
マーケティングにおけるペルソナとは?意味や目的・作り方をわかりやすく解説
こんにちは!広報室のたびちんです!
みなさんは「カスタマージャーニー」という言葉を聞いたことはありますか?マーケティング側面やUXデザインの文脈など、さまざまな視点から語られています。
この記事では、カスタマージャーニーとはなんなのか、またカスタマージャーニーマップとはどういうものなのかを解説しつつ、実際の業務に役立てるためのプロセスをお伝えします。
今回の記事が、いきなり「カスタマージャーニーのことをもっと考えよう」「カスタマージャーニーマップ作ってよ」などの声をかけられた方の、何らかの助けになれば嬉しいなと思います。
マーケティングにおけるカスタマージャーニー(英語:Customer journey)とは、ペルソナが商品やサービスを購入するまでの道のりのことをいいます。
もう少し詳しく説明すると、人はいきなり商品を購入するわけではなく、買いたいと思い始めるきっかけがあり、検討・比較段階を経て、やっと購入に至りますよね。また、購入に至るまでには「これが自分にあってそう!」というポジティブな感情や、「やっぱり他の商品の方がかわいいかも」というネガティブな感情を行ったり来たりすることもあります。
このようなユーザーの一連の思考・感情・行動の変化を時系列で表したものがカスタマージャーニーとなります。
なお、これらを図や文字でマッピングしたものが、「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれるものです。カスタマージャーニーマップについては、のちほど事例と一緒に詳しく解説します。
マーケティングにおいてカスタマージャーニーが重要視されるのは、企業側の「こう売りたい」という意志ではなく「顧客目線で考える」ことが大切だからです。こんなの当たり前では?と思う人もいるかもしれませんが、実際多くの企業で「自社の強み」に焦点を向け、「顧客にとっての価値」に焦点が当たっていないことがよくあります。
これらのような訴求は、意識が自分に向いてしまっています。もしあなたが何か商品を検討している立場であれば、「どんな体験が得られるのか?」「どんな悩みを解決してくれるのか?」を知りたいですよね。
もはやマーケティング業界では当たり前のように語られている「顧客視点」ですが、実践するのは意外と難しいんです。だからこそカスタマージャーニーのような手法を用いて、顧客視点をあらためて考えるということが大切なんですね。
では、カスタマージャーニーを作成することで、どんな意味があるのでしょうか。カスタマージャーニーを作成する目的やメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
マーケティングにおいて顧客を分析できるツールといえば、Google AnalyticsやMAツールなど、様々なものがありますよね。しかしこれらの分析ツールで得られるのは、あくまでタッチポイント(顧客との接点)の情報です。
例えば、ボタンを押した数や、ページを見た人数などはわかりますが、そのユーザーがどんな経緯や感情でその行動を起こしたのかまでは分析することができません。
カスタマージャーニーマップを使えば、ペルソナの各タッチポイントまでの思考・感情・行動を時系列で見える化できます。つまり、顧客が購買するまでの思考や行動の全体像を理解できるようになるのです。
このようにカスタマージャーニーマップを作成すればユーザーの感情や行動を可視化でき、ユーザーに対してどんなコンテンツが不足しているのか?を考えやすくなります。
また、コンテンツを作るときはユーザー視点で作成することができるため、よりユーザーの感情に響くコンテンツ作りに繋がります。
マーケティングを進めていく上では、マーケティング担当以外にも、営業・開発、場合によっては社外の人とチームを組むこともありますよね。プロジェクトメンバー間でカスタマージャーニーマップを共有することの効果はとても大きく、例えば、顧客の行動に対する共通認識が持てるようになったり、課題の抽出・解決策の考案などを精度高くできるようになります。
ここからは、効果的なカスタマージャーニーマップの作成方法をお伝えします。
カスタマージャーニーマップを作成する前に、まずはペルソナを調査・設定します。年齢や性別、職業などの定量的な情報に加え、趣味・交友関係・ライフスタイルなどの定性的な情報も決めていきましょう。なお、ここではペルソナは作成済みであることを前提として進めていきます。
ペルソナの設定がまだの方・作り方をおさらいしたい方は以下の記事をご覧ください。
マーケティングにおけるペルソナとは?意味や目的・作り方をわかりやすく解説
まずは、カスタマージャーニーマップのゴールを設定します。例えば「資料請求の問い合わせ」「サービスの契約」なのか、ゴールを一つに絞ることで、意見が散らばることなく、スムーズにカスタマージャーニーマップを作ることができます。
※作り込みのレベルを決めるのも大切!
大企業への提案など大人数が関わる場合はフォーマルな作り方がよいですし、仲間内で作る場合はカジュアルな作り方でよいでしょう。どの程度の作り込みが必要かは、最終的に利用する人の期待値と人数に合わせましょう。
続いて、カスタマージャーニーマップのフレームを作成します。今はネットで調べればたくさんテンプレートがあるので、それを活用してもOKです。なお、今回は以下のテンプレートを使い、カスタマージャーニーマップを作成していきます。
サービスや製品の顧客が、どのようなフェーズを辿って購買に至るかを大まかに分類し書き出します。たとえば認知・調査・選択・購入といったものです。対象のプロダクト・サービスに合わせて、最適な枠組みを決めていきましょう。
フレームワークがいくつかあるので、参考にしてください。
■AIDMAを使ったカスタマージャーニーのテンプレート
AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つ。
その製品の存在を知る(Attention)→興味を持つ(Interest )→欲しいと思う(Desire)→記憶する(Memory)→購買行動に至る(Action)という一般的な購買決定プロセスです。
■AISASを使ったカスタマージャーニーのテンプレート
その製品の存在を知る(Attention)→関心を持つ(Interest)→ 調べる(Search)→購買(Action)→情報共有(Share) という購買決定です。eコマースにおいて特徴的なプロセスである「調べる」「情報共有」が含まれます。
タッチポイントとは、顧客との接点のことです。コンバージョンファネルで分類したそれぞれの枠内に、顧客とのタッチポイントが何になりそうか、列挙していきます。たとえば、Web・店頭・口コミ・雑誌広告などがこれに該当します。現状で考え得るタッチポイントを洗い出し、書き出していきましょう。
縦軸と横軸が決まったら、交差するところに行動変容を促す思考や行動を書き出していきます。カスタマージャーニーマップは顧客の行動変容のポイントを知るために作成するものであることに留意します。
想像だけではなく、ペルソナのインタビューなどで得たセリフを拾ってくるのもよいでしょう。
以下のペルソナを例に、カスタマージャーニーマップの作成事例を紹介します。
ペルソナの思考や感情は、時間の経過や時代の流れとともに変わります。つまり、カスタマージャーニーマップもアップデートが必要です。1度きりの作成ではなく、ペルソナやカスタマージャーニーマップを見直すことで、ずれがないか確認をしていきましょう。
チームでカスタマージャーニーマップを作り始めると、盛り上がりますしいろいろな視点が入って充実したものになっていきます。しかし、カスタマージャーニーマップは作ることが目的ではなく、次の施策のヒントにすることが目的です。カスタマージャーニーマップが作成できたら、マップから何を読み取れるかディスカッションし、次の施策を決定しましょう。
採用したいペルソナ像のカスタマージャーニーマップを作成したのち、ディスカッションすることで、次のようなことを決定するのに役立ちます。
ペルソナがBtoB企業の場合、購入主体が組織となることがほとんどです。ここまで挙げてきたようなtoCと違い、その組織内には複数の人たちが属しているという点を考慮しなければなりません。
例えば、組織内では以下のような人たちがそれぞれ異なった役割を持っています。
そのため、カスタマージャーニーマップを作成するときは、各フェーズでキーパーソンを設定し、アプローチ方法を考える必要があります。
カスタマージャーニーのように、マッピングすることで顧客視点を分析するツールは他にもあります。
参考図書:
詳しい説明は『マッピングエクスペリエンス』を読んでいただければと思いますが、体験を図面におこすということには、さまざまな手法や形があるということを認識しておきましょう。もちろん、カスタマージャーニーマップのみを使うことが適切ではない場合も、往々にしてあります。
著者の方のスライドを掲載しておきますので、参考にしてください。
また、人によってはエクスペリエンスマップとカスタマージャーニーマップとブループリントが同じものを指している場合があります。さらには、まったく別のものを思い浮かべているのに「カスタマージャーニーマップ」と呼んでいる場合もあります。呼び名の混同も起きうることに留意し、認識を合わせるようにしましょう。
どれくらい作り込むかによってかわってきます。大企業への提案など大人数が関わる場合は丸一日かかる場合もあります。仲間内で認識を合わせることを目的とする場合は2〜3時間程度を見込んでおきましょう。
大きな模造紙やホワイトボードでやると、意見がでやすい傾向があります。しかし、コロナ禍の現在においては、オンラインで作成できるツール(Google spredseetやMiroなど)を使用するのもよいでしょう。
UXとCXはともに隣接した概念のため、多くの言説で混乱して使用されているように見受けられました。
そのなかでも、この記事が詳しかったのでご紹介します。
CXは顧客以外も範囲にあり、UXは顧客の体験にズームインしていく概念と紹介されています。この記事では明確な違いとして提示していますが、諸説あります。それぞれのメンバーが持つCX・UXの概念は、微妙に揺らいでいるものと認識した上で、カスタマージャーニーを捉え、作成し、ディスカッションしていくことが必要です。
特に、どこからが自社のユーザーなのか、今回の対象となる人はどの範囲にあたるのかは確認しておくとよいのではと思いました。
カスタマーサクセスはサブスクリプションの台頭などで出てきた概念で、顧客の期待する成果を上げられるようサポートする行為のことを指します。そのため、カスタマージャーニーを正確に捉え、施策を実施することで、カスタマーサクセスが実現できると考えるとよいでしょう。
新しい施策を考えるとき、ついつい感覚で動いてしまいそうになります。そんなとき、慎重に検討・観察し、どんな人でもある程度読み取れるようにしたいものです。そんなときに、カスタマージャーニーマップを効果的に使っていきたいですね。
それではまたお会いしましょう! たびちんでした〜!