テクノロジー部ののっぴーです。
近年、クラウドサービスの普及により、アプリケーション開発者は、バックエンドの構築や管理について、煩雑な作業から解放されるようになりました。そのなかでもBaaSは、アプリケーションのバックエンドを簡単かつ迅速に構築することができるため、多くの開発者によって利用されていますが、BaaSにはメリットとデメリットが存在します。
そこでこの記事では、BaaSのメリットとデメリットについて解説し、開発者がBaaSを使用する際に考慮すべきことを紹介します。
目次
BaaSとは
BaaSとは「Backend as a Service」の略で、主にWebのバックエンドの機能を提供するサービスです。モバイルアプリケーションのバックエンド向け機能を提供しているものをmBaas(mobile Backend as a Service)と呼びます。BaaSでは主にWebサーバー(Hosting)やデータベース(Data Store)、認証機能などを提供してくれます。
BaaSを利用することで、モバイルアプリやWebアプリケーションの開発者がバックエンドの構築・開発・運用の工数を大きく減らすことができ、アプリケーションやフロント側の開発に専念することができます。
なお、BaaSには以下のような種類があります。
- 主要なBaaS
-
- Firebase(GCP)
- AWS Amplify
- Azure Mobile Apps(旧Web Apps)
- Cloudflare Pages / Workers / D1
- その他のBaaS
-
- Back4app
- Parse
- Hexabase
- Supabase
- ニフクラ mobile backend
- AppPot
BaaSを使うべきケースとそうでないケース
BaaSを使うべきケースとそうではないケースの違いは、アプリケーションの要件や開発者のニーズによって異なります。以下に、BaaSを使うべきケースとそうではないケースについて説明します。
- BaaSを使うべきケース
-
- 開発速度を優先したい(バックエンドの詳細を練らずにとりあえずプロトタイプを作りたい)場合
- バックエンドの構築・保守の手間を省きたい場合
- ABaaSの機能を使いたい場合
- BaaSを使うべきでないケース
-
- BaaSで提供していない機能が必要な場合
- SEO対策が必要(SSRが必要)な場合
- データベースで複雑なクエリを利用する場合
BaaSを使用することで、アプリケーションのバックエンドを簡単に構築することができるため、開発期間を短縮することができます。そのため、指定された開発期間が短く、開発速度を優先したい場合にはBaaSはおすすめです。
逆に、BaaSは一般的な機能を提供することができますが、アプリケーションの要件に合わせてカスタマイズが必要な場合には、自社でバックエンドを構築する必要があります。そのため、複雑なクエリを利用する場合には、BaaSの使用は向いていません。
従来のサービスとBaaSの比較
続いては、従来のサービスとBaaSの機能を比較してみます。
BaaS | 従来 | |
---|---|---|
サーバーの構築・管理 | 不要 | 必要 |
利用するデータベース | 制限あり | 自由に選択可能 |
バックエンドプログラムの開発・保守 | 不要 | 必要 |
スケール | 自動 | 自前で用意 |
認証機能 | 用意されている(サービスによる) | 自前で実装・組み込み |
その他の機能 | あり(各BaaSで異なる) | 自前で実装・組み込み |
SSR | 苦手(サービスとFWによる) | – |
制約 | 多い | 少ない |
BaaSのメリット
このように、BaaSには従来のサービスとは異なる特徴があります。では、そんなBaaSに関する具体的なメリットを紹介します。
安全性が高い
BaaSは、セキュリティに対するリスクを最小限に抑えるために、データの暗号化やセキュリティ対策を提供しています。これにより、アプリケーションのセキュリティを向上させることができます。また、データの損失を防ぐために、定期的なバックアップを行っているため、万が一の場合でも、データの復旧が容易になります。
このように、BaaSは、あらかじめ用意されているバックエンド機能を利用することができるため、安全性が高いというメリットがあります。
利便性が高い
BaaSを利用することで、バックエンドの構築に必要なスキルや知識がなくても、簡単にバックエンドを構築することができます。これにより、開発者はアプリケーションのフロントエンドやビジネスロジックにより多くの時間を費やすことができます。また、BaaSは、インフラストラクチャーの構築や管理に必要なリソースを節約することができるため、開発者はアプリケーションの開発により多くのリソースを注力することができます。
上記の他にもBaaSには開発時に必要なものが揃っており、利便性が高いサービスとなっています。
開発コスト削減可能
BaaSを利用することで、インフラストラクチャーの構築や管理に必要なコストを削減することができます。具体的には、サーバーの購入やセキュリティ対策などのコストを削減することができます。
また、バックエンドの構築に必要なスキルや知識を持たない小規模な開発チームでも、バックエンドの構築や管理を行うことができるため、開発チームのスキルアップに必要なコストを削減することができます。
このように、BaaSを利用することでバックエンドの開発をする必要が少なくなり、フロントエンドの開発に注力できるのです。
トラブル対応が容易
BaaSでは、インフラストラクチャーのトラブルに対する手間を省くことができます。BaaSの提供するサービスは、クラウド上で実行されるため、ハードウェアのトラブルやネットワークの障害などに対応する必要がありません。
サービス構築を迅速にできる
バックエンドの構築に必要なスキルや知識を持たなくても、BaaSを使えば簡単にバックエンドを構築することができます。また、BaaSでは様々なAPIが提供されており、これらのAPIを利用することで、開発者は短時間でバックエンドを構築することができます。例えば、ユーザー認証機能やデータストレージ機能などを提供しており、これらの機能を利用することで、バックエンドの構築時間を短縮することができるのです。
BaaSのデメリット
Baasの種類によっては経済的負担が大きい
BaaSには、プランやサービスによって価格帯が異なるため、適切なプランを選択しないと、予算オーバーになることがあります。
例えば、ユーザー認証機能やデータストレージ機能など、より高度な機能を提供するプランは、より高い価格帯となりますし、アプリケーションの利用者数が多い場合は、より高価なプランを選択する必要がある場合があります。
ベンダーの切り替えが簡単にできない
BaaSは、以下のような理由からベンダーの切り替えが簡単にできない仕様になっています。
- ベンダー固有のAPIやプログラムを利用している場合がある
- データの移行が難しい
- サービス提供の信頼性が低い場合がある
このようにベンダーの切り替えができないことは、BaaSの大きなデメリットと言えます。
サポート体制が不十分の場合がある
BaaSを提供するベンダーによっては、サポート提供範囲が限られている場合があります。例えば、ベンダーが提供するサポート対象範囲に、開発者が直面している問題が含まれていない場合、問題解決には時間がかかる場合があります。また、ベンダーが提供するサポート対象時間が限られている場合、開発者が直面している問題に対する返答や解決が遅れることがあります。
まとめ
今回はBaaSのメリット・デメリットを中心に解説しました。本記事を参考にして、BaaSの理解を深め、目的に合った利用を検討してみてください。