアイテムをまとめておきます。
-
- バインダー
- 腕時計
- フリクションボールペン(鉛筆、シャーペンでも良い)
- 歩きやすい靴
- ポケットのついた服(とっさになにか入れれるから)
バインダーは、資料を持ち歩く際、メモを取るときにとても便利なアイテムです。とくに、あちこち歩き回ったり、動くことが多い取材では、事前に用意した資料をただ持っているとしわくちゃになってしまいます。取材に関わる資料は、場合によっては取扱注意のものもあるので、なくしてしまうことのないようにリスクヘッジの意味も込めてバインダーに収納して持つようにしています。紐をつけて、首からぶらさげて両手があくようにすると便利です。
腕時計については「携帯電話でいいんじゃないか?」 と思う方も多いかもしれませんが、私の場合は、社外の人や初めて会う人がいるなかで、時間を確認するためにiPhoneを見るのは印象が良くないと感じているので時計は必須です。また、オンタイムで進めていく中でiPhoneをいちいちポケットから取り出して確認する作業は面倒なので、腕時計を使っています。
その他のアイテムは「私の場合」なので割愛しますが、編集者それぞれ、どんなアイテムを使っているのかを知るとその人のスタイルがわかるかもしれません。ちなみに、たまき先輩はフラットなくつを必ずはき、リュックサックを必ず背負って取材に立ち合っています。また、スマートフォンには腕に通せるストラップをつけており、もしものことがあってもすぐに対応できるような装備をしています。
……さてさて、予定していた項目がすべて終わって、ゴールが見えても安心してはいけません。取材対象者やスタッフさんを見送るまでは気を抜かず、以下にあげたようなことも忘れずに行いましょう。
-
- ライターさんに原稿提出のスケジュールの確認を行う
- 必要であれば、再度文字数と媒体のトンマナなども改めて送る
- カメラマンさんにデータの納期を相談する
- 取材対象者に今後のスケジュールなどをざっくりでいいので伝える
- ライターさんに原稿提出のスケジュールの確認を行う
取材が終わったら原稿作成がスタートするので、それぞれの締切をきちんと伝えることが肝心です。
そうです、ここからが始まりなのです!
取材が終わったから、と気を抜かずに、聞きたいことや確認したいことはしっかりと相談してから帰りましょう。
最初は取材をオンタイムで進めようと必死過ぎて、終わった瞬間に電池切れ……必要な確認もせずに、そのまま帰ってしまったこともありました。みなさんに何も言わずに解散してしまうと、自分自身とてもあとから心配になり、「あーこれ聞けばよかった」や「確認すればよかった」と会社に戻る電車の中で後悔の嵐……。なので、対面で確認したほうがいいことはすべて話しておきましょう。
会社に戻ってからはお礼メールを送るようにしています。また、口頭でざっくり話したスケジュールについてはあらためてメールに詳細を記入し、齟齬が起きないようにしましょう。
まとめ
以上、たまき先輩に教わったことの振り返りと記録のために前編・後編に分けて「企画考案〜取材日まで」をまとめてきました。
やっぱり量が膨大……ですよね。最初は1記事でまとめるつもりでしたが、スクロールするのが大変なので前編・後編に分けた次第です。
2記事を振り返ってみると、たまき先輩とのさまざまな思い出が蘇ってきます。草ボーボー事件や経費がかかりすぎてどうしよう問題、ベージュのワンピースがかぶってしまい双子コーデで取材・撮影に挑んだ件など……「制作会社にも制服があるんですか」と言われて「私服です……」と言ったときのあの空気は忘れられません。ほかにも取材・撮影をオンタイムで終わらせることができたときにたまき先輩から出る「素晴らしい」の一言。この一言を言ってもらうために頑張ろうと毎回挑んでいました。
「好きなことを仕事にする」ということをよく耳にしますが、好きなことを最初から仕事にできるのはごく一部の人たちだけだ、と思っているのであまりピンと来ません。ですが、たまき先輩を見ていると「好きなことを仕事にできている人なんだろうな」と感じるときがたまにあります。
たまき先輩はときどき「編集の仕事が好きだ」と言ってくれます。たしかに、思い通りにならないときや、どうしようもないときがあったとしても、たまき先輩が落ち込んでいる姿をみたことがないし、怒っていたり、暗い顔をしているのも見たことがありません。いつも面白おかしく出来事を話してくださり、スイスイと問題を解決してしまいます。
私はいつも、ライターが決まらない……企画が思い浮かばない……取材場所が見つからない……と切羽詰まっては、まいってしまいそうになります。でも、たまき先輩をみていると自分の気持ちしだいなんだろうな、と思います。いまはまだ余裕はないけれど、今の仕事を好きだと言えるように、まずは目の前のことを頑張っていきたいです。
それでは、また。バズーでした!