こんにちは! 最近ブログを書きすぎて、もはや自分がライターではないかと思っているアドチームのきょうへいです。
前回、「LIG(リグ)のマーケティング戦略「ユーザー満足度が低ければ、それはコンテンツではない」」という記事で、オウンドメディアを運営するときにありがちの悩みや、LIGブログでおこなっているコンテンツの計測方法などを書きました。
LIGブログの数値計測には、GoogleのWeb解析ツール「Google Analytics」(以下、GA)を使っていますが、記事ごとの読了率などの数値はGAで把握できず、悩みの種になっていました。そこで、今回は株式会社ロックオン様の提供の元、計測ツール「アドエビス」を使い、ソーシャルシェア数やPV数だけでは見えない本当に「良質なコンテンツ」の数値を丸裸にしていこうと思います。
目次
GAで計測できなかったこと
もともとは、社員が学んだことをアウトプットするためにスタートしたのがLIGブログです。2012年に月間3万PVほどだったのが、2015年9月には月間約713万PVにまで成長しています。メディアを成長させるために、1. 「新しいファンを作る」、2. 「記事のクオリティを上げる」、そして1と2の結果として「PV数が上がる」ということを目的としています。
1、2を中心にPDCAを回していくはずが、GAでは上記の1、2の指標を計測できず、結果数字である記事ごとのPVの測定のみにとどまり、上記2つの視点でのPDCAを思うように回せていませんでした。
本来、測定ツールは目的に対してその目的が成し遂げられているかをチェックするための物ですが、1,2の目的を抑えていないGAではLIGブログは評価できていなかったわけです。
「アドエビス」で計測したこと
今回の計測には「アドエビス」の機能のひとつ、「コンテンツエビス」を使い、先ほど挙げた2点をしっかりと測定することにしました。これらを測定するには、つぎの指標を追っていく必要があります。
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1. 「新しいファンを作る」
- 新規ユーザーを獲得できているかどうか =「新規率」
- もっとほかの記事を読んでみたいと回遊しているか = 「成約率」
2. 「記事のクオリティを上げる」
- ユーザーに最後まで読んでもらっている記事かどうか = 「読了率」
「新規率」、「成約率」、「読了率」の3つをLIGで追う指標としました。
コンテンツエビスで計測できること
コンテンツエビスとは、つぎの5つの評価を、記事ごとに計測できるツールです。
- 流入評価:PV数、新規数、新規率の評価。
- 読了評価:ページの読了数と読了率の評価。
- 共感評価:「もっと見る」や「次のページ」に遷移しているかなど記事毎の回遊の評価
- 拡散評価:Facebook、Twitter、Google+での「シェア」に関する評価
- 成果評価:想定しているCVポイントへのCVRの総合評価
上記5つの評価の結果それぞれにスコアがつきます。そのスコアを合算し、1つのKPIにしたものをコンテンツスコアといい、このスコアが高ければ高いほど「価値の高い記事」ということがわかります。
ちなみに今回は、過去記事を再度アップしたものを除く、9月以降にリリースした記事を対象としました。そのため、リリース直後の純粋な評価を追うかたちとなります。それでは、結果を見ていきたいと思います。
LIGブログコンテンツの本当の価値
それでは、コンテンツエビスを利用して得た、LIGブログの数値結果を見ていきます。
管理画面はこのような感じになっています。画像が小さくて見づらいですが、記事ごとに5つの評価項目が計測されコンテンツスコアの高い順に順位付けがされています。詳しい数値はこのあと紹介していきます。
コンテンツスコアの順位付けはされましたが、このままではどのコンテンツが「新規ユーザーの獲得に寄与しているのか」「ユーザーに深く読まれる記事なのか」「もっと読みたい!と思ってもらえる記事なのか」といった判断が難しいですよね。
追っている評価が複数ある場合、それぞれの評価でソートしても結局どのコンテンツが優れているのかが判断できなかったので、実際にロックオンの人に聞いてみました。
ただ計測するだけでは良質なコンテンツか判断が難しい
こちらの女性は、アドエビスを開発している株式会社ロックオンの又座氏です。お話を伺ったところ、コンテンツの評価は複数の指標で評価することにならざるを得ないことは否めない。重要なことは「評価する目的に合わせてそれぞれの指標に対し、重みづけを変化させること」というアドバイスをいだきました。
コンテンツエビスで計測できる各スコア「流入評価、読了評価、共感評価、拡散評価、成果評価」は、それぞれに加重平均が設定されていて、任意で変更することができます。デフォルトではつぎのような設定になっています。
なお、この「設定スコア」は我々が設定したスコアで、「スコア参考値」がデフォルトの値を指します。
デフォルトで表示した際の上位10記事はつぎのようになりました。
各指標はそれぞれ相反するものなので、仮説に応じてコンテンツスコアの重みづけを変更し、順位をつける必要があります。デフォルトではスコア参考値と同じ重みづけがされているのですが、それぞれの用途に合わせて変更できます。
目的にあった重みづけをする
コンテンツスコア設定は自由に変更できるので、まずは目的を軸に指標を決めてきましょう。
そのためには何のためにオウンドメディアを運用しているかを明確にしましょう。
上記に記載した通り、LIGブログの目的は
- 「新しいファンを作る」
- 「記事のクオリティを上げる」
この2つを確立させ、結果「PV数の増加」を目的としています。
そのため、以下の3つのスコアを重めに設定しました。
- 新規率(新しいユーザーを引き寄せているか?)
- 読了率(質の高い記事であるか?)
- 成約率(LIG媒体に興味を持った記事であるか?)
新規数のスコアを5.0⇒10.0、読了評価のスコアを1.0⇒5.0に上げ、共感評価を10.0⇒1.0、拡散評価のスコアを5.0⇒2.0へ下げました。
重みづけを変更した結果
結果は以下の通りになりました。
1位はデフォルトの設定時と同じくナッツが執筆したヨシダナギさんの記事でした。
こちらの記事はヨシダナギさんがTVで紹介されたこともあり、非常に多くの新規ユーザーを集めた記事です。
2位以下はデフォルトの設定から順位が変動しています。
仕事や面接といったビジネスに関する記事が多い結果となりました。
これらの記事は新規率や読了率が高く、成約率も低くなかったため、LIGでは「ビジネス系の記事を増やしていけば、将来ファンになるユーザーを集められるのでは?」という仮説を立てることができました。
PDCAを素早く回す
正確なKPI,KGIと複数の指標
オウンドメディアを運用する目的を明確にしていくとKPI、KGIが見えてきます。
KPI、KGIを正確に設定すると追うべき複数の指標もだんだんと見えてくると思います。
GAで計測していても滞在時間が長い記事やPVの多い記事といった指標ごとで上位のコンテンツはそれぞれ異なり、どのコンテンツが優れているか判断ができない状態でした。
結果、LIGブログは運用する目的は明確でしたが、追うべき複数の指標を正確に計測する事ができずPDCAをうまく回せていませんでした。
One Metricという考え方
コンテンツエビスでは単一の指標でコンテンツを測るOne Metric(コンテンツスコア)という考え方で、コンテンツを測定しています。
指標を単一にすることでコンテンツ周りの数値がシンプルになるので非常にわかりやすくなるためです。
また、ある程度コンテンツ数が溜まっていくとスコアの平均値が出せるようになり、コンテンツの質を定量化することができます。
LIGの場合、「新規率」「読了率」「成約率」に重みづけをしたコンテンツスコアが単一の指標となっています。
今までは、GAを用いて様々なデータを持ってきて地道にコンテンツを評価していました。(でも見ることができるのはPVや滞在時間などくらい・・・)
ただコンテンツエビスを導入することで計測したい評価項目の総合評価をOne metric(コンテンツスコア)だけを見ればコンテンツの正しい評価ができるようになりました。
指標が単一になることで獲得したいユーザーが反応しやすい記事のジャンルや傾向を分析することができます。
その傾向をもとにコンテンツを充実させていき、PDCAサイクルを素早く回していきましょう。指標が単一のため、PDCAを素早く回せるというのがOne Metricのメリットです。
まとめ
いかがでしたか?
GAだけでは分析できなかった数値を、コンテンツエビスを使うことで丸裸にできました。計測をはじめたばかりだと、ついPVを追ってしまいがちですが、オウンドメディアを運用する「目的」を明確化し、「KPI,KGI」や「指標」を設定していきましょう。
複数の指標を決定したらスコア設定を変更し、単一の指標でコンテンツ計測してPDCAサイクルを回していきましょう!
非常にシンプルで当たり前のように思いますが、意外としっかりとできていないことが多いんじゃないでしょうか?
この当たり前を繰り返すことがオウンドメディアを運用する上では重要なことだと考えています。
設定でわからないことや判断が難しいときがありましたが、今回ご支援いただいたロックオン様の場合、手厚いカスタマーサポートがあるため気軽に質問することができました。タグの設置方法や、運用の支援はもちろん、どんな仮説を立てるべきかまで相談に応じてくれるので、関心のある方はぜひ以下リンクから詳細を見てみてください!
それでは次回もお楽しみに!