「プレゼンに苦手意識を持っている」というビジネスパーソンは少なくないでしょう。
「伝えたいことが、参加者にわかってもらえない……」
「本筋とは関係ないことで、上司につっこまれてしまう……」
「プレゼンをしている最中に、参加者がメールチェックをはじめてしまった……」
自分のプレゼンに対して、そんな反応があれば、採択率が下がってしまうのは必然です。何日もかけて準備したのになかなか採択されず、「プレゼン資料を作り直すために残業を繰り返す」といった悪循環に陥る可能性もあるでしょう。
そのうえ、ほとんどのビジネスパーソンは忙しく「効果的なプレゼンの方法」を会社や上司から教えてもらう機会が少ないと思います。
効果的なプレゼンテクニック知りたくないですか?
そこで今回は、オンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」でプレゼンテクニックの講座を開いている、プレゼンテーションクリエイターの前田 鎌利さんのもとに伺いました!
人物紹介:前田 鎌利さん書家・プレゼンテーションクリエイター。1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、ソフトバンクをはじめとして17年にわたりIT事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、年間成績1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして、幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料作成にも参画。ソフトバンクはじめ200社を超える企業にて講演・研修を行うほか、プレゼンテーション・スクールを展開している。また、書家として国内外で作品制作・パフォーマンス活動を行いながら、日本文化に触れて学べる「継未-TUGUMI-」を運営。 |
前田さんは、ソフトバンク株式会社の孫 正義会長に直接プレゼンをして、何度も事業提案を承認されている人物です。さっそく前田さんに、聞き手を納得させる「社内プレゼン」の心構えについて教えてもらいました。
- こんな人におすすめ
-
- 伝わるプレゼンをしたい
- 社内プレゼンの作り方で悩んでいる
- 周りを動かすプレゼンをしたい
- 上司の承認がなかなか取れない
- 営業提案やセミナーなどでプレゼンをする機会が多い
シンプルに短く伝えるプレゼンで、実績を出すためのアクションにつなげる
――なぜプレゼンのテクニックを身につけることが重要なのでしょうか?
ビジネスパーソンには、事業を行うなかで「実績」を出すことが求められています。その実績を出すアクションを起こすためには、社長や上司などの決裁者に「提案の可否」を決めてもらう必要があります。決裁者を説得できるような「効果的なプレゼンのテクニック」を身につけることができれば、より短い時間で提案が採択され、ご自身の実績につながっていくはずです。
また、多くの決裁者が集まる「会議の時間」は、何十時間も確保できるわけではありません。少ない時間のなかで決裁者に意思決定をしてもらい、「いかにたくさんの決裁件数を獲得できるか?」も重要です。限られた時間のなかで、1つ以上の決裁や話し合いができれば、それぞれのアクションが前に進んでいきます。そのためにも、「訴求ポイントをなるべくシンプルに短く伝えるプレゼンスキル」が必要なのです。
▲前田さんは「Udemy」のなかで、「3分でシンプルに短く伝える」ための具体的なプレゼンテクニックを紹介している
――社内プレゼンを成功させるためのポイントを教えてください。
ポイントは3つあります。まず、「本当に利益を出せるのか?」という“財務的視点”です。ある程度の予算を持っている決裁者に「儲からない」ことは提案しづらいため、コストや売上の予測は把握しておきましょう。
2つ目が、「現場でうまく回るのか?」という“実現可能性”です。プレゼンで採決されたとしても、実際のオペレーションが回らない仕組みでは、実績が伴わないからです。
最後の3つ目である「経営理念に合致した提案であるか?」という“経営理念との整合性”はもっとも大事なことです。会社は、経営理念に基づいて意思決定しています。自分のなかで「経営理念」を腹落ちさせた上で提案をすると、「自分自身で会社の理念を実現して、世の中によいサービスを提供する」という心構えができるので、決裁された提案を結果が出るまでやり切ることができるでしょう。
――「財務的な視点」を身につけるにはどうしたらよいのでしょうか。
とにかく勉強することですね。あらゆる会社の「財務指標」を勉強してもよいですし、それこそ「Udemy」の動画のなかにも財務を学べる講座があると思います。
あとは「仕事の経験」をたくさん積むことです。孫さんが「買ってでも兼務しろ」と言うとおり、ソフトバンクでは社員に複数セクションを兼務させています。それは、兼務するほどに、仕事のなかで意思決定をしなければいけない機会に触れて、成長スピードが明らかに速くなるからです。ただ、「自ら仕事を取りにいく」という姿勢がなければ、仕事の経験を増やすことは難しいと思います。
プレゼン上手な人の話し方を取り入れつつ、最低30回は練習する
――「社内プレゼンが苦手な人」の特徴を教えてください。
プレゼンが苦手な人の多くは、プレゼン資料を作成する前から「伝えたい内容の整理」ができていません。そのため、決裁者から「どうして、その提案を実行する必要があるのか?」などと聞かれても、根拠をロジカルに説明できず、決裁されないのです。
プレゼンの準備段階では、いきなり資料をつくりはじめるのではなく、「課題」「原因」「解決策」「効果」をひと通り自分のなかで整理してから、資料をつくりはじめましょう。その4つの要素がなければ、伝えたいことがわからない資料になってしまいます。
――社内プレゼンに自信が持てるようにするには、どんな準備をすればよいのでしょうか?
事前にプレゼン資料をしっかりと完成させることができれば、プレゼンに対する苦手意識は低くなるでしょう。質問されそうでも本編資料に載せ切れないことは「アペンディックス(別添資料)」として準備しておきます。そうすれば、「何を聞かれても回答できる」と自信がつくと思います。
もしも、質問されたことに対してアペンディックスが示せないときでも、ごまかしたり、はぐらかしたりしないことです。ごまかしたりすれば、決裁者に不信感を与えてしまいますから、「のちほど用意する」ことを伝えればいいと思います。そして、もうひとつ大切なことが「最低でも30回はプレゼン発表の練習をすること」です。
――発表前に30回も練習するんですか?
そうなんです。ほとんどの方は2~3回練習したら満足して、「あとはぶっつけ本番でどうにかなる」と過信しています。しかし、練習回数が少ないため、本番で思わぬ失敗をしてしまう可能性が高くなります。さすがに30回も練習すれば、少しのことでは動じなくなるでしょう。
ソフトバンクアカデミアのプレゼン発表でも、300回プレゼンを練習した人がいました。もう300回も練習すると、プレゼンのスライドも見なくても「背後にある画面から漏れてくる光の加減」で、「今はこのページだな」とわかるようになるそうです(笑)。
――プレゼンで成功する人は、しっかりと練習を積み重ねているんですね。発表時には、どんなことを心がければいいか教えてください。
話し方に苦手意識を持っている人は、プレゼンがうまい人の「話すスピード」や「声のトーン」を真似することがおすすめです。ただ、「商品を売るプレゼン」や「大衆を説得させるプレゼン」などプレゼンのシーンはさまざまですから、プレゼンを行うシーンに合わせて、モデルとなる人物を決めたほうがいいと思います。
たとえば株主総会のときに、「ジャパネットたかた」の創業者である高田 明氏(現:A and Live代表取締役)を真似して「畳み掛けるような話し方」をしても、効果がないと思うんです。そうではなく、政治家の話し方を真似して「少し強めに話すパートを盛り込んだ話し方」をしたほうが、力強く鼓舞されなければいけない部分が多い「経営者」の方には響くでしょう。
とくに社内プレゼンで採択されるかどうかは、内容がどんなによくても、発表者の「キャラ」や「話し方」に大きく影響されます。もし社内に、プレゼンが採択されやすい人がいたら、その人の話し方を真似してみましょう。
――前田さんは、誰をプレゼンのモデルとしているんですか?
ソフトバンクに在籍していて、孫さんのプレゼンをたくさん見てきましたから、孫さんの「お話しの仕方」や「間の取り方」は参考にさせていただきました。またシーンに合わせて、著名な経営者の方々の話し方を取り入れています。たとえば、少しざっくばらんに気の休まるような話をしたいときは、本田宗一郎さんの声や話し方を真似しようとすることもあるんです。
相手のタイプを見極めて、決裁したくなる伝え方へとブラッシュアップ
――プレゼンの採択率をあげるためのポイントを教えてください。
「ターゲット(決裁者、参加者、取引先)がどんなタイプの人であるか」を明確にした上で、その人に合わせたプレゼンをすることが重要です。そもそもプレゼンをする目的は、ターゲットに「決裁してもらう」こと。ターゲットの思考パターンや意思決定のプロセス、判断材料を知ることができれば、ターゲットを口説きやすくなります。とくに社内プレゼンでは、ターゲットについての情報をたくさん持っているはずなので、社外プレゼンよりも採択されやすい印象です。
――どうすれば「相手のタイプ」がわかるんですか?
僕がターゲットを知るために使っているのが、行動特性を判断する「ハーマンモデル」という手法で、この手法を使えば「論理型」「堅実型」「独創型」「感覚型」といった4つのタイプを知ることができます。ネット上にハーマンモデルを判別できるサイトもありますから、「ターゲットがどんなタイプであるか?」を判断するときの参考にしてみてください。合わせて、自分のタイプも判断してみれば、より相手のタイプに合わせた話し方を心がけられるはずです。
――前田さんの講座には「社外プレゼン向けの講座」もありますが、社内と社外では、どんな違いがあるのでしょうか。
社内プレゼンは、「決裁者のタイプ」や「伝え方のスタイル」がわかりやすく、いわばホームゲームです。それに比べて、社外プレゼンはアウェイのゲームで、見知らぬ他人に対して何を伝えるかで勝負が決まります。そのため社外プレゼンでは、「決裁者の感情を動かす」ことがポイントです。社外の決裁者は、コスト面などの数宇だけではなく、「この会社と組みたいか?」という感情的な部分も含めて、提案されたプレゼンを判断しているからです。社内プレゼンとは伝え方が変わるので、そのノウハウも動画のなかでご紹介しています。
――最後に、講座を受講する人にメッセージをお願いします。
あらゆるプレゼンテクニックを身につけることで、ターゲットに合わせた伝え方ができるようになり、よりたくさんの人に「自分の念(おも)い」を伝えることができるようになります。僕は書家としても活動しているのですが、「プレゼン」と「書」で共通しているのは、「念いを伝えるためのツールである」ということです。だからこそ、それぞれを行うときは「自分の念いを届けたい」という強い気持ちが必要なんです。
何よりも大切なのは、自分の伝えたい念いをしっかりと見つめ、それをプレゼンとしてわかりやすく伝えることで、会社を通じて世の中をよくすること。それを実現させるための「プレゼン」というツールを、みなさんには手に入れていただきたいですね。
――ありがとうございました!
まとめ
今回はプレゼンクリエイターの前田さんに、プレゼンが苦手な人でも採択率をあげられるポイントをお伺いしました。前田さんのテクニックを取り入れれば、ストーリーもなく文字だらけの膨大なプレゼン資料から卒業できるはずです。
実際に前田さんの講座を受講することで、見にくかったプレゼン資料が、ここまでシンプルに伝わりやすくなるんです!
▼before:情報がまとまっておらず、伝えたいことが伝わりづらい……。
▼after:伝えたいことを分解し、順序立て、整理して説明。ぐっと見やすくなっています。
今回、インタビューで前田さんに教えてもらったのは、プレゼンについてのごく一部のノウハウ。前田さんは「Udemy」の「社内&社外プレゼンの資料作成術」の講座のなかで、採択率が高まるプレゼンのテクニックを余すところなく伝授しています。
動画のなかでは「ロジカル&シンプルな構成にするポイント」「相手の感情を動かすための構成」「パッと見て理解できるスライドの極意」などについて、前田さんがさまざまな演習を交えながら「本当に伝わるプレゼン資料作成術」をお伝えしていきます。また、今回の動画講座では受講生が実際に体験できるよう、実際の企画立案場面におけるプレゼン資料のブラッシュアップトレーニングも含まれています。
「一発でOKをもらえるプレゼン資料をつくりたい!」という人は、前田さんのプレゼン作成術の動画を参考に「採択率が上がるプレゼン資料」を作成してみてはいかがでしょうか?
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