31にもなって約2週間仕事をせずにXのことを無心で追いかけてみる -8日目- #XJAPAN

31にもなって約2週間仕事をせずにXのことを無心で追いかけてみる -8日目- #XJAPAN

舘 そらみ

舘 そらみ

<HIDEゆかりの地&穏やかに福岡へ 編>
※2015年12月8日正午から2015年12月9日正午までのレポートです。
これまでの軌跡はこちら

舘そらみ@博多です。

独房

独房におります。

「最近のカプセルホテルすごいよ」との噂を聞いて泊まってみたけど楽しいな! 安いのにとてもきれいだし、大浴場あるし、広い洗面台あるし、アメニティーも充実してるし。こういう感じ、嫌いじゃないです。否、とても好きです。

 
朝食

朝から大浴場でお風呂入って、独房エリアの横にあるサロンみたいなところで朝ごはん食べて、マリンメッセ福岡へ。

その前に昨日の話。

HIDEゆかりの地へ

大阪の友人と難波でご飯を食べる。

この、なんの目的もない感じがいい。ライブとライブの間はなんだっていい時間で、楽しくなる。見たことあるグリコも難波の街も、「ほお。これがなんばですか」と初めて見たような演技をして、大仰に頷く。

ご飯食べて、路地を歩いて、途中で神社にお参りなんてして、珈琲飲んで。芸術とは何かなんて話をしながら、表現に対する初期衝動みたいなものが浮かんでくる。そういえば「初期衝動」という言葉はすごくHIDEが大事にしていた。

そして、ずっと行きたかったところに行った。和歌山県にある、レモネードカフェ。HIDEがとてもかわいがっていた貴志真由子さんという女の子が居る。真由子さんはもう亡くなられたけれど、和歌山にご両親がやられている喫茶店がある。ずっと行ってみたくて、やっと行けた。

レモネードカフェ

入った瞬間から、息を飲んでしまった。

壁一面のHIDEに迎えられる。大好きな人が、大きく出迎えてくれた。中に入って、なかなか席に着くこともできず見つめてしまう。天井の隅、電灯の中、レジの横、少しの隙間にも、HIDEが溢れていた。

ここでは、素直にXの話をしていい。HIDEを大切に思っていることがここの場所では許される。同じ人を好きだということ、そして、HIDEが大事に思っていた少女の家だということ。自分を全て肯定してくれている気分になる。

 
サインや写真

真由子さんのお母さんにいろいろとお話を伺う。「命がけで音楽を作る」と語っていたこと、Xとして最後に使ったピック、サイン、ギター、そこかしこにHIDEの痕跡がある。

HIDEの曲が流れているのが当たり前。HIDEと業務用のカレンダーが並んでいるのが当たり前。当たり前に、HIDEちゃんが居る。その全ての当たり前さが、ありがたい。

 
ギター柄の珈琲

愛用ギターと同じ模様のカップで珈琲を飲みながら時を過ごす。

Xのツアーが始まって「HIDEが居ない」って、居ないことばっかり気にしてごめんね。そうだ、この世に居ようといまいと、HIDEの顔を見るだけで満たされること忘れてた。細かいことがどうでもよくなる。

何度も帰ろうとして、「じゃあ帰るね」って壁のHIDEちゃんに挨拶しようと立ち上がると、そのまままた吸い込まれてしまう。奴はメデューサか。ただただ、その顔を見て時間が過ぎてしまう。好きとか、そんな言葉すら浮かぶ余裕がない。HIDEが目に映っている、それだけで体中が膨れ上がってパンパンになる。この人を見ていると幸せなんだった、彼は最高にかっこいい。私のヒーローなんだと思う。

「ああ、でも福岡行かなきゃ」。断腸の思いでお店から出る。私と入れ違いに、また新しいファンが「わあっ」って目を見開いて入ってきた。

レモネードカフェを背にして歩き始めると、背中がどんどん熱くなって思わず目の奥が熱くなってくる。ものすごい不安と寂しさが強烈に湧き起こり、嗚咽がこみあげそうになる。慌てて、どんどん前へ歩く。歩みを進めると、「そうか、頑張るっきゃないよね」という気持ちが強く強く湧き上がってくる。

HIDEちゃん、私頑張るよ。そんなことを何度もつぶやく。HIDEちゃんは何も言わない。私が勝手に元気もらった。それでいい。

そうして、和歌山からの電車の中で、猛烈に仕事した。すいません、この記事が掲載されているチャンネルの名前「完全オフ」とそぐわないですね。でも、HIDEちゃんにこんだけ力もらって、「頑張れよ」って言われて、私が頑張りたいことってもう仕事で、だからガムシャラに仕事した。

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脚本家・俳優。劇団ガレキの太鼓を主宰、青年団演出部所属。現在は執筆活動のかたわら、全国の小中学校などでワークショップを行っている。映画「私たちのハァハァ」公開中。Twitter:@_sorami

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