ぽかぽか暖かい春の陽気に誘われて、いつもより開放的になるこの季節。「春は変質者が出るから気をつけてください。」って小学校の時に言われたことを思い出します。
一冊の本が届きました
以前サイハテ村に遊びにきた方から「日々の暮らしにお役立てください! 」と、一冊の本が送られてきました。本をプレゼントされるなんて事あまりないので素直に嬉しいです! 本のタイトルは「葉っぱのぐそをはじめよう」。
……。
どういうことだろう?
原始人的な暮らしをしていると思ってる? はたまたサイハテ村に対する新手の挑戦状なのか?
読んでみました
本の帯には、 「ノグソを始めて43年、ついに見えた命の真理」とあります。あやしさ満点ですが、せっかく送っていただいた本なので読んでみたいと思います。
・
・
・
これ……やばい……。
野グソ愛しすぎてるガチの人だ。著者伊沢正名氏のプロフィールには、1974年より野グソをはじめ、1990年には伊沢流インド式ノグソ法を確立。これまでにした野グソは1万3600回を超えると。
現在のし尿処理の問題とは?
- 1人が1日にするウンコの量は200〜300g、日本全体では1年間でおよそ1,000万t
- 水洗トイレに流したウンコは、多くの設備や処理に膨大な資源とエネルギーを必要としている
- 震災など災害時には、現在のし尿処理施設が機能停止し、衛生問題になる
- 焼却灰はコンクリートに固められたり埋め立てられたりして、生き物の世界には戻ってこない
本来なら、食物連鎖のごとく命が循環することで自然界はバランスを取っています。人間や動物が食べた野菜や肉はウンコになり、それを微生物や菌類が食べ、そのウンコを植物が食べて成長し、また人間や動物が食べる。
自然と切り離された現代のライフスタイルが及ぼす環境破壊・生態系の破壊は、どうやら私たちが毎日何気なくしている排泄活動にも深く関わっているというものでした。
環境意識からウンコ美学へ
最初は環境意識から野グソを始めた伊沢さんでしたが、どうやら「ウンコを自然に還す」という行為の探求に目覚めていきます。正しい野グソの作法から始まり、究極のウンコ持ち帰り法、ウンコ原理主義、法律問題など、13,600回を超える野グソ体験から様々なメソッドを体系化されていて、これから野グソを始める方には申し分ない内容です。
連続野グソ記録は13年と45日
伊沢さんの連続野グソ記録は、2000年6月1日から2013年7月15日までの13年と45日=4793日にも及びます。そして21世紀に入ってからの16年間で、トイレでウンコしたのはたったの9回というから驚きです。
お尻で見る葉っぱ図鑑88種
野グソをしていて困るのがお尻の処理でしょう。分解しにくいトイレットペーパーやティッシュは使わず、自然に還るものを選び続けた伊沢さんはここでも野グソの美学を探求していきます。
- 安心して使える大きさと丈夫さ、質の柔らかさ
- 尻触りの良さ
- ウンコをしっかり吸着する拭取力
だんだん野グソをしたくなってきたのは自分だけでしょうか?
野グソしてみた
まずは葉っぱ図鑑を見ながら、尻心地の良さそうな葉っぱを選んでみました。
「あ! ここにもある!」
「これ尻心地良さそう〜!」
サイハテ村に滞在中のゲストさんとサイハテ村を散策している風景はきっとほのぼのしているように写っていますが、もう頭の中は野グソのことでいっぱいです。
彼が丸めているのは通称「草だま」。ハコベとオオイヌノフグリなどをちぎって丸めて作ります。
こちらはタンポポ。贅沢にもこの可愛い花の部分をあてがって使います。「ティッシュにも勝るとも劣らない」という葉っぱたちが未知なる世界に誘ってくれているよう。こうなれば「お互い最高の野グソをしよう!」となるのは時間の問題でした。
最高のフルコースを目指して
みなさんはウンコをした後、お尻は何回拭きますか? 僕は3回です。3回の「お尻拭き」でどれだけ機能性と幸福度を味わうことができるのか? さながらお客を満足させるフルコースを考える一流料理人のような気分になりながら、僕が選んだのはこの3品。
一品目は「トスカーナ産白トリュフ風の小石」
二品目は「国産牛フィレ肉のポワレに合わせたくなるようなミント」
三品目は「季節の葉っぱとタンポポのムース似」
まずは安心感のある小石で80%以上の拭き取りを狙います。続いてミントで95%以上の拭き取りつつ香りづけ、最後に小石のダメージを和らげる癒しのタンポポ効果で最高の野グソをサーブします。
こちらはゲストさんのフルコース。
一品目は「イベリコ豚のベーコン風木の皮」
二品目は「フン・ド・ヴォー草玉」
三品目は「犬の散歩道に咲いてる花」
戦略的には似たフルコースに仕立ててきましたが、三品目のヒメオドリコソウが犬の散歩道に生えていたことは触れないようにしました。果たしてこのフルコースを体感した時にどんな感情が溢れ出すのか……。
フルコースを味わう
いよいよフルコースを味わう場所を探します。伊沢さんがオススメするのは林の中。確かに人に会うこともないですし、安心して野グソをすることができそうです。
野グソの場所が決まったら、直径20cm、深さ5〜10cmくらいの穴を掘ります。林の土は柔らかいので靴のつま先でも簡単に掘れました。
いよいよです。
待ちに待ったこの瞬間! 最初の低いテンションはいずこに。もう野グソの虜だと大声で叫びたい!!
高まる気持ちとは裏腹に、身体は適度な緊張感を保っていましたが、鳥の鳴き声や葉がカサカサ揺れる自然の音を聞いてるうちに、自然と一体になる感覚に包まれていきます。
・
・
・
もはやここは楽園と言ってもいいかもしれない。おもむろに取り出したのは最高のフルコース。一品目は「トスカーナ産白トリュフ風の小石」手に馴染む絶妙のサイズ感と多面体の利点を生かしピンポイントで90%ほどの拭き取りに成功。二品目は「国産牛フィレ肉のポワレに合わせたくなるようなミント」いわゆるただのミントですが、拭いた途端スーッと風が抜けたような心地よい爽快感!ウンコの香りに負けじと空間をミントの香りで満たしてくれます。三品目は「季節の葉っぱとタンポポのムース似」予想通り小石のダメージが少し残っていたのですが、タンポポのふわふわで優しさに包まれながら最後の余韻にひたることができました。
こちらも至福をかみ締めているようです。
一品目は「イベリコ豚のベーコン風木の皮」拭き取りキャパが広いおかげか、ウンコが手につく心配なく拭き取れたようですが、少し硬さが気になったそうです。二品目は「フン・ド・ヴォー草玉」草をつぶすことで適度のウェット感があり、さらには使い慣れてる形状もあいまって、拭き取り感が最高だった! とあつく語ってくれました。三品目は「犬の散歩道に咲いてる花」小さい頃このヒメオドリコソウの花の蜜を味わったことがある方も多いはず。まさか大人になってお尻を拭くことになるとは……と、過去から今につながる深遠なる神秘に酔っているご様子。(犬の散歩道にあった事は死ぬまで秘めていようと思います。)
最後の後始末
最後は掘った土を戻し、分解する前にまた同じところを掘ってしまわないように、またウンコが一カ所に集中して生態系に悪影響が及ぶことを防ぐため、木でバッテンの印をしておくのが野グソのマナーとのこと。最高のレストランで最高のフルコースを味わい、支払いはウンコで。という自然の循環を最大限に味わう野グソはまさに排泄の美学に溢れていました。
・
・
・
今回の体験を終え、一言言わせてもらえるなら、
男になれた。
ということでしょうか?
〜fin〜
サイハテ村のHPはこちら三角エコビレッジサイハテ