インハウスマーケティング部の井上です。
弊社では2026年4月24日(金)に「Claude Codeが経営を加速する理由」と題したパネルディスカッションをオンラインで開催しました。
登壇いただいたのは、各種メディアにも多数登場し、LIGの生成AI戦略顧問も務める梶谷 健人(株式会社POSTS 代表取締役)氏と、Claude Codeの全社導入を推進している高遠 和也(取締役COO兼CTO/AI推進事業部 部長)の2名。
私もファシリテーターとして参加しましたが、Claude CodeのようなAIエージェントを触っている経営者と触っていない経営者で、判断の精度と組織のスピードに決定的な差が生まれ始めているという、リアルなお話が繰り広げられました。
この記事では当日のパネルディスカッション内容をまとめてお届けします!
目次
登壇者紹介
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株式会社POSTS 代表取締役 梶谷 健人氏株式会社VASILYで国内最大級のファッションSNS「iQON」のグロースや広告事業を担当したのち、日本・インド・アメリカそれぞれでフリーランスとして大手ブランドやスタートアップの新規プロダクト立ち上げとグロースハックを支援。2017年にはXR/メタバース領域のスタートアップMESONを創業。現在は株式会社POSTS代表として、生成AI/XRなど先端テクノロジーを駆使した事業づくりと成長支援に従事。LIGの生成AIコンサルティング事業の戦略顧問も務める。著書に『生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方』『いちばんやさしいグロースハックの教本』。 |
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株式会社LIG 取締役COO兼CTO/AI推進事業部 部長 高遠 和也1983年生まれ。SIerとしてキャリアをスタートし、Java/C#を中心とした多様な開発プロジェクトにエンジニアとして参加。その経験を活かしてLIGを創業し、バックエンド・フロントエンド問わず幅広く従事。現在は取締役COO兼CTO/DX事業本部長として、社内体制やルールの最適化、AI技術の推進など、経営戦略の一翼を担う。2025年からAI推進事業部の部長を兼任し、社内のセキュアな環境構築から事業部横断の生成AI活用推進まで一貫しておこなっている。 |
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「対話相手」から「実行パートナー」に進化するAI

▲Claudeと派生ツールの全体像
そもそもClaude(クロード)とは、Anthropic社が開発しているAIモデルのこと。当初はChatGPTのような対話型AIツールのみでしたが、最近はClaude Code、Claude Cowork、Claude Designなど、さまざまな役割を持つ派生ツールが登場しています。
Claude CodeがこれまでのAIと決定的に異なるポイントは、実行までやってくれるという点だと梶谷氏は話します。
今までのAIは”対話革命“でした。たとえばChatGPTに相談したら「こうした方がいい」と教えてもらえますよね。ですが、最終的な作業は人間が行わければいけませんでした。
Claude CodeなどのAIエージェントが登場したことにより”実行革命“が起きました。ただの相談相手から「実際に仕事をしてくれる部下」に性質が変わり、作業を指定すればAIが自分自身で最後まで仕事を終わらせてくれるんです。
経営層がClaude Codeを使うべき3つの理由
では、なぜ経営層がClaude Codeを触るべきなのでしょうか? 梶谷氏が示した理由は、大きく3つあります。
1. 「願望の質」が良いほどインパクトが大きい

経営者には、やりたいことはたくさんあるのに、実行する手が足りないという慢性的な悩みがあります。社内のリソース不足だけが問題ではなく、依頼する前に「自分で一度形にしてみて、本当にやるかどうか判断したい」というケースも多いです。
Claude Codeは導入さえ済めば、あとはお願いをするだけで実行してくれます。だからこそ、AIエージェントの活用が上手い人と下手な人の差は「願望の質」にはっきり出ると梶谷氏は語ります。

経営者は持っている情報のレイヤーが高く、見ているスコープも広いですよね。つまり、組織の中で一番いい願望を持っているはずです。Claude Codeを使えば、経営者の頭の中にある「やりたいけれど人手が足りずに塩漬けになっていたアイデア」を一気に形にできますし、明瞭な指示出しができる人ほど使うインパクトが大きいといえます。
2.「SaaS is dead論」に見られる市場構造の変化
2つ目は、自社の事業が直面している市場構造の変化を肌で理解しなければならないという観点です。
戦犯、SNSを賑わせた「SaaS is dead論」。AIエージェントの発展などが原因で、SalesforceやHubSpotなど主要SaaSの株価が大きく下がった背景について、梶谷氏は次のように解説しました。

ソフトウェアビジネスにおける市場変化の根本的な要因は、ユーザーの主体が人間からAIエージェントに変わっていることです。今までは100人の社員がNotionやHubSpotを使うから、100人×月額のシート課金モデルで売上が立っていました。ですがAIエージェントが登場した今、人ではなく1体のAIエージェントに代理で操作してもらった方が楽になりつつあります。そうなるとシート課金は100分の1になってしまい、SaaSというモデル自体がこのままだと成り立たなくなり得る構造変化が起きているんです。
ただし、梶谷氏は「SaaS is dead論」は半分正しく、半分間違っているとも補足します。

AI時代における理想のソフトウェアは、自社のコンテキストデータを理解させたうえで、AIが業務を自動で終わらせることです。実は既存のSaaSも、ClaudeのようなAIエージェントも、目指すところは一緒。つまり、登山口が違うだけで頂きは同じなんです。
SaaSの場合はすでに既存ユーザーのデータが集まっているので、あとはAIでいかに自動化していくかです。一方で、AIエージェントには自動化できる機能があるけど、データはありません。どちらのルートでも、AIエージェンティックな能力は必須で、登り方が違うだけなんですよね。
だからこそ、Claude CodeのようなAIエージェントを経営層自身が使い込んでいないと、今後は市場の解像度が極端に低くなってしまいます。

SaaSもそうですが、実はLIGが行っているコンサルや開発のような無形商材も影響を感じています。たとえばLIGのオフショア開発は、ざっくり言うと「安くソフトウェアを開発できる人を揃えられます」というモデルです。でもAIがコーディングを代替できるようになった今、安さだけが付加価値ならもうAIの方がいいよね、というのは間違いないんですよね。これから他の事業でも同じことが起きると思うので、経営がその前線にいないと対応が遅れてしまうなと考えています。
AIの影響は、受託開発やコンサルティングなどの無形商材にも及んでいることを高遠も語ります。各産業で価値構造そのものが変化しているからこそ、AIがカバーできる領域の感覚は経営者自身が持っていなければならないと、二人はまとめました。
3. 組織構造を最適化するには「AIエージェントを触った経験」が必須
3つ目は、今後はAIが社内の組織設計にも影響するからです。これまでのAIは作業の実行までしてくれず、リソースとしての見立てができませんでした。しかし、AIエージェントが実作業を担うようになった今、その捉え方は根本から変わっています。

感覚としては一社員、しかも何でも知っている社員が増えたようなものだと思ってます。人件費のリプレイスというか、AI=人材だなという感覚が近いです。Claude Codeを使ってみると「こんなことまでできるんだ」と思うことがすごく多いですが、逆に使っていない人は「AIってまだまだでしょ?」と考えている方もいて、この温度差に危機感を覚えなければいけないと思っています。

今後はAIエージェントがリソースになるという解像度を持っていないと、組織構造の最適化は難しいと思います。その分、社員の評価制度も含めて、変えるべき仕組みは多いです。過去の感覚のままだと、数年後にいろんな事業で大きく差が開いてくるかもしれません。
社内に浸透させるには「Tier分け」が重要

経営層が触るべき理由について具体的なお話を伺いましたが、実際に自社にどう広げていくかも重要です。そこで、梶谷氏が推奨するのが、Tier分け(階層分け)で導入を推進すること。社内をTier1〜3に分けて段階的に広げるアプローチです。
| 階層 | 対象 | 渡し方 |
|---|---|---|
| Tier1 | 経営層+AI推進の少数精鋭(100〜数百名規模なら10〜20名目安) | Claude Code本体をフル権限で先行利用し、ガードレールを整備する |
| Tier2 | 中間層・現場のキーパーソン | Tier1が作ったガードレールとセットでClaude Code本体を配布 |
| Tier3 | そもそも自分でAIを触らない層 | Slackbot経由でClaude Codeの「スキル」を呼び出す形にして提供 |

Claude Codeはできることが多い分、セキュリティリスクと事故の影響範囲がともに大きいツールです。そのため、いきなり全社展開せずに、限られたメンバーで運用しながら「やってはいけないこと」をルール化していくことがTier1の役割です。

実際LIGで導入を進めるにあたっては、Tier2でまず現場よりも役職者に触ってもらうのが大事だと実感しました。部長がガンガン触っているチームは部全体の推進も早いですし、現場よりも広い視座で業務を見渡しているからClaude Codeで解決すべきポイントを見つけやすいのもポイントです。
まずは各部署に業務の困りごとを2〜3個聞いて、Tier1のメンバーがClaude Codeで解決すれば、そこからは自走して活用範囲を広げてくれる傾向がありました。

どんなに導入を頑張っても絶対にAIツールを触らない人も一定数いるので、Tier3ではツールを直接触ってもらうのではなく、スキル*を作成してSlackbotなどを経由し使ってもらうようにするのがおすすめです。
たとえばSlackにClaude Codeのボットを置いて、そこに「契約書レビューして」と投げると、契約書レビュー用のスキルがClaude側で走り、結果がSlackで返ってきます。Claude Code本体ではなくスキル経由で価値だけを届ける設計が組めるかどうかが、これからは大事になります。
*スキル:ルーティン作業を型化して登録できるClaude Codeの機能のこと。社内Slackなどと連携すれば、登録したスキルを呼び出して使うことも可能。
見落としがちなセキュリティリスクと、現場で実践する4つの対策
Claude Codeは「できることが多すぎる」がゆえに、適切な防御策も必要となります。高遠がLIGで導入を進める際に実践した防御策について話を伺うと、次の4点がポイントとして挙がりました。
| 1.プラン選定 | 最低でも「チームプラン」以上にする(個人プランだとAI学習利用を管理者がコントロールできないため) |
|---|---|
| 2.マネージドセッティングJSON | エンタープライズとチームで挙動が違う。エンタープライズはサーバー側で管理されて上書き不可だが、チームはローカル管理者権限があれば上書きされうる |
| 3.セットアップシェル+ホワイトリスト | 共通の防御設定(許可コマンドやプラグイン、コネクタなど)を全員に配布するシェルを用意し、ファイル改ざん検知も組み込む |
| 4.NPMサプライチェーン汚染への備え | Claudeが勝手にWebからパッケージを取得してローカルに環境を作るため、情シスや有識者が最新の汚染情報に即応できる体制を作る |

4つ目のNPMがマルウェアに汚染されて情報が流出するというのは、ソフトウェア開発業界でもともとあった問題です。Claude Codeは自動でNPMを取得できるけど、これまでソフトウェアを知らなかった人のPCまで、同じリスクに晒される状況になっちゃったんです。なので、もしトラブルがあった際に情シスや有識者が即対応できる環境づくりや、パッケージ管理ツールのルール整備は、エンジニア以外に配るうえで欠かせません。
LIGではサプライチェーンの問題に対して、以下のように全社共通のセッティングを行うことで対策しています。
- LIGの共通セッティング例
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- settings.json上でallow / deny コマンドをホワイトリスト方式で制御
- 許可していないプラグイン・コネクタは導入不可にする
- 多くのファイルに対してはread権限のみ付与し、ファイル削除は全面的に不可
- セットアップシェルが社内クラウド上の最新セッティングを取得して適用する仕組みに

ホワイトリストで完全に防御しきるのは現実的に難しいので、「人がClaudeに指示してしまったもの」までを完璧に止めることはできないという前提があります。ルール整備に加え、Tier1層による講習などリテラシー教育を行い、多層的に補完するのが現実解だと考えています。
実際どう使ってる? リアルな活用例を紹介
ここからは二人がどのような業務でClaude Codeを活用しているのか、実例を教えていただきました。
梶谷氏のClaude Code活用例
梶谷氏は「考える・喋る・人に会う以外はだいたいClaude Codeでやっている」とのこと(すごい……!)
| 項目 | 詳細 | 効果 |
|---|---|---|
| スライド作成 | 音声入力で話したい内容を伝え、構成ファイルを生成 → 普段使うKeynoteと同じデザインのHTMLスライドに変換 → 必要に応じて画像生成APIやFigmaで図解挿入 → Claude Designでホスティングまで一気通貫 | 従来1〜2日かかっていた資料が2〜3時間に短縮 |
| 議事録の活用 | AI議事録ツール「Circleback」と連携。ミーティング終了直後に「ネクストアクションを進めておいて」と依頼するだけで実行 | 下調べや論点整理まで自動完了 |
| 記事執筆 | 構成はClaude Codeで設計し、本文は文体再現の精度が高いGeminiにスイッチ。図解はGPT Image 2やFigmaで自動挿入 | 複数AIの強みを使い分けて品質と効率を両立 |
| 定例日程調整 | 「木金の第1・第3週、60分枠で空いているところを」など複雑な条件をGoogleカレンダーMCP経由で指示 | 条件付きの空き枠を自動でピックアップ |
| 契約書レビュー | Wordファイルを直接読み取り、校閲モードで弁護士のようにコメントを挿入 | NDAレベルであれば外部の法務レビューが不要なところまで実用化 |

イメージとしては、病院で横になっていてもできることは何でもできるという感じです。身体的な動作以外のデスクワークなら、Claude Codeを使えばほぼあらゆることを任せられるようになります。
LIGのClaude Code活用例
LIG高遠は社内各部署でClaude Codeの活用推進を進めています。いま全社的にどのように活用しているかを聞いてみました。
| 項目 | 詳細 | 効果 |
|---|---|---|
| 大規模ソースの一括整理 | 5万ファイル規模のサイトを特定ルールで整理 | 手動なら1〜2日かかる作業が1時間程度で完了 |
| LP制作 | ファーストビューのみデザイナーが仕上げ、それ以外をClaude Codeで制作 | 制作スピードと改善サイクルを高速化 |
| GitHubからリリースまでの自動化 | 運用担当者がClaude Codeでリリースまで完結できる体制を構築 | エンジニア不在でもリリース運用が可能に |
| 社内管理システムの内製化 | SaaSを探して契約するより、社内向けに作ってしまうケースが増加。インフラ・セキュリティ周りだけエンジニアがレビュー | SaaS導入より早く・低コストで社内ツールを整備 |
| 記事制作の自動化 | パターン化された記事は会話だけで生成可能に | 定型記事の制作工数を大幅削減 |
| サイトレポート/セキュリティニュース監視の自動化 | 自社の技術スタックに関連するものだけを抽出してレポート化 | 必要な情報だけを効率的にキャッチアップ |
| マッチング・チャットボット・プレセールスのロープレ補助 | 過去データからの確度の高い案件マッチングなどに展開中 | 研究段階ながら営業・マッチング業務への応用が進行 |

ちょっとの文言修正のためにエンジニアを動かすみたいなことは現場でありがちですが、運用担当者にClaude Codeを渡せばリリースまでできちゃうようになったのは大きな変化だと思います。技術を細かく教えなくても成立するようになったというのは、業務分担の前提そのものを変える可能性を感じていますね。
AIエージェント時代、経営層の役割はどう変わるのか
Claude Codeでほとんどのデスクワークが自動化できるようになった今、経営層の役割はどう変わるのでしょうか。それぞれの視点で答えていただきました。

2つあるかなと思っていて、1つ目は雑事から離れて本来的な経営に時間を使うことが大切だと考えています。Claude Codeを使えば、業務の3〜4割は省略できるようになるはずです。その分の余白を「考えること」「ステークホルダーに物事を伝えること」にちゃんと向けていく必要があると思っています。
2つ目は、先読みする能力を磨くこと。さきほどお伝えしたように、AIによってマーケット構造が変わり、最適な事業戦略も変わっています。AIエージェントを触っていれば触っているぶんだけ、他の人より早く「その先」が見えるので、行動も早くできます。変化のスピードと変化量が大きくなった今、先読みの重要性があらためて上がっていると感じています。

梶谷さんの話に重なるんですが、やっぱり既存事業をなくす・転換するといった、ある種の破壊を伴う判断が求められるシーンが今後ますます増えてくるんだろうなと思います。そこをいち早く決断して勝ち筋を見つけるためにも、経営者自身がAIに触り、最新情報を常に得る状況にしておくこと。そのうえでAIの進化を踏まえた判断ができるかどうかが、特にここ半年〜1年で大きな差になると思います。
おわりに
お二人の議論からは「Claude Codeは単なる便利ツールを超え、経営の前提を書き換えるインフラである」という点が共通して伺えました。
AIエージェントを触ったことのある経営者と触っていない経営者の温度感の差は現状でも大きくなっていますが、これからますます広がっていくはずです。
今後もLIGでは、生成AIの実務活用にまつわるセミナーを継続的に開催してまいります。最新情報を受け取りたい方は、ぜひ弊社オウンドメディアやSNSをフォローいただけますと幸いです。
- 「Claude Codeを導入したいが、セキュリティリスクが不安」
- 「経営層は触り始めたが、現場まで浸透しない」
- 「自社の業務に合った”スキル”を設計してほしい」
このような課題感をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。自社内で導入と運用を進めている知見をもとに、貴社の状況にあわせた導入プランをご提案します。