こんにちは。エディターのモッチーです。
僕はもともと雑誌やフリーペーパー、リーフレットなど紙媒体の編集者としてキャリアをスタートしました。その後、Webメディアやイベント、空間装飾、商品パッケージなど様々なアウトプットの編集に関わってきました。
そして、最近関わりが深くなってきたのが動画コンテンツの制作です。今回は、僕が動画制作に関わるようになって考えたこと、感じたことを紹介していきます。
目次
今、動画に求められていること
僕は学生時代まで典型的なテレビっ子でしたが、今はテレビから離れ、暇な時間があればもっぱらYouTubeを見ています。著名人から個人までいろいろな人が動画に出演し、あらゆるジャンルの動画があるのでいつまでも見ていられます。
それではまず、編集者でテレビっ子ならぬYouTubeっ子(子ではないですね)の僕が考えた、「視聴者が動画コンテンツに対して求めていること」をお伝えします。
関係性 : 出演者(制作者)と視聴者の繋がり
テレビが主流だった時代、視聴者は出演者(制作者)を画面越しに、つまり一方的にしか見ることができずお互いの距離は離れていました。当時も多くの人に見てもらおうと、出演者(制作者)はさまざまな工夫をしていましたが、見る人と作る人の間には一定の壁があったように思います。
しかし、現在の動画コンテンツでは出演者(制作者)が視聴者の姿を強く意識し、繋がりをとても大切にしています。例えば、視聴者が動画に対して要望のコメントを寄せ、出演者(制作者)がその要望を動画で表現する、というようなことです。
一方、不利益な出来事や発言によって視聴者が離れることもあるため、お互いの距離感をどう保つかが難しくなっているように思います。
トンマナ : 整えられていない、親しみやすさ
SNSやblogなどが登場する前は、社会に対して発信し強い影響力を持っていたのはメディアや企業(組織)でした。それら発信者は自分たちの情報を最大限に伝えようと考え抜かれた企画を整った表現で計画的に発信していました。
しかし、SNSやblogで個人が気軽に発信ができるようになってきたことで、個人の表現に注目が集まり、そこに共感を示す人が多くなりました。整えられていない、生々しい情報だからこそ親しみを感じていると思われます。
企業のチャンネルよりも個人のチャンネルに多くのフォロワーが付いているという事実は、それを顕著に表していると言えます。
ちなみに僕は視聴者として、動画を見ているなかでこんなところに親しみを感じます。
- 発信者の姿が見えること
- 本音が聞こえること
- 視聴者を意識していること
- ハプニングや問題、裏側もさらけ出していること
- 背伸びしていない、等身大であること
- 忖度していないこと
このほかにも発信者の個性が表現される部分はいくつもあるかと思います。過度な演出なく親しみを感じさせることはとても大事ですね。
ニーズ : 多様な共感ポイント
これまでご説明した、個人の発信と親しみやすさに繋がってきますが、近年の動画は共感ポイントがとても多様化していると思います。
例えば、食にまつわる動画ではたんに「おいしい」を伝えるだけでなく、おいしさの中身をより細分化して伝えていく必要があると思います。日常のおいしさなのか、特別場面のおいしさなのか、どこで味わうおいしさなのか、誰と味わうおいしさなのかなどです。
細分化するほど、他の動画と差別化しコアなファンに支持される可能性があるものの、支持者の割合が少なくなるのも事実です。視聴者のどんなニーズに対して共感を届けていくか、そのバランスが肝になってきます。
ここで、僕が共感を受けたニッチなコンテンツと共感ポイントを紹介します。
チャンネル名:今日ヤバイ奴に会った
インドの屋台の食にフォーカスし、街の路上で作られる様子を臨場感溢れる映像で伝えているチャンネル。僕も過去にインドに2回行ったことがあり、現地の屋台の風景に惹きつけられた記憶があります。
通行人や車が行き交う路上でダイナミックに料理を作っていて、同じ料理でも屋台ごとによって作り方が違ったりします。屋台ごとにコミュニティがあって、街との調和も面白いんです。インドに行ったことがある人は当時の思い出と重なるところがあり、初めて見る人にとってもインドの食や日常を知るきっかけになっているチャンネルです。
チャンネル名 : 戦力外110kgおじさん
40代のおじさんがプリウスで飲んだり食べたり寝たり……車上生活の様子を映し出しているチャンネル。僕自身、過去に車通勤をしていた時期があり、当時はよく仕事終わりに、弁当や丼もの、お菓子などなど、いろいろなもの車の中で食べていました。
たまに満腹になってそのままコンビニの駐車場で朝を迎えることも……。給料日には普段は買わないような高めな肉弁当を買ったりしました。美味しいものを食べたり、寝たり、車の中で過ごす楽しさに共感する人はいるのではないでしょうか。
視聴環境 : ながら見
テレビは自宅や滞在先で見ることが圧倒的に多く(カーナビなどの移動中もありますが)、見る環境は限られています。しかし、現在はスマホで場所を問わず動画を「ながら見」する傾向が強くなっています。
移動中、仕事中、家事の最中はもちろん、スマホで他の画面を見ながら裏側で動画を見るなどしている方もいらっしゃるかと思います。動画の絵はもちろん、音や言葉の伝え方を工夫して「ながら見」するうえで心地よいコンテンツを作ることも重要になってきます。
動画コンテンツの利点
次に、動画コンテンツの利点を紹介します。
情報量の多さ
テキストや写真によるコンテンツに比べ、情報量が5000倍あると言われている動画コンテンツ。映像・音・テロップなど、さまざまな要素を通じて短時間で膨大な情報を伝えることができます。
リアルな情報を正確に届けることができる
テキストや写真主体の記事コンテンツでは、表現できることはごく一部であり、全体の理解は読者に委ねられることもあります。しかし、動画コンテンツの場合は、映像と音により視聴者にダイレクトに内容を伝得ることができ、伝わり方や理解のされ方にズレが生じにくくなります。
感情が伝わる
コンテンツ制作で「感情」を表現することはとても大切なことだと思いますが、その一方で一番難しいことでもあると感じます(ニュースや情報を届けるためのコンテンツを除く)。
特に企画系のコンテンツであれば、「おもしろい」「怖い」「悲しい」「寂しい」など、そのコンテンツが示す感情がリアルで鮮明なほど、情報が伝わりやすく、共感を感じてくれると思います。
テキストや写真だけで感情を伝えることはとても難しいですが、動画は出演者の声や表情などを通じて感情を伴うことができます。
記憶に残る
記事コンテンツであれば、目で見て、テキストを読んで、頭で理解することで内容が記憶に刻まれます。しかし、動画コンテンツは動きと音を伴い、短時間で膨大な情報を得ることができるため、記憶に刻まれやすくなります。
動画コンテンツは、視覚に訴えかける映像と聴覚に訴えかける音声を掛け合わせることで、記事コンテンツよりも2倍記憶に残ると言われています。
まとめ:動画は目的ではなく、手段の一つ
今は動画コンテンツがトレンドなので、まず動画を作ろうという意識は強くなっています。しかし、“動画を作ることが目的ではなく、伝えるための手段であるべき”だと思っています。
特にオウンドメディアであれば、自社の課題解決に向けてコンテンツを作り発信しているケースがほとんどです。課題解決のために何を伝えるべきかを明確にし、伝える手段として動画を選択すべきだと思います。
そうすることで、伝えたいことをターゲットに届けるうえで動画だけでなく、記事やSNSとの連動がなされ、効果的なプロモーションに繋がるでしょう。