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2015.09.07

満月の夜に遭遇した、切ない修羅場

ツベルクリン 良平

ある月が綺麗な晩のことである。

「元カノとヨリを戻したいんだ。どうすれば良いと思う?」

友人との飲み会の席で、こんなことを打ち明けられた。

私は恋愛相談がすごく苦手なので、巧みに聞き流しては、今日が満月であることや満月の神秘性について語ったが、どうやら友人は真剣らしい。私がどんなに満月が偉大なことか熱弁したところで、一向に「元カノと寄りを戻す方法論」から話を変えるつもりはないようである。

友人曰く、元カノとはお互い小説が好きで付き合うことになった。だが、すれ違いがあって別れてしまったらしい。小さなボタンの掛け違いが気づかない内に、致命的なズレとなることは往々にしてある。失意の様子でそう語る彼は、いつもより小さく見えた。

そんなときだった。学生時代の同級生とばったり再会したのは。

正直言って、面倒だと思った。大して知った仲ではなかったし、そもそもそんなに人付き合いだって好きではないのである。軽く会釈するくらいで終わらそうと思っていたのだが、友人の様子がおかしい。そう、彼女こそ件の元カノだったのだ。事実は時に小説を超えてくる。

「久しぶり!なにしてるの?」

友人が少しうわずった声で、元カノに声をかけた。

先ほどとは違う凛々しい顔を取り繕っていたが、彼もきっと内心緊張しているのだろう。手足がカタカタと震えている。私は、若い二人の邪魔をしないよう駅のホームで黄色い線の内側と外側を交互に見るなど時間を潰すことにする。

だが次の瞬間、絶句することになった。電車に乗ったらこんなポゼッションになっていたからだ。

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どういう意図でそうなったのか分からない。気づいたらこんな配置になっていたのである。

向かって左にはあまり話したことのない女性。対して、右側は全力で緊張する友人。そして、間に挟まれる全然関係ないこの私。

想像を絶する気まずさが3人を包み込んでいた。響き渡る空調の重低音、唾を飲み込む音すらも聞こえそうだ。

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友人の気持ちはよく分かる。つい声をかけてしまったが、恐らく我慢の限界だったのだろう。私という物理的バッファがないことには、心の平穏が保てなかったに違いない。

ここは私が男気を見せるべき。直感的にそう思った。まず会話をして無音の状況を脱しなければならない。

共通した話題がなかったので、とりあえず天気の話で茶を濁す。「話題がないときは天気の話でもしろ」とNEVERまとめにまとめてあったからだ。

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