まいどおおきに! STUDIO上野 by LIGのよーこやで!
先日おこなわれた「Designers Meetup #1 チームにおけるデザイナーの働き方」に参加してきたで! 「所属問わずデザイナー同士がもっと交流をする場」として、勉強会よりもカジュアルな、パネリストと参加者の皆さんとの間に敷居のないイベントになってて、LIGがやってるWebデザイナーのスクールもSTUDIOの受講生と一緒に覗かせてもらったんや。
そしたら早速やけど、イベントレポートに移らせてもらうな!
それぞれチーム規模が違うパネリストの紹介
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カワマタさとし:Goodpatchに所属するデザイナー兼プロジェクトマネジャーを担当。富士通デザイン株式会社からキャリアをスタートし、2015年8月にGoodpatchへジョイン。現在は、Goodpatch第二弾プロダクトでグッドデザイン賞を受賞した「Balto」のメインデザイナーとして日々開発している。個人でもスタートアップ立ち上げなどのデザイン活動をおこなっている。ポートフォリオサイトはこちら。 |
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小出誠也:CGデザイナー、フリーランス、映像ディレクターなどを経て、2012年5月にKLab株式会社のアートディレクターとして入社。業務推進力とマネジメント力が評価され、入社1年でクリエイティブ部長、2014年4月には過去最年少で執行役員に就任。2015年3月にはマーケティング部長を兼任し、複数の部門の組織マネジメントをおこなうなど、幅広いシーンで活躍。 ヘルスケアベンチャー「FiNC」でもCCOクリエイティブ部長として組織運営をおこないながら、ブランディング、サービスデザイン全般を主導 |
佐藤タカアキ:2014年2月にLIGに入社後、2年ほどLIGブログを中心に撮影から合成等のビジュアルデザインをむちゃぶりに耐えながら一人で担当。「個人をメディアとして考える」をテーマにLIGブログを通しての社員ブランディングに取り組む。2016年以降は自社開発チームのデザイナーとして、Web・アプリ・グラフィックなど幅広く担当 |
デザイナー視点から考えるチームマネジメント
各自のマネジメントは各自でおこなう、オーナーシップ組織とは
ー まずは、みなさんのお仕事環境についてお伺いします。現在、みなさんはどのくらいのチーム規模で働いていらっしゃるのでしょうか。
小出誠也(以下、小出):僕はチーフクリエイティブオフィサー(CCO)で、現在はFiNC自体の社員数は150名くらいでデザイナー5人の、動画クリエイター2人と小規模です。
カワマタさとし(以下、カワマタ):入社したときは受託制作のチームでプロジェクトマネージャー(PM)兼デザイナーだったのですが、お客様含めて6人でした。その後、「Balto」という新規事業の自社プロダクトに関わるチームになって、現在はデザイナーは僕だけでメンバー数は4人ですね。PMも兼ねてるのでプロダクトをどう作っていくかを考えながら、デザインも担当している立場です。
佐藤タカアキ(以下、タカアキ):入社時は主にLIGブログを運営するメディア事業部にいて、LIGブログに関わるデザインはほぼ1人で対応していて、今は受託チームはデザイナー1名とエンジニアで合わせて7,8人のチームになりました。仕事内容はLIGブログ以外にもコワーキングスペースや、セブ島のコワーキングスペースの看板だったり、Photoshopを使えばこんなことができるよっていう記事広告のクリエイティブを作ったりしていました。
マネジメントを必要としない組織!? 理想とする自立する組織
ー それぞれが思い描く「デザイナーが働く理想のチーム」はどういうチームでしょうか。
カワマタ:僕は各自が働きやすいチームが一番いいチームだと思っています。つまり「各自が自立したチーム」です。各自がオーナーシップを持ち、意思決定をできれば、働きやすい環境だと思います。良いチームを作る条件は一緒に働いてくれる人が僕が何も言わずとも”どう自立して”、”どのように自分で考えてくれて勝手に動いてくれる状態を作るか”、それができるのが理想のチームかなと思います。
タカアキ:感覚ですけど”背中合わせのチーム”がいいですね。イメージは背中合わせで円のようなチームが良いと思っている。僕は職種が被ることはなかったので、みんなが外を向いてそれぞれが信じることや自分のプロフェッショナルを進んで、ダメなときはみんなでカバーする。小さいチームなんだからどんどん外に進んでいこうよっていうのが理想です。
小出:理想のチームは、カワマタさんがおっしゃるチームかなと思いますが、なかなかそうはいかない。1番大切なことは、”楽しめるかどうか”なんです。自由とか余裕とか気持ちが良いとか…とにかく楽しいという気持ちで仕事ができていると「良いアウトプット」が出てくるんです。
デザイナーのやるべきことは関わる人の体温を上げること
ー チームで働くときに大切にしていることはありますか?
カワマタ:一緒に働くエンジニアがどれだけモチベーション高く実装してくれるかを一番重要視してますね。実装してくれるエンジニアの体温を上げることが、デザイナーのやるべきことで役割だと思っています。結局、作りたくなるような職人魂をくすぐるような作品が大切かなっと思いますね。もちろんユーザーが一番であることは大前提ですけどね。
ー なるほど。メンバーのモチベーションを上げるために、すぐに現場で使えることはありますか?
カワマタ:とにかく「褒める」ことですね。実装物に対して「これは、いいですねっ!」っていう。体温を上がるでしょう(笑)。自分がデザイン出したときにそう言われると嬉しいし、気持ちがイイですからね。
ー ひとりのデザイナーとして、一番大事にしていることは?
小出:商業的に”いいクリエイティブを作るのは80点”でできると思っています。でも、その先を目指そうとすると、本質的なことを目指さないといけないんです。常に商品の背景や詳細に対して”何故だろう””どんな意図があるのだろう”と考える癖をつけることを大事にしてます。例えば、ここに”缶ビール”があるとします。この缶ビールに対して、「どういう味がしますか?」「このデザインはどういう意味があるのですか?」など、クライアントに詳しく聞くと思います。
タカアキ:僕はまだデザイナーとして歴が浅いので、プロ意識を持ちつつ、丸く収まらずに自分を伸ばしていくのが大事だと思います。最近は”属人化されたデザイン”についてよく考えます。プロのデザイナーとして考えると、属人化ってよくないことです。しかし一方で、今は個人の発信力が強くなっているので、AIが発達してきたら、本格的にAIが発達してきたら、ビジュアルデザインは「こういう案件があるからこの会社のあなたにお願いします」というように個人単位で仕事をもらうようになるのではないかと考えてます。
ー デザイナーの属人化については、どのように感じていますか?
カワマタ:以前、ほかのデザイナーに「自分の色を消すのがプロ」だと言われたことがありました。僕はデザインで自分の色を出すタイプなのですが、そのデザイナーにはその人なりの哲学があって「ユーザーに向いて自分の色をできるだけ消して、デザイナーがやるべきことにフォーカスしなさい」ということだと理解しました。どちらが正解ではなく、「自分はどこで力を発揮できるデザイナーなのか」を把握しておくことが大事だと思います。
役割は最低限やるとして、1つのモノを作るにあたっては同じ志でありたい
デザイナーだからというセクショナリズムは淘汰したい。なぜなら目指すゴールは同じだから。
ー チームの中でのデザイナーの役割とはなんでしょうか。
小出:デザイナーだからというセクショナリズムは淘汰したいんです。役割は最低限やって、1つのモノを作るにあたっては同じ志でありたいです。自分の役割を超えて発言して「できることは全部やりましょう」と考えるべきです。チームのゴールは良いデザイン・プロダクトを作ること。エンジニアやデザインとか関係ないと思うんですよね。
カワマタ:小出さんの考え方に似ていて、僕はモノを作るひとはみんなデザイナーだと思います。線引きはなくて、肩書きをデザイナーとしているのであれば、チームをモチベートすることが大事です。デザイナーは、ビジュアルでテンションを上げるべきなんですよね。エンジニアは、コードでテンションを上げる。視覚的に目で見てテンションを上げるのがデザイナーだと思うんです。
小出:そのとおりですね。最近では、情報が簡略化されていて目に入るものだけで情報をキャッチアップする時代に、サービスの本質をデザインできるひとが眺望されます。またこれからモノごとを設計できる人間は貴重になり、市場価値が高くなりますね。
関わる人数のコミュニケーションでアウトプットの質に違いが出る
ー デザイナーが働きやすい環境を作るためには、どんなことが必要だと思いますか?
小出:意思疎通をしっかりするために直接的なコミュニケーションを取ることが大事です。プロジェクトに関わる人数が多ければ多いほど、コミュニケーションによってアウトプットの質に違いが出てくると思いますね。
タカアキ:僕もチームが別のオフィスだったときはチャットでコミュニケーション取ってましたけど、テキストベースでは温度感に誤差が生まれるんです。苦手だと感じる人こそ、リアルなコミュニケーションは取るべきだと思います。
ー リアルなコミュニケーションは大切ですね。例えば、自分がチームを作るとしたらどういう人と働きたいですか?
小出:自分ごとに捉えられる人と働きたいですね。一緒に働いている以上は小さなことでもフォローすべきなんです。”一言声を掛ける””やりきる””コミュニケーションの格差を埋める”ことを意識するだけで、アウトプットやプロダクトが違ってくると思います。
カワマタ:周りを喜ばせて、ワクワクを伝染できたらと思っています。どういう人と働きたいかを考えて、理想の像を思い浮かべて自分を投影する。具体的には、明るい、愚痴を言わない、二人でご飯に行っても面白い、きまずくない、とか(笑)
タカアキ:「こういう人と働きたい!」という思いに人は集まるものだと思っていて、僕は”何ができて、何をやりたいか”を発信するデザイナーに興味がありますね。興味がある人は、実際にTwitterで絡んだりします。
会場からの体当たりの質疑応答
ー 自分のデザイナーとしてのオーナーシップが、デザイナーの枠に押し込められてしまうのですが、みなさんはどうでしょうか? どの段階からデザイナーが積極的に前に出ていきますか?
タカアキ:LIGの受託制作は、お客様との初見からディレクターとデザイナーが立ち合います。自社のコンテンツ制作だと、広告担当や記事編集担当者がディレクションをおこなう上で意見やアドバイスをしています。
小出:FiNCの場合は、プロジェクトのスタート時から関与しています。受託制作の会社では、入りづらい場合もあるけど、個人の能力が足りないと捉えられてしまう場合がありますね。なぜ、自分は任せられないかなと考えてみてもいいかもしれません。
カワマタ:Goodpatchでは、受託制作はお客様の要望を受けるヒアリング時からチームで立ち合っています。お客様の前に出ることは大事です。デザイナーがディレクターからお客様情報の共有を受けるのも、既に加工されている二次情報です。お客さんからしても作り手の顔が見えることは、結果的に良いアウトプットにつながりますから。
ー いいものを作ろうとする反面、どうしても作業工数とお金のバランスが気になりますが、チームとの関わりを含めてどのように考えられているか教えてください。
小出:チームの関わり合いは、経営者視点の考えを1個1個ブレイクダウンして自分ごとに捉えてもらえるようにすることが重要です。会社が事業をやってる上でお金ってついてまわるものです。いちデザイナーとしても、会社がどれくらい売り上げていて、人件費はどれくらいかかっているのか、自分がどれほどのアウトプットをして稼げばペイできるのかという経営者視点で考えることが非常に大事だと思います。
カワマタ:チームへの関わり方という部分ですが「Balto」の実例でいうと、サービスの発案者は別の方ですが、まずユーザーインタビューをおこなって1次情報をチームメンバーに共有しました。自分たちの仕事が、どんな人へ届いてどんな人の喜びに変わるのか、生の声を聞いてプロダクトに接する機会を生みます。喜んでもらう人の顔を具体的に思い浮かべる、ということが大事だと思うんです。
タカアキ:LIGでは「自責の念」を持てと言われてきました。仮に明日会社が無くなったとしても生き抜けるスキルを身につけろ、ということですね。つまり、アウトプットは常にプロとして考え、互いのフィードバックをすることは、プロダクトに対して質を上げることにつながります。フィードバックを過度にしすぎないことで、プロ意識を育てる。そうすることで人は育ち、良いアウトプットが生まれると思います。
最後やで
今回はデザイナーのチームとしての働き方の話やったけど、
- オーナーシップを持つこと
- 本質を捉えること
- リアルコミュニケーションを取ること
は、チームで動くプロジェクトを進めたりするときにでも勉強になるところがあったな。
会社の規模に関わらず個人・チーム・会社単位で取り入れていこうと思ったで。
今回STUDIO上野 by LIGの受講生と参加させてもろたわ。憧れやったカワマタさんとの交流を楽しんでて、こっちも嬉しかったで。イベントの中でもあったけど、自分の理想像を見つけるためにも普段からアンテナを張ってイベントに参加して”リアルコミュニケーション”を取っていきたいもんやな。
ほなまた!