<31歳に戻ってきた編>
※2015年12月3日正午から2015年12月4日正午までのレポートです
舘そらみです。そらみさんと呼ばれがちです。
行ってきました2日目。もう、グチャグチャ言う言葉なんかなく、最高だったーーーー!! 最高の上を行く言葉をください。
私が素晴らしかったなんて言ったってファンの戯言なので、権威のある誰か、昨日のライブはすごかったという解説をしてください。坂本龍一とか。
だから今朝はもう無敵感です。だってたった今地震あったけど、いつもならオロオロするところ、動じずにパソコンに向かっています。
昨日のライブで猛烈に幸せになって元気もらって、「おっしゃー! 私も人生やっちゃるぞー!」。つまり、「おっしゃー! いい作品、作るぞ!」みたいな気合いが入ったのに、あと10日間は仕事がないのでちょっと肩透かしみたいになっております。このみなぎるパワーを、どこに向かわせよう。
そうですね、やっとちょっと、落ち着きました。私も、ツアーに慣れてまいりました。「ここ数日のお前、さすがにちょっとキモかったんじゃね!?」と気づきました。どうやら、中学生くらいに戻っていたようです。今は31歳。昨日までよりは少し落ち着きつつ、しかしやはりおそらくどうにも止まらない愛情と共に、失礼します!
昨日からの振り返り
1日目とは打って変わって、緊張はほんのりしているけれど、それよりも楽しみで仕方がない気持ちで会場に着く。
グッズ売り場をウロウロする。買うかどうか猛烈に迷うも、正直Xのグッズはなかなかにダサいので、物欲に勝利する。買いたいものを買わないようにするときって「どうせ使わないから」という唱え文句を使うと思うんだけど、Xのグッズは「どうせ使わないから」が効くからありがたい。「そうね、使わないわね」って納得できるから。グッズなくても生きていける!(そのうち絶対買う)
グッズと言えば、前回買ったパーカー、去年の冬にストーブの前に座ってたら引火したので気を付けてください。「燃えるとか、なんかXに似合う」って思っちゃうからホントダメ。
ライブ行くとき歩いてたら、ショーウィンドウに大きく「X」って文字が見えて「え、Xの何かある!!!」って思って駆け寄ったら、胸に大きく「X」と書かれた自分のパーカーだった去年の話。いつでもXには敏感だ。
敏感と言えば、Xがどこかで流れたときの反射神経は、あれどうなっているんだろうか。「あ、Xだ」って脳に情報が行く前に体が「びく!」ってなる。びく!っとなったあとに「あ、Xだ」って気づくという脊髄反射レベル。「え? どうやって今の速度で聞き取れた?」って自分でも驚くんだけど、どういう体の仕組みなんだろう。たぶん音がまだ鳴りだす前の音波みたいなもので反応している気がするんだが。と、今最高に気分がラリホーなもんだから、どんどん話が飛ぶ。
昨日の話だ。
グッズ見たりフラフラしていたら結局、席に着いたのは開演時間を少し過ぎてから。なんか入った瞬間から、「あー今日、客席あったかい!」と思う。
やっぱり、最初はまだ客席も緊張してたんだろう。でも、昨日はすごい客席も緊張が解けていて、本領発揮していた。客席だって、緊張してると本領発揮できない。
開演まで、たくさんコールして登場を待つ。緊張からくる切羽詰まった「We are X」からはちょっと変わった、もっと自信満々な「We are X」。彼らを最高の状態で迎えられるように、自分自身も会場もしっかり温める気合い入れ。万全の状態で始められるように。
このときにいろんな人と話せるのがいい。隣のお姉さんと「よろしくお願いしますね」なんて話して、隣の隣のお姉さんとは「地方どこ行くんですか?」とか「明日2列目なんすよ」「マジ死なないでね」なんて話して。
どこの誰かも知らんし、プライベートで会ったら別に仲良くもならないだろうことも分かりながら、今そこに居る瞬間は目的を同じにした仲間だということ。Xを愛する人間は全員大事な存在だ。
男女は関係なく、前のお兄さんに「Tシャツすごいっすね」と話しかけられる。91年のツアーTシャツを着ていたからで、とは言っても私は91年のツアーには行っていないので「譲り受けたもんなんですけどね」と返すやり取り。そんな風だから、ライブ始まってお兄さんの手によって視界が遮られ気味になっても、そりゃ「もおお、Xってやると見えにくい! Xってやりすぎ!」なんて思うけど、でも全然許せるというか「でもそうよね、盛り上がるよね、わかるわかる」ってなる。
こういうXファン同士のやり取りはホッとする。もちろん、席によっては「ねえここに本当にファンは居るの??」って思うようなところもあるし、ファン同士の思いやりみたいなものが年々薄れてる気はするけれど、でもやっぱりこの繋がりは好きだ。それに一見おとなしそうな人でも、心の中ではすごいX情熱が高い人も居るだろうしね、見かけじゃ分からん。
開演前から会場中で綺麗なウェーブ決めたりして、ケナゲだよなあ。「俺たちはここでXを待っているよ!」を少しでも示す方法を律儀にやっていくんだから、ケナゲだよなあ。ウェーブがキレイに決まったとたんに開演。スタッフさんもにくいことをするもんだ。
そして始まった昨日の、すばらしさ。もうあまり覚えてないというか、一夜明けてもう夢のごとし。昨日、あんな素晴らしい時間が本当にあったんだろうか?
「あった」と教えてくれるのは、肩と腰の痛みだけ。あの夢の時間が本当にあったか知りたいから、また今日も夢の時間に行く!
ああ、なんかはしゃいでいるな。
始まった瞬間から本当に幸せで幸せで。目の前にXが居ることには前日で免疫がついてるから、もう急速に猛烈にやってくる幸福感。HIDEちゃんにももう報告できたから、ちゃんと顔向けできる感。それは多幸感。幸せで幸せで森羅万象にありがとうを言いたくなる、ありがとー!!
幸せを感じる要素はそこかしこにあって。1日目で軟らかくなった私の心に、存分に幸せを流しいれてくれる。
って、幸せの話はいいから!! そんなこと言ったら、あと6回「幸せだ幸せだ」を言うことになっちゃうから!(あと6回しかないなんて泣きたい)
と言っても幸せだけではなくて、やはり辛かった過去を思い出さざるを得ない瞬間はたくさんあって、もうジェットコースター。笑った瞬間に泣かされて、本当にXは突然嗚咽人間製造器だと思う。
突然嗚咽を漏らしはじめるのは、客席でよく見られる光景。周りの人たちは、見るとも見ないとも見守りながら、「うんうん」「頑張れ」と心の中で送る。
不思議なもので、その嗚咽のタイミングは人それぞれで、昨日私が突然嗚咽人間になったとき、友人が「はい? おかしいおかしい」と笑いながら背中をポンポンしてくれたし、斜め後ろのお姉さんは私が一番楽しんでるときに突然嗚咽人間になっていた。(突然嗚咽人間っていう言葉は、別にX用語じゃないです。突然に泣きだす人間のことをそう呼んでみただけです)
客席に一体感はあるんだけど同時に、それぞれが一人でXと対峙しているのを感じる。それぞれが、今までのXとの歴史と自分の人生を踏まえて、Xと向き合ってる。だから、ふとしたある瞬間のメンバーの表情や言葉、そんなものが突然心の奥底を突き刺して、言いようもない衝動に突然駆られ、もう急激にこみあげてしまうのだろう。笑顔からの突然の嗚咽。準備も助走もなく、突然突かれて感情がふれてしまう。
5年前くらいまで、Xは常時慟哭人間製造機だった。
ライブ中ほぼ全員泣いてる状況。女性ファンばかりだったから、もう集団泣き女状態。「え、けいれん? 死ぬ? 救急車?」みたいなまさに“慟哭”状態の人がたくさんいた。生まれて初めて慟哭のお姉さんを見たときは「ひえええ」と恐れおののいたものだ。叫び方もあれはもう断末魔で、死に際の最後の叫びみたいな「ひでえええ!」「よしきぃいいいい!」が途切れなかった。
そういう私も、周りの人に大丈夫ですか?と心配され水を渡され、隣の友人と手を組みあって倒れそうなのを支え合ってたときがあった。1ライブ40回くらい断末魔をしていた気がする。死に過ぎ。
悲しくて悲しくて、悲しみに行くライブってなんだって話よね。集団で、おかしくなっていたように思う。でも、あの時期がなかったらここまでこれなかったから。
だから今、突然嗚咽人間にまで変わってきたことは本当にすごいと思う。だって、つまりほとんどの時間をみんな楽しめてるんだもん。楽しくて楽しくて楽しくて。だから、たまの突然嗚咽は許してもらおう。突然嗚咽の後には突然笑いがやってくるしね。
本当はいまだに慟哭したいときもあるけどさ、ステージ上のXは、もう悲しみ泣きをやめたから。私たちだって、もうそれはこらえなきゃいけなくなっちゃった。今あるのは基本、笑いからの突然嗚咽。
私にも昨日、突然嗚咽は何回かやってきて、周りは盛り上がっているのになんだか復旧できないときがあった。画面に映るHIDEちゃんを見ながら、「もしXがない人生だったらどうだったのかなあ」とか考えてた。「この人が居なくなったときに私もXから離れるってことも、あり得たのかなあ」とか考えてた。
20年間ずっとずっと傍にあったXってものが何なのかすごく知りたくなって、紅で盛り上がるステージと会場を動かずにボーっと見ていた。
飛び跳ねてないと客席って揺れるんだなとか知らなかった。しずかーな心で眺めてみたら、「ああ大勢の人が熱狂的になってるなあ」なんて冷静に見えて、メンバーの見え方も変わってきた。それまでは心の中サイズの大きさで目の前に居たメンバーが、静かな目で見てみたら小さくなった。つまり、等身大の人間サイズになって見えてきた。
人間サイズのメンバーと盛り上がる客席を見ながら、ああこれがX JAPANの実像かあとか思って。メンバーはみんな背も小さめだし、しっかり老けてもいるし。客席も、もういいとしこいた人たちばっかり。X JAPANの現在が見えた気がした。
それに改めて、私は客席で熱狂しているファンの1人でしかなくて、彼らは違う世界に生きてる人間なんだよなあとすごく納得しながら見てた。「あの人たちですよ、分かってます? 君が好き好き言っているのは!」と自分にツッコんでみたりもする。
でもその上でなんというか、「この人たちと生きていくんだな」って思って頷いた。己へのツッコミには「ごめんどうでもいいや!」と一蹴して、共に生きていくんだなあってやはりそこに行きついた。共に生きるがなんなのかよくわからないけど、「この人たちとこれからも生きていくんだな」ってシミジミ感じていた。
X JAPANというバンドが世界一じゃないことも、彼らに特に魅力を感じない人たちが居るのもさすがに知ってる。私だって、彼らが世界で一番うまいと思わないし、外見が優れているとも思わないし、誰にでも刺さる曲を作ってるとも思わない。
ま、でも、「この人たちと生きていくね」私は、ここを原点として、生きていくんだね。と実感してた。
改めて何を感じてんだか。
本当にいい加減、なぜこんなにもXを好きなのか解き明かしたい。どうやったらこんな人間ができ上がるんでしょう。それを解き明かす旅だなんて言いながら、もう緊張と興奮でおかしくなりすぎていて、やっとこさ落ちついてきた感がございます。Xに毎日会えるというのはこういうことか、と少し分かってきたように思う。
最高な幸せを感じてさらに今日、何を思うだろう。この、Xバカは、どんな変遷を辿っていくのだろう。本人にも皆目見当もつかない。
あと6回、彼らへの「好き」を余すところなく表明して、何も残らないくらい堪能していきたいと思う。あ、「思案中」だった14日の名古屋も、行くことと致しました。
私はやはり彼らの生き様を受け止めたい。今後、そして、生きていけるように。
あーもう腕が痛い腰が痛い! 行くぜ今日も横浜アリーナ!
- 12月3日ライブ 興奮しすぎて支離滅裂なメモ
- 観客の声をレコーディング。客席を指揮するトシは、「類まれな音楽の才能を持った人だな」と改めて思う。
- 大きな肩の荷をおろしたのか、ホントYOSHIKIの子供返りがすごい。
- 「無限の可能性を作っていこうぜ!」とYOSHIKIが言った。それがXだ!
- 「アルバムが遅れるのは全部YOSHIKIのせい」冗談で言ったトシ君の言葉に、YOSHIKIが何か飲み込んだように見えた。自分のせいだなんて言われたら辛いよね。
- トシソロの、いつまでも続くような長い声は、トシ君からの感謝の気持ちが詰まってる。
- We are! をあまりにも長いことやり続けるYOSHIKIを、子供を見るような目で盛り上げ続ける他のみなさま。
- TOSHI君が空に向かいHIDEちゃーん!と叫ぶ。ちゃん付けが、いいね。
- 「Miracle」もうすでに喉からした。
- 「JADE」あまり覚えてない。転げまわってた。
- 「WEEK END」スギゾーが “no way out” 叫んだ。
- 「Beneath the Skin」早く音源欲しい。
- 「Kiss the Sky」ルナフェスに続きレコーディング。急に真面目モードでプロい。
- 「HERO」Xに珍しいメッセージソング、受け取りたい。
- 「PATA & HEATH Solo」PATAがセクシー。
- 「DRAIN」これは、HIDEソロなんだと初めて気づいた。
- 「SUGIZO Solo」あまり覚えてない。HIDEのこと考えてた。
- 「TOSHI Solo」今日はTears。みんながトシ君に「おかえり」って言いたくてしょうがない。
- 「YOSHIKI Solo」どうしてこの人はいつまでも自分の限界を超えていくの!!!
- 「Forever Love」流れるHIDEちゃんの写真見てた。
- 「紅」横浜アリーナを見てた。
- 「Born To Be Free」あまり覚えてない。これからの生き方のこと考えてた。
- 「X」「とべとべ」をトシ君がHIDEの物まねしてた。似てた。
- 「World Anthem」YOSHIKIがTAIJIの声を叫んだ。救われた。
- 「Rusty Nail」なんだか久しぶり! やっぱ落ち着く!
- 「ENDLESS RAIN」あまり覚えてない。アーティストってなんだろうって考えてた。
- 「ART OF LIFE」あまり覚えてない。幸せ過ぎて、それにどっぷり浸っていた。
EN
- 私の追っかけスケジュール
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12月2日 横浜アリーナ【終了】
12月3日 横浜アリーナ【終了】
12月4日 横浜アリーナ【決定】
12月7日 大阪城ホール【決定】
12月9日 マリンメッセ福岡【決定】
12月11日 広島グリーンアリーナ【決定】
12月14日 名古屋・日本ガイシホール【決定】
12月15日 ライブビューイング【決定】
- 私の追っかけレポート
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舘そらみ 脚本家・俳優。劇団「ガレキの太鼓」を主宰、青年団演出部所属。現在は執筆活動のかたわら、全国の小中学校などでワークショップを行っている。脚本を手がけた映画「私たちのハァハァ」公開中。Twitter:@_sorami |
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