人生って何が起こるかわからない。この私がこの歳で島に移住して女将になるなんて……。

人生って何が起こるかわからない。この私がこの歳で島に移住して女将になるなんて……。

のんさん

のんさん

始まりは1本の電話からだった。

2016年、私たち夫婦はほぼ別居生活をしていた。旦那さんが仕事でいろいろな地方をまわったり、短期で単身赴任したりと、東京と地方を股にかけた仕事をしていたからだ。

最初のうちは「どこにいるんだろう」と思っていたが、それが次第に「旦那さんの会社って何屋さんなんだろう」に変わった。「ま、いっか」と東京のプチ一人暮らしに慣れてきたころ、それは突然起こったのである。

(あ、電話鳴ってる。めずらしっ)

いつも連絡事項はLINEなのに……。電話なんかほぼないのに、いったい何かあったのか? 電話に出るまでの数秒間、走馬灯のようにいろいろなことが頭をよぎり、心臓がバクバクし、手が震えたのを覚えてる。

ico
も、もしもし……!?
ico
あ! もしもし、のんちゃん?

しかも、いつも小さめな声なのに、今日はどこか声が張っている。

ico
ど、どうした……!?

早く! なになに!? もう私の心臓はバクバクMAXだった。

ico
みんなで壱岐に移住しようと思う♪
ico
わかったー。
ico
はーい♪ じゃねー。
ico
はいー。

すごいなぁ。声が張っているだけでなく、弾んでいるではないか!

「あ、今、壱岐ってところにいるんだ。こないだも行ってたっけな」と、こんな感じで未知の土地、壱岐島との出会いが始まったのである。

申し遅れましたが……。

私、勢古口 信子と申します。歳はたぶんみなさんのお母ちゃんくらい。父親が転勤族で九州、大阪を転々とした幼少時代。そして、伝説でも映画の世界でもなく、リアルにバブルの恩恵を受けながら、キラッキラのイケイケな日々を過ごし、某百貨店に入社。

百貨店も花形だった時代で、これまたキラッキラし、なぜだかむちゃくちゃ仕事に燃えた。「キャリアウーマン」という死語でもてはやされ、一回名字が変わり、また戻り、バブル的な感覚が染み付いて抜けず、SATC(「セックス・アンド・ザ・シティ」)なんかにドハマリしたものだから、もっともっとキラッキラでスタイリッシュな生活を求めて東京に移り住み、法人設立。

これまた華やかな交友関係に浮かれまくり、夜な夜な港区あたりへ繰り出し、楽しすぎる生活を送っていた。

 

そして一生独身を決め込み、ロングコートチワワを迎え入れる。

「次はマンションでも買おうかしら♪ もう私の人生ったら完璧!」と浮かれていたのだが、ひょんなことから、またまた名字がかわる。想定外だ。そして私の人生も変わる。

私の人生を変えたのは、この人です。

私の人生を変えた人。ご紹介が遅くなりました。旦那さんです。知る人ぞ知る、知らない人はまったく知らないLIGのせこさん。私、せこの嫁やってます。年の差めっちゃあります。

夫婦で「壱岐島に移住」するまで

私が「島への移住」に対して抱いていたイメージは、

  • リタイヤした夫婦が送る、老後のスローライフ
  • 学生が就職する前にロングバケーションで体験するもの。
  • ナチュラリストの方が好む。
  • 自給自足の生活。
  • 島や田舎は旅行で行く場所で、住むとかありえない。
  • 3日で飽きる。
  • 仕事どうするのよ?
  • テレビの中の話。私とは無縁の世界!

てか、無理でしょ。私はネオンから3日離れると壊れる。

あと景色だけいいとか無理! 美味しいお酒や食事がなきゃ、4日目に暴れる。しかも海鮮だけとか無理! 私はイタリアン、フレンチ、寿司、居酒屋メニューと、素晴らしいサイクルで食を満喫できないなら、それを「生活」と認めない。

ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ

移住に対する頑なな思いが溶けた理由

うちの旦那さんが出会ったときから、事有るごとに口にしていたのは、スペインのマラガのこと。それを口にするときの彼はいつも目が輝いていた。彼はそこで4年近く過ごし、永住も視野に入れていたほどだった。

 

いろいろな事情があって日本に戻ってきたようだが「いつか絶対に一緒に行こう!」と言ってくれた。将来、絶対にマラガに住みたいと思っているのだろう。彼の思いはバレバレだった。

 

そんなわけなので、ほかの地にあまり興味がないのか、旅行とかあまり行かない。だから新婚旅行も行っていない。

ていうか、そんな彼を二泊三日で落とす壱岐ってどんだけよ! 何者なのよ! そんなところ、本当に日本に存在するの!? そう思った瞬間、私は今まで知らなかった「壱岐」をググりまくっていた。

そして、移住しない理由が見つからなかった。

存在したんです。この私を満足させる島が。




ネオンはないけれど、ホタルの光が私のハートを鷲掴みにした。

壱岐の食材とお酒が私を魅了した。

壱岐の海、そして人が私の心を癒やしてくれた。

今まで見たこともない、我が子のこの表情が壱岐の素晴らしさの証。動物は嘘をつかない。

新米女将としての新たな人生



夢にも思わなかった展開だ。旅館とレストランを壱岐でやることになった。人生って本当に何が起こるかわからない。ヤバすぎる……。

「旦那さんの会社、何屋さんだろう」と思っていたら、こんな素敵な事業にも取り組んでいたんだ……。地方ばっかり行って帰ってこないと思っていたら「地方創生」のお仕事をしていたんだ。

しかもビジネスライクではなく、この土地と人を愛し、本気でこの町を、島をどうにかしたいと思っている。他人事じゃないから、こうして移住したのだろう。

そんな志を共にした5人の仲間で現在、奮闘中。島のみなさんに、いっぱい可愛がっていただけるよう頑張ります!

新米女将奮闘記

この場をお借りして壱岐の素晴らしさ、移住のメリット、デメリットなど赤裸々に発信して参ります。そして、新米女将の成長も見守っていただければ幸いです。

言葉や文章では伝えきれない壱岐の魅力を体感しに是非遊びに来てください♪ 私と会いたい方も大歓迎です!
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転勤族の父親のもと、大阪で生まれ3歳から小学校5年生まで九州で過ごし、6年生からまた大阪で過ごし短大卒業後某百貨店に入社。婦人服担当、販売促進部を経て2005年5月に本社営業本部セントラルバイヤー就任のため東京に転勤。2007年3月に世界クルーズ客船のプロデユース、物販物の企画・開発・生産・卸の業務の任務の為商社に出向。2009年12月に退社し2010年8月に今までの経験値を生かし㈱ロコ・プロモーションを設立。2015年10月に勢古口光の嫁に就任し2018年4月壱岐に移住。現在に至る。

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