こんにちは。エディター(編集者)のぐっさんです。
最近よく、「編集者ってどんなことやってるの?」と聞かれます。
ひと言で言えば、「記事ができるまでに必要ないろんなこと」をしています。でもそれじゃあ漠然としすぎていて、分かりづらいですよね。
そこでこの連載では、ひとつの記事が完成するまでに、編集者がどんな手配をし、どの点に気を配ったのかをできる範囲で公開していきます。ぜひ記事を読みながら、編集者の仕事を疑似体験してもらえれば嬉しいです。
今回紹介するのは、ロケあり・座談会形式の記事
LIGでは、LIGブログに掲載する記事の制作のほか、クライアントが運営するメディアのコンテンツ制作も請け負っています。
私が担当している案件のうちのひとつが「留学情報マガジン」。留学エージェントのワールドアベニューさんが運営している、留学に関する情報がたくさん載っているWebメディアです。
社員さんによるお役立ち記事がメインですが、LIGでは企画モノのオリジナル記事を寄稿しています。
今回紹介するのは、ロケ(ビジュアル用の撮影)あり&座談会形式のこちらの記事↓
企画のコンセプトは「スイーツ女子会」。おしゃれなカフェで、留学経験のある女子が、現地で経験した恋愛トークを繰り広げるというものです。
一見シンプルに見える記事ですが、実は、めちゃくちゃ工数がかかりました。特に大変だったのが、下記の4点。
- カフェの手配と準備
- ロケとインタビューの進行管理
- 素人のゲストに座談会で自由に話してもらう工夫
- 大人数が登場する記事で、登場人物をわかりやすくする工夫
なお、対談記事作成にあたり、丘村奈央子さんのサイトにある、「対談・座談会記事の準備と組み立て方」というPDFも参考にさせていただきました。ありがとうございました!
無料で貸してくれるところも! 撮影場所への配慮は、やりすぎで丁度いい
- チェーン経営のカフェは本部広報に許可取り要。個人経営のカフェは店長に許可を取る。
- ロケ使用料は店によってさまざま。無料で使わせてくれた場合、感謝に感謝を重ねるべし。
- 当日もたつかないために、事前にメニューと提供してほしい時間を店側に共有すべし。
アポ取りは、忙しいランチタイムなどの時間を避けて電話で。5〜6店舗に連絡をし、営業開始前なら無料で利用許可いただけるお店が見つかりました(そのほかは、利用料1〜3万円/時間ほど)※。
営業開始までの数十分で撮影を終えなければならなかったので、前日にお店に打合せに行き、撮影スケジュールの共有と、撮影映えしそうなメニューをあらかじめ注文。 撮影開始の10分前には出してもらえるよう手配しました。
開始30分前に全関係者集合で、スムーズなロケ進行を
- タイムスケジュールは前日までに全関係者に配布すべし。
- どんなに朝早くても、撮影開始30分前には全関係者に集合してもらう。
この記事の取材当日のスケジュールは、
- 10:00 カメラマン・編集者入り
- 10:20 ゲスト・クライアント入り
- 10:30 撮影開始
- 11:00 撮影終了・開店
でしたが、ゲストの遅刻とフード提供の遅れがあり、撮影開始が10:50になってしまいました。そのため、開店直前まで撮影しており、お店に迷惑をかけてしまいました。
ここから学んだのは、開始時間がどんなに朝早くても、撮影開始30分前には全ゲストとスタッフに集合してもらうようにすればよかったということ。誰かが道に迷ったり寝坊したりしてもリカバリーできる時間の余裕を持っておいたほうがいいかもしれません。
ゲストの緊張を抑え、発言を引き出すインタビューをするには……?
- 事前に聞きたいことを共有しておく。
- ライターか編集者が「ゲストの輪に入って」ファシリテーションをすること。
- 撮影とインタビューは切り分けたほうがいい。
- 撮影を先に済ませておくと、インタビューが始まる頃に緊張がほぐれてちょうどいい具合になる。
座談会記事を作るにあたり不安だったのは、「素人のゲストに自由に話してもらうのは難易度が高い」ということ。コミュニケーション能力が高い人が集まれば話は別ですが、当日になるまでゲストが饒舌なのか寡黙なのか分からないことなんてザラです。
そんな状況のなか、ゲストの発言を最大限に引き出すためにできることのひとつめは、「質問事項の事前共有」です。これは基本なので説明を省きます。
ふたつめは、インタビューをするとき、ライターか編集者が積極的にゲストの中心に入って誘導役(ファシリテーター)を務めることです。「ゲストの中心に」とわざわざ書いたのは、輪の外側から話しかけていると、なんとなくゲスト対司会者の構造になってしまい、座談会の魅力である雑多な発言から離れてしまうため。
撮影とインタビューを切り分けたほうがいいと書いたのは、撮影を先に終えることで場が温まるからでもありますが、ファシリテーターが写真に写らない場合、どうしても輪の外から質問を投げかけねばならなくなってしまうからです。
この記事も、ナッツさんは会話に参加しているだけで、実際はライターさんがファシリテーターを務めています。
座談会記事は、「手間を惜しまず」「話題整理をしっかりする」で読みやすくなる!
- 年齢や属性などの基本情報は、会話中で展開するのではなく、最初の紹介文に簡潔にまとめる。
- 多少手間でも、セリフごとにゲストの顔写真をつけたほうがいい!
- 小見出しでしっかり章ごとのコンセプトを明確にする。
- 小見出し内は、あまり文章を長くしない。
実は私、座談会記事を読むのがあんまり好きじゃありません。というのも、誰が発言しているのか分からなくなったり、話題がとっちらかったりして読みづらいから。それを解消するためにどうしたらいいかめちゃくちゃ考え、気をつけたのが、上にまとめた4点。
まず、ただでさえ長くなると読むのが疲れてしまうので、ゲストの基本情報は、なるべく最初の紹介文に簡潔にまとめることをお勧めします。年齢とか、記事に必要な属性とか。ちなみに、ここの紹介文にどうでもいい情報(「最近どじょうすくいにハマっている」とか)を書いておくと、なんとなく覚えちゃうマジック、あると思います。
あとすごく気になったのが、「登場人物が増えると発言者がわかりづらい」問題。
やっぱり、多少手間でもセリフごとにゲストの顔写真をつけてあげたり、その顔写真を色分けしてあげたりしたほうが読者には伝わりますよね。
また、大人数で喋ると話題がちらかりがち。ライターはかなりの構成力が必要になると思います。おまかせしてもいいのですが、確実なのは、取材中に手の空いている人(ライターがファシリテーターだったら編集者、逆だったらライター)が簡単な取材メモをとっておき、取材直後に2人でしっかり話題整理をすることです。
このとき、話題の順番は大胆に入れ替えて構わないと思っています。また、聞いた話全部を書きたくなる気持ちを抑えて、削れる部分はバッサリ削ることが大事です。
まとめ
初めての試みとして、「記事ができるまで」を記事にしてみましたが、案外書くことがいっぱいありました。
自分でも、書いていてこんなにたくさんのことをやっていたんだと驚きました。
今後も精進の結果をこちらにしたためていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
昨年担当した記事。ロケありの対談記事は手配も多く大変ですが、編集者としてのスキルもぐっと上がると感じました。全員の情熱が総結集されて華やかな記事になったぞ〜! / 日本人女子は海外で大人気!? コアラ女子たちの赤裸々な留学恋愛トーク https://t.co/PgmZ4MO2xh
— ぐっさん(坂口ナオ) (@skgc_n) January 4, 2016