第111話
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調べてみた

一日1000個以上の盗聴器が売れている?盗聴犯罪の実態と予防策を解説

杉沼えりか


一日1000個以上の盗聴器が売れている?盗聴犯罪の実態と予防策を解説

こんにちは! ライターの杉沼えりかです。

先日友達から、同僚でストーカー被害を受けている人がいるという話を聞きました。そんなネタのような話が身近にあることにびっくりしてしまいましたが、そこから話題にのぼったのが 盗聴器 という存在です。以前、テレビ特番で実際に盗聴器を探し出す企画を見たことがありましたが、とても恐ろしかったです。すぐに自分の部屋のタップを分解して確認してしまったくらいですから……(大丈夫でした)。

実際、盗聴器犯罪ってどこまで広がっていて、どんな実害があるのでしょうか。盗聴器の探索を生業とし、実際にテレビ番組にもよく登場されている「盗聴TRSリサーチソリューション」代表の酒井賢一さんにお話を伺ってきました!

ico 酒井賢一さん
株式会社 盗聴TRSリサーチソリューション 代表。東京や神奈川、大阪に拠点を持ち、盗聴器の発見と取り除きを請け負っている。テレビをはじめ、さまざまなメディアにも取り上げられている。

▼目次

タイプによって仕掛けも変わる盗聴器

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− 盗聴器ってどれだけの種類があるのでしょうか

盗聴器の種類は無限にあります。年間100個以上の盗聴器を取り外している私でも把握しきれないほどです。よく知られている電源のタップから電卓、時計、ペン、パソコンのマウス、電話機などなど……。

大まかに分けると、「電池で動くタイプ」と「電源供給タイプ」の2種類になります。電池タイプは切れてしまえば使い物になりませんが、電源供給タイプは延々と電気が流れているので可動し続けます。スマホやICレコーダーも、使い方によっては盗聴器になりますからね。盗聴器が仕込まれたネクタイやネクタイピンなどもあるんで、数え切れないほどの種類に及びますね。

− 「こんなところに!?」って驚いた意外な仕掛け場所や機器ってありましたか?

狙われやすいのが、マンションのドアポスト。盲点とも言える隠しポイント、ぜひチェックを!

狙われやすいのが、マンションのドアポスト。盲点とも言える隠しポイント、ぜひチェックを!

意外に知られていないのが、マンションのドアポスト。宅配業者などのフリをして、外側からポスト内部に仕掛けるんですよ。先ほど体感されたように、ワンルームマンション程度ならどこの声でも鮮明に拾えますし、電池が切れてきても外から外せば取り替え可能ですからね。ドアポストは結構多いですよ。

− 帰ったらすぐに調べてみます……。(後日談:ありませんでした。ホッ。)

盗聴器 & 盗撮機のバリエーションをチェック

酒井さんに、これまで取り外してきた盗聴器のなかから、代表的なタイプをピックアップしてもらいました。
 

<< 電卓型盗聴器 >>

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普段私たちの周りでよく見る一般的な電卓のなかに盗聴器が! すでに内蔵されたものだそうで、集音マイクまで備わっています。
 

<< タップ型盗聴器 >>

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テレビなどでもよく見る、差し込むだけで半永久的に使い続けられるオーソドックスな盗聴器です。どこから持ってきたか、出どころがわからないタップは要注意!
 

<< カード型盗聴器 >>

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名刺サイズ大の盗聴器で、電池式のため継続使用の場合は定期的な電池の取り替えが必要だそう。薄型なので、家のなかのちょっとした隙間やカバンのなかに仕掛けたりするものだとか。カバンのなかに入れられてても気づかないかも……。
 

<< 盗撮カメラ >>

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わざわざステーまで付けて、キッチンのシンクに仕掛けられていたという盗撮カメラ。何を撮影していたかというと、とある家族の団欒の様子なんだとか……。「誰が、なんのために」と、仕掛けられていた人も皆目見当がつかないと言っていたそう。

実際に盗聴器の音を聞いてみた

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盗聴器から聞こえる音って、砂嵐のようなノイズで聞こえにくいものって先入観があったのですが、仕掛けられたタップ型盗聴器の音は驚くほど鮮明で、ワンルームマンションの部屋だったらどこからでも同じように聞こえるレベルでした。自分の部屋に仕掛けられたら、防ぎようがないですね……。

一日に1000個以上の盗聴器が日本で売れている!?

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− 盗聴器のリサーチを依頼してくる中で、一般人と企業はどのぐらいの割合に分かれるのでしょうか。

ほぼ五分五分です。個人だと、テレビの特番を見て不安感を覚えた人もいらっしゃいますが、なかでも多いのは芸能人ですね。ファンあってこそのお仕事ですから、ファンは彼らのプライベートを知りたがって、盗聴という逸脱した行為に及んでしまうんです。人気のあるタレントさんほど、定期的なチェックを希望されますね。そのほか、空き巣から遺産相続などの揉め事、恋人の監視など、用途は多岐にわたります。特に目的性がない愉快犯みたいなのもいますよ。

企業の場合は、居抜きの物件に事務所を据える際、リサーチを依頼されることが多いです。あとは上場されている大手企業もいらっしゃいますね。今はひとつの情報で会社の経営が変わってしまう時代ですから、大手のみならず、その辺りの意識が高いIT / Web関連の企業からもオファーをいただきます。

− 企業での盗聴の目的は?

主に企業スパイですよね。同業他社へ転職する退職者が、社長室や会議室など、利益につながる情報を生む場所に仕掛けて辞めていく……なんて話も珍しくありません。

− 盗聴被害に遭う人のパターンや傾向などはあるのでしょうか?

ありません、誰もがターゲットとなり得るのです。考えてみてください、盗聴するターゲットを決めるのは仕掛ける側で、その理由を探ることなんて不可能ですよね。実際、これまでいろんな盗聴器をリサーチしてきましたが、「なんでここに盗聴器を仕掛けようと思ったの?」というケースは数え切れないほどです。

盗聴は犯罪として立証できない!?

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− 盗聴器は違法ではないのですか?

盗聴行為そのものを取り締まる法律が存在しないので、違法にはなりません。仕掛ける際の不法侵入やタップから電気を搾取する行為は罪になりますが、例えば仕掛けられていた盗聴器から指紋が検出されたからといって、その人物が仕掛けたと立証するのはほぼ不可能です。「たまたま触っただけ」と言われれば、それまでですからね。結果的に、盗聴被害に遭った人のほとんどが泣き寝入りしています。

− 取り締まる法律がないということは、警察も動けない?

ええ、警察は動いてくれません。いや、動けないんです。電気の搾取ぐらいで動いたりしませんし、不法侵入が成立するのも赤の他人がやっていた場合で、犯人が同居している人間だったらそれだけで違法性はゼロとなってしまいます。

盗聴に関して厳しく取り締まっているのは韓国ですね。主に企業スパイを罰することが目的で法律が作られたのでしょう。日本でもそういう動きが出たことがあったのですが、元々あるものを改正するのではなく新たに法律を作るということもあり、結果的に成立しませんでした。

実際、盗聴を違法だとする法律を作るのは難しいんです。包丁がいい例で、人を殺傷する能力がある道具でありながら、日用品として一般的に売られていますよね。盗聴器も同じで、ICレコーダーはもちろん、今の携帯電話だって盗聴器として使うことができる。要するに、盗聴器というモノではなく盗聴行為そのものが悪なのであって、モノそのものを裁くことはできないんです。

− モノとして取り締まれないということは、日本製の盗聴器も存在するのですか?

もちろん。おそらく中国製や台湾製の盗聴器がほとんどだというイメージがお有りかと思いますが、実際は日本製の盗聴器の方が多く、しかも精度が高い。違法性がないから、製造していることがわかっても取り締まれないですからね。

ご存知ですか? 今、日本では一日で1000個以上の盗聴器が販売されているというデータがあるんです。また、盗聴器をレンタルするというウェブサイトまで存在します。これだけグレードの高い製品が数多く供給されていて、法律で罰せられることがない。日本は盗聴天国なんですよ。

盗聴から身を守るためには?

このボックスに収納されているすべてが取り外した盗聴器。

このボックスに収納されているすべてが取り外した盗聴器。

−− 今、盗聴器って誰でも簡単に手に入れられるんですね。

盗聴器の使われた方はさまざまです。たとえば小学生のお子さんを持つ親御さんが、子供のお守りの中に盗聴器を入れるケースがあります。これは、自分の子がいじめられていないかを確認するためですね。

− そういった有効活用なら推奨したいですね。

あとは男女間で、浮気をしてないかを調べるための盗聴。先ほどお見せしたカード型盗聴器だったら、カバンの隙間に入れられていても気づかないですからね。

−− 盗聴から身を守るための具体策などはあるのでしょうか。

先ほども述べましたが、誰しもがターゲットになり得るのです。必ずしも美人や可愛い人がターゲットになるとは限りません。選ぶのは盗聴する側ですから、今のところは日々の防犯しかありません。今は簡易型の盗聴器発見器などが販売されているようですし、盗聴器が仕掛けられていそうな場所をチェックしたり、家のなかにあるタップを全部取り替えてみたり……。私たち発見のプロに定期的に依頼するのも、防犯対策のひとつでしょう。

盗聴器を仕掛けらた人は、「どうして私が? なんで? 誰が?」と、相当のショックを受けます。そりゃそうです、得体の知れない誰かに盗聴されているわけですから、こんなに気持ちが悪くて不気味なことはありません。とはいえ、法整備が整わない以上、自分の身は自分で守らねばならないのです。

まとめ

盗聴器は誰でも気軽に購入することができ、誰しもが盗聴される危険を秘めています。自分の知らないところでプライベートな部分が流出しているのは気味が悪いし、本当に恐ろしいこと。自分の身に置き換えて想像するだけで、身の毛がよだちます。

自分の身は、自分で守る。

本格的なリサーチはプロにおまかせするほかありませんが、一方でこんなにコンパクトな盗聴器発見器も販売されているんですよね。

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真っ黒なイメージからはほど遠いピンクが特徴的で、部屋のなかを飛び交う電波をキャッチする機能はもちろん、盗撮カメラから発せられる光をとらえるLEDライト内蔵レンズも備わっています。こういうアイテムをひとつ持ち合わせておくのもいいかもしれませんね。

杉沼えりか
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