こんにちは! Web ディレクターの ちゃんれみ です。
ここ数年で「オウンドメディア」という言葉をよく聞くようになりましたよね。
LIG の Web 制作事業部でも、これまでたくさんのオウンドメディアサイトの制作を行ってきました。
今回はその経験を通して学んだオウンドメディアサイト本体を制作する際に意識すべきポイントを「サイト制作」「コンテンツ登録」「運用」の3つに分類し、ご紹介していきたいと思います。
特に要件定義などプロジェクトの上流工程で意識しておくべき点をまとめました。
※今回は一般的なサイト制作で行うターゲットやゴール、コンセプト策定や制作工程などは割愛しています。
※CMSはWordPressでの実装を前提としています。
※ライティングや写真撮影など、記事コンテンツの制作については下記の記事などをご覧ください。
目次
はじめに
オウンドメディアとは
オウンドメディア(英: owned media)とは、自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト、ブログなど企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体を指す。
出典:Wikipedia
つまり、自社で消費者(ユーザー)に向けて情報発信をするためのブログや記事コンテンツ機能を持ったサイトのことです。この LIG ブログもオウンドメディアに分類されます。
本当にオウンドメディアが必要ですか?
SEO 対策やブランドの認知拡大など、オウンドメディアを立ち上げる理由はさまざまですが、サイトを立ち上げてすぐ期待した効果を発揮するとは限りません。オウンドメディアで一定の効果を発揮するには、上質なコンテンツを中・長期に渡って配信し続けること、サイトの分析・施策を繰り返し改善を行っていくことが必要になります。
今クライアントが抱える課題に対して、本当にオウンドメディアが最適かどうか、効果が見込めるまで運用をし続けられる体制が整っているかどうかなど、事前に把握・検討しておく必要があります。場合によっては LP(ランディングページ)の制作、他社メディアへの出稿など別の提案をすることもあります。
1.サイト制作
記事分類
オウンドメディアで取り扱う記事の分類を決めます。分類によって表示する情報が異なったり、独自の機能が必要になる場合があるので、事前にパターンを洗い出しておく必要があります。
例えば LIG ブログの場合、こんなものが挙げられます。
- 単発の記事
- 連載
- PR記事(記事広告)
記事の一覧表示・絞り込み条件
オウンドメディアでは、ユーザーがサイト内で記事を見つけやすくするため、分類だけでなく、さまざまな方法で記事の検索や一覧を抽出できるようにする必要があります。
例えば LIG ブログの場合、こんな条件が挙げられます。
- 新着記事
- カテゴリー
- タグ
- ライター
- 殿堂入り
- 連載
- キーワード
他サイトでも「記事の閲覧数ランキング」といったものを見かけますよね。
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オウンドメディアに訪れるユーザーの多くが、検索エンジンや SNS のシェアを入り口に、サイトのトップページからではなく、記事の詳細ページからサイトの閲覧をはじめます。記事の詳細にたどり着いたユーザーに対して、よりたくさんの記事を読んでもらうため、関連する他の記事を表示する仕組みが必要になります。
関連記事の実装には、「独自で開発する」「 WordPress などのプラグインを活用する」「レコメンドエンジンサービスを導入する」など、さまざまな方法があります。
SNSの選定・設計
オウンドメディアでは、よりたくさんの人に記事を読んでもらえるよう、記事のシェアを促す SNS ボタンを設置します。
技術系の記事がメインであれば、制作者のあいだで多く使われている「はてなブックマーク」や「 Pocket 」を、親しい友人同士で共有することが多い記事がメインであれば「LINE」などなど、メディアの特性やターゲットに合わせて設置する SNS ボタンの選定を行います。
さらに正しい情報がシェアされるよう、SNS のフィードに表示される画像や文言など( OGP 情報)の設計も合わせて行う必要があります。
SEO対策
オウンドメディアに期待する効果のひとつとして、広告費などの金銭的なコストをかけず恒久的な流入を見込める、オーガニック検索からサイトに訪れるユーザーの獲得が挙げられます。キーワード選定や SEO ライティングについては記事コンテンツ制作で担うとして、サイトの軽量化やスマートフォン最適化、Google が推奨する AMP 対応など、サイト制作側で行う SEO 対策もしっかり押さえておきます。
機能の可用性
たくさんの記事を配信するオウンドメディアサイトでは、すべてを機能的にテンプレート化してしまうと、記事の表現に制限をかけることになってしまいます。
例えば LIG ブログでは、記事本文の装飾は HTML を使って書くようになっています。さらに HTML の知識がなくてもカンタンに記述できるよう、タグの入力補助機能を備えています。
こんなカラフルな文字も書けるし、
人物紹介:ちゃんれみ 名古屋生まれのデザイナー出身ディレクター。LIG ではチームリーダーとディレクターユニットのリーダーを兼任。三十路を目前に、そろそろ「ちゃんれみ」ってニックネームも厳しいなと思い始めた 29 歳。 |
こんなレイアウトのパーツを好きな場所に入れることもできます。
また、サイトの改修・改善をできるだけ早いサイクルで回せるよう、後々の改修がしやすい、可用性のある機能設計が必要となります。
ユーザー管理
オウンドメディアサイトでは、クライアントの Web 担当者だけでなく、編集者や外部ライターなど、さまざまな職種・所属の人が記事の入稿を行うことがあります。
そのため、記事の編集や公開できるユーザーを限定したり、権限によって表示できるメニューを制限したりすることが多くなります。なので、事前に関係者の把握とユーザー権限の定義をしておく必要があります。
サーバー設計
メディアサイトでは急激に SNS でバズったり、キュレーションアプリに取り上げられたりした際に、突然膨大なアクセスを集める場合があります。それは嬉しいことなのですが、急激な負荷がかかりサーバーがダウン……なんてことになったら、せっかくのバズも機会損失を生む原因になりかねません。
そのため、想定される最大 PV 数をあらかじめ予測し、運用コストを見据えた上で、それに耐えうるサーバー設計を行う必要があります。
サーバー以外にも、Web フォントや API など、アクセス数に応じて課金制のサービスも多いので、導入前にオウンドメディアの成長やバズなどを見据えた設計を行います。
2.コンテンツ登録
オウンドメディアは、サイト本体の制作だけでは公開することができません。一定の記事コンテンツが揃って、やっと公開できるのです。ディレクターは、それを見据えたスケジュール作成や進行管理をする必要があります。
続いては、コンテンツ登録でディレクターが意識するべきことをご紹介します。
記事コンテンツ制作体制の確認
記事コンテンツの制作方法は複数あり、「クライアント社内で制作する」「外部ライターをアサインする」「コンテンツ配信サービスを利用する」などさまざまです。LIG では Web サイト本体の制作と、記事コンテンツ制作の両方を一貫して行うことができるので、両方まとめて制作会社におまかせって場合もあります。
いずれもメディアの特性や予算に合わせて、継続的に運用できる方法をクライアントと相談の上、決める必要があります。
入稿スケジュールの確保
他のサイト制作では、公開直前まで機能実装やデバッグを行うことも少なくないですが、オウンドメディアサイトの場合は、公開前に必ず記事データの登録を終えている必要があります。LIG ではこの記事データの登録を「入稿」と呼んでいます。つまり、ギリギリまで機能実装をしていると、入稿をする時間がなくなってしまうのです。
あらかじめ公開時の記事数と記事コンテンツ制作のスケジュールを把握し、それに応じた入稿スケジュールを確保します。
入稿する人の把握
編集者やライターなど、複数の人が入稿する場合が多いオウンドメディア。HTML の知識や画像加工のスキルにも個人差があります。
入稿対象者は何人ぐらいで、どれぐらいのリテラシー・スキルセットかを事前に把握し、それに合わせた入稿方法・スケジュールを検討する必要があります。
3.運用
冒頭でも触れましたが、オウンドメディアサイトは公開して終わりではありません。中・長期的に更新・改修をしていく必要があります。
3 つめのポイントは、公開後の運用を見据えて意識するべきことのご紹介です。
広告について
オウンドメディアを運用する目的のひとつとして、広告やアフェリエイトからの収入が挙げられます。
ひとくちに「広告」と言っても、「ディスプレイ広告」「インフィード広告」「記事広告」など さまざまな種類があり、その選定だけでなく、設置レイアウトの検討も必要となります。
その際、過度な広告は記事の視認性やユーザーの体験を損なうおそれがあるので、クライアントの意向とユーザー心理の両方から方向性を決めねばなりません。
集客方法の検討
オウンドメディアサイトを公開しても、勝手にユーザーが集まってくるわけではありません。Google などのオーガニック検索からの流入を獲得するには時間がかかる場合が多いため、メディアが軌道に乗るまでの集客方法を検討する必要があります。
「地道に SEO 効果を狙う」「リスティングや SNS 広告を利用しつつ、オーガニック検索の数が増えてきたら徐々に広告を減らす」など、その方法もさまざま。さらにメディアサイトの特色として、広告だけはなく SmartNews やグノシーなどのキュレーションアプリ・メディアも重要な集客ツールとなり、チャンネルの開設やそれらに対応した RSS フィードの用意などが必要になります。
分析方法の設計
しつこいぐらいに繰り返しますが、オウンドメディアは公開後、分析と施策を繰り返し、改善を続けていくことが重要となります。
その分析に利用する Google アナリティクスなどのツールの導入や、「どのような数値を取得する必要があるか」「効果指標はどうするか」についての設計を行います。
自論ですが、ちゃんれみはレポーティングや施策・改善のフローまで考えて、やっとオウンドメディアサイト制作の設計と言えると思っています。
さいごに
11 期目に入った LIG では、10 年に渡ってオウンドメディア運用を続けてきたこともあり、入社後、メディアサイト制作に携わらせていただく機会が多くなりました。今後も LIG ブログでの経験を活かし、さまざまなオウンドメディアサイト制作をしていきたいです!
それではまた、ちゃんれみでした!
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