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【東京宝島体験レポート】利島編(前編)約300人が暮らす地形が美しい小さな里島を探索

伊藤あきら

みなさんこんにちは。ライターの伊藤あきらです。

「お前誰やねん!」というツッコミはとりあえず頭の片隅においていただいて、いきなりですが、記事トップにある写真の場所がどこかわかりますか?

タイトルですでに答えが出ていますが……実はここ、東京なんですよ。信じがたいかもしれませんが、正真正銘リアルガチで都内です。

東京都には伊豆諸島に9島、小笠原諸島に2島の合計11の有人離島があり、僕は今、そのうちの1つの「利島(としま)」という離島に来ています。「離島、りとう、リトウ……」なんか響きだけで冒険心がくすぐられるというか、ワクワクします。

今回はお仕事という大義名分を掲げながら、「東京宝島」の1つであるこの利島で、思う存分に離島の魅力を体験し、前後編にわたってレポートします!

※事前に検査で陰性結果取得のもと、感染拡大防止に努めて撮影・取材しています。
※2021年11月の取材時点の情報です。

東京宝島ってなに?

東京宝島への旅 “TOKYO TREASURE ISLANDS” (30sec)

さて、先ほど「東京宝島」と言いましたが、聞き慣れない言葉だったと思うので簡単に説明します。東京の島々には、素晴らしい景観や特産品、文化などの「宝物」がたくさんあります。東京都では、こうした「宝物」や隠れた魅力を掘り起こし、磨きをかけて多くの人に伝えることで、島のブランド化を目指す取組を行っています。また、各島の住民の方々が主体となって、それぞれの島の魅力をさまざまな形で発信しているんです。

東京宝島のバナー

記事の前編では利島ならではのスポットをまわって紹介し、後編では利島の特産品や島の人たちの取組について紹介したいと思います。

利島はどんな島?

僕のような東京の離島初心者のために簡単に説明すると、利島は都心から南に約140km、伊豆大島よりもちょっと南に位置する、周囲約8km、面積4.12㎢、人口約300人の断崖絶壁に囲まれた小さな島です。

利島にはなんと6,000年前、つまり縄文時代から人が住んでいたようで、当時の土器なども出土しているそうです。そして利島でもっとも有名なのが椿。島の80%が椿林に覆われていて、椿油の生産量は日本でもトップクラスとのこと。すごいですよね。

利島へのアクセスは、東京の竹芝桟橋から出ている船で行くのが一般的です。大型客船の場合は約9時間40分、高速船であれば最短2時間25分で行くことができます。利島にはヘリポートもあるので、天候の影響で船が着岸できない場合はヘリを使って、大島から利島へ向かうことも可能です。

ではさっそく、東京から利島へ出発です!!

東京の竹芝桟橋から大型客船で利島へ

今回、僕が乗ったのは大型客船の「さるびあ丸」。なんでも利島は天候が悪いと港に着岸できないことがままあるということで、高速船よりも着岸できる可能性の高い大型客船を選びました。

この日は、東京竹芝客船ターミナルから22時出港。順調にいけば、朝の7時40分に利島に到着予定です。

竹芝客船ターミナル

こちらが竹芝客船ターミナル。普段、そんなに写真を撮られることがないので、全身からぎこちなさが伝わってきますね。

さるびあ丸

そしてこちらが今回乗船する「さるびあ丸」です。でかい!

さるびあ丸の船内

船内に入ってみると、想像以上にキレイでとても過ごしやすそうな雰囲気。今回予約したのは特一等室ということで、入ってみるとめちゃくちゃキレイな部屋でした。

さるびあ丸の客室内

どのベッドを使うかで争いは起きず、スムーズに場所が決まりました。みんな大人ですね。

特一等室はトイレとシャワーも完備されており、鍵付きロッカーの中にはバスタオルと浴衣が用意されていました。「ちょっとしたホテルじゃん!」と言いたくなるくらい居心地が良かったです。

さるびあ丸の展望デッキ

6甲板から階段で上がると展望デッキがあり、そこからロマンチックな東京湾の夜景を見ることができます。

東京湾の夜景

夜景を見た後は部屋に戻り、「さて、到着までの9時間、何しようかなー」と考えてスマホをいじってたら意外にも往路ではほとんどネットがつながるという事実に驚きました。「この4G回線はどこからやってくるんだ?」と自問自答を繰り返しながらスマホを握りしめていたら、そのまま就寝。

利島に到着

朝6:00ごろに大島に寄港した後、船のデッキに出ると、目の前には海に浮かぶ利島が見えました。遠目でも、島の形の美しさがわかります。

船から見た利島

船の中じゃ寝られないだろうなと思っていましたが、完全に爆睡。大型客船だからか、思っていたよりも揺れは少なかったです。この日は天候が安定していたこともあり、無事、予定通り利島に到着できました。

さるびあ丸

さるびあ丸、ありがとう!

利島の港から見た宮塚山

船を降りた後、正面を見るとどーんと目に入ってくるのが、このド迫力の景色です。思わず「やばっ!」と声を出してしまいました。どうですかこれ!

目の前にそびえ立つ、絵に描いたようなキレイな形のこの山は、宮塚山と言って利島の象徴だそうです。いやー、もうただただ圧巻。自然ってすごい!!

港には今回宿泊する「かねに荘」の女将さんが車で迎えに来てくれました。軽く挨拶をかわし出発したはいいのですが、道路が細くて坂の傾斜がハンパないことに驚きました。

利島村の坂道

しかし、女将さんは慣れた様子でスイスイ通っていき、5分ほどで宿に到着。途中、「正面から車が来たらどうするんですか」と聞くと「みんなバックして道を譲り合って、うまいこと進むよ」と言ってました。利島は坂が多い上に急なので、ほとんどの島民が歩きではなく車移動なんだそう。

確かによく見ると、歩いてる人より車のほうが多い。しかもみんな品川ナンバー。「本当にここは東京なんだな」と改めて実感しました。ちなみに、利島には信号機が一つもないそうです。

かねに荘

こちらが本日のお宿、かねに荘。手続きを済まし、僕たち一行が案内されたのはつばきの間とうめの間。

かねに荘の客室

かねに荘の客室からの眺め

つばきの間は窓を開けると、ポストカードのような素晴らしい景色が広がっていました。

かねに荘の客室からの眺め

「もう今日、ずっとここにいてよくない?」。そう思ってしまうくらいキレイな景色ですが、この後、利島ならではの場所にいくつか案内していただけるという話なので、後ろ髪を引かれつつ部屋を後にしました。

海と山が見える、坂道の多い村を探索

というわけで民宿を出て、集合場所へ向かいながら村の集落を探索することに。いやー、どこの場所にいても宮塚山が見えますね。

利島の宮塚山

なんだか山に見守られてるような安心感があります。

利島の小中学校

途中、小中学校を見つけました。どうですかこれ。後ろには海があって、遠くには島が見えます。こんな素晴らしい景色の中にある学校、日本全国を探してもなかなかないのでは。とにかく景色が最高です。

利島村の坂道

それにしても、本当に坂道が多いです。というか、道は坂道しかないです。利島で徒歩生活をすれば、強靭な足腰が手に入りそう。

利島村の坂道

集合場所に着き、ご挨拶したのは利島村役場の長谷川竜介さん。

利島村役場の長谷川竜介さん

一見、ちょっと強面な感じがするかもしれませんが、実際はとても話しやすくて優しい方でした。利島のことなら何を聞いても教えてくれます。今回、長谷川さんには利島の名所を案内していただきました。

世界最小のボウリング場

まず最初に案内してくれたのは、集落の端にある勤労福祉会館。ウォーキングマップによると、村民が気軽に集まれる憩いの場とのこと。一見すると普通の公民館という佇まいだったので、中に入るとびっくり。

利島村のボウリング場

うん、これ完全にボウリング場ですよね。2レーンのみだけど、けっこう立派です。しかもこのボウリング場からは隣の部屋で普通に仕事をしている役場の方々が見えるので、けっこうシュール。長谷川さんいわく、一般向けに営業しているボウリング場の中では世界最小とのことでした。

利島村のボウリング場

せっかくなので、僕の素晴らしい投球フォームをご覧ください。

利島村のボウリング場

利島ならではの場所といえば自然を想像してたので、こんな場所があるなんて予想外でした。

利島の風習「山廻り」を体験

車に乗り換えて、次のスポットがある宮塚山のほうへ。途中、マラソンをしている小中学生たちを発見。山道をひたすら走り続けるとか本当に気合が入ってます。しかも、みんな僕たちを見るたびに「こんにちは」と元気に笑顔で挨拶してくれるから気持ちいい。島民の方々の距離感の近さも島の魅力の1つなんだと思いました。

さて、次に案内していただいたのは、山中にある神社です。利島には正月の三が日に米とお神酒を持って、一番神様、二番神様、三番神様と呼ばれる神社へ順に参拝してお供えをする「山廻り」という風習があるそう。長谷川さんに、一番から三番神様まで案内していただき、僕も参拝しました。

まず最初に向かったのは、一番神様。

利島村の阿豆佐和気命(アズサワケノミコト)本宮

正式には、「阿豆佐和気命(アズサワケノミコト)本宮」と言います。東京都の文化財にも指定されていて、島民の信仰の歴史を知るうえでも貴重な史跡なのだそうです。長い玉石の階段は苔に覆われていてなんだか厳かな雰囲気。

阿豆佐和気命(アズサワケノミコト)本宮

階段は登れないようなので、手前に設置された賽銭箱に小銭を投入。実は帰宅予定日に爆弾低気圧がくるとのことで、当初の予定通りに帰るのは無理ではないか、という話を聞いていたため、「天気が良くなりますように」と必死にお祈りしました。

次に向かったのは、二番神様。

利島の大山小山(オオヤマコヤマ)神社

正式名称は「大山小山(オオヤマコヤマ)神社」です。山の安全をつかさどる大山祇命(オオヤマツミノミコト)を祀る神社で、島では「山神様」とも呼ばれているそうです。こちらも東京都の文化財に指定されています。

利島村の大山小山(オオヤマコヤマ)神社

二番神様にも、天気が良くなりますようにとお願いしました。

そして最後に三番神様。

利島の下上(オリノボリ)神社

正式名称は「下上(オリノボリ)神社」。こちらは阿豆佐和気命の妃を祀っています。宮塚山の裏参道に位置していることから、無事に下山した人がお礼に参拝する習わしがあるそうです。

利島の下上(オリノボリ)神社

こちらでも天気がよくなりますようにと、念入りにお願いしておきました。これで帰るときも安心ですね。

ちなみに、予報通り爆弾低気圧は到来しましたが、奇跡的に後日全員予定通りに帰ることができました。神様ありがとうございます!!

利島のシンボル、宮塚山の展望台へ

山廻りをした後は、長谷川さんの案内のもと宮塚山の展望台まで登ることになりました。

利島の宮塚山

「登るのキツイですか?」と長谷川さんに聞くと「まぁ、ちょっと歩くかな」みたいなテンションだったので、軽い気持ちで行くと言ってしまいましたが、「ちょっと」の基準がどうやら僕とは違いました。運動不足の僕には、なかなかハードな道のりでした……。

利島の宮塚山

途中、長谷川さんがいい感じの木の枝を見つけて杖を作ってくれたので、それを頼りに登っていきます。ただ、やっぱり上りはキツイ。階段はあるものの、けっこう急な上り道が続きます。

そして道中、こんな立派な大木がありました。スケールすごい。

利島の宮塚山

足がパンパンになりながらも、40分くらいかけてなんとか展望台に到着。宮塚山を登るのであれば、杖は大事なアイテムですね。杖の効果、ハンパないです。

利島の宮塚山

遠くから見るとわからないと思いますが、息が上がりすぎてなかなかひどい顔してます。でも、そんな疲れを一瞬で吹っ飛ばすくらいの景色が展望台から見えました。

利島の宮塚山展望台からの景色

下を見れば利島の集落や港が見え、遠くを見れば伊豆諸島。雲は近く、海が波立つ様子もよく見えて、美しいのは言わずもがな。なんだか立っているだけで心が洗われていくようです。明日は筋肉痛確定ですが、「頑張ってここまで登ってきて良かったー!」と思わせてくれる、まさに絶景と言うべき光景が見られました。

利島の宮塚山展望台

景色を堪能したら、下山です。山登りに慣れていない僕らは生まれたての小鹿のように足をプルプルと震えさせながら下山しました。下山のほうが足がキツいというのは、本当なんですね。

ちなみに、女性のフォトグラファーは10kg以上はある重い機材を背負って同じ山道を登り降りしてましたが、なぜか誰よりも元気でした。いや、本当にリスペクト。

もう1つの絶景スポット「南ヶ山園地」へ

神社巡りの途中、絶景ポイントがあるとのことで案内してもらったのが、この南ヶ山園地

利島の南ヶ山園地

ここは新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島が一望できるということで新東京百景の一つにも選ばれているそうです。宮塚山の展望台よりも海が近いため、また違った光景を味わうことができます。

利島の南ヶ山園地

迫力ある伊豆諸島の島々と、雲の切れ目から漏れる太陽光に照らされた、凪いだ海のコントラスト。これぞ絶景……と一同沈黙。声にならないほど美しい、神秘的な自然の姿がそこにありました。この肉眼で見る凄さを伝えきれないのが悔しい。

夜は空一面が天然のプラネタリウムに

そして、この南ヶ山園地は夜になると天然のプラネタリウムになるということで、陽が沈んだ18時ごろに改めて長谷川さんに案内してもらいました。ということで、夜の様子はこちら。

利島の南ヶ山園地の星空

みなさんは、星が眩しいと思ったことってありますか? 僕は星がこんなにキレイに明るく光る様子を初めて見ました。

利島は人口が少なく集落の光もそれほど強くないため、星が見えやすいんだそうです。本当にいろいろな星座がよく見えます。星ってオリオン座だけじゃないんですね……。それに、生まれて初めて天の川を肉眼で見ました。都市伝説じゃないんです、天の川。プラネタリウムでしか見られないものだと思っていましたが、利島だと肉眼で見えるんですね。

ふだん見ている夜空とはあまりにも違いすぎて、ただただ無言で星空を見上げていました。自分が死ぬ前に人生を振り返ったとき、この光景は絶対に思い出すだろうな……。そう言い切れるほど、とても美しい満天の星空でした。

利島の南ヶ山園地の星空

利島周辺には野生のイルカも生息

利島の周辺には、野生のミナミハンドウイルカが棲み付いていて、現在では約20頭前後が確認できているそうです。そのため、イルカウォッチングやドルフィンスイムも体験できます。

イルカウォッチングでは漁船に乗って利島周辺をまわり、イルカを見に行くことができます。ドルフィンスイムでは、さらに真近でイルカと一緒に泳ぐことができるそうです。だいたい3〜10月ごろでの実施ということで、今回は残念ながら体験できなかったので、こちらは提供写真。

利島のドルフィンスイム

まとめ

利島の猫
島民に飼われているらしき島の猫。探索中、自由気ままに歩き回る猫をよく見かけた

初日に利島の名所を巡って率直に感じたことは、利島は自然とともにある美しい島だということ。船を降りた瞬間から陽が落ちて一日が終わるまで、どこを見ても常にありのままの自然が真近にあり、島の人たちも自然とうまく共生している、そう感じました。利島は人口が少なく観光向けに開発されていないため、余計にそう思ったのかもしれません。

都会での生活しか知らない僕にとっては、それがとても新鮮で少し羨ましい……そう感じる1日でした。島の人たちが聞いたら「こんなの日常だよ」と笑われてしまいそうですけどね。

利島の魅力はみなさんに伝わったでしょうか? 次回後編では、利島が誇る特産品の椿油と明日葉を使った産品開発プロジェクトの様子を取材します! 前編とはまた違った魅力のあるスポットを巡りながら島の人たちにインタビューしたので、ぜひ見てみてくださいね。

利島の情報はこちら!