LIGブログにダメ出ししてください

LIGブログにダメ出ししてください!第2回ブロガー・やまもといちろうさん


LIGブログにダメ出ししてください!第2回ブロガー・やまもといちろうさん

こんにちは、LIGブログ編集長・ナッツです。

昨今は多数のWebメディアが誕生し、日々無数のコンテンツが生み出されています。この状況を「ネットの有識者」や「ご意見番」と呼ばれる方はどう見ているのか? そしてLIGブログをどう思っているのか? お伺いしてみたいと思います。

題して

「LIGブログにダメ出ししてください」

第2回のゲストは、やまもといちろうさんに来ていただきました。

 
s026

ー やまもとさん、本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

02a 人物紹介:山本一郎(やまもといちろう)さん
株式会社データビークル取締役CFO、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員。ブロガーとして第一線で活躍するほか、テレビ番組のコメンテーターや「東北楽天ゴールデンイーグルス」のチーム戦略室アドバイザーを歴任。今回はお願いしたら、ノーギャラで来てくれた。
著書に『ネットビジネスの終わり』(Voice select)、『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)など多数。

LIGブログにダメ出ししてください!第2回ブロガー・やまもといちろうさん

s095

ー LIGブログのことをどう思っていますか?

LIGは見ていて「キラッキラしているな」という印象です。誤解を恐れずに言えばうらやましいと思っています。

 
ー うらやましいですか?

ええ。私はずっと一人でやってるので、このノリが良いなと。技術的なこともしっかりやりつつ、バカなこともやっているのが良い。

社長が砂浜に埋まったり、社員がいつの間にか結婚してたり、「悪ノリ」と「面白さ」の中間をガムシャラに走っているイメージです。昔からネットをやってた人間は、こういう「集団制作」っていうものをやってこなかったので。

 
ー LIGブログはいつ頃からご覧いただいているのでしょうか?

Twitterで、「面白い会社がある」とツイートが流れてきたのがキッカケです。その後、前編集長の朽木さんがジョインしたあたりから定期的に見るようになりました。

 
s087

ー LIGブログのコンテンツについてどう思いますか?

「伝説のウェブデザイナーをさがして…」という記事は、内容こそ普通の求人なのに「社長を砂浜に埋める」なんてネタで拡散させて、その後に従来通りの求人もやっちゃう流れが面白いなと思っていました。

私は発注側に回ることも多いので、その視点で見るとLIGは「自分たちはおもしろい。だから一緒にやろう」という見え方になっている。仕事を頼むという高いハードルはそれである程度下がるのではないか。

 
ー ただ、そういう見せ方も「内輪ノリ」だと指摘されることがあるんです。

考え方はひとそれぞれですが、私はそのノリが良いと思っています。問題はそれをいつまで続けられるかでしょう。まぁHagex(ハゲックス)さんはブログで否定してましたけど。「Hagex」って名前なのに全然ハゲていないくせに。 彼とはイベントで一緒になって、どんなツルッパゲが出てくるのかと思ったら普通に若いイケメンでやんの。騙された。今後はフサックスに改名しろ。

すみません、熱くなってしまいました。続きをお願いします。

 
ー やはり継続するのは大変ですか?

それが一番難しいんじゃないでしょうか。私はパソコン通信からはじめて20年やってますが、横でやってきた人が脱落する光景を何度も見てきました。

昔だと『侍魂』とか『sawadaspecial』とかめちゃくちゃ面白いサイトがあったのに、15年〜20年選手でいまでもちゃんとPV集めてるところって少ないんじゃないかな。『カトゆー家断絶』は本当に終わってしまった。もったいないというか、やめ時を探していたのかと思うぐらいで、さびしい限りです。

『かーずSP』はテキスト時代の名残を残してブログに移行したし、あのころのサイトだと『僕の見た秩序。』のヨシナガさんとうちぐらいじゃないかと。ヨシナガさんは「エヅプト」で一発当てたり、プライベートで妙な事件をやらかして快適なネットライフを送っておられ羨ましい限りなんですけど。

メディアはとにかく折れずに続けること

s035

ー LIGブログの課題ってどんなものがあるでしょうか?

LIGブログは「Web制作」や「英語」という分野は手堅く書けている印象です。繰り返しになりますが、こういった良コンテンツを今後も作り続けられるかどうかでしょう。アクセスが爆発することは少ないと思いますが、やり続けていることで読み手も定期的に読みに来るし、ブランドに対するロイヤリティも高まるというオウンドメディア()時代の基本をしっかり踏まえている感じがします。逆に、続かないのはそれまでということです。漫画とかでも、昔は面白かったのに……なんてことは往々にしてありますよね。

好悪は別にしても、 一定のクオリティのものを作り続けるというのは想像を絶するほど辛い戦いです。せっかく抱えていた読者さんが、ある瞬間から離れてしまうことも多い。だからLIGブログだけじゃなく、Webメディアを作っている人は本当に大変なんだろうなと思うんです。ダメ出し云々というより、ネタが枯れないように頑張って続けてほしいとか、そういう気持ちが強いですね。

 
ー メディアやブログを長く続けるコツってありますか?

半年に一度でも良いからドカンと大当たりが出れば、「ああ、このメディアは面白いな」となるのですが、欲張って無理にペースをあげると最悪です。すぐに臨界点に達してしまうし、焦りがユーザにバレてしまう。

バカを何十年もやるのってしんどいじゃないですか。しかも、いまの時代では炎上だってあり得ます。そういう状況に対して、自分たちは将来どこを目指していくのかをじっくり考えるべきなのだと思います。

私の場合、35歳で結婚して子供ができたとき、このまま「切込隊長」でいいのか? と思ったことがありました。いい歳して、景気良いハンドルネームを名乗ってたり、調子に乗ってキラッキラした馬鹿をやり続けるのも、おっさんになるとむつかしくなる。普通に生きていたって、必ず「親の介護」や「子供の受験」など、人生の転機が訪れるのです。

結婚した後で、家内から「あなた、シャブ野郎って何なの」と真顔で質問されて困窮したことがあります。ネットで通用しても、リアルに分かってもらうには長い説明が必要という悲しい思い出とともに生きていくことが運命付けられている気がします。

でも、それを乗り越える決意がなければ、いま取り組んでいる価値もないわけです。ならば、その先をどうするのかを考えましょうよ。何をしたって色々な批判が出てくるのだから、そこで折れずにやりきることが大切。昔から「チリも積もればゴミとなる」と言うじゃないですか。

Hagexさんは前の記事で「オチが弱い」とか言ってましたが、オチなんかぶっちゃけどうだっていいんですよ。アイキャッチ画像と最初の2行で読むかどうか決めるので。とにかく続けてください。そもそもHagexさんはハゲてもいないのにハゲを名乗るとか薄毛に悩むすべての男性を問答無用で敵に回していると思うんですよね。彼も2ちゃんねるや発言小町をしっかりウォッチし続けているという意味で尊敬していますが、ふさふさしているところは本当に許せません。百田尚樹か岩崎夏海にハゲ枠を早々に譲ってリブランドするべきです。いい加減にしろと言いたい。

すみません、熱くなってしまいました。続きをお願いします。

ユーザのベネフィットを提供できるメディアを目指す

s019

ー LIGブログのようなメディアは、今後どんなものを出せば盛り上がるのでしょうか?

ひとくちに「盛り上がる」と言っても、そのポイントが何なのかを考えなければなりません。

PV(ページビュー)なのか、別の指標なのか。これまでのWebはずっとPV至上主義で、炎上マーケティングとかはまさにその典型ですが、これは問題。全く読者のことを考えていないので、もっと見る側の視点を考慮すべきです。

 
ー 見る側の視点を考慮する?

私が考えるメディアの理想的な指針は、大きく分けて二つです。

1つ目はユーザに対し「コミットする」こと。1日に記事を何本更新する等、メディアとしてのコミットを設けましょう。2つ目は「エンゲージメントを促す」こと。ただ情報を流すのではなく、ユーザの行動を促すようなコンテンツを作ることを意識しましょう。そういう話です。

情報をそのまま提供するだけでは、どんなメディアでもすぐに磨耗してしまいます。しかし、読者の人生にベネフィットを提供してくれるメディアであれば、ロイヤリティは必ず高まるはず。そして、「以前役に立ったから、もう一度見てみよう」とリピートを生むのです。

いまのメディアにはもっと、面白くて実際に行動を促せるコンテンツが必要だと考えます。PVではなく、ユーザのベネフィットを追求すべきではないでしょうか。

 
ー とても勉強になりました。やまもとさんって「怖い」イメージだったので正直ドキドキで。

よく言われます(笑)

自分はずっと日の当らないところにいて、それでも仕事はちゃんとやらないといけなくて。仕事での自分の強みと、ネットで感じ取られるイメージが異なるのは仕方のないことだと思います。だから、ネットでの見せ方と現実は違うんですよ。なので、会ってみると「大学教授みたいだ」とよく言われるのです。フサフサ過ぎずハゲてない、シルバーグレイで落ち着いた雰囲気を私が持っているからでしょうか。ちょっと批判するとブロックしてくるような金髪津田野郎とは趣が違うと思います。

最初にネット上の「怖い」というイメージが先行しているから、実際会うとギャップがあってみんな安心する。ただ結構、原理原則にうるさいタイプなので面倒くさいやつと思われるんですけどね。思ったよりハゲてませんねとか。ハゲてねえよ。

せっかくなのでネットのアレコレを聞いてみた

s046

ー コンテンツマーケティングについてどう思いますか?

私がメディア運営に携わる場合「企画」や「資金集め」など前工程が中心で、後の工程は運用会社や制作会社とかが巻き取っているのですが、まぁマーケティングが前に出てくるとクソなものができるんですよね。なので、Webメディアのマーケティングというのは、いつ当たるか分からないけど、当てようと思ってやり続けてみないと成功することはない、という元手のない不確実な投資に近いと思います。いまでいう、メディアマーケティングのような予算ありきで作り上げるものとはわけが違います。

LIGだって社長が砂浜に埋まるまでは低空飛行だったじゃないですか。それでもずっと我慢していた。我慢したからこそ、いまがあるんですよ。蓄積って、そういうものです。

立ち上げ当初はロイヤリティの高いユーザを獲得するために耐えるべきと理解しつつも、どうしたって低迷は続く。それを改善するために企画側の私みたいなのが「こうやったら爆発しますよ」と提案しても、大きな企業だと広報からストップがかかるんですよね。「それはうちのブランディング的にちょっと……」って。

そういうのがちょっとずつ整備されていったときがチャンスなのに。そんな姿勢では、コンテンツマーケティングの成功などあり得ません

 
ー 最近、面白かったコンテンツってありましたか?

うーん、改めて考えてみると日本国内は少ないですね。あんまり面白いかどうかで記事を選別していないからかもしれない。身の回りでおきているリアルが、すでに面白いからなんですけど。

国内で言えば、そもそもの仕組みのほうが興味を引きます。『BLOGOS』とか、『ハフィントンポスト』など戦国時代感があるじゃないですか。各種スマホ向けニュースアプリもそうですが、結局はヤフーニュースがまた一人勝ちになって、ほかが独自色を出す方向に走ったってのは、その仕組みが固有で持つ「体力」と「哲学」の問題なんじゃないかと思ったりもします。

 
s056

ー PR記事についてはどう思いますか?

自分では絶対使わないものを褒めなきゃいけないという苦しい仕事や、「なんだこれは」と思うひどい仕事もありますが、PR記事の存在自体は肯定的に捉えています。

一方で、「ステマ」に関してはそうも言っていられない。ルールがあるんだから、守りましょうよ、と。正義を押し付けるつもりは毛頭ないのですが、毛根はありますが、個人的には欺瞞がとても嫌いです。お金をもらって提灯記事(取材先を持ち上げるための記事)を書いてるのであれば、きちんと明示するべきですよね。

 
ー ステマ関連の記事は、どうやって情報を仕入れているのですか?

怪しいと思う企業に直接問い合わせたり、実際にお金を使って彼らとビジネスをしてみて実感を得たり、代理店に協力してもらったりすることが多いですね。私の差し金と気づかずに売り上げ欲しさにステマなど欺瞞的取引を先方が持ちかけてきたら、「しめた」と思うわけであります。で、気づいたらネットでの欺瞞的取引の第一人者みたいになってて、さらに情報が集まってくるという流れになってます。

いまではネット上の取引における消費者問題まで広がってしまい、自分でも「ちょっと私の本来の畑と違う」と思いながらも、興味の赴くところへずずっと調べ物を繰り広げてます。

 
ー SNSなども駆使されていますか?

いや、移動時間以外ではあんまり使ってませんね。Twitterなんかは悪口を言いたいときに「誰かいないかな?」と探して、思いの丈を述べるためのツールにしてます。

キュレーションサイトは何を使っているんですかとかよく聞かれるんですが、NewsPicksとか、はてなブックマークとかも特に見てないです。ストレートニュースを見たいのに、なぜ他人のコメントとかに目を通さないといけないのか、自分には良く分かりません。定点観測をする場合は、普通に検索エンジンを使うか、巡回路となっているニュースメディアを順繰りに回るほうが最終的に効率がいいと思っています。そもそも記事の選別を他人に依存してキュレーションとかピッカーなどと自称している馬鹿業者は神の裁きを受けて無言の帰宅をしたうえでしめやかに葬儀が執り行われるべきです。

そもそも気になることは、直接聞くほうが早いんですよ。電凸(でんとつ/電話で突撃)をすることも多いです。電凸のときは個人的なルールがあって、言いたいことだけ言って切るというのを徹底しております。「あなたの会社、こんなことをやってますよね。止めたほうがいいですよガチャ」って具合に。相手の話をしっかり聞くと同情してしまうからです。

 
ー 最後に。Web界隈へメッセージはありますか?

「個人情報は守れよ」でしょうか。

ユーザの情報を集めるだけ集めて、勝手に素材として流通させたりするのはいただけない。昔から一定数あったのですが、最近は度が過ぎてるんですよね。最近ではジョークのような図書館まで建立されてしまって、世が世なら徒党を組んで焼き討ちにしたいぐらいです。やらないけど。ネットサービスは特に、みんなが便利だからと思って使っているのに、躊躇してしまうような欺瞞性のある仕組みは絶対に避けなければならないんですけど。こういう業者は、クソ以外の何物でもないので早く滅亡しろって思いますね。

まとめ

s1112

やまもとさんからいただいたお話の中で、我々のようなメディアがすべきことをまとめると

  • メディアの進むべき方向性をしっかり定める
  • 炎上したり、ユーザが離れることはどの媒体も起こり得る
  • その上で、どうやってコンテンツを出し続けるか考える

こんなところだと思います。

今回、LIGブログは “お褒めの言葉” を多数いただき心から嬉しく思う反面、やまもとさんの言葉を咀嚼すると、

「日本のメディアにはまだ足りないことが多い」

と、解することができます。言葉を濁していただいたのですが、これだ!というコンテンツがなかったのがその証拠です。

もちろん、やまもとさんの志向が世界のすべてではありません。インターネットを使っている人は多種多様で、人によって好みも良し悪しも全く違うからです。しかし、20年以上このインターネットで戦い続ける大先輩のお話は、重く受け止めなければなりません。

これからメディアとして、もっと面白いものを作っていきたいと考える事業者の方は、一連のアドバイスを真摯に受け止め、やまもとさんのエンゲージメントを強く促せるようなコンテンツをこれから作っていきましょう。僕らも頑張ります。

 
s136

やまもとさん、本当にありがとうございました。

(第3回に続く)

ゲスト:やまもといちろうさん
インタビュアー :永田優介(ナッツ)
企画:ツベルクリン良平、菊池良、森川芳樹
撮影協力:つるたま

【LIGブログにダメ出ししてください!】


この記事を書いた人

ナッツ
ナッツ 4代目広報担当 2014年入社
アモーレ!……こんにちは、ナッツです。
北の大地・北海道に生まれ、小樽で人力車夫をしていました。好きな映画監督はウディ・アレン。がんばります。