お初にお目にかかります!2017年の11月からディレクターとして入社したRISHです。
「前職はマーケティングの仕事をしていました。よろしくお願いいたします!」という自己紹介をすると、かなりの確率でこう言われます。「マーケティングやってたんだ!じゃあGoogle Analyticsのアカウント情報教えるからいい感じに解析して売上を上げてよ!」
こんな依頼を受けたときに、押さえておけば大幅に間違えた方向にはいかない鉄板級の「やるべき6つのこと」をご紹介します。
※この記事では、大手自動車メーカーの「サイト解析とそのサイトが抱えている課題を解決してほしい」という依頼を仮定してご説明していきます。
目次
大きく手順は下記の通りです。
1. 数字を見るときは全体に与えるインパクトが大きい順にチェックしよう。
PV、UU、リピーターとあったら、こんな感じです。
PV>UU>リピーター(実際にページが表示された回数>実際にページを見た人数>そのうちのリピーター人数)
車という大きなカテゴリーの中に、ワゴン車があり、日本車があり、トヨタがありますよね?この大きいくくりから小さいくくりに数字を見ていくのが、分析をするときの鉄則です。これをすると、たとえばこんなことが分かったりします。
PVが98PV>UUが14人>リピーター1人だった場合…。
・98PVに対して14人がUUであるという部分は、ある程度妥当性のある数字なので課題はあまりなさそうだ。
・ただ、14UUに対して1人しかリピーターがいないということは、1度ページに訪れたものの、もう1度訪れたいとは思われてなさそうだ。=もう1度見たくなるページになっていないのが課題だ。
これである程度、方向性がずれていないISSUEが見つかりました。余談ですが『ISSUEからはじめよ』って本、おすすめです。
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
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- 出版日2010/11/24
- 商品ランキング580位
- 単行本(ソフトカバー)248ページ
- ISBN-104862760856
- ISBN-139784862760852
- 出版社英治出版
2. 課題がある指標が分かったら時間軸で分析してみよう。
では、リピーターを増やすにはどうすればいいのでしょうか?置かれいる状況が違えば対策も全く違うので、常にこれをすればいいとは言えません。課題を行うには、その課題を深く理解する必要があります。
そこで僕がおすすめする方法は、時間軸を入れて問題がある指標を見てみることです。もちろんここでも以下のように、大きい数字から小さい数字の順に見ていきます。
一年を通してリピーターの増減はどうなのか?
・1ヶ月ではどうだろうか?
・1週間の曜日ごとではどうだろうか?
・さらに、1日24時間ではどうだろうか?
ここまで分析すると。たとえばこんなことが分かってきます。
・1年では6月と12月にリピーター率が上がっている。
・1週間では土曜日と日曜日だ。
・その中でも20時以降の夜にリピーター率が高い。
3. 「1」と「2」ができたら考えられるストーリーをいくつか想定しよう。
ここまでは事実を整理する仮定でした。ここからはクリエティビティが必要となってきます。
・1年では6月と12月にリピーター率が上がっている。
ボーナスが支給される月だ。
・1週間では土曜日と日曜日だ。
家族が休みの日と関係がありそう。
・その中でも20時以降の夜にリピーター率が高い。
移動中にサクッと、というよりはじっくり見たいようだ。
上記のよう形で、見えてきた定量的な事実に対して、より定性的な根拠を肉付けしていきます。
4. できあがったストーリーに「なぜ?を最低3回繰り返して」ロジカルにしてみよう。
これはコンサルの会社とかでよく使われるものなのですが、何か一つのストーリーがあったときに「なぜ?」を最低でも3回繰り返すと、問題をより深く理解することができます。
・1年では6月と12月にリピーター率が上がっている。
なぜ1回目:ボーナスが支給される月になぜリピーター率が上がるのか?
↓
車は通常高額な買い物のため、普段より収入が多くないとなかなか買いにくい。高い買い物になるので、しっかりと納得をした上で買いたい人が多い。その時期にどの車を買うか検討し、しっかりとしたリサーチをするため、リピータによる訪問が増える。
なぜ2回目:なぜしっかりとしたリサーチをする必要があるのか?
↓
実際に購入をしてから、自分の生活スタイルには合わないスペックの車だった。などの失敗をしたくないからだ。
なぜ3回目:なぜ車を買う際に失敗をしたくないのか?
↓
満足できない車を買ってしまった場合、その車を買うのにかかった費用がフルに生かされない気分になり、その車を使う人の時間も質も低いものになってしまう可能性が高いからだ。
・1週間では土曜日と日曜日にリピータ率が上がる。
なぜ1回目:家族が休みである週末にリピータ率が上がるのはなぜか?
↓
車を使うのは、購入者のみでなく、その家族も含まれる。どんな車がいいのかをしっかりとすり合わせる必要があるからだ。
なぜ2回目:なぜ購入者と使用者とで、どんな車を買うのかすり合わせる必要があるのか?
↓
これは複数の要素がありそうだ。
・家計の財布のひもを握っているのが妻の場合は、予算感を把握しているため、夫からの要望を聞き、予算感にあった車を探す必要があるため。
・夫が家族の生活スタイルをあまり考えず、スポーツカーを買おうといい出した時に食い止めるため。
・購入者と使用者で、ワゴン車やセダン車などの形、色などの好みが違うため。
なぜ3回目:この場合は「なぜ分析2回目」で出てきた点をもう一段階深掘りしてみましょう。
・なぜ予算感を夫婦間で釣り合いのとれた車を探す必要があるのか?
→予算感を考えず高い買い物をしてしまうと、最悪、破産する恐れがあるため。
・なぜ家族の生活スタイルを考えた車を買う必要があるのか?
→たとえば4人家族なのに2人乗りのクーペを買った場合、家族全員の移動ができなくなってしまうため。
・なぜ使用者の車の好みをすり合わせた上で車を買う必要があるのか?
→誰か1人の好みを押し通して車を買い、その車を使う別の人物がその車を好まない場合「なぜ自分の意見を聞いてくれなかったのか」となり、その後の人間関係に影響するため。
・その中でも20時以降の夜にリピーター率が高い。
なぜ1回目:なぜ移動中にサクッとというよりは、じっくり見たいのだろう?
↓
情報収集には時間が限られた移動中よりは、しっかりと時間をかけて見たいからだ。且つ、家族会議のような形で、車を使う人が集まっている場で情報収集をしたいからだ。
なぜ2回目:なぜ情報収集は時間をかけてゆっくりしたいのか?
↓
落ち着いた環境で、適宜なポイントを紙にまとめたりしながらどの車を買うのか検討したい。
なぜ3回目:なぜ適宜なポイントを紙にまとめながら、どの車を買うのか検討したいのか?
↓
車を買うに当たって検討事項が多く、且つ、それぞれの好みも違うため、分かりやすい形で残したいためだ。
ここまでの「なぜ分析」の結果…。
・車は高い買い物になるので、ボーナスが入ったタイミングで買い換えようと考える人が多のだろう。
・払った価格に対して、自分を含め、その車を使う全員が、満足できる車が欲しいだろう。
・車を使う全員の好みや、どのスペックの車が必要かなど検討事項が多いのは事実。
という背景が見えてきました。
5. 「4」ででき上がったストーリーに対して理想の形と、現状の差分を定義しよう。
ここまで深掘りを進めてくると、一番はじめの目的を見失いがちになるので、この辺でもう一度問題を再確認してみましょう。
- ここまでのおさらい
- 現状の課題
・車を買おうとしている人が、もう一度見たくなるページになっていない。現状のリピーターの動向:
・1年では6月と12月にリピーター率が上がっている。
・1週間では土曜日と日曜日だ。
・その中でも20時以降の夜にリピーター率が高い。考えられるリピーターの状況:
・車は高い買い物になるので、ボーナスが入ったら買おうと考える人が多い。
・払った価格に対して、自分を含め、その車を使う全員が、満足できる車が欲しいだろう。
・車を使う全員の好みや、どのスペックの車が必要かなど、検討事項が多いのは事実。
・失敗を避けるためにサイトを訪れしっかりとしたリサーチをしたい。と考えるユーザーが多いだろう。
ここまで再確認できたら、考えられる状況におけるサイト上での理想的なコミュニケーションと、現状のサイトとの差分を定義していきます。
- 現状のサイトとの差分
- 状況:車は高い買い物になるので、ボーナスが入ったら買い替えを検討する人が多い。
理想:ローンを組んだ場合の毎月の支払いイメージなど予算感が分かりやすくまとまっていること。
差分:ローンシュミレーターが入っていなく、頭金をいくら入れれば毎月◯万円のご請求程度の情報しかない。
状況:払った価格に対して、自分を含め、その車を使う全員が、満足できる車が欲しいだろう。
理想:同じ車種でもモデルのランクやオプションで装備した項目のオン・オフでいくら価格に違いが出て、
何を期待できるのかが分かりやすくまとまっていること。
差分:オプションの一覧が列挙されているのみで、総額いくらかかるのかは、自分で計算しないと分からない。
状況:車を使う全員の好みや、どの程度のスペックの車が必要か?など、検討事項が多いのは事実。
理想:そもそも検討する項目が何なのかが明確に分からないところから購入の検討を始めるので、そういった部分のヒアリングをしてもらえるか?コンテンツとしてまとまっているものがあるとベスト。
差分:カスタマージャーニーマップを設計して、ユーザーが車を買うまでに起きうる状況ごとにコンテンツが展開されていない。
6. 「5」ででき上がった差分を埋める施策がそのまま「提案」に。
お疲れ様でした。理想に対しての現状と、その差分が見えてきたら、その差分を埋める施策を立てればそのまま「提案」になります。イメージとしてはこんな感じです。
「理想」ー「現状」=「差分(伸びしろ→これが課題に対しての提案)」なので、先程の例に提案を追加すると以下のようになります。
- 提案の例
- 状況:車は高い買い物になるので、ボーナスタイミングで買い替えを検討する人が多いだろう。
理想:ローンを組んだ場合の毎月の支払いイメージなど予算感が分かりやすくまとまっていること。
差分:ローンシュミレーターが入っていなく、頭金をいくら入れれば毎月◯万円のご請求程度の情報しかない。
提案:ローンシュミレーターを新たに実装して、ユーザーが費用面を検討しやすくし、訪問者のリピータ率を上げよう。状況:払った価格に対して、自分を含め、その車を使う全員が、満足できる車が欲しいだろう。
理想:同じ車種でもモデルのランクやオプションで装備した項目のオン・オフでいくら価格に違いが出て、何を期待できるのかが分かりやすくまとまっていること。
差分:オプションの一覧が列挙されているのみで、総額いくらかかるのかは、自分で計算しないと分からない。
提案:各車種のページに、オプション装美をチェックボックスでON/OFFして、デザインの変化などがリアルタイムで確認できる機能を実装して、ユーザーが納車時のイメージをしやすくすることで、訪問者のリピータ率を上げよう。状況:車を使う全員の好みや、どの程度のスペックの車が必要か?など、検討事項が多いのは事実。
理想:そもそも検討する項目が何なのかが明確に分からない所から購入の検討を始めるので、そういった部分のヒアリングをしてもらえるか?コンテンツとしてまとまっているものがあるとベスト。
差分:カスタマージャーニーマップを設計して、ユーザーが車を買うまでに起きうる状況ごとにコンテンツが展開されていない。
提案:どんなときに最も車を使うかという想定で、他の車ではなくてこの車がいいと思うのはなぜか?といった部分をユーザーの中で整理しやすくなるコンテンツを展開して、サイトに戻ってきたくなる仕組みを作ることでリピータ率を上げよう。
まとめ
ここまで提案内容が固まれば、あとは説明する相手に合わせて、資料にまとめるなり、力説するなりしてクライアントや上司に展開していきましょう!それではまた!
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