LIGデザイナー採用
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2014.06.05

グローバルメディアを運用するときに大切なポイント5つ

ひゃくいち

はじめまして。このたび、外部メディア運用チームLIGMOに加入したハマです。これまでは翻訳会社で日本のエンターテインメント関連メディアやコンテンツを多言語化し、海外のファンへ配信する仕事などをしていました。

そこで今回は、グローバルメディアを構築するときに苦労したことについて、運用側の視点から大切だと思ったことを5つにまとめてみたいと思います。

グローバルメディアを運用するときに大切なポイント5つ

1. 日本語コンテンツの最適化

基本的に、日本語コンテンツの多言語化は、各言語のネイティブ翻訳者が担当します。そこで、まず大切になるのが、翻訳対象となる日本語コンテンツ自体を外国人の方々にも分かりやすく整理することです。意外と忘れがちなのですが、これによって翻訳品質やスピードを飛躍的に向上させることができます。

一例ではありますが、以下のような視点から、ブラッシュアップを図っていきます。

 

より一般的な日本語表現へ言い換える(あるいは補足を加える)

日本語コンテンツ修正事例

 

紛らわしい文章構造を整理し、文脈を把握しやすくする

日本語コンテンツ修正事例

 

翻訳が困難な表現をなるべく減らす

日本語コンテンツ修正事例

日本語話者にしか理解できない言葉をそのまま無理やり翻訳すると、意味不明なコンテンツになってしまう場合があります。各国へ誤った情報が配信されてしまわないように注意しましょう。

2. 日本語センスの高い外国人翻訳者の確保

これまで翻訳会社の案件のうち、多くの部分を占めてきたのは様々な専門文書の翻訳です。しかしながら、近年ではWEBメディアのローカライズ案件も急増しています。

中でもブログやSNSなどでは、くだけた口語表現が多用される傾向にあります。そのため、これまでとは毛並みの異なる日本語センスが外国人翻訳者には求められています。ただ、そのような人材を確保することはまだまだ簡単ではありません。

そこで、例えばですが、

  • 外国語ネイティブ翻訳者:日本語から外国語へ翻訳
  • 日本語ネイティブ翻訳者:日本語の観点から翻訳文をチェック、翻訳者へ差戻し
  • 外国語ネイティブ翻訳者:再翻訳

といったように「差戻し」を挟むことで、翻訳品質を担保する対策方法もあります。

また、楽しみな事例としてご紹介したいのが、クラウド翻訳の「Conyac」がリリースした「Skill Challenge」というコミュニティサービスです。

 

Skill Challenge

こちらも「従来とは違った日本語センスを備える外国人翻訳者の確保」という観点と共通する部分が多いと思っています。

Skill Challenge

「直訳するだけではうまく伝わらないお題」が対象となり、翻訳技術を競い合う空間として登場しました。ユーザー同士で評価することもでき、最も人気のある翻訳結果を知ることができるとのことです。今回は「日本のボケは世界に通じるかキャンペーン」と称し、株式会社オモロキが運営する「ボケて」のボケがお題としてピックアップされています。

当然ながら、グローバルメディアの運用に携わる翻訳者同士でフィードバックし合うことは、よりよいコンテンツを生むためには不可欠です。しかしながら、それが原因となり、運用チーム全体の雰囲気が悪くなってしまうこともあります。だからこそ、このように楽しみながら切磋琢磨できる仕組みがあれば、とても面白いのではないかと思います。

3. リアルタイム翻訳体制の構築

リアルタイム性が重視されるソーシャルメディアなどを多言語化する場合、365日24時間対応の迅速な運用体制が求められるケースがあり、運用チームへの負担も大きいものになります。上述した「差戻し」や「ユーザー同士の評価」を組み込む時間的な余裕はないかもしれません。

そのため、安定的な長期運用のためには、「入稿」から「公開」までの基本的な流れだけでも、システムによって自動化しておくことが求められます。つまり、単なる翻訳料金だけではなく、開発費も予算として確保し、グローバルメディアの運用チームを構築していく視点が大切です。あるいは「24時以降に公開された日本語コンテンツについては翌日12時までの納品で構わない」といった負担軽減のルールを事前に取り決めておくことなどで、暫定的に対応することも有効です。

4. 翻訳ガイドラインの策定と継続的な改訂

各言語チームで翻訳結果がバラバラになることは許されません。そこで、作業を統一化するガイドラインや用語集が必要となります。例えば「日本で流行中のギャグについてはどのように翻訳するか」といった項目を定義しておくものです。しっかりとしたガイドラインを作ることが、翻訳品質の根底を支えるといっても過言ではありません。

ただ、最初からすべての事例を網羅することは不可能ですので、ガイドラインや用語集を「絶対的なルール」として運用チーム内に君臨させてしまうことは避けた方が無難です。当然ながら、運用しているうちに矛盾点もたくさんでてきます。上から一方的に押し付ける姿勢でいると、翻訳者からの反発を生むだけになってしまうでしょう。

あくまで暫定的なルールとしてガイドラインを提示し、「みんなで一緒により良いものを作っていきましょう!」くらいのスタンスで構えておくのがベターではないかと思います。各言語チームの翻訳者たちと積極的にコミュニケーションを図り、緊密な信頼関係を継続的に築いていくことが大切です。

5. 全言語チーム横断の情報共有・コミュニケーション

とはいえ、全言語チームを横断してコミュニケーションを図るのはとても難しいことです。チーム内に海外在住の翻訳者がいれば「時差」も存在しますので、情報共有においては特に苦労しました。

もし、ナレッジマネジメントやチームコミュニケーションまでも含めて運用システムに統合できればベストでしょう。ただし、多言語化を実施する段階では、海外現地でのマネタイズには着手できていないことが多いです。そのため、それだけの開発費予算を最初から確保できるかは難しいかもしれません。

現実的には、グループチャットやクラウドファイル共有などを駆使して対応することになるのではないかと思います。その際にも例えば「中国ではGoogleのスプレッドシートへのアクセスが不安定になる」といった各国の現地事情を考慮しながら、サービスを取捨選択していくことが求められます。

まとめ

冒頭でもお伝えしましたが、メディアを多言語化する際には「日本語コンテンツ自体の最適化」へ視線を向けることになります。それは運用チームの体制はもちろん、会社組織全体にも少なくない影響を及ぼします。

例えば、日本語コンテンツを整理する中で「各言語の外国人翻訳者へ日本語で指示する際にも、可能な限りシンプルな文章で伝えるべきだな」と気づくことにより、自社内の外国人社員に対しての言葉遣いにも変化が生まれたりします。

自社メディアをグローバルメディアにすれば、自社の組織文化をもグローバル志向へ変えるチャンスになる。そんな風に捉えてみると、得られるものがより多くなるのではないかと思います。