Strategy&Consulting事業部 部長の前島です。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進においてよく挙がる課題の一つに、「縦割り組織」があります。今回はその打開策として有効な部署横断チーム「CoE(Center of Excellence / センターオブエクセレンス)」をご紹介します。
目次
「縦割り組織」はなぜDXの弊害になるのか
はじめに、「縦割り組織」がDXの弊害となる理由を整理しましょう。
DXとは、データやデジタル技術を活用して顧客に対する提供価値を最大限に高め、変化の激しいビジネス環境でも生き残れる企業へ変革することを指します。
「契約書の電子化」など、アナログ業務をデジタルに置換するだけなら部門連携はそこまで必要ありません。しかし “企業の変革” となれば、当然一部門だけでは実現しないのです。
たとえば、私がいままでDXを支援してきた企業様のほとんどは以下のような課題を抱えていました。
-
-
グループ会社あるいは各部門にデータが点在し各々自由に管理しているため、全社的なデータ統合・活用が進まない
-
営業部門と技術部門の間にパワーバランスが存在し、営業都合、あるいは開発都合のサービスが生まれてしまっている
-
いずれも部門連携がうまくいっていない、縦割り組織であるが故に生まれている課題です。この状況では、自社が保有するデータや技術を顧客価値の向上に活かすことができません。
また、縦割り組織から生まれるセクショナリズムはかなり根深く、「部門同士なかよく連携しましょう!」と声をかけるだけで改善できるようなものでもないでしょう。
よってDXを実現するには、スペシャルな部署横断チームが必要です。これがCoE(Center Of Excellence)です。
CoE(Center of Excellence)とは
CoE(Center Of Excellence)とは、もともと「高度な研究機関」を意味します。最高の環境を用意することで優秀な研究者を惹きつけ、イノベーション人材を輩出すべく設けられたスタンフォード大学の研究機関が発祥です。
ことビジネスの世界においては、「プロフェッショナルが集まった部署横断チーム」をCoEと呼び、おもにDX推進や人事領域で用いられています。
各部門と対等にコミュニケーションをとれるだけの専門知識、各部門に寄り添いながら目指すべき方向へ導く調整力、そしてDX成功に向けてプロジェクトを推進するリーダーシップ。これらを兼ね備えたプロフェッショナル集団がCoEです。
DXにおけるCoEの3つの役割
DX推進におけるCoEの役割は3つあります。
①顧客中心のプロジェクト推進
CoEはDX成功に向けてプロジェクトをリードします。DXとは前述のとおり、デジタルを活用して顧客に対する提供価値を高め、企業の競争力を高めること。「デジタル活用」という手段に溺れることなく、顧客が求めているものを真摯に考え、製品サービスをデザインしていく必要があります。よって顧客中心にプロジェクトを推進することが、CoEの大事な役割の一つです。
②ステークホルダー間の調整
各部門はそれぞれ自分たちが背負っているミッションを達成すべく日々働いています。そのミッションや置かれている状況を知らずに全社プロジェクトへ巻き込もうとしても、当然うまくいきません。よってCoEは現場の声を聞き、ときに折り合いをつけながらも、会社が目指す方向へ各部門を導く調整業務も担います。
③IT部門のマネジメント
デジタル活用を伴うDXにおいてはエンジニアの協力が欠かせません。社内に開発部門があるとしても、外部パートナーに委託しているとしても、彼らと適切にコミュニケーションをとりながらビジネスアイデアを具現化していく必要があります。ビジネスと技術、どちらの専門性も兼ね備えたCoEは、開発部門をマネジメントする役割も担います。
CoEに外部パートナーが入る理由
いざCoEを設置しようとしても、「そんなプロフェッショナル集団を社内で作るなんて難しい」という企業様が多いでしょう。よってCoEは弊社のようなDX支援をおこなうコンサルティング会社が担うケースも多くあります。
たとえば弊社の場合、以下の3名でチームを組んでクライアント先に半常駐しながらDXを支援します。
- 業務PMO(おもに①②を担当)
- システムPMO(おもに③を担当)
- デザインコンサルタント(①におけるUI/UX支援)
「全社を動かすなら社内の人間のほうがいいのでは?」と思われるかもしれませんが、外部の人間だからこそ社内の利害関係を気にせず、率直に口出しできるという利点があります。
ぜひ選択肢の一つとしてお見知り置きください。
さいごに
もしみなさんの会社で縦割り組織に課題を感じているなら、部署横断のプロフェッショナルチーム「CoE」を設置してみてはいかがでしょうか。
セクショナリズムは簡単になくなるものではありませんが、部門を越えた成功事例を一つでも二つでも作ることができれば、少しずつ社内の空気は変わっていくはずです。
我々LIGもお客様のCoEメンバーとしてDXを支援いたしますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。