LIGはフィリピンとベトナムに開発拠点を構え、オフショア開発を通じてさまざまなお客様を支援しています。はじめて利用するお客様はもちろん、過去に一度失敗を経験し、新たなパートナーとしてご相談いただくケースもあります。
オフショア開発は、日本とは異なる文化や慣習のもとで開発がおこなわれるため、発注者側は不安を抱くでしょう。また、Web上では成功・失敗のさまざまなエピソードが見られるため、なかなか実態が見えにくいと思います。
そこで、フィリピンとベトナムでオフショア開発に従事するエンジニアを対象に意識調査を実施。現地のエンジニアは、どんな考えや意識を持って開発に取り組んでいるのか。その実態に迫りながら、プロジェクトを成功に導くヒントを探ってみました。
- 結果サマリ
- フィリピン・ベトナムのエンジニアは
- 「家族」よりも「自身のキャリア・スキルアップ」への意識が高い
- “労働環境・開発環境”が仕事におけるモチベーションに大きく影響する
- 世間で抱かれているイメージに反して、スピードとクオリティの両立に強い意識を持っている
- リスク回避のため、報連相への強い意識を持っている
フィリピン・ベトナムとのオフショア開発成功の秘訣は、
“本質”を共有することアンケート対象 :CODY Web Development Inc.(フィリピンオフィス)、LIG Technologies Vietnam Company Limited(ベトナムオフィス)に所属するエンジニア
有効回答 :57名
回答期間 :2023年3月1日〜3月8日
優秀なエンジニアになるために、日々の学習を欠かさない
あなたはどんな意識をもって日々の仕事に取り組んでいますか?(複数選択可)
一般的にフィリピンやベトナムの人たちは、「家族と過ごす時間を、仕事と同じぐらい大切にする」傾向があると言われています。今回のアンケート結果においてもその傾向は見られるものの、回答者の約98%が「新しい技術やスキルを身につけ、優秀なエンジニアになりたい」という意識を持っていることがわかりました。自身のスキルアップ・キャリアアップの思考が強いようです。
あなたはスキルを高めるために、勤務時間外でどの程度勉強をしていますか?(単一選択)
ではスキルアップのために、どのような努力をしているのでしょうか。近年、日本では社会人の学習への意識が高まっており、令和3年社会生活基本調査によると、日本人が「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」にあてる時間は1日13分(月6.5時間)というデータが出ています。
それに対して、LIGのフィリピン・ベトナムオフィスのエンジニアの平均学習時間は、1日約42分(月約21時間)と日本人の約3倍! 全体の約50%が1日あたり1時間以上勉強をしており、中には毎日2時間以上という者もいます。自身の目標・目指す姿に対して、日頃から努力をしている様子が伺えます。
あなたが将来に向けて注目している技術領域、または、今後自身がチャレンジしていきたい技術領域を教えてください。(複数選択可)
そんな勉強熱心なエンジニアたちは、技術領域のなかでもとくに「AI」や「クラウド」に対して、興味関心を持っているようです。
これらの結果から、フィリピン・ベトナムのエンジニアは新しい技術領域に興味関心を持ち、日頃の学習を通じてスキルアップを目指している姿が見えてきました。その前向きな姿勢は、日本とのオフショア開発の推進にポジティブな結果をもたらすでしょう。
労働環境・開発環境がモチベーションUPのポイントに
仕事のモチベーションに対して、もっとも大きな影響を与えるものを教えてください。(単一選択)
現地のエンジニアの姿勢やマインドが見えてきましたが、その力を発揮するためのモチベーションにも注目してみました。その結果、「職場環境や開発環境」がとても大きな影響を及ぼしていることが分かりました。
フィジカルとメンタルの両環境への配慮が重要であり、具体的には、業務に集中できるスペースと休憩スペースが確保され、BGMを聞きながら仕事をできること。また、チームアクティビティやイベントが定期的に開催され、同僚との距離感の近さや風通しの良さが求められているようです。
時間とクオリティへの意識の高さ
仕事をするうえで時間(スケジュールや締め切り)に対してどのような意識を持っていますか?(単一選択)
開発時の意識について、近いものを教えてください。(単一選択)
オフショア開発では、時間のルーズさやクオリティの低さが懸念点としてよくあげられます。そういった自然発生的に持たれてしまっている負のイメージは、すべてが開発側を起点にしたものではありませんが、現地のエンジニアはどんな意識を持って取り組んでいるのでしょうか。
結果からは、スケジュールや納期に対して、強い意識を持っていることが伺えます。また、すべてのエンジニアが最低限求められているクオリティを心掛け、半数以上は“期待を超えよう”という姿勢で取り組んでいることがわかりました。スピードとクオリティの両立を意識しているといえるでしょう。
リスク回避への強い意識
業務上のリスク回避のために意識していることを教えてください。(複数選択可)
緊急事態(ミスや問題発生時)の対応方法を教えてください。(単一選択)
オフショア開発では、開発拠点が海外であるがゆえに、緊急時や問題発生時にどんな対応がされているか心配になるでしょう。そこで、日々のリスク回避への意識と緊急時の思考や行動を調査しました。
アンケート結果を通じて、多くのエンジニアが、報連相の意識を強く持っていることがわかりました。日本でも緊急時に、社員から上司への報連相が遅くなることで問題が大きくなってしまうケースもあるでしょう。常に報連相の意識があることで、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
ちなみに、LIGのフィリピンオフィスでは「30分ルール」というものを設定しています。顕在化した問題がなくても、開発業務の中で立ち止まることがあった場合はまずは自身でアプローチをする。しかし、30分以内に最適解が導けない場合は、すぐに上司に相談するというルールを徹底しています。個人でのアプローチには限界があるため、可能な限りチームで臨むというカルチャーがあります。
プロジェクト成功の秘訣は“本質の共有”
日本とのプロジェクトにおいて、どんな要素があることで成功に近づけると思いますか?(複数選択可)
日本側とコミュニケーションをとるうえで意識していることを教えてください。(複数選択可)
オフショア開発において、コミュニケーションはプロジェクト成功の重要な要素として挙げられています。今回の調査で、現地のエンジニアはコミュニケーションにおける「本質の理解」をもっとも大切にしており、それはプロジェクトの成功における大きな要素であることがわかりました。本質とは、プロジェクトが「なぜスタートしたのか」「どんな目的で活用されるのか」「世の中にどのような影響を与えるのか」といったことです。
日本で一緒に仕事をする立場としては、詳細な要件定義を共有し、わかりやすく説明することも重要です。要件定義が詰まっておらず、互いの認識共有ができないまま開発がスタートしたために、アウトプットに対して修正が重なることはよくあります。結果、スケジュールを圧迫する事態に。さらに、工数が増えることは、エンジニアのモチベーション低下の原因にもなってくるのです。本質を伝えるためには、コミュニケーションの量と質が重要です。
LIGのオフショア開発の強みは“チームであること”
今回、アンケートを通じてフィリピン・ベトナムオフィスに在籍するエンジニアのスキルについても調査してみました。どんな人がオフショア開発に携わるのか、メンバーの特徴についてお届けしていきます。
左:年齢分布、右:経験年数
フィリピン・ベトナムオフィスともに、20代中盤から30代前半のエンジニアがもっとも多く、経験年数3年以上のエンジニアが約7割を締めます。平均年齢は若いながらも、10年以上のキャリアを誇るシニアエンジニアが3割強在籍しています。
フロントエンドエンジニアが用いているプログラミング言語
バックエンドエンジニアが用いているプログラミング言語
モバイル開発にて用いているプログラミング言語
ネットワーク構築・データベース経験業務
インフラストラクチャにおける経験
データベースにおける使用ツールやソフトウェア
DevOpsにおける使用ツールやソフトウェア
グラフが示すように幅広いスキルを所有しているので、あらゆる案件に対応できることは特徴の1つでしょう。また、記載以外にも日本でポピュラーになってきているプログラミング言語は積極的に取り入れており、さまざまなニーズに答えられるよう採用・社員育成を行っています。
アンケートの最後には、自身が所属しているオフィスの自慢できることや強みを挙げてもらいました。
- Strong teamwork, everyone in the team shares their knowledge
(強いチームワークがあり、チームの全員が知識を共有できること) - the camaraderie of the members both in and out of work, culture of knowledge sharing and cooperation among members even if not part of the project
(仕事・プロジェクトの枠にとらわれずメンバーの友情があり、知識共有と協力の文化があります) - Great teamwork between co-workmates regardless of what project you belong, anyone is willing to lend a hand when needed.
(プロジェクトに関係なく、メンバー間の素晴らしいチームワークがあります。そして必要なときには誰もが喜んで手を貸してくれます) - Experienced team, strong technical skills
(経験豊富なチームであり、強力な技術力を持っています) - Always sharing, supporting each other
(常に分かち合い、支え合うこと)
LIGのフィリピン・ベトナムオフィスは、チーム力が強みです。チーム力があることで、コミュニケーションが円滑になり、仕事における本質理解、プロジェクトの成功へつながっていくのです。