こんにちは、LIGブログ編集長のナッツ(@nuts612)です。
新潮社の「Yonda?」というコピーや、日産自動車の「人生初はセレナ発」といったコピーを見たり聞いたりしたことありませんか? これらのコピーをつくったのは博報堂を経て現在「有限会社谷山広告」を設立した谷山雅計さん。
そんな大御所コピーライターである谷山さんに、今回LIGブログ編集部に在籍しているCopywriter田辺ひゃくいちがインタビューをさせていただきました。
▼インタビュー記事はこちら コピーライター・谷山雅計さんに、広告業界の話はすっ飛ばして、Web業界のライティングやコピーライティングについて聞いてきました。
そしてお忙しいにも関わらず、僕も谷山さんに質問させていただく貴重なお時間をいただけたため、気になっていた「Web広告」や「トレンド」についてお伺いしました! インタビュー記事とあわせて、ご覧いただければ幸いです。
教えて!谷山雅計さん【Web広告編】
質問1. Web広告はやっぱり「邪魔な存在」なのでしょうか?
そもそも広告ってのはテレビのときもCMは「トイレタイム」と呼ばれていたように、ずっと邪魔なモノでありますよね。だけど、その邪魔なモノがお金を払ってくれているおかげで番組はつくれるわけで、そうやってテレビというのは成り立ってきた。
なので、広告というのは根本的には邪魔なモノなんですよ。そこから一生懸命知恵を振り絞って進化してきて、「邪魔であるはずなのに、おもしれぇ」という広告が生まれてきて。時には本体の番組よりも、邪魔なモノである広告の方がおもしれぇじゃねえか、と。
Webのバナーとかも、同じことなんじゃないですかね。逆に、僕なんかはこの邪魔なモノを「邪魔じゃないモノ」にするのが広告の醍醐味だと思ってるんですけどね。
CMとかって歴史が長いから、いつの間にか邪魔じゃないモノにする知恵が洗練されてきた。だけどWeb広告の歴史はそこまで長くないので、知恵が蓄積されていないだけで、これから進歩していくんじゃないかな。
なので最善を尽くす楽しみってのがありますでしょ。最初から歓迎されているものより、そういうハードルを越えていくのが楽しいとこですよ。
基本的に僕らの仕事って「憎まれっ子、世にはばかる」ようなものだったりするので、ネットがない頃は炎上商法というものはなかったけども、「無視されるよりかは嫌われる方がいい」ということが常に言われていて。
好きと嫌いなんてちょっとしたこと、心に残っていることが大事なんですよ。何かのキッカケで好きという感情に変わるかもしれない。つまり、無視されてスルーされるのが一番意味がないことなんで。
とはいえ、僕は炎上手法は好きじゃないですよ(笑)
教えて!谷山雅計さん【トレンド編】
質問2. 様々なクラスタが生まれてくることで、マストレンドというものはなくなっていくのでしょうか?
SNSとか、メディアがたくさん出てきたことで、小さいトレンドというものが可視化されているだけだと思いますよ。僕らの小学校時代とか、テレビとラジオと新聞とかしかなかったわけですけど、ある小学校だけで異様に流行っていることってあるじゃないですか。急に「デッチ」という言葉が流行って、その小学校では「デッチ」というだけで大爆笑みたいな(笑)
人間が変わったというよりも、メディアが変わって小さい流行というのが分かるようになっただけだと思いますね。
まあ、僕は短いタームでのトレンドなんて所詮半年くらいで生まれてすぐ消えるものだと思ってるので、あまり気にしないですけどね。
10年、20年の長いタームでいうと、この15年くらいでギリギリ江戸時代から続いてきた文化の継承が途切れたね、という印象があります。
これまでテレビは王様で、一家に一台あったから、子どもは自分が興味もない番組を親と一緒に見てたわけですよ。見たくもない演歌とか見たくもない民謡とかを子どもの頃に触れていたわけです。そうすると自然と文化的な知識、たとえば忠臣蔵の大石内蔵助の話など、日本人が全員共有できる物語というのがあったわけですよ。
でも15年くらい前から、自分の好きなものしかメディアで触れない時代になったから、文化の伝承みたいなのがバッサリ切れましたね。森の石松なんて、あなたの世代じゃわからないでしょ。ガッツ石松が森の石松から来ているなんてことも知らないでしょ。
森の石松は鉄砲玉みたいなやつで、気が短くて喧嘩早いんだけど憎めないヤツ、みたいな。ある時代までは日本人が全員知っていた有名なキャラクターだったわけですよ。
広告屋としては、みんなが共通のストーリーを持っている方が広告しやすいんですよ。ここでこれを出したら共感してくれるよな、というネタがあったから。それが15年前から老若男女全員に共感してもらえるようなネタというのがなくなったから、マス広告の手口が減ったなという気がしてますね。