こんにちは、転職エージェント「ReNew by LIG Agent」でクリエイターのキャリアデザインを担当している大澤です。
未経験からグラフィックデザイナーへの転職を目指す方の悩みとして、「志望動機をどう書けばいいか分からない」という話をよく伺います。そこでこの記事では、制作会社のキャリアアドバイザーとして働く私だからこそ伝えられる、グラフィックデザイナーの志望動機の書き方を解説します。
採用担当者が気になるポイントを押さえた書き方のコツや、志望動機の添削実例もご紹介していますので、参考になりますと幸いです!
採用担当者に響く!志望動機に書くべきポイント4選
志望動機はみなさんの熱意と可能性を会社に伝えるためにとても重要です。ここでは、採用担当者が欲しがっている情報を押さえた志望動機の作成ポイントを4つ紹介します。
- 💡ここだけは押さえたい!志望動機のポイント
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- ①原体験:なぜグラフィックデザイナーを選んだのか
- ②応募理由:なぜその企業で働きたいのか明確にする
- ③経験:強みとエピソードをセットで述べる
- ④キャリアパス:自分の将来像を具体的に語る
①原体験:なぜグラフィックデザイナーを選んだのか
「数あるデザインの仕事の中から、なぜグラフィックデザイナーを選んだのか」
「なぜWebデザイナーやイラストレーターではないのか」
この問いに対する答えこそ、ご自身の「原体験」を示すものです。ここで採用担当者は、求職者(あなた)の情熱や適性、仕事に対する向き合い方を見極めようとします。
まずはなぜグラフィックデザインに興味を持ったのか、過去を振り返ってみてください。たとえば「前職でチラシやポスターを扱った経験がある」「幼い頃に絵を書くのが好きだった」など、どんなことでもかまいません。他のデザイン領域ではなく、グラフィックデザインでないと実現できないビジョンや自分自身が本当にやりたいことを見つけるための糸口になるはずです。
- 💡ここがポイント
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- グラフィックデザインに興味を持ったきっかけを振り返る
- グラフィックデザインでどんな課題を解決したいのかまとめる
- 印刷物やブランディングなど、デジタル・アナログを問わないグラフィックデザインならではの仕事を絡める
②応募理由:なぜその企業で働きたいのか明確にする
グラフィックデザイナーと一言でいえど、その役割はさまざまです。たとえば制作会社のデザイナーとしてお客様の制作物に携わるのか、企業内の制作物を担当するインハウスデザイナーとして働くのかで、担当する仕事の領域も異なってきます。単に「デザインに興味がある」「業界に興味がある」という志望動機では、「他社でもいいのでは?」と採用担当者に思われてしまうかもしれません。
そのため、なぜその企業で働きたいと思っているのか、自身のキャリアパスや業務内容も絡めながら具体的に述べることが重要です。
- 💡ここがポイント
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- まずは企業理念や事業内容を徹底的に調べる
- 具体的な制作物や課題解決の方法など、何に魅力を感じたか言語化する
- 同業界の競合他社ではなく、なぜその企業を選んだか明確にする
③経験:強みとエピソードをセットで述べる
未経験の方の場合は学んだスキルや制作物、資格を述べるだけでは他の求職者と差をつけづらいのが現実です。
たとえば制作の中でつまづいたときにどうやって乗り越えたかなど、具体的なエピソードとセットで自身の実績を語るようにしましょう。そうすればあなた自身の課題解決能力や、仕事に対する考え方をより具体的に伝えられます。
- 💡ここがポイント
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- スキルや資格だけではなく、困難を乗り越えた経験やポータブルスキルをアピールする
- デザインのことだけでなく、前職で困ったことをどう乗り越えたか書いてもOK
④キャリアパス:自分の将来像を具体的に語る
企業側としても、自社で長く働いてもらい一緒に成長できる人を採用したいと思っています。その点を考慮しつつ、入社後に自分がどのようなキャリアパスを歩んでいきたいか、短期的な目標と中長期的な目標を述べると、採用担当の印象も変わります。
例えば「貴社の主要事業であるロゴ制作で経験を積み、3年後にはブランディング全般の知識も蓄えて新たなサービス創出に貢献したい」など、企業にとってもメリットを感じられる理由であれば好印象でしょう。
- 💡ここがポイント
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- まずは入社後すぐに自分が貢献できることを考えてみる
- 自分の将来像と会社の成長が一致するような未来を描く
【注意】未経験でもポートフォリオは必須!
最後に、志望動機とは直接関係がありませんが、未経験からの転職であってもポートフォリオは必須です。
ポートフォリオはデザイナーの就転職活動において、最も重要な資料といっても過言ではありません。ただ制作物を並べるだけではなく、制作背景の言語化やポートフォリオ自体のデザイン、さらにグラフィックデザイナーの場合は実際の印刷物の用意など、様々な作業があります。
もしポートフォリオ制作で不安がある場合は、知り合いのデザイナーに見てもらったり、ポートフォリオ添削サービスを行っている転職エージェントに登録したりして、必ず自分以外の目で見てもらうことが重要です。
」では、制作会社の目線でポートフォリオ添削を行っています。
会員登録・利用ともに完全無料なので、ぜひご利用ください!
【実例紹介】添削前後で比較!グラフィックデザイナーの志望動機
ここでは未経験からグラフィックデザイナーへの転職を考えている方を想定した志望動機を作成して、キャリアアドバイザーの私が実際に添削してみました。
- 求職者:山田さんのプロフィール
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- 大学卒業後、食品商社の営業職として7年勤務。30歳を目前にキャリアチェンジを考えてグラフィックデザインを学習
- 仕事の中で食品のチラシやPOPにふれる機会が多く、表現の仕方で売上やお客様の反応が変わることに気が付き、デザインに興味を持った
- グラフィックデザインが学べるクリエイター育成スクールで4ヶ月学習し、基礎的なスキルは身についている
- クリエイタースクールから紹介された、未経験可の中堅制作会社に応募
- 【Before】山田さんの志望動機
- 私は現在、食品商社で営業として7年間勤務していますが、以前から興味のあったデザインの道に進みたいと考え、昨年からクリエイタースクールに通いました。
スクールではPhotoshopとIllustratorの操作方法を習得し、クライアントワークにも取り組んでいます。
貴社のサイトやSNSを拝見し、洗練されたデザインに感銘を受けました。特に「LIG FOODS」プロジェクトが印象的です。デザイナーとしては未経験ですが、営業で培ったコミュニケーション能力と、スクールで学んだスキルを活かして貴社に貢献したいと考えています。
これまでの仕事ではクリエイティブな発想を活かせる場が少なく、もっと自分の創造性を発揮できる仕事がしたいと思い、転職を決意しました。貴社であれば第一線のデザイナーから多くのことを学べると思います。将来的には、ブランディングの知識も教わりながら、より活躍できる人材になりたいです。
このままでも志望動機として成り立ってはいますが、よりブラッシュアップできる箇所も多いと思いませんか? 今回は下記のように添削しました。
添削ポイント①:原体験を具体化
山田さんの場合は、顧客の課題解決や売上に貢献したいという思いがきっかけでデザインに興味を持ち始めています。この理由をきちんと書いておくと、「顧客のことを真摯に考えてくれそう」「制作会社の仕事に適正がある」と思ってもらえるかもしれません。
- Before
- 私は現在、食品商社で営業として7年間勤務していますが、仕事で使うチラシからデザインの道に興味を持ち始めました。昨年からクリエイタースクールに通いました。
↓
- After
- 私は食品商社で7年間営業として勤務しています。あるとき新製品のチラシを2種類掲載した際、表現しだいでエンドユーザーの印象や売上が大きく変わることに気づき、自分自身もデザインの力で課題解決や売上に貢献できるようになりたいと思うようになりました。
添削ポイント②:実践的な制作に取り組んでいることをアピール
基礎スキルを学んだというだけでは他の求職者と差別化しづらくなり、スキル不十分の評価になりやすいです。クライアントワークに取り組んだ経験がある場合は、どのような制作フローで取り組んできたかも踏まえて記載することをおすすめします。
- Before
- スクールではPhotoshopとIllustratorの操作方法を習得し、クライアントワークにも取り組んでいます。
↓
- After
- 現在はクリエイタースクールで基礎スキルの学習と併行し、クライアントワークにも取り組んでいます。ヒアリングからデザインまで自分で担当し、現役デザイナーからのフィードバックを受けることで、より実践的なスキル獲得に励んでまいりました。
添削ポイント③:企業の魅力と応募理由をしっかり書く
企業研究をするなかでどのような点に共感したのか、その会社の制作物も挙げながら説明できると、より説得力が増します。
制作会社の場合は、サイト上にクライアントのインタビューを掲載している場合もあります。制作背景を知れば、会社の魅力もより深堀りできますので、ぜひ確認してみてください。
- Before
- 貴社のサイトやSNSを拝見し、洗練されたデザインに感銘を受けました。特に「LIG FOODS」プロジェクトが印象的です。デザイナーとしては未経験ですが、営業で培ったコミュニケーション能力と、スクールで学んだスキルを活かして貴社に貢献したいと考えています。
↓
- After
- 貴社を志望する理由は、貴社の「機能美を徹底追求する」という哲学に共感したからです。特に飲食企業「LIG FOODS」のブランディングプロジェクトで、クライアント自身も気づいていなかった店舗のコンセプトをデザインに落とし込んだ貴社のヒアリング力やフレームワークに強く惹かれています。
添削ポイント④:ネガティブな要素は削除する
添削前は「もっと自分の創造性を発揮できる仕事がしたい」と書いていましたが、現職に対する愚痴のように捉えられてしまうかもしれません。ネガティブに思われそうな要素は書かないようにしましょう。
- Before
- これまでの仕事ではクリエイティブな発想を活かせる場が少なく、もっと自分の創造性を発揮できる仕事がしたいと思い、転職を決意しました。
↓
- After
- 営業経験で培った対話力を活かし、社内外とのコミュニケーションを積極的に取りつつ「目的を達成するためのデザイン」を創出することに貢献したいと考えています。
添削ポイント⑤:キャリア像を明確に
添削前の文章は自分がどういうふうに成長していきたいかキャリア像が抽象的で、会社任せな印象に見えてしまうかもしれません。
具体的にいつまでにどんな人物になっていたいのかを書くようにすると、企業側としても自社の事業計画やカルチャーとマッチしているかを把握しやすくなります。
- Before
- 貴社であれば第一線のデザイナーから多くのことを学べると思います。将来的には、ブランディングの知識も教わりながら、より活躍できる人材になりたいです。
↓
- After
- 3年後にはデザインの力で顧客課題を解決するディレクターとして、プロジェクトに携われるようになりたいと思っております。
ここまでの添削ポイントをすべてまとめると、下記のようになります。
- 【After】山田さんの志望動機
- 私は食品商社で7年間営業として勤務しています。あるとき新製品のチラシを2種類掲載した際、表現しだいでエンドユーザーの印象や売上が大きく変わることに気づき、自分自身もデザインの力で課題解決や売上に貢献できるようになりたいと思うようになりました。
現在はクリエイタースクールで基礎スキルの学習と併行し、クライアントワークにも取り組んでいます。ヒアリングからデザインまで自分で担当し、現役デザイナーからのフィードバックを受けることで、より実践的なスキル獲得に励んでまいりました。
貴社を志望する理由は、貴社の「機能美を徹底追求する」という哲学に共感したからです。特に飲食企業「LIG FOODS」のブランディングプロジェクトで、クライアント自身も気づいていなかった店舗のコンセプトをデザインに落とし込んだ貴社のヒアリング力やフレームワークに強く惹かれています。
営業経験で培った対話力を活かし、社内外とのコミュニケーションを積極的に取りつつ「目的を達成するためのデザイン」を創出することに貢献したいと考えています。3年後にはデザインの力で顧客課題を解決するディレクターとして、プロジェクトに携われるようになりたいと思っております。
いかがでしょうか? 山田さんの人物像や、この企業を志望する理由がより明確になったかと思います。
志望動機の書き方4ステップ
志望動機を書くときはいきなり筆を取らずに、自己分析や企業研究を行う必要があります。そのうえで、具体的には以下のステップで進めていくとより効果的な志望動機が書けます。
- ①まずはじっくり自己分析と企業研究を!
- ②最初に結論を書き、具体的に伝える
- ③会社に貢献できる根拠を示す
- ④熱意をアピールしよう!
①まずはじっくり自己分析
自己分析は就転職活動全体を通してとても重要です。自分の強みや弱み、グラフィックデザイナーとして実現したいことなどを明確にしましょう。自己分析を終えたあとに企業分析を行い、企業の理念やビジョン、事業内容、社風などを理解していくとよいです。
- 💡自己分析のポイント
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- 自分のスキルや経験を客観的に洗い出す(ツール、言語、デザイン経験など)
- グラフィックデザイナーとしてどんな案件に挑戦したいのか、どんなキャリアパスを描きたいのか明確にする
- 自分の強み(得意なデザイン、コーディングスキル、コミュニケーション能力など)を具体的に把握する
- 過去の成功体験(顧客満足度向上、CVR改善など)や失敗体験(プロジェクトの遅延、顧客とのトラブルなど)を振り返り、そこから得られた学びを言語化する
- 💡企業分析のポイント
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- 企業の理念やビジョン、事業内容を理解する
- 競合他社との違いを把握する(強み、弱み、ターゲット層など)
- 社員のインタビュー記事や口コミサイトなどを参考に、社風や働き方を理解する
- 業のWebサイトやブログ、SNSなどを隅々まで調べ、過去の制作実績を分析する(デザインの傾向、使用技術、ターゲット層など)
- 自分なりの考えや提案ができるレベルでアウトプットできるとベスト!(「おこがましいかもしれないのですが……」などクッション言葉を忘れずに!)
②最初に結論を書き、具体的に伝える
志望動機は、結論から書き始めることが重要です。最初に「私は貴社でWebデザイナーとして〇〇に貢献したいと考えています」といったように伝えることで、内容がわかりやすくなるだけでなく、自分の熱意や意欲を採用担当者にしっかり伝えることができます。
「文章を書くのが苦手……」という方は、PREP法(プレップ法)という文章のフレームワークを使うのがおすすめです!
- PREP法
- P point 結論から
R reason 理由
E example 具体例やエピソード
P point 結論。「要するに」「まとめると」h3>③会社に貢献できる根拠を示す
③会社に貢献できる根拠を示す
当然ながら、採用担当者も自社に貢献してくれる人物を採用したいと考えています。グラフィックデザイナー未経験の場合はアピールできることがないと考えてしまうかもしれませんが、具体的なエピソードを交えながら自分が会社に貢献できる根拠を示しましょう。
たとえばさきほどの添削例では、ヒアリングからデザインまで自身で取り組んだクライアントワークのことを記載しました。過去の経験や実績、スキル、企業への熱意などを具体的に説明することで、「この人はうちの会社で活躍してくれるかもしれない」 と採用担当者に思ってもらえる可能性もあります。
④熱意をアピールしよう!
最後に、志望動機は自分の言葉で書くことが重要です。テンプレートをそのまま使用したり、他の人の例文を参考にしすぎたりすると、「どこかで見たような文章だな」「本当の思いが見えないな」 と思われてしまうかもしれません。
未経験での転職において人柄やコミュニケーションスキルはとても重要です。一緒に気持ちよく仕事ができそうか、オンボーディングを進めるときに素直に受け入れてもらえそうかなども大事ですが、やはり最後には「ここで働きたい!」という気持ちの強さとそれをうまく伝えられるかどうかが、大きな判断材料になると思っています。
グラフィックデザイナーの就職で強みになる資格
グラフィックデザイナーの就転職活動では、以下のような資格を持っておけば強みになることがあります。
資格名 | 概要 | 試験内容 | 公式サイト |
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DTPエキスパート認定 | 日本で広く認知されているデザイン関連の資格。DTP(Desktop Publishing)の基本から応用まで、印刷物のデザイン・制作に関する幅広い知識を身につけられる。 | DTPの知識全般 | グラフィックデザイン認定資格 | JAGAT |
グラフィックデザイン認定資格 | 3級から1級まであり、段階的に取得可能。デザインの基礎から実践的なスキルまで幅広く評価される。 | 3級:デザインの歴史や用語(50問中45問以上で合格) 2級:レイアウト、文字、配色などデザインの考え方(50問中45問以上で合格) 1級:自身で制作したグラフィックデザイン作品10点の提出 |
グラフィックデザイン認定資格 | FITI |
Adobe Certified Professional | Adobeの各種ソフトの使用スキルを証明する資格。就職・転職活動やフリーランス活動において有利になる。 | Photoshop、Illustrator、Premiere Pro、Adobe Expressを使用したコンテンツ制作やマーケティングの知識を問う試験 | アドビ認定プロフェッショナル | Adobe アドビ認定プロフェッショナル|Adobe Certified Professional |
例として3つの資格を紹介しましたが、グラフィックデザイナーになるために資格は必須ではありません。また、資格があるからといって選考で有利になるわけではなく、あくまでもスキルの証明に過ぎないことに注意してください。
ただし、持っておくことで多くのメリットがあります。資格取得の過程で知識や技術を体系的に学べるのはもちろん、クライアントや雇用者に対して信頼性を高める効果も得られるでしょう。
グラフィックデザイナーが資格を取得するメリットなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。 グラフィックデザイナーになるには資格は必要?スクール運営が解説!
さいごに
グラフィックデザイナーを目指すみなさまは「本当に未経験でもなれるのかな?」と不安に思っているかもしれません。
制作会社のキャリアアドバイザーとして断言できますが、未経験でもグラフィックデザイナーになることは可能です。私自身もたくさんの求職者の方々をサポートする中で、有名な制作会社に転職成功した方や自分の思い描いたキャリアを実現した方を多く見てきました。
「自分には特別なアピールポイントがない」と思わず、第三者の目線で自分の経験を洗い出してみてください。これまでの経歴や経験を丁寧に紐解けば、必ず輝く強みが見つかるはずです。
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