こんにちは、LIG・Human Growth事業本部の秋山です。
「生成AI研修を導入したいが、費用が高くて踏み出せない」
「助成金が使えると聞いたが、制度が複雑でどれを選べばいいかわからない」
そう感じている人事・教育担当者の方は少なくありません。
結論から言うと、生成AI研修の費用は、国の助成金を活用すれば中小企業で最大75%削減できます。中心となるのは厚生労働省の「人材開発支援助成金」で、要件さえ満たせば原則として支給される使いやすい制度です。
ただし、申請には「研修開始の1か月前までに計画届を出す」など、知らないと1円も受け取れない落とし穴もあります。また、令和8年度(2026年度)には助成額に関わる重要な改正も行われました。
この記事では、生成AI研修に使える助成金の種類と選び方、いくら安くなるかの目安、申請手順、よくある失敗までを2026年最新情報にもとづいて解説します。
生成AI研修に助成金は使える? 助成金と補助金の違い
生成AI研修には、国の助成金を活用できます。まずは「助成金」と「補助金」の違いを整理し、生成AI研修でどの制度を狙うべきかを押さえましょう。
そもそも助成金と補助金は何が違う?
助成金と補助金は、どちらも国や自治体から支給される返済不要の資金ですが、財源や受給のしやすさが大きく異なります。
| 助成金 | 補助金 | |
|---|---|---|
| 管轄 | 厚生労働省など | 経済産業省・自治体など |
| 財源 | 雇用保険料 | 国・自治体の予算 |
| 目的 | 雇用の安定・人材育成 | 事業・設備投資の促進 |
| 受給のしやすさ | 要件を満たせば原則支給 | 審査があり不採択の可能性あり |
| 申請時期 | 通年(多くの場合) | 限られた公募期間 |
最大の違いは「受給の確実性」です。助成金は雇用保険料を財源とするため、定められた要件を満たせば基本的に支給されます。一方、補助金は予算が財源で、申請しても審査で不採択になることがあります。生成AI研修の「受講料」を補助する制度の中心は助成金です。
生成AI研修のメインは「人材開発支援助成金」
生成AI研修で活用しやすいのは、厚生労働省が管轄する「人材開発支援助成金」です。従業員に職務に関連する研修を実施した企業に対して、研修費用と訓練期間中の賃金の一部を助成する制度で、ChatGPT活用などのDX関連研修と相性がよく、生成AI研修の費用補助の中心的な制度になっています。
- 💡 人材開発支援助成金のポイント
-
- 対象:雇用保険に加入している事業主(企業)
- 助成内容:研修の経費助成+訓練中の賃金助成
- 受給の確実性:要件を満たせば原則支給される
- 生成AI研修との相性:ChatGPT活用などのDX関連研修と相性が良い
この制度の最大の特徴は、助成が「研修費」と「研修中の給料」の二本立てになっている点です。
- 経費助成:研修そのものの費用(受講料・教材費など)のうち、一定割合が戻ってくる
- 賃金助成:研修を受けていた時間に従業員へ支払った給料の一部が、1人1時間あたりの定額で戻ってくる
たとえば経費助成率75%のコースで受講料40万円の研修を実施した場合、40万円 × 75% = 30万円が経費助成として戻り、実質負担は10万円になります(これに加えて賃金助成も別途上乗せ)。
「研修費だけ補助」ではなく「研修中の給料も補助」する設計は、企業が業務時間を割いて研修させること自体のハードルを下げる狙いです。だからこそ、休日や残業時間に実施した研修は賃金助成の対象外になります。
この助成金にはいくつかのコースがありますが、生成AI研修では使うコースがほぼ決まっています。次の章で解説します。
生成AI研修で使える助成金コースの選び方
人材開発支援助成金にはコースが複数ありますが、生成AI研修の多くは「DX・業務効率化」に該当するため、事業展開等リスキリング支援コース(中小75%)が基本です。まれに、それ以外のケースで別コースを使います。まずは下表で全体像をつかみましょう。
| こんなとき | 使うコース | 経費助成(中小) |
|---|---|---|
| DX・業務効率化のための生成AI研修(大半がこれ) | 事業展開等リスキリング支援コース | 75% |
| AIエンジニア等を本格育成(ITSS/DSS-Pレベル3・4) | 人への投資促進コース・高度デジタル人材訓練 | 75% |
| 上記に当てはまらない一般研修/期間終了後 | 人材育成支援コース | 45%〜 |
経費助成率は令和8年度(2026年度)時点。
- ✅ どのコースでも共通で押さえるポイント
-
- 企業規模で助成額が変わる:中小企業のほうが助成率・上限額が手厚い(自社が中小か大かの判定は記事末尾のFAQを参照)
- 研修形式で助成額が変わる:Zoomライブ・対面(通学制扱い)は上限が高く賃金助成あり。録画eラーニング(通信制扱い)は上限が低く賃金助成も対象外。助成額を重視するならZoomライブ・対面が基本
- 対象要件:1人あたり10時間以上のOFF-JF(職場外研修)で、受講者は雇用保険の被保険者であること
各コースの詳細を順に見ていきます。
本命:事業展開等リスキリング支援コース(中小75%)
業務効率化のための生成AI研修なら、まずこのコースが本命です。新規事業の立ち上げやDX・GX推進に伴い、従業員に新たなスキルを習得させる訓練が対象で、ChatGPT活用などの生成AI研修の多くが該当します。企業規模を問わず経費助成率が一律で高いのが特徴です。
| 中小企業 | 大企業 | |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成(1人1時間) | 1,000円 ※eラーニングは対象外 |
500円 ※eラーニングは対象外 |
| 経費助成の上限額(1人あたり) |
【通学・Zoomライブ】 ・10〜100h:30万円 ・100〜200h:40万円 ・200h以上:50万円 【録画eラーニング】 |
【通学・Zoomライブ】 ・10〜100h:20万円 ・100〜200h:25万円 ・200h以上:30万円 【録画eラーニング】 |
※表は横スクロールできます。
- 💡 たとえばこんな研修が対象に
-
- ChatGPTの業務活用研修
- 生成AIによる資料作成・議事録の自動化研修
- 部門別のAI活用ワークショップ など
このコースを使うには、自社のDX推進や事業展開と研修内容の関連を示す「事業展開等実施計画」の作成が必要です。また、Udemyなどのサブスク型(定額制)の学び放題も、DXに紐づけられればこのコースで申請できます(DXに紐づけにくい場合は、人への投資促進コースの定額制訓練=中小60%が受け皿になります)。
生成AI研修で最も活用されるコースですが、令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置のため、早めの計画着手をおすすめします。
出典:厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内」(PDF)
AIエンジニアを本格育成するなら:高度デジタル人材訓練(中小75%)
「ChatGPT活用」ではなく、AIシステムの設計・開発まで担える人材を育てるなら、人への投資促進コースの「高度デジタル人材訓練」が使えます。AIエンジニアやデータサイエンティストの育成が対象です。
| 中小企業 | 大企業 | |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成(1人1時間) | 1,000円 ※eラーニングは対象外 |
500円 ※eラーニングは対象外 |
| 経費助成の上限額(1人あたり) |
【通学・Zoomライブ】 ・10〜100h:30万円 ・100〜200h:40万円 ・200h以上:50万円 【録画eラーニング】 |
【通学・Zoomライブ】 ・10〜100h:20万円 ・100〜200h:25万円 ・200h以上:30万円 【録画eラーニング】 |
※表は横スクロールできます。
- 💡 たとえばこんな研修が対象に
-
- 機械学習・LLM開発研修
- データサイエンティスト養成講座
- AIシステム開発研修 など
対象はITSS/DSS-Pレベル3・4相当の本格的な専門訓練(経産省の「Reスキル講座」認定講座などが代表例)に限られ、一般的な業務活用研修は当てはまりません。リスキリング支援コースと同じ中小75%ですが、事業展開等実施計画の作成が不要で、資格試験(E資格など)の受験料も助成対象になるのが特徴です。令和8年度末までの時限措置です。
※Reスキル講座(第四次産業革命スキル習得講座)=経産省が認定した高度なIT・デジタル分野の講座のこと。出典:厚生労働省「令和8年度版 人への投資促進コースのご案内」(PDF)
リスキリングが使えないときの受け皿:人材育成支援コース(中小45%〜)
事業展開・DXに結びつけにくい一般的な研修や、リスキリング支援コースの期間終了後の受け皿になるのが、恒久制度で汎用性が高い「人材育成支援コース」です。職務に関連した10時間以上の訓練全般が対象で、全社員向けのAIリテラシー研修などに使えます。
経費助成率は、このコースだけ雇用形態(正社員・非正規)によって変わります。
| 中小企業 | 大企業 | |
|---|---|---|
| 経費助成率 (人材育成訓練) |
【正社員(正規)】 45%(賃上げで60%) 【契約社員・パート等(非正規)】 |
【正社員(正規)】 30%(賃上げで45%) 【契約社員・パート等(非正規)】 |
| 賃金助成(1人1時間) | 800円(賃上げで1,000円) ※eラーニングは対象外 |
400円(賃上げで500円) ※eラーニングは対象外 |
| 経費助成の上限額(1人あたり) |
【通学・Zoomライブの場合】 ・10〜100h:15万円 ・100〜200h:30万円 ・200h以上:50万円 【録画eラーニングの場合】 |
【通学・Zoomライブの場合】 ・10〜100h:10万円 ・100〜200h:20万円 ・200h以上:30万円 【録画eラーニングの場合】 |
※非正規の助成率は企業規模を問わず同率です。表は横スクロールできます。
- 💡 たとえばこんな研修が対象に
-
- 全社員向けのAIリテラシー研修
- プロンプト作成の基礎研修
- 生成AI入門・活用講座 など
特徴は正社員(45%)より契約社員・パートなどの非正規(70%)のほうが助成率が手厚い点で、研修をきっかけに正社員化すると最大85%+OJT実施助成も受けられます。「非正規人材にこそ学び直しの機会を」という国の狙いが助成率に表れています。
※大企業・非正規の助成率区分など詳細は管轄の労働局にご確認ください。出典:厚生労働省「令和8年度版 人材育成支援コースのご案内」(PDF)
【2026年最新】令和8年度の制度改正で押さえるべきポイント
令和8年度(2026年度)には、助成額や対象範囲に関わる重要な改正が行われました。古い情報のまま準備を進めると、想定より助成額が少なくなる恐れがあるため、必ず最新の内容を確認しましょう。
eラーニングの経費助成上限が引き下げ
令和8年4月の改正により、録画型eラーニングの経費助成上限が、中小企業で最大30万円から15万円(一律)へと引き下げられました(大企業は10万円)。
eラーニング形式で大きな助成を見込んでいた場合、改正後は助成額が半減する可能性があります。一方で、Zoomライブ(同時双方向型)は通学制扱いのため、この引き下げの影響を受けません。研修形式の選択が、これまで以上に重要になっています。
出典:厚生労働省「eラーニングと通信制による訓練の経費助成上限額の見直しについて」(PDF)
設備投資加算の新設(中小企業・最大150万円)
令和8年4月から、事業展開等リスキリング支援コースに「設備投資加算」が新設されました。研修に併せて機器・設備を導入した場合に、導入費用の一部が通常の助成額へ上乗せされる制度です。
- 設備投資加算の概要
-
- 対象:中小企業のみ
- 助成率:導入費用の50%
- 上限:1人あたり15万円/10人以上で150万円
対象になるのは「事業展開促進機器等」、すなわち研修の実技で実際に使用し、かつ事業展開(新規事業・DX)に資する設備です。ハードだけでなく、業務システム・専用アプリ開発・データベース構築・ライセンス契約などソフト面の費用も対象になり得ます。一方で、研修を配信するためのLMSや、汎用パソコン・タブレットなどは対象外です。
| 導入する設備・ツール | 設備投資加算の対象 |
|---|---|
| DX・新規事業で使う業務システム/専用アプリ/DB構築・ライセンス ※実技訓練で実際に使用したもの |
○ 対象になり得る |
| GPUワークステーション等の専用機材 ※実技訓練で実際に使用したもの |
○ 対象になり得る |
| LMS(eラーニング配信・受講管理システム) | × 対象外(研修配信ツール) |
| 汎用PC・タブレット・スマートフォン | × 対象外(汎用品) |
※表は横スクロールできます。
このため、座学やZoom中心の一般的な生成AI活用研修(ChatGPTの業務活用など)では使いにくく、実機・業務システムを使うAIエンジニア・データサイエンティスト育成型の研修が主な想定です。なお、賃金5%増(または資格等手当3%増)や、事前の「設備投資実施計画(様式第21号)」提出も必要なため、活用を検討する場合は管轄の労働局へ事前相談するのが確実です。
LMSの導入や一般的なITツール導入が目的の場合は、設備投資加算ではなくIT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)が本来の制度です(詳しくは記事後半のFAQ参照)。
出典:厚生労働省「設備投資加算を新設しました(事業展開等リスキリング支援コース)」(PDF)、同「事業展開等リスキリング支援コース パンフレット(詳細版)」(PDF)
賃金助成額の引き上げ・対象訓練の拡大
近年の改正では、企業にとってプラスとなる変更も行われています。
- ✅ 押さえておきたいプラスの改正点
-
- 賃金助成額の引き上げ:事業展開等リスキリング支援コースの賃金助成が、中小企業で960円→1,000円/時間に増額(令和7年4月)
- 対象訓練の拡大:2026年の改正で「人事・人材育成計画に基づく訓練」も新たに対象に追加され、活用の幅が広がった
なお、サブスク型の定額制サービスで申請する場合、職務に関連した講座を「合計1時間以上」修了した受講者だけが助成の集計対象になります。そのうえで、対象となる受講者の学習時間を合算して10時間以上になるよう設計する必要があります。視聴の実時間ではなく、受講案内などにあらかじめ定められた学習の目安時間(標準学習時間)でカウントされる点にも注意しましょう。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)パンフレット(令和8年3月2日以降版)」(PDF)
生成AI研修の助成金申請の流れ【5ステップ】
助成金は「申請すれば確実にもらえる」一方で、順序と期限を守らないと不支給になるのが大きな特徴です。申請から受給までの流れを5ステップで確認しましょう。
STEP1 研修計画の策定・研修機関の選定(訓練開始の約2か月前)
まずは「誰に・なぜ・どんな研修を受けさせるか」を整理し、対象者と研修機関を選定します。事業展開等リスキリング支援コースでは、自社のDX推進や事業展開と研修内容の関連を示す「事業展開等実施計画」の作成が必要です。
- 計画書の書き方の一例
- 「営業部門に生成AI活用研修を実施し、提案書作成時間を50%削減。創出した時間を新規顧客開拓に充て、DX推進による業績向上につなげる」
このように、研修によってどの業務がどう変わるかを具体的に書くと、審査担当者に事業展開との関連が伝わりやすくなります。研修形式は、助成額の観点から原則Zoomライブ(同時双方向型)または通学・対面がおすすめです。計画策定は訓練開始の2か月前を目安に動き始めましょう。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金 申請書類(令和8年5月14日~)」(各様式のダウンロード先)
STEP2 計画届の提出(訓練開始の1か月前まで)
STEP1で作成した計画を、「計画届」として一式まとめて管轄の労働局へ提出します。中心となるのは職業訓練実施計画届(様式第1-1号)で、STEP1で作った事業展開等実施計画もこの一式に含めて提出します。
提出期限は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間。とくに「1か月前まで」を過ぎると助成対象外になるため、最も注意すべきポイントです。
- 職業訓練実施計画届(様式第1-1号)
- 事業展開等実施計画(様式第1-3号/STEP1で作成したもの)
- 年間職業能力開発計画
- 対象労働者一覧(様式第3-1号)
- 訓練カリキュラム(実施主体・講師・内容がわかるもの)
提出は訓練開始の6か月前から1か月前までの間に行います。書類の準備に2週間〜1か月程度かかるため、研修を検討した時点で期限から逆算してスケジュールを立てましょう。なお、後の支給申請(STEP4)で「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」が必要になるため、研修機関を選ぶ段階で受講料の内訳を確認しておくとスムーズです。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)パンフレット(詳細版)」(PDF)、同「人材開発支援助成金」お知らせ(令和8年5月14日)
STEP3 研修の実施・記録の保管(訓練期間中)
計画届どおりに研修を実施します。この段階で重要なのが記録の管理です。後の支給申請で、研修を確かに実施した証拠が求められます。
- 出席簿(受講者の出欠状況)
- 訓練時間・受講時間の記録
- 講師の出勤状況がわかる資料
- 受講証明書・受講費用の領収書
- Zoomライブの場合はシステムログなど
「後でまとめよう」と記録を後回しにした結果、書類が揃わず申請できなかった、という事例は珍しくありません。研修中からこまめに記録を残しましょう。
STEP4 支給申請(研修終了後2か月以内)
研修が終了したら、支給申請を行います。申請期限は訓練終了日の翌日から起算して2か月以内です。ここでも期限を過ぎると受給できなくなります。
研修費用は支給申請までに全額支払いを済ませておく必要があります。STEP3で保管した出席簿・領収書・受講証明書などをそろえて、管轄の労働局に提出します。
- 🆕 2026年から必須の書類(令和8年5月14日改正)
- 令和8年5月14日の支給要領改正により、3コース(事業展開等リスキリング支援・人への投資促進・人材育成支援)で支給申請時に「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必須になりました。研修機関の受講料がどのような根拠で設定されているかを示す書類です。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」お知らせ(令和8年5月14日)
STEP5 審査・助成金の受給(申請後3〜6か月)
提出後、労働局による審査が行われます。書類審査のほか、必要に応じて事業所への実地調査が入ることもあります。審査を経て支給が決定すると、指定口座に助成金が振り込まれます。
- ⚠️ 資金繰りの注意点
- 助成金は後払いです。研修費は企業がいったん全額を立て替え、助成金が振り込まれるのは研修完了から3〜6か月後が目安です。審査中のキャッシュフローを想定したうえでスケジュールを組みましょう。
助成金申請でよくある失敗と注意点
助成金の不支給は、その多くが「知っていれば防げた」ミスによるものです。代表的な失敗パターンと対策を押さえておきましょう。
- 研修開始後に計画届を出そうとした
- 受講者や日程を変更したのに変更届を出さなかった
- 休日・残業時間に研修を実施した
- 1か月前までに計画届を提出:研修検討時点で期限から逆算
- 変更が出たら速やかに変更届:小さな変更でも必須
- 所定労働時間内に実施:賃金助成を取りこぼさない
研修開始後の申請はできない
最も多い失敗が、研修を受けてから申請しようとするケースです。計画届は訓練開始日の1か月前までが絶対期限で、研修後の申請は一切認められません。研修会社から「助成金が使えます」と案内を受けて参加を決めても、手続きを後回しにして期限を過ぎてしまえば受給できません。
計画変更時は変更届が必要
計画届の提出後に、受講者の追加・日程の変更・訓練内容の変更が生じた場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。「小さな変更だから大丈夫」と提出を怠ると、計画から外れた部分が助成対象外になります。また、代表者の親族が経営する研修機関やグループ会社への委託費用は対象外となるため、研修機関の選定段階で確認しておきましょう。
所定労働時間外の研修は賃金助成の対象外
「平日は忙しいから土曜に研修を」という判断には注意が必要です。賃金助成の対象になるのは「所定労働時間内」の訓練のみです。休日や残業時間に実施すると、経費助成は受けられても賃金助成がゼロになります。日程調整の際は、まず「業務時間内に収まるか」を確認しましょう。
生成AI研修を選ぶときのポイント
助成金を最大限活用するには、研修そのものの選び方も重要です。助成要件と研修の質の両面からチェックしましょう。
助成金の要件を満たす研修形式・時間か
助成金を確実に受けるには、研修が要件を満たしている必要があります。
- ✅ 申請前に確認したい要件
-
- OFF-JT(職場外研修)であること:通常業務を離れて行う研修か
- 受講時間が10時間以上:通学・Zoomライブは実訓練時間、eラーニング・定額制は標準学習時間で判定(1人あたりの合計)
- 研修内容が事業展開・DX/GX、または人事・人材育成計画に関連:事業展開等リスキリング支援コースの場合(人材育成支援コースは「職務に関連」でOK)
- 受講者が雇用保険の被保険者:未加入のパート等は対象外
- 研修形式:助成額を重視するならZoomライブまたは通学・対面
研修サービスを選ぶ際は、これらの要件を満たすか、また助成金申請のサポートに対応しているかを確認すると安心です。
実践的なカリキュラムと講師の質
助成金が使えても、研修の効果が薄ければ意味がありません。基礎知識だけでなく、自社の業務に落とし込める実践的な内容かを重視しましょう。
- 💡 研修選びのチェックポイント
-
- 自社の業務課題に合わせてカリキュラムをカスタマイズできるか
- ハンズオン形式の演習が含まれているか
- 講師に実務でのAI活用経験があるか
- 研修後のフォローアップ・効果測定の仕組みがあるか
「誰に・なぜ受けさせるか」を明確にし、業務課題と研修内容を紐づけることで、研修効果が高まるだけでなく、助成金申請時の計画書にも説得力を持たせられます。
【比較】助成金が使える生成AI研修サービス7選
ここでは、人材開発支援助成金を活用できる法人向けの生成AI研修サービスを7つ紹介します。各社が対応するコースもあわせて示します(料金・形式は2026年8月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各公式サイトでご確認ください)。表は横スクロールできます。
| 研修形式 | 対応コース | 料金目安(税込) | |
|---|---|---|---|
| LIG | eラーニング/集合研修(オンライン・対面)/カスタマイズ | 事業展開等リスキリング支援コース | 伴走型40万円/名(助成活用で実質8.8万円〜)/eラーニング月7,000円〜 |
| キカガク | 公開講座・オンライン・eラーニング | 事業展開等リスキリング支援コース | 生成AIブートキャンプ33万円 など |
| トライフォース | eラーニング+活用事例共有会 | 事業展開等リスキリング支援コース | 要問い合わせ |
| ウズカレBiz | オンラインライブ2日+3か月伴走支援 | 事業展開等リスキリング支援コース | 助成活用で実質1,450円〜/名 |
| Aidemy Business | オンライン(eラーニング中心・講師派遣も可) | 人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練) | 要問い合わせ(10名以上・年間契約) |
| Udemy Business | eラーニング(サブスク学び放題) | 人への投資促進コース(定額制訓練) | エンタープライズプラン要見積もり |
| 富士通ラーニングメディア | 集合・ライブ・eラーニング | 人材育成支援コース ほか | コースにより異なる |
LIG
出典:https://liginc.co.jp/solutions/studio-by-lig/business
LIGの生成AI研修は、Web制作・DX支援とスクール運営の知見を活かした株式会社LIGの法人向け研修です。学び方を選べるのが特徴で、生成AI・DX・マーケなど1,000本以上の動画が見放題のeラーニング「リグアカ for Business」(月7,000円〜・最小3アカウント)、テーマ別に短期間で学ぶ集合研修(オンライン・対面)、目的に応じてゼロから組む伴走型・スポット・カスタマイズ研修まで揃えています。
自走できるAI組織に!法人向け生成AI伴走型研修、スポット研修をスタート
人材開発支援助成金に対応し、申請サポートも提供。研修内容に応じて受講料の最大75%が助成され、たとえば伴走型(40万円/名)は中小企業なら実質8.8万円/名まで圧縮できます。eラーニングで全社のベースを底上げしつつ、集合研修で実務スキルを定着させる組み合わせも可能です。生成AI以外にも、Webデザインや動画制作など、助成金・給付金を活用できる多様な講座を展開しています。
キカガク
出典:https://www.kikagaku.co.jp/business/training
キカガクの生成AI研修は、AI・データ分析教育で実績のある株式会社キカガクの法人向けプログラムです。短期集中で学ぶ「生成AIブートキャンプ」(5日間・計23時間)や、eラーニングで手軽に学べる「生成AI入門」(約3.5時間)など、目的・レベルに応じた公開講座を揃えています。
事業展開等リスキリング支援コースに対応。中小企業なら経費の最大75%が助成されます。生成AIブートキャンプは33万円/名で、体系立てて社内のAIスキルを積み上げたい企業に向いています。
トライフォース
出典:https://tri-force.co.jp/ai-reskilling/
トライフォースの生成AIリスキリング研修は、株式会社トライフォースが提供するeラーニング型の研修です。基礎(5時間)・応用(5時間)・ツール活用(3時間)の計13時間で構成され、学んだ内容を実務に定着させる「活用事例共有会」もセットになっています。
事業展開等リスキリング支援コースに対応し、申請サポートも提供。中小企業なら経費の最大75%が助成されます。料金は要問い合わせですが、助成金を前提に実践的なリスキリングを進めたい企業に向いています。
ウズカレBiz
出典:https://uzuz-college.jp/biz/ai/
ウズカレBizは、若手の就業支援で知られるUZUZグループが運営する法人向けAI人材育成サービスです。生成AI活用の基礎を学ぶ「2日間のオンラインライブ研修」と、現場での活用を定着させる「3か月の伴走支援」を組み合わせた、実践重視のプログラムが特徴です。
事業展開等リスキリング支援コースに対応。助成金を活用すると、中小企業では実質1,450円〜/名まで負担を抑えられます。研修して終わりではなく、現場での活用定着まで伴走してほしい企業に向いています。
Aidemy Business
出典:https://business.aidemy.net/
Aidemy Businessは、AI・データサイエンス教育に特化した株式会社アイデミーの法人向け学習プラットフォームです。経済産業省のデジタルスキル標準(DSS)に準拠した130以上のコースを、10名以上・年間契約で利用できます(オンライン中心、講師派遣にも対応)。
AIエンジニアやデータサイエンティストの本格育成に向く「人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)」に対応し、申請サポートも提供。ITSS/DSS-Pレベル3・4相当の訓練が条件で、中小企業なら経費の75%が助成されます。全社的なリテラシー研修よりも、専門人材を育てたい企業向けです。
Udemy Business
出典:https://www.benesse.co.jp/udemy/business/
Udemy Businessは、ベネッセが国内提供する法人向けの定額制eラーニングサービスです。生成AIを含む3万以上の講座が年間定額で「学び放題」になり、従業員が自分のペースで幅広く学べるのが特徴です。
サブスク型のサービスは制度上「定額制サービスによる訓練」にあたり、DX・業務効率化に紐づけて計画を作れば事業展開等リスキリング支援コース(中小75%)、そうでなければ人への投資促進コースの定額制訓練(中小60%)で申請できます(いずれも1人1か月2万円が上限・賃金助成なし)。ただしUdemy側は助成金の申請サポートを行っておらず、コース選定や申請は企業側で行う必要があります。また2025年4月以降、チームプランは助成対象外で、エンタープライズプランでの適用可否を個別に確認する必要があります。
富士通ラーニングメディア
出典:https://www.knowledgewing.com/kw/recommend/course/generativeai.html
富士通ラーニングメディアは、幅広い分野の研修を手がける総合人材育成企業です。全社員向けの「生成AIリテラシー」(eラーニング・3時間)から、「生成AIを活用した価値創出ワークショップ」(集合・2日間)、開発者向けの「アジャイル開発における生成AI活用」(ライブ)まで、集合・ライブ・eラーニングの多様な形式で生成AI研修を提供しています。
人材開発支援助成金にも幅広く対応し、公式サイトでは事業展開等リスキリング支援コース(中小75%)と人への投資促進コースの定額制訓練(中小60%)の活用事例を公開しています(例:13時間の研修で負担6,800円)。豊富なコースの中から、DX・業務効率化に紐づく研修はリスキリング支援コース、サブスク型は定額制訓練といった形で使い分けられます。多様な職種・テーマの研修を一社でまとめたい企業に向いています。
よくある質問(FAQ)
生成AI研修の助成金について、よく寄せられる質問をまとめました。
自社が中小企業か大企業か、どう判断しますか?
助成率や上限額は企業規模で変わるため、まず自社の区分を確認しましょう。業種ごとに「資本金・出資総額」または「常時雇用する労働者数」のどちらか一方を満たせば中小企業に該当します。
| 業種 | 資本金・出資総額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他(製造業・建設業・運輸業等) | 3億円以下 | 300人以下 |
※表は横スクロールできます。出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」
Zoom(オンライン)研修も助成の対象になりますか?
はい、Zoomライブ形式(同時双方向型)は対象です。受講中に講師へ質疑応答ができるリアルタイム研修は「同時双方向型の通信訓練」として通学制と同等に扱われ、経費助成(最大30万円/人)と賃金助成(1,000円/時間)の両方を受けられます。
一方、録画した研修を後から視聴するだけの形式は「eラーニング」扱いとなり、経費上限が15万円(令和8年4月改正後)に下がり、賃金助成も対象外です。「オンラインかどうか」ではなく「リアルタイムかどうか」が分かれ目になります。
研修開始まで時間がない場合はどうすればいい?
計画届は訓練開始の1か月前までが絶対期限です。書類準備に2週間〜1か月かかるため、研修開始まで1か月以上の余裕がない場合は、今回の研修での助成金活用は難しいと考えましょう。その場合は、次の研修機会に向けて計画届を準備するのが現実的です。見切り発車で申請しても、要件を満たさず不支給になるリスクが高まります。
助成金はいつ振り込まれますか?
助成金は後払いのため、研修完了から3〜6か月後が振り込みの目安です。研修費はいったん企業が全額立て替える必要があります。資金繰りが厳しい場合は、研修を分割実施して1回あたりの立替額を抑えるなどの工夫も検討しましょう。
生成AI研修に「IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)」は使えますか?
研修の受講料そのものには使えません。デジタル化・AI導入補助金(2026年に旧IT導入補助金から改称)が補助するのは、eラーニングシステム(LMS)などのITツールの導入費であり、生成AI研修の受講料は対象外です。支払う費用によって、使う制度が次のように分かれます。
| 支払う費用 | 使える制度 |
|---|---|
| 生成AI研修の受講料(研修費) | 人材開発支援助成金(厚生労働省) |
| eラーニングシステム(LMS)の導入費 | デジタル化・AI導入補助金(経済産業省) |
費目が異なれば、両方を併用してコストを圧縮することも可能です(ただし、同じ費用に複数の制度を重ねて受け取る二重取りは不可)。LMSの導入も検討している場合は、研修費は助成金・システム導入費は補助金と分けて申請するとよいでしょう。
まとめ
生成AI研修の費用は、国の助成金を活用することで大幅に削減できます。最後に重要なポイントを整理します。
- この記事のまとめ
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- メインは人材開発支援助成金:要件を満たせば原則支給される使いやすい制度
- コース選びが助成率を左右:DX目的の生成AI研修なら「事業展開等リスキリング支援コース(最大75%)」が基本
- 中小企業のほうが手厚い:企業規模で助成率・上限額が変わる
- 研修形式で助成額が変わる:Zoomライブは通学制扱いで有利、録画型eラーニングは上限15万円・賃金助成なし
- 計画届は1か月前まで:研修開始後の申請は不可。期限厳守が最重要
事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置です。生成AI研修の導入を検討しているなら、早めに計画を立てて動き出すことをおすすめします。まずは管轄の労働局への相談や、助成金申請に対応した研修サービスの比較から始めてみてください。
※本記事の助成額・要件は2026年8月時点の情報です。制度は改正される場合があるため、申請前に必ず厚生労働省「人材開発支援助成金」公式ページや管轄の労働局で最新の募集要領をご確認ください。
LIGの生成AI研修は、人材開発支援助成金に対応し、申請サポートまで一貫して提供しています。「自社の業務に合う研修にしたい」「助成金が使えるか相談したい」という方は、お気軽にLIGにご相談ください。
