制作会社の代表2人が語る「これからの時代に選ばれるクリエイター」の共通点とは?【イベントレポート】

制作会社の代表2人が語る「これからの時代に選ばれるクリエイター」の共通点とは?【イベントレポート】

Shoto Nakakoshi

Shoto Nakakoshi

ノーコードツールやAIの台頭で、Web制作の現場は大きな変革期を迎えています。「デザインができる」「コードが書ける」だけでは差別化が難しくなりつつある今、クリエイターとしてどうキャリアを築いていけばいいのか。

そんな漠然とした不安を抱える中堅クリエイターに向けて、2025年12月19日、「これからの時代に選ばれるクリエイターの共通点とは?」 をテーマにしたトークイベントが開催されました。

会場には約40名のWebクリエイターが集まり、制作会社の経営者2名によるリアルなトークセッションに耳を傾けました。本記事では、その様子をレポート形式でお届けします。

▼イベント概要
主催:LIGエージェント(株式会社LIG)
対象:キャリアに悩む中堅クリエイター

登壇者

ico 株式会社ZIZO 代表取締役 川口 智士さん株式会社ZIZO代表。1977年、京都生まれ。卒業時の就職氷河期を言い訳に就職せず、27歳までのんびり過ごす。ややあって2005年ごろ、リクルートで働き始める。Webサービスのプロダクト設計・運用を経験。2010年に株式会社ZIZOを設立。「ワクワクする事を、ひとつでも多く」をビジョンに、キャンペーン、Webサイト構築、マーケティング、コミュニケーションデザイン、音楽、空間デザインなどを幅広く手掛けています。
ico 株式会社FMC 代表取締役 安東 裕二さん20代は音楽活動を主としながら、Webディレクター/デザイナーとして活動。フジロックフェスティバル出演、アップルストア銀座等でレギュラーイベントを開催。数々のアーティストサポートや海外アーティストとのコラボレーションを行なう。FMCでは「らしさを灯す」という理念を軸に、Webを活用したブランディング、音楽マネジメント、アパレル事業を運営。自分らしさを実現する場づくりを通じ、社会に新たな洞察と多様な価値を届けている。「バンタンデザイン研究所」非常勤講師。Web・デジタル領域における豊富な経験を活かし、次世代のクリエイター育成にも力を注いでいる。

トークセッション:選ばれるクリエイターの共通点とは?

イベントのメインとなるトークセッションでは、川口さん・安東さんが本音で語り合いました。

会場がもっとも盛り上がったのは、やはり「これから選ばれるクリエイターとは?」というテーマ。お二人の話から見えてきたのは、大きく2つのポイントでした。

「判断」して「決断」できる力

これからの時代は「全体を見られる人」の価値が高まっていきます。

ico安東さん:デザインができる、コードが書けるという人は、フリーランスとしては重宝されると思います。でも会社として考えたとき、企画して、見積もりを作って、受注して、制作を回して……という全体を見られる人がより必要になってくる。

ノーコードツールとAIがさらに進化すれば、簡単なサイトは誰でも作れるようになる。だからこそ、「総合的に判断できる人」 の価値が高まるという見解でした。

 
川口さんも、自身が関わった大阪万博のプロジェクトを例に挙げながら、こう続けます。

ico川口さん:AIってめちゃくちゃいろんな候補を出してくるんですよ。1000個出せって言ったら、本当に1000個出してくる。でも「じゃあどれにするの?」「この方向で行こう」って決めるのは、AIにはできない

関係者の意見や利害関係を理解しながら、最終的に「これでいく」と決断する力。それこそが、AIに代替されない人間の価値になっていくのかもしれません。

夢中になれる「好き」があるかどうか

もうひとつのポイントは、自分だけの「好き」を持っているかどうか。川口さんは、キャリアについて書かれたある本の内容を引用しつつ、こう語りました。

ico川口さん:これから必要になる能力は2つ。ひとつは教養、リベラルアーツ的にいろんなことを知っていること。もうひとつは、オタク的に何かをめちゃくちゃ掘り下げていること。

安東さんも、採用面接での経験を踏まえてこう続けます。

ico安東さん:うちに志望してくる子で、「Webデザイナーになりたいです」って言う人も多いんですけど、僕らが聞きたいのは「で、なって何がしたいの?」なんですよね。例えばアニメが好きな方なら自分のポートフォリオにアニメについてめっちゃ語ってるページがあるとか、そういう人のほうがよっぽど印象に残る

「Webが好き」「デザインが好き」だけでは、もはや差別化にならない時代。川口さんの言葉を借りれば、「水を飲みたいから水道局に入りました、っていう人はいないでしょ」ということ。Webはすでにインフラになっている以上、その先に何を作りたいのか、何に夢中になれるのかが問われています。

現場でのAI活用、実際どうしてる?

トークセッションでは、AIの実務活用についての率直なやり取りがありました。

川口さんによると、マーケティングのリサーチや情報設計の下書きなど、「たたき台を作る」段階ではAIが非常に有効だそうです。ただ一方で、納品物としてそのまま使えるかというと、まだまだ課題があるといいます。

安東さんも、実際の現場からの声をもとにこう続けます。

ico安東さん:エンジニアに聞くと、「AIにコードを書いてもらうことはできる。でも、そのコードを納品して、その後ずっと運用・改修していくことを考えると、自分たちで書いたほうが早い」っていうのが現場の声ですね。

見積もり作成やサイトマップの自動生成など社内ツールとしての活用は進めつつ、「人間がちゃんと設計しているということに、価値が生まれるようになる」 と話していました。

AIを敵視するのではなく、うまく共存しながら「人間にしかできない価値」を高めていく。そんなスタンスは、これからのクリエイターにとっても大きなヒントになりそうです。

今日からできること:夢中を追いかける

トークセッションの最後に話題になったのは、「今からできる行動って何?」 という問い。お二人の答えに共通していたのは、「好きなことに夢中になる」ということでした。

ico川口さん:好きなことをやりまくる。キャリアを伸ばそうとか、収入を上げようと思ってやるんじゃなくて、ただ夢中になれることにのめり込む。それがどこかのタイミングで繋がって、キャリアになる瞬間があるかもしれない。なくても、やってる間は楽しいから損しない。

安東さんも、こう続けます。

ico安東さん:Webが好きって言うなら、自分で好きなサイト作っちゃえばいいんですよ。それが一番成長するんですよね。好きなものを自分でWebサイト化してみるとか。結局、そういう人が強い。

自身が音楽活動を続けてきた経験から、好きなことを突き詰めることの大切さを語っていました。

「選ばれるクリエイター」になるために、まずは自分の「好き」に正直になること。今日からできる、一番シンプルで一番大切な行動指針かもしれません。

交流会も開催しました

トークセッション後は、参加者同士の交流会へ。川口さん・安東さんも輪に加わり、フランクな情報交換の場となりました。

「今どんな仕事してる?」「AIはどうやって活用してる?」「制作会社と事業会社、どっちがいい?」など、現場で活躍するクリエイター同士だからこそ話せる、リアルな会話があちこちで生まれていました。

名刺交換も活発に行われ、「もっと話したかった」「時間が足りなかった」という声も。同じ悩みを抱える仲間と出会える場として、交流会の価値を改めて感じる時間となりました。

キャリアに迷ったら、まず動いてみる

ノーコードツールの普及、AIの進化、働き方の多様化。Webクリエイターを取り巻く環境は、かつてないスピードで変化しています。

だからこそ、一人で悩み続けるよりも、誰かの話を聞いたり、同じ立場の仲間と語り合ったりすることが大切なのかもしれません。

今回のイベントで語られた「判断・決断する力」と「夢中になれる好き」を持つこと。この2つを胸に、これからのキャリアを築いてみてください。

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ソフトウェア開発会社でシステムエンジニアとして7年間のキャリアを積んだあと、デジタルハリウッドSTUDIO by LIGでデザインを学び、インハウスデザイナーへと転身。生活関連情報サイトのオウンドメディア運営を経て、2025年10月にLIGへ参画。現在はSEOコンテンツ制作、マーケティング数値分析、イベント運営を中心に、マーケティング施策を推進している。

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