こんにちは。
サウナビルダーの野田クラクションべべーです。「The Sauna」を運営しています。
奈良県・山添村に「ume, sauna」というアウトドアサウナが楽しめる場所ができました〜!
クラウドファンディングにもチャレンジして、550万円目標のところ、652万3千円(達成率118%)のご支援をいただきました。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございます。
今回のプロジェクトで、僕はサウナプロデュースを担当させてもらいました。
この記事では、僕がプロデュースに関わるまでのお話や、「ume, sauna」がどんな場所にあってどんな施設なのか、そして実際にサウナができていくまでの工程を紹介していきますね!
ちょっと不自由なホテル「ume, yamazoe」とは
ume, saunaがあるのは、「ume, yamazoe」という1日3組限定のホテル。
サウナはさることながら、ホテル部分や食事部分が素晴らしいので、まずはすこしだけご紹介させてください。
もともとume, yamazoeには集落の村長さんが住んでいたこともあり、少し小高い場所に位置しています。
古民家をモダンな雰囲気に改装しているので、おしゃれな雰囲気とおじいちゃんの家に帰ってきたような安心感があり、「このままずっといたいなぁ……」という気持ちになります。
ホテルの部屋はこんな感じ。
サウナの施工期間中は「めぶき(上記写真の部屋)」に1週間ほど泊まりました。朝日と鶯の鳴き声でめざめるって……贅沢すぎやしませんか??
お部屋も一つひとつ雰囲気が違うので、メンバーやシチュエーションによっていろいろと選べるのもいいですね。ほかの部屋の雰囲気も見たい場合は、Webサイトをチェックしてみてください〜!
仕事して、たまにコーヒー飲んで、サウナ入って、美味しいご飯食べて……そんな日常を体験できますよ。
そうそう、お食事も素敵なんですよ。
実はume, yamazoeを運営しているのは、奈良県にあるお寿司製造メーカーの「株式会社梅守本店」さん。2018年に「日本ギフト大賞」で優勝するなど実績もある会社さんで、美味しいお寿司を提供しています。
ume, yamazoeではお寿司に加えて、山添村の美味しい野菜などを使った料理も味わうことができます。
サウナ後に、美味しいごはん。うん、間違いない。
場所
住所:奈良県 山添村 片平 452(ume, yamazoe内)
愛知県から車で1時間半、大阪府から車で1時間という場所にあり、電車だと近畿日本鉄道大阪線「名張駅」が最寄りになります。駅からの送迎も行っているそうなので、ご予約の際にご確認ください!
オススメは自家用車もしくはレンタカー。ume, saunaだけではなく、車で山添村をドライブするのもいいですし、奈良県方面に行って観光もできるので、ぜひセットで楽しんでほしいです。
「ume, sauna」とは
そんな、ume, yamazoeに生まれたのが「ume, sauna」。
僕がサウナを作るときに大事にしていることは、サウナのストーリーやオーナーさんの熱量。今回お手伝いしたume, yamazoeのオーナー・梅守志歩さん(以下、梅さん)も、覚悟と熱量がハンパじゃなく、山添村にはサウナと相性のいいストーリーがありました。
そもそもサウナを作るきっかけは、アドレスホッパー※の文化を広げている市橋正太郎さんとの出会いでした。
市橋さんに「サウナを作りたい友人がいる」と相談され、いろいろとお話した結果、サウナ作りのお手伝いをすることに。
ただ、僕は施工ができないので悩んでいたところ、たまたまLAMP野尻湖に遊びに来てくれていたお客さまの中に、建築設計事務所の方がいたんです。それが、今回ume, saunaの施工をしてくれた「ようび」の大島さんでした。
メンバーが揃い、何時間もかけて「山添村でサウナをやる意味、山添村でしか体験できないこと、ume, saunaにしかないこと」ここの部分を重点的に考えました。
共通で出たキーワードが「雲海」「絶景」「和」「大和茶」「竹」。
和を感じられるサウナに入って、水風呂に入って、小屋の上をウッドデッキにして絶景を見ながら外気浴して、ロウリュには山添村の特産品・大和茶を使って、さらに大和茶で水分補給もできたら最高じゃないか? と。
翌週くらいに、ようびさんがこんな感じの素敵なパースを作ってくれて、
その半年後、パース以上の素敵なサウナに仕上がりました……。すげぇ……。
営業開始時期は、5月の末~6月ごろを予定しているそうです。
せっかくなので、写真とともに制作工程をご紹介
サウナを建てる位置が坂の上のため、木を運ぶのもふつうの平地よりもきついです。
この木を100本近く運んでいきます。
木は運ぶだけではなく、色も塗ります。色を塗るのも一苦労なんですよ……。なんていうか、果てしない作業というか……。
色を塗った材木は、職人さんの手によってサウナ小屋へと進化していきます。
この積み上がる瞬間がいいんですよね……。
オーナーの梅さんも職人さんに混じってガチ運び。さすがっす。
基礎と木の間には、パッキンを入れて、吸気口&腐り防止の役割をしています。ナイスアイデア!
ログの微調整は、職人さんが。うん、かっこいい……。
扉は特注で作りました。
小屋の部分に窓をはめ込み、太陽の光がサウナ室を照らすようなイメージです。
天井の垂木。
下地。
どんどん、完成に近づいていきます。
小屋のなかには墨汁を塗り、その上から柿渋という日本古来の塗料を塗っています。
理由はメンテナンスがしやすく、ロウリュなどで湿度がでたときに塗料が落ちにくいためです。
サウナを作るということは、小屋を建てるだけはありません。サウナへ行く道もワクワクするような雰囲気に仕上げました。
ホームセンターでいろいろと買ってきて、
かわいい砂利を敷き詰めれば、道の完成。
どんな形にするかの判断を、ようびチームがサラッとやるので、ほんとすごいと思う。
ume, yamazoeのホテルまでのアプローチも一緒に作っちゃいました〜! 車椅子の方でも利用できるように、ブロックの部分も作りました。
サウナ室のベンチも黒で統一。僕(168cm)が座ると頭から天井までちょうどこぶしひとつぶん空くぐらい近い! 熱を余すことなく感じることができます。
煙突用に眼鏡石を設置。ここから見える景色は今だけ。美しい。
サウナ小屋の横にあった、貯水タンクは……
こんな感じに。
サウナと貯水槽のあいだにあるスペースに、ステップを作りました。
つまりは……
こんな感じで貯水槽の上にあるウッドデッキに登れちゃうわけですよ。
風が吹くと背景の森がザワザワ言うので、めちゃくちゃ気持ちいいですよ〜。
こんな感じの景色が広がっています。
サウナ室のストーブは、The Saunaでも使用している「モキ製作所」の薪ストーブ。
全体にはスチールメッシュを張り巡らせ、ストーンを積んでいます。
モキストーブを選んだ理由は、モキさんが実現した「どんな薪でも燃やせる」という特性があったから。竹害や放置され荒廃した林など、地域によってさまざまな木の課題があります。その課題を、サウナというフィルターをとおしてエネルギーに変えていく……素敵ですよね。
水風呂は、お隣の県・滋賀にある「壺新」さんに、信楽焼(しがらきやき)の水風呂を作ってもらいました。サイズは120cmほどあり、2人〜3人くらいは入れるサイズ感です。
サウナ室には排煙窓を設け、ロウリュの蒸気なども常に循環するようにしています。
ライトは調光型のテープライトを使用し、スタイリッシュに。
昼間は、太陽と火のゆらぎを楽しみ、夜はダウンライトと火のゆらぎをお楽しみください。
貯水槽とサウナ小屋をつなぐウッドデッキ〜! あぁ、早くここでゴロゴロしながら、外気浴したい〜〜〜〜!
と、こんな感じで完成に至りました!
サービス内容の部分は、今後すこしずつ詰めていこうと思うのですが、お客さまのご意見等を聞いて柔軟に変化していこうとオーナーの梅さん(写真)と話しています! どしどしご意見くださいね〜!
細かい製作工程は、「ume, yamazoe」のInstagramで追えますので、サウナ作りの美しい軌跡を見たい方はぜひ〜!
さいごに
今回のプロジェクトは、梅さん(写真 左から二番目)の熱量と覚悟があったから成功したんだと思います。
僕はあくまでサウナを作るという部分でのお手伝いはできますが、根本の経営や運営までは見ることができません。つまり、サウナを作ったあと、どれだけ愛情を持ってお客さまに伝えていけるか……はオーナーさん次第です。
最近ありがたいことに「サウナを作りたい」という依頼を受けることが増えました。ヒアリングをしていくなかで、熱量や本気度合い、どれだけ考えられているか、自走してやっていける人なのか……という部分を確認させてもらっています。
なぜ、ここまでするのかというと「生半可な気持ちでやると大変」というのが、実際に運営してみて感じたことだからです。お店としてやるということは、「売上」を立てて「経費」を引いて「利益」がでないと存続ができません(めちゃくちゃ当たり前のこと言っていてすみません)。
サウナ単体で上のような計算式を成り立たせるのは難しいし、料理や宿泊などほかのキャッシュポイントを作るとなると、想定していたお金・人の確保などやることがどんどん増えてきます。じゃあ、ミニマムではじめよう……となってもミニマムで作れるサウナは底が知れていますし、難しいのが実状かと。
「サウナがめちゃくちゃ儲かるか」と聞かれて大きな声で「はい!」とは言えないですが、しっかりとサウナで儲かる仕組みを作りたいとは思っています。
そこで重要になってくるのが、ストーリーだったり、コンセプトだったりします。「そこにしかない体験」をどうやって作るのか。それをどうやって、届けるのか。その部分が、ume, yamazoeには詰まっているはずです。サウナ運営に興味がある方は一度行ってみて損はないですよ〜。
「ume, yamazoe」の予約について
現在ume, yamazoeは、新型コロナウィルスの影響で通常営業ができていなく、宿として大変厳しい状況になっています。「未来の宿泊券」が販売されているので、今は行けなくてもコロナが落ち着いたら行きたいという方は、ぜひチェックしてみてください!
また、ume, saunaの営業開始は5月末〜6月ごろを予定しています。オープンについての最新情報はWebサイトやクラウドファンディングの活動報告をチェックしてください。
サウナプロデュースの相談も承っています!
市橋さんに出会い、梅守さんに出会い、ようびさんに出会い……運命のめぐり合わせのようなかたちで実現した今回のサウナプロデュース。
サウナを作りたい! という方がいましたら、お問い合わせのほどお待ちしております。