オフセット印刷とは?特徴や用途、メリット、オンデマンド印刷との違い

オフセット印刷とは?特徴や用途、メリット、オンデマンド印刷との違い

LIGブログ編集部

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こんにちは、LIGブログ編集部です。

突然ですがみなさんは、制作物の印刷を発注する際に印刷方法を気にしたことはありますか? たとえば、ポスターや冊子の印刷を発注するにあたり、「オンデマンド印刷にオフセット印刷……印刷方法がたくさんあるみたいだけど、何がどう違うのだろう?」と迷ったことはないでしょうか。

制作物にはそれぞれふさわしい印刷手法があります。

こちらでは、書籍の印刷などに利用される「オフセット印刷」の特徴や、その他の印刷方法との違い、適する制作物などについて解説していきます。

※ この記事は有限会社アルプスPPSの提供でお届けします。

オフセット印刷とは?

オフセット印刷とは、書籍の印刷や商業印刷、美術印刷など、幅広い印刷物で利用されている印刷手法です。オフセット印刷は色の再現性が高く、写真も鮮明に印刷できるという特徴を持ちます。そのため、オフセット印刷は写真やデザイン、アートなど、美しい発色と高い再現性が求められる印刷物に適しているのです。

また、短時間に同じものを大量に印刷でき単価を抑えられるため、商業印刷などに多く活用されています。

オフセット印刷の特徴

製版の工程図

オフセット印刷では、印刷の前に「版」と呼ばれる原本を作成しなければなりません。この工程を製版といいます。その後、版にインクをのせ、「ブランケット」という柔らかいゴムでできたローラーにインクを転写します。

ブランケットからさらに紙にインクを転写すると、版通りにイメージが印刷されます。また、オフセット印刷機で利用するインクは顔料油性インクで、水性インクに比べて乾きが早いという特徴を持ちます。

版とブランケット、それに乾きやすい顔料油性インクを用いることで、高い品質を保ちながら大量の印刷を行なえることがオフセット印刷の特徴なのです。

「オフセット印刷」の名前の意味

オフセット印刷の「オフセット」は、「離して(OFF)付ける(SET)」という意味を持ちます。版についたインクをブランケットに一度移した状態がOFF、ブランケットから印刷用紙に転写された状態をSETという意味で、オフセットと名付けられました。

オフセット印刷という名前は、原本である版のイメージを版から直接紙に写すのではなく、版からブランケットへ、ブランケットから紙へと、インクを移し替えながら印刷することを表しているのです。

オフセット印刷の歴史

オフセット印刷の原型となる石版印刷(リトグラフ)は、ドイツのアロイス・ゼネフェルダーによって1796年に発明されました。それまで主流だった、木版を使う凸版印刷と銅板を使う凹版印刷とは異なり、凹凸のない平らな版での印刷技術は当時画期的な発明とされました。

凸版印刷(とっぱんいんさつ)
…印刷する文字や線、図像など画線部を凸にし、凸部に塗られたインクを転写する印刷
凹版印刷(おうはんいんさつ)
…凸版印刷とは逆に、印刷する文字や線、図像など画線部を版に削り込む(凹)印刷手法です。

その後、1853年にイギリスでジョン・ストラザーがオフセット式印刷の特許を取得しています。20世紀に入り近代化が進む中で、1904年にアメリカで現代のオフセット印刷機と同様に、版をブランケットに転写して、それを紙に写すオフセット印刷機が開発されています。日本にオフセット印刷機が導入されたのは、オフセット印刷機の開発から10年後の1914年のことでした。

オフセット印刷のメリット・デメリット

それまでの印刷方法よりも早く安価に、しかも高い品質で印刷できるオフセット印刷は、1900年代初頭に開発され広まっていきました。100年以上前に開発されたオフセット印刷機が、今も世界で活用されているのにはいくつかの理由があります。ここからは、安定した品質で大量の印刷を可能にするオフセット印刷のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

オフセット印刷のメリット

オフセット印刷には以下のようなメリットがあります。

  • 版を使用するため、同じイメージで同じ品質の印刷物を繰り返し作ることができる
  • 大量印刷に対応し、印刷費用を抑えられる
  • 顔料油性インクを使用しているためインクの固着性が高く仕上がりも良い
  • イラストや写真、文字を細部まで表現できる
  • 大きいサイズの印刷も可能
  • 使用できる紙の種類が豊富
  • 多色印刷ができる

一度製版を行えば、同じ内容の印刷物を繰り返し作り続けられ、かつ印刷にかかるコストを抑えられることがオフセット印刷のメリットです。細かな描写にまでこだわったイラスト、細部までしっかり表現したい写真、小さな文字も、オフセット印刷なら鮮明に印刷できます。

オフセット印刷のデメリット

一方で、オフセット印刷には以下のようなデメリットもあります。

  • 製版のコストが高いため、小ロットでの発注では高単価になる
  • 製版に時間がかかるため、納期が長くなりがち
  • 少しずつ内容が異なる印刷物には向かない

オフセット印刷では、はじめに製版を行ないます。この製版にまとまったコストが必要になるため、少量の印刷物をオフセット印刷で発注した場合、発注量が少なければ少ないほど、1部あたりの印刷コストが高くなってしまいます。

大量に発注する場合でも、その印刷物の内容が少しずつ異なるのであれば、内容ごとに版が必要となり少量印刷と同様に1部あたりの印刷コストが高くなる点にも注意しましょう。

オフセット印刷の仕組み

オフセット印刷は、版とブランケットを使うことで大量に印刷を行なっても品質が保たれ、さらに印刷を行なう部数が多ければ多いほど費用単価を抑えられます。このメリットは、オフセット印刷ならではの仕組みから生まれたものです。オフセット印刷に欠かせない「版」の種類や印刷方法について、さらに詳しく見ていきましょう。

版の作製

オフセット印刷の前に作られる「版」には、CTP版、樹脂凸版、水なし平版の3種類があり、印刷物により使い分けられています。

CTP版は、パソコン上のデータを直接アルミニウム版に焼き付けて作成します。樹脂凸版は、スチールベースに塗布された感光性樹脂にネガフィルムを重ねて現像して作られたものです。水なし平版は、印刷しない部分がインクを反発するシリコン層で作られています。現在はCTP版が主流です。

オフセット印刷は平版のため版に凹凸がなく、水(湿し水)が入る部分と油(インク)の入る部分が作られているのみです。これを写すと、水の部分には何も残らず、インクの部分だけが描画される仕組みです。

オフセット印刷の仕組み図

印刷方法

次に、印刷の方法について見ていきましょう。オフセット印刷では、下図のように外側に版が巻き付けられた「版胴」、ゴムや樹脂でできた柔らかい「ブランケット」、圧をかけて印刷物にインクを転移させる「圧胴」と3つのローラーがそれぞれ回転することで紙にインクが転写されていきます。

印刷用紙はブランケットと圧胴の間を通る形です。さらに、版胴にはインクローラーと浸し水ローラーがセットされており、インクと湿し水が版に供給されて、連続で印刷できるようになっています。

1.版胴に版をセットする
2.版胴を回転させ、インクと湿し水を版に供給する
3.版にのせられたインクがブランケットに転写される
4.ブランケットに転写されたインクが用紙に写り印刷されていく

オフセット印刷の印刷方法

フルカラー印刷

オフセット印刷機では、1つの版に1つの色しかのせられません。そこでフルカラーで印刷を行なう際には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色(レギュラー色)それぞれの版を用意します。

4つの版にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックをそれぞれのせて、一枚の印刷用紙に順番に塗り重ねて色を表現しているのです。絵具を混ぜ合わせると異なる色ができあがるのと同様に、透過性のあるインクを印刷用紙に重ね合わせて、イメージ通りの色を再現しています。

フルカラー印刷の説明図

オフセット印刷と他の印刷方法の違い

ここまでオフセット印刷の特徴や印刷の方法について詳しく解説してきました。では、オフセット印刷以外の方法はどのようにして印刷を行なうのでしょうか。オンデマンド(デジタル)印刷・グラビア印刷・フレキソ印刷とオフセット印刷の違いを比較しつつ、それぞれの特徴について解説していきます。

オフセット印刷とオンデマンド印刷の違い

オフセット印刷では版が必要でしたが、オンデマンド印刷では版を必要としません。オンデマンド印刷は、パソコン上にある印刷データを印刷機に送り、直接紙に印刷する方式です。家庭用のプリンターをイメージするとわかりやすいでしょう。

オンデマンド印刷のオンデマンドは、「on-demand=要求に応じて」という意味です。要求があったとき、必要な分だけ印刷を行なうオンデマンド印刷は、部数が少ないほどにコストも小さくなり、納期も短くなることが特徴です。少ない部数のものをなるべく早く印刷してもらいたいときには、オフセット印刷よりもオンデマンド印刷のほうが向いています。

ただし、オンデマンド印刷は色ムラが出てしまったり、小さな文字や罫線が少し太くなってしまったりすることがあり、イメージの再現性はオフセット印刷と比べて劣ります。

オフセット印刷とデジタル印刷の違い

版を必要とするオフセット印刷に対して、デジタル印刷はオンデマンド印刷と同様に版を必要としない印刷方法です。そもそも、デジタル印刷はデジタルデータを紙などに直接印刷する印刷技術の総称で、オンデマンド印刷もデジタル印刷のうちのひとつといえます。

デジタル印刷もオンデマンド印刷と同じく、少ない部数を短い納期で制作できるのがメリットです。ただし、デジタル印刷機の中でも、製版を必要とするものがあります。製版を必要とするデジタル印刷機では、以下の方法で印刷されます。

1.パソコンから印刷機に原稿データを送信
2.マスター(版)のフィルムにデータ通りの孔をあける
3.マスターを蜂の巣状の穴があるドラムに巻き付ける
4.ドラム内部にあるインクローラーとドラムが回転するとインクローラーからインクが押し出される
5.マスターの穴から出たインクが紙に転写される

デジタル印刷の印刷方法

オフセット印刷とグラビア印刷の違い

グラビア印刷は凹版印刷のひとつで、色の表現が豊かで美しいことが特徴です。雑誌のグラビアページの「グラビア」は、グラビア印刷に由来しています。

印刷部分が突起している凸版印刷とは反対に、印刷部分にくぼみのある版(グラビア版シリンダ)を使用します。グラビア印刷では、インク溜めに浸されたファニッシャーロールで「グラビア版シリンダ」の溝の中にインクを送り込み、フィルムにインクを移していきます。グラビア印刷もオフセット印刷と同様に、印刷用紙に1色ずつインクを重ねて印刷します。

グラビア印刷の版は金属のロールを加工して作るため、アルミプレートを使うオフセット印刷の版よりもコストが高く納期も長くなりがちです。グラビア印刷は写真の印刷に適していますが、文字や細かな柄はオフセット印刷のほうが美しく仕上がります。

グラビア印刷の印刷方法

オフセット印刷とフレキソ印刷の違い

フレキソ印刷は凸版印刷の一種で、段ボールや紙袋など表面が平らで滑らかではないものへの印刷に適している印刷方法です。近年では、グラビア印刷よりも環境にやさしい印刷方法として評価と期待が高まっています。

フレキソ印刷では、大きなセンタードラムの周りにインクの色ごとのアニロックスロールと版を有し、それぞれが回転することで1色ずつ印刷用紙などに色がのせられていきます。インクはドクターチャンバーと呼ばれる部位に溜められており、アニロックスロールを介して版の凸部分にインクがのせられます。

オフセット印刷よりもコストが安く、ツヤのある仕上がりになりますが、細かなデザインの印刷や少ない部数の印刷には向きません。

オフセット印刷に向いている印刷物

ここまで解説した通り、オフセット印刷は小さな文字や細かなデザインも明瞭に印刷でき、部数が多い場合にはコストダウンが図れます。大量印刷の場合でも、高い品質が維持されるオフセット印刷に向いている印刷物をご紹介します。

同人誌などカラーイラストや画像が豊富に使われたデザインの冊子

オフセット印刷はデザインを鮮明に印刷できることから、イラストや画像を豊富に使った冊子や、カラーリング・色味にこだわりたい同人誌など、ビジュアルを重視した冊子の印刷に向いています。

同人誌を制作する際にオフセット印刷かオンデマンド印刷かで迷ったときには、仕上がりのクオリティと納期の長短、部数の大小で考えるとよいでしょう。クオリティの高い冊子にしたい、納期にゆとりがある、大量の部数を必要としている場合にはオフセット印刷を、クオリティよりもより早く納品されるほうを選びたいのならオンデマンド印刷を選ぶなど、それぞれの特徴に合わせて発注することをおすすめします。

大量の名刺やはがき

名刺やはがきを大量に必要としているのなら、オフセット印刷がおすすめです。目安として名刺は200部以上、はがきなら100部以上を必要としているのであれば、オフセット印刷を選ぶと割安になります。

名刺を安く大量に作りたい、鮮やかな色合いのDMはがきを作りたい、文字の細部まで鮮明な名刺・はがきにしたいといった場合にはオフセット印刷が向いていますが、こだわりのデザインの名刺を何種類か持っておきたい、DMの内容をこまめに変えたいといった場合には、オンデマンド印刷が向いています。

写真が多いカタログ

写真の色を美しく再現できるオフセット印刷は、写真が多い商品カタログにも向いています。グラビア印刷やフレキソ印刷よりも低いコストで、自社製品のPR用パンフレットやカタログを作ることができます。

写真を多く使用したカタログを作るのであれば、やはり色と印刷のクオリティにはこだわりたいところです。オンデマンド印刷では、広い面積のベタやグラデーション部分に色ムラができてしまうことがあるので、大切な商品の写真を掲載するカタログはオフセット印刷だと安心です。

まとめ

印刷方法には、オフセット印刷・オンデマンド印刷・グラビア印刷・フレキソ印刷などの方法があり、それぞれ異なる特徴や用途があることをお伝えしてきました。中でもオフセット印刷は、イラストや写真、細かな文字などの印刷に適しています。販促用の商品カタログや冊子、DMハガキを印刷するのなら、大量発注でコストも抑えられるオフセット印刷がおすすめです。

ただ印刷会社によって、クオリティや価格にも違いがあります。品質、価格、納期いずれも妥協したくないのであれば、顧客満足度88%を誇るアルプスPPSがおすすめです。

アルプスPPSには、大小さまざまな商業用オフセット印刷機が20台以上用意されています。

短納期に対応できるドイツ製のオフセット印刷機も有し、即日・翌日納品に対応している印刷物もあります。

アルプスPPSの基本情報
  • オフセット印刷参考価格:ワンコイン名刺 片面・両面フルカラー 100部450円~
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アルプスPPS

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