こんにちは、LIGのアカウントプランナーのジョニーです。
最近、オンライン面接が増えているそうですね。僕はアカウントプランナー(以下AP)チームのリーダーとして面接官を務めることも多いので、何度かオンライン面接も経験済みです。僕の場合、「人事 →現場(僕)→ 役員」という三段階の面接スタイルの真ん中を任されることが多いんですが、たまに思うんです。
「え、なんでこの人が一次面接通過したの?」
「あの人よかったのに、どうして最終面接落ちちゃったの?」
って。
採用面接に関わったことがある人なら、同じように思ったこと一度はあるかと思います。なんかモヤっとしませんか?
これってそれぞれの面接官が求めている人物像が違ったり、評価するポイントが違ったりするから起こることだと思うんです。
つまり「みんなの目線がそろっていない」ってこと。結構クリティカルな問題かも。
特にオンライン面接だと、直接会う面接に比べて受験者の温度感がわかりにくい傾向があります。だったらせめて、採用側の目線は揃えておきたいところですよね。
そこで今回、採用面接に関わる人事・現場の僕・役員の三者で、採用したい人物像の擦り合わせ=目線合わせをしてみることにしました!
お互いの求める人物像をとことん話し合ってみた
▲リモートワークにつきWEB会議で開催(右上:人事あきと/左上:現場ジョニー/下:役員まこと)
ジョニー:みなさんお集まりいただきありがとうございます!今日はアカウントプランナー枠の採用にあたって、それぞれの求める人物像についての三者の目線合わせをしたいと思います。一度この内容で話し合いをしたことはありますが、今一度「その要素って本当に必要なのか」「もっとこういうことの方が大事なんじゃないか」なども話し合えればと思います!
事前にヒアリングした皆さんの意見をざっとまとめたらこうなりました。
一次:人事あきと | ・誠実さ:嘘をつかない、ごまかさないなど人として大事なことを守れる人かどうか ・再現性:どんな環境でもPDCAを回して結果を出せるかどうか ・志向性:その人のWill。自分なりのLife is Goodを持っているかどうか。志望動機に近い |
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二次:現場ジョニー | ・人柄がいい ・コミュニケーション力がある ・面接中に会話のキャッチボールができる ・チームで仕事する上で周りに気を遣えそう |
最終:役員まこと | ・論理的思考(課題解決能力):お客様のニーズを紐解いて、それに対してどうアプローチできるかを論理的に話せるかどうか ・洞察力:相手の意図を汲み取る力。質問から求められていることを察知して、意図にあった回答の仕方ができる人かどうか ・忍耐力:仕事上できつい時に折れずに踏ん張れるかどうか ・人柄:エモさ、おもしろさ |
ジョニー:みなさんありがとうございます。「再現性」「洞察力」など、皆さん結構求めるもののレベルが高いですね(笑)。 では、ここからはちょっとフワッとした部分を擦り合わせていきましょう。 まず、あきとさんの「Life is Good」ってなぜ必要なのでしょうか?
あきと:なんというか、それがないとその人は頑張れないんじゃないかなと思っていて。面接でうまく伝えられなくてもいいし、究極持ってなくてもいいんですけど、仕事って大変なので「なぜ頑張るのか」っていうモチベーションはあるべき。というか何かしら誰しも絶対あると思うんですよね。自分にとってのLife is Goodってなんなのかということです。
ジョニー:なるほど……ありがとうございます。
ジョニー:あとちょっと引っかかったんですが、まことさんの「エモさ」ってどういう意味ですか?
あきと:僕もイマイチわかんなかったです(笑)。
まこと:夢とか熱い思いを持っているかどうかかな。一緒に働いててワクワクする人かっていうのを重視しているね。
あきと:その意味だと僕があげた「志向性」とも似ていますね。何のために仕事をするのか、何をやりたいのか、例えばお金稼ぎたいでもモテたいでもいいんです。それがLIGで働くことで実現できるなら「採用しよう」ってなりやすいですね。
まこと:確かに。他にも通ずる部分で言うと、僕の「論理的思考力」とあきとの「再現性」も近い意味合いなんじゃない?
あきと:僕があげた再現性っていうのは、LIGに入社して環境が変わっても、PDCAを回して結果が出せるかどうかですが、ご指摘の通りほぼ一緒だと思います。言い回しが違うだけで、みんな要素は重なり合っていると思いますよ。
ジョニー:そう言われてみれば確かにそんな気が……します。ちなみにこの中で一番大事な要素ってどれですか?
まこと:んーバランスが大事かなぁ。だって人柄だけ良くても仕事できなかったら微妙だよね??
あきと:そうですね、特に不要な要素っていうのはないと思います。全部が大事で、バランスよく持ち合わせているとベストですかね!
ジョニー:全部大事……なるほど……ありがとうございます。
話し合いを経て
★結論★
三者とも求めている方向性は同じっぽい。
そしてどの条件も譲れないし全部必要。
うーん、一応方向性も一緒ということで擦り合ったのですが……。話し合ってみたものの、当初のモヤモヤが晴れた感じがしない……。求めていることが同じだったとしたら、なぜ面接官によって合否の判断が違うんだろうか?
考えてもわからん。こういう場合は、採用のプロに意見を聞くのが一番。
以前、中途採用サービスの「ミイダス」さんにLIG社員の面接指導をしてもらったとき、すごく指摘が的確だったので、ミイダスさんなら今回もいいアドバイスをくれるかも!
ということでオンラインで相談してみました。
良い人を求めたらキリがなくなる
- 今回お話をお伺いした人:村尾さん(左)
中途採用・転職サービスを展開するミイダス株式会社の広報・マーケティング部部長。2012年にパーソルキャリア株式会社に入社。dodaの求人広告営業やマーケティング企画などを経て2018年4月からミイダスへ。現在はプロダクト企画やディレクター、広報などを担当している。
村尾:お呼びいただきありがとうございます!
ジョニー:よろしくお願いします! さっそくですが、社内で採用の基準について話し合ってみたら「みんな求めている要素は大体同じ」「どの条件も譲れない」という結論になったのですが、これでいいのかモヤモヤしていて……。これって、採用の条件が擦り合ったと言えるんでしょうか?
村尾:そうですね、率直に言ってしまうと要件が結構曖昧ですね。この曖昧さがモヤモヤしているポイントだと思います。
ジョニー:結構擦り合っている感じがするのですが、曖昧ですか?!
村尾:まず、企業が採用するときに求める人の要件って、どこまででも高くなりがちなんです。「地頭や人柄が良い人で、コミュニケーション能力も高くて、さらにビジョンも共感してくれる人」といったように、どんどん要件や条件が厳しくなっていきます。
ジョニー:まさに今回の話し合いですね(笑)。
村尾:しかし全てが完璧な人はなかなかいません。したがって、それぞれの面接官の中で、採用条件に優先順位や最低ラインを設けて合否を出します。その優先順位は人により異なるため、結果的に「面接官によって評価が分かれる」ということが起こるのです。
あとは、「論理的思考力」とか「再現性」という言葉のイメージや定義が人によって違います。擦り合わせをするならもっと「どのようなシーンで論理的思考力を感じるのか」「どんな面接のエピソードで再現性を感じるのか?」など、具体的に擦り合わせをしないと、ふわっとした要件で終わってしまいます。結果的に、各人がその言葉に持っているイメージのまま採用を行ってしまうので、目線が擦り合っていないことが多いのです。
ジョニー:採用条件を擦り合わせているはずなのに、「なんでこの人、一次面接通過したの?」は、それが原因だったんですね!
「企業が欲しいと思っている人」と「実際に活躍できている人」は違うことが多い
村尾:あと1つ気をつけないといけないのが、採用基準そのものに関してです。実は企業が欲しいと思っている人と、実際に活躍できている人が違っていることって結構あるのです。
ジョニー:え、何それ怖い。どういうことですか?
村尾:とある企業の事例ですが、その企業は採用条件に「論理的思考力を持っている人」を入れており、面接でロジカルな受け答えをする人を合格にしていました。しかし実際に社内で成果を出している人を分析した結果、論理的思考力よりも、関係者との調整や取りまとめがうまいコミュニケーション力を持った人の方が活躍できていることが分かったのです。実は仕事において論理的思考力はそこまで必要なかったのです。
ジョニー:なるほど。仕事においてどんな能力が本当に必要なのかを把握しないとダメなのですね。でもなかなかその仕事に必要とされる能力を見つけるのは、難しくないですか?
村尾:とても難しいと思います。そこでミイダスは、実際に活躍している社員を分析することで、その仕事に本当に必要な条件を見つけることができるツールを開発しているんです。それが前回LIGさんに使っていただいた「コンピテンシー診断」なのです。
ジョニー:以前僕も受けました!仕事においての自分の特性などがわかり、面白かったです。
村尾:使っていただきありがとうございます!今回APチームのみなさんの診断結果を分析し、活躍している人にはこのような特徴があることがわかりました。
- ▼コンピテンシー診断から導き出したAPチームで活躍する人の特徴
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- ヴァイタリティの数値が高い
- 創造的思考力の数値が高い
- 統率力の数値が高い
ジョニー:おお、なんか感覚的には合っている気がします。が、これ具体的にはどんな解釈をすれば良いのでしょうか?
村尾:はい、ではそれぞれのコンピテンシーの解釈をAPチームの業務内容と照らし合わせながら解説していきます。
- ヴァイタリティが高い
- 【特徴】
貪欲に目標達成を追い求める、負けず嫌い、活動的で忙しいのが好き。
【必要な場面】
APチームでは営業として目標を持っているので、それを達成するために、テレアポしたり積極的に訪問活動を行うことが必要です。ヴァイタリティが高い人は、目標を絶対に達成したいという意欲を持っており、活動的な人という傾向があります。
- 創造的思考力が高い
- 【特徴】
抽象的な課題を柔軟に捉え、解決策を案出するのが得意である。新しいコンセプトやアイデアを考えることが好き。
【必要な場面】
お客様の課題を解決するためにどのようなコンテンツを作るべきなのか、企画力・アイデア力が問われます。そのために社内でも毎回アイデアをぶつけ合うブレスト会議などがあります。創造的思考力の高い人は、そのような抽象的な課題を取り扱うことが得意で、アイデアや新しいコンセプトを考えることが好きなので、まさに必要なコンピテンシーだと言えます。
- 統率力が高い
- 【特徴】
主導権を取って物事を進めることが好きで、周りをよく見ることができ、メンバーの士気を高めることができる。
【必要な場面】
案件の進行に不備がないかチェックしたり、何かあれば担当ディレクターとクライアントの間に入って調整します。ディレクター、マーケターなど複数の人たちをディレクションしながら、滞りなく案件を進めていくことが必要です。統率力が高い人は自分が指揮を取りながら、物事を前に進めることが好きな人です。関係者が多いポジションでも調整役として向いています。
ジョニー:まさにAPチームに必要な能力が凝縮されていますね。
村尾:このように明文化すると基準が明確になりますよね。活躍できるかどうかは入社してからじゃないとわからないと思っている人も多いと思いますが、コンピテンシー診断を使えば事前にそれがある程度わかるんですよ。
ジョニー:これをもとに擦り合わせをすればいいんですね。
村尾:その通りです。コンピテンシー診断で重視すべき要素がわかっているので、面接は応募者にその要素があるかどうかを確かめる内容になります。現実問題として、活躍する人の要素と採用条件が乖離している会社も多いので、ぜひコンピテンシー診断を活用していただきたいですね。
成果を出さない人を採用することこそ本当の採用ミスマッチ
村尾:ちなみに「採用ミスマッチ」ってどういうケースのことを指すと思いますか?
ジョニー:入社後にすぐ辞めちゃった場合ですかね?
村尾:世間的にはそうですよね。でもミイダスでは「会社の期待する成果を出さない人を採用すること」が本当の採用ミスマッチだと定義しています。
村尾:これは「採用ミスマッチ」を定義した社内の資料なんですけど、A・B・Cさんに比べて、安定してずっと目標70%達成の社員Dさんってあまり「採用ミスマッチ」=「採用に問題があった」っていう感じがしないんですよね。だけど予算に対して70%達成ということは会社が期待する成果を出せていない、つまり「採用ミスマッチ」になるのです。しかし実際は採用のせいではなく「教育や指導が不十分」とされ現場のマネジメントのせいにされることが多いんです。
確かにある程度の研修は必要だと思うんですけど、最低限の業務知識をつけたらあとは成果を出すか出さないかは本人の適性次第だと考えます。教育にめちゃめちゃ力入れたところで、そもそもの適性ってそんなに変わりません。それであれば、はじめからその仕事に向いている人を採用した方がいいんじゃないかと。一番しんどいのは、その仕事に向いていないのに、2年とか3年とか、長ければ10年とか……。期待された成果を出さないまま過ごし続ける……というのが社員・会社お互いにとって辛いのではないかと思っています。
ジョニー:なんともコメントしづらいですが、他人事とは思えないですね。その現象が起きている会社は多いと思います。
村尾:結局採用した人が活躍できないと、入社した本人も、採用した会社もお互いに不幸だとミイダスは考えています。だからこそ配属先の部署で活躍できるという条件が、ミイダスの考える採用の最低条件だと思っています。このような適材適所を実現する採用をアセスメントリクルーティングと呼んでおり、ぜひみなさんの採用にも導入いただきたいと思っています。
ジョニー:適材適所、本当にそう思います。お話いただきありがとうございました!
まとめ
LIGで本当に活躍できる人の基準が明確じゃなかったことが原因で、面接の評価がズレてしまうことがわかってスッキリしました。
最後に今回の話のポイントをまとめておきます。
- 採用条件を明確にした上で、優先度まで擦り合わせるべき
- 「企業が欲しいと思っている人」と「実際に活躍できている人」は違うことが多い
- 「現場で活躍してくれる人」を要件定義することが大事
- 成果を出せるかどうかは、ある程度は適性で決まっている
- すでに活躍しているメンバーのコンピテンシーが参考になる
成果を出せる人がなかなか採用できていない! という場合にはぜひコンピテンシー診断を参考にしてみてください!