『サユリ1号』のここがいい
いつ使っていいのかわからない恋愛ハックがてんこ盛りの『サユリ1号』ですが、しいて挙げるならこの3ポイントに注目してください。
1. 大橋ユキの闇の深さ
大橋ユキはさまざまな男たちと関係を持ち、サークルをクラッシュしていきます。
「なんでそんなことをするんだ、あたまがおかしいんじゃないのか」と。
そうです、彼女はすこしおかしいのです。
彼女がおかしいのには理由があり、物語の後半でその過去が明らかにされます。
このように、満たされない心を、愛やセックスやサークルクラッシュで満たそうとしているのですが、もとが破綻しているので満たされることがありません。
親に愛されなかったり、強烈なコンプレックスを抱えていたり、強いトラウマがあったりすると、恋愛関係で承認欲求を満たしたくなることがあるかと思います。
「好き」を集めたくなったり、人間関係を破壊することで自分の影響力を確かめたくなったり。
大橋ユキがおかしいのは、心の傷のせいであり、ひいては世の中のせいなのです。世の中の……せいなのです……。(復唱)
2. エロいというよりも怖い
「おかしいな〜いやだな〜こわいな〜と思ったら……本当にセックスしてたんですよ……」「ギャアアアア!!!」という展開が何度かあります。
「こないだ部室でヤっちゃってさ〜」と聞いたら「えっろ!」と沸き立つかもしれませんが、「好きな女の子が俺以外の男全員と関係もっててさ〜」と聞いたら背筋が凍るのではないでしょうか。そういう怖さです。
3. 「大学生あるある」があるある
サークルクラッシュ現象以外にも、かつて大学生であった人間ならどこかしら心当たりのあるだろうエピソードが散りばめられています。
こちらは主人公に想いを寄せていた女の子が、他の男との初体験のあとに主人公からの着信に気づくシーンです。普段は気にしてなかったのにあらためて気付いちゃうわけですね、「いい名前だなあ……」って。
「わ〜か〜る〜」つって、わたしの乙女心があばれだしてヘドバンしそうです。
最後に
とりあえずエロ怖い話が好きなひとは読んでおいて損はないかと思います。
まさに大学生時代にサークルの先輩に借りて読んだのですが、主人公がイベントの度に同じロンTを着てしまうことについて「めっちゃわかるねんな〜!」と言っていたのが印象的です。
エリーのひとこと 元気にしているだろうか? |