スクールでデザインを学び、クリエイティブ業界で働き始めて数年。仕事には慣れてきたはずなのに、どこかモヤモヤが残る。
「スキルが伸びている実感がない」
「仕事のやり方、これでいいのかわからない」
「センスがないのかな……と思うことがある」
このままでいいのかな……。そんなリアルな悩みを正面から受け取り、語り合う場として開催されたのが「CREATOR COMPASS」。若手クリエイターの「現在地とこれから」を一緒に考える機会を作りたいというコンセプトで実施したイベントです。
今回は2026年3月29日、Vol.2として開催。50名近くのクリエイターが集まりました!
登壇者
![]() |
フリーランスデザイナー もりぐさん元LIGデザイナー。現在はフリーランスとして活動しながら、デジLIGの特別講師も務める。 |
|---|
![]() |
株式会社FMC 代表取締役 安東 裕二さんFMCでは「らしさを灯す」を理念に、Webブランディング・音楽マネジメント・アパレル事業を展開。デザインスクールの非常勤講師としても活動している。 |
|---|
目次
若手クリエイターの一番の悩みは「スキル」

イベントに先立って実施した事前アンケート。参加者の職種はWebデザイナーが最も多く、グラフィックデザイナー、Webディレクター、動画編集者など多岐にわたりました。
「今、一番のモヤモヤは何ですか?」という質問に対し、実に7〜8割の方が「スキル」と回答。二番目のモヤモヤになると、会社との価値観のズレ、収入面、人間関係など回答が分散し始めますが、それでもスキルへの不安は根強く残っていました。
この悩み、あなたにも当てはまりませんか? スキルへの不安は、デザイナーになりたての方だけが感じるものではありません。3年目、5年目になって一つの壁を乗り越えたと思ったら、また新しい壁が現れる。そんな「悩みの無限ループ」を感じている方も多いのではないでしょうか。
そして当日のセッションでは、事前に寄せられた質問をもとにトークセッションが展開されました。
-
- 「フィードバックをくれる人がいない」
- 「スキルが伸びている気がしない」
- 「上司との価値観のズレをどうすればいい?」
- 「ハードな職場環境が不安」
など……。
どれも、参加者のリアルな悩みばかりでした。
キャリアのモヤモヤを突破する「5つの力」
こうした悩みに向き合う中で、登壇者のお2人から、若手クリエイターのキャリアの指針となる「5つの力」が語られました。
事前に寄せられた悩みにもリンクするこれらの力について、一つひとつ紹介していきます。

① 審美眼:「私はセンスがない」は言い訳かもしれない
センスは生まれ持った感覚のように思えるかもしれません。でも、もりぐさんの考えは少し違いました。
もりぐさん:審美眼とは、美しいものを見分ける力、そして「価値を選び抜く力」でもあります。たくさんのデザインを見て、「なぜこれがいいのか」を言語化し、パターンとして蓄積していくことで、誰でも磨ける力です。
そのための方法として、もりぐさんが具体的に勧めていたのが「トレース」。ただし、ただ真似るだけでは意味がありません。トレースの本質は「良いデザインの要素に気づくこと」です。
テキストひとつをとっても、書体・文字間・行間・大きさ・色・文字数など、多くの要素でできています。デザインを構成する要素を分解し、「なぜこれがいいのか」を言語化してストックしていくことで、作るときの選択肢の幅が広がります。
うまく作れない理由のひとつは「いいものを知らない」から。センスがないと嘆く前に、まずはたくさん知ることが大事です。
▼もりぐさんが「センスのつくり方」について詳しく語ったインタビューがS5-Styleに掲載されています。あわせてぜひ読んでみてください!
👉 まずは知ることから。 デザイン初学者に伝えたい「センス」のつくり方|S5-Style
② 抽象化力:クライアントの「本当の悩み」を見抜く
「ホームページを作りたい」「ロゴを変えたい」——クライアントからそんな依頼が来たとき、すぐにデザインの話に入っていませんか? 安東さんが大切にしているのは、まず一歩立ち止まること。
安東さん:「なんでホームページ作りたいんだっけ?」と立ち返れるかどうか。突き詰めると、悩みの本質はみんなほぼ同じで、集客・採用・売上のいずれかに行き着くんです。
表面的な要望の奥にある本質的な課題を捉え直す力、それが「抽象化力」です。
この力があると、どの業界のクライアントに対しても「この会社が本当に必要としているもの」を提案できるようになっていきます。
③ ドライブ力:仕事をうまく進める力
スキルが上がってきても、なぜか仕事がうまく回らない。そんな経験はありませんか? その原因の多くはデザイン力ではなく、仕事を前に進める力にあるといいます。
ドライブ力とは、「仕事をうまく進めて、完遂する力」。なぜかその人の周りだけ仕事がスムーズに進む……そんな人が持っているのが、このドライブ力です。
もりぐさんは、このドライブ力を構成する要素として、主に3つのポイントを挙げていました。
相手の期待値を知る
もりぐさん:なかでも特に重要なのが「相手の期待値を知ること」です。何を・いつまでに・どのくらいのクオリティで出せばこのミッションが完了するのか、把握しないまま進めてしまっている人が多いんです。
デザインのような抽象的なものはクライアント自身もどうしたいかわからず、お互いに期待値を把握しないまま進めてしまうことが多いもの。良かれと思って勝手に進めた結果、最後にひっくり返る案件は、たいていこれが原因です。
そうならないために、早くから認識を合わせておくことが大切です。
「こんな感じで進めていいですか」と相手の期待値を確認しながら、それを上回る提案をしていくのが理想とのことでした。
仕事を先読みする
仕事の流れを先読みして動けるかどうかも重要です。
たとえば、バナーのコピーは「もう決まっているから変えられない」と思いがちです。しかし、制作に入る前に「作る過程でコピーを調整する可能性がある」とデザイナー側から一言伝えておくだけで、こちらも裁量を持った状態で進められます。
こうした先回りの動きを、ディレクターに任せきりにせず、デザイナー自身も意識していくことが大切です。
コミュニケーションのスピード
また、コミュニケーションのスピードも重要な要素のひとつです。もりぐさんが周りを見ていて気づいたこととして、こんな話がありました。
もりぐさん:周りの仕事ができる人、ほぼ全員レスポンスが本当に早い。スタンプ1個でも速攻リアクションしてくれるんです。仕事のスムーズさは、コミュニケーションの早さに大きく左右されると思います。
スキルや経験と同じくらい、仕事の進め方やコミュニケーションの質が、クリエイターとしての評価に影響するのだと改めて感じさせられます。
④ 問題設定力:「何を作るか」より「何を解くか」
「何を作るか」を考える前に、「なぜ作るのか」を定義できているか。それが問題設定力の出発点です。
もりぐさん:結局、何がしたいのかを突き詰めることが大事です。そこがなければ、どんなに手を動かしても本当の課題解決にはなりません。
デザイナーだからといって、デザインだけ気にしていればいいわけではありません。関わる人全員がどうなればハッピーなのかを考え、自分の作業範囲を超えて視野を広げられるかどうかが重要です。
作業に没頭するあまり周りが見えなくなってしまうときこそ、もう一人の自分を持って俯瞰してみる。それが本質的な課題を見つける第一歩になるとのことでした。
もりぐさん:物事をプラスの面から見る習慣も問題設定力を磨くうえで欠かせません。どんな些細なことにも「良い部分」を見つけられるようになると、一方から見るだけでは気付けない、違う解決策を思いつけます。そのために日常から「良い」の感度を上げておくことが大事です。
⑤ 人間性:AIが普及した時代に、最後に問われること
AIがあらゆる仕事を代替し始めている今、最終的に差がつくのは「人間性」だと言います。
もりぐさん:AIで誰でも何でもできる時代に、最終的に誰と働きたいかという話になると思います。
仕事上でいい人であること。そのために大切なひとつが、「相手の不安をなくす動き」をし続けることです。即レス、素直に聞く、プラス思考、感謝する。どれも特別なスキルではありません。でも、こうした積み重ねが相手の不安を払拭し、長期的な信頼につながっていきます。
もりぐさん:お願いした側は不安なものです。ちゃんとできるかな、進んでいるかなって。その不安を感じさせない動きを続ければ、信頼してもらえます。
また、素直に聞けるかどうかも大切な要素のひとつです。
もりぐさん:自分では指示をちゃんと聞いているつもりなのに、アウトプットが全然違う方向になってしまうことが結構あります。実は聞けていないということを、自分で認識できていない状態なんです。
わからないことを「わからない」と言える素直さ、認識のズレを早めにすり合わせようとする姿勢。それが信頼につながります。
AI時代のクリエイターのあり方
セッションの後半では、多くのクリエイターが気になっているであろうAIの話題にも触れました。
「AIを使わなきゃ、話題のツールを試さなきゃ」と焦っている方もいるかもしれません。そもそも、AIの台頭によってクリエイターの仕事はなくなってしまうのでしょうか?
安東さん:音楽業界を例に挙げると、AIでそれっぽいものを作曲すること自体はできますが、それをどうアレンジすればいいかは、音楽の基礎がわかっていないとできません。デザインの世界でも、まったく同じことが起きています。
もりぐさん:AIによってデザインが民主化されたからこそ、プロの価値がはっきりしてきました。誰でも「それっぽいもの」が作れる時代だからこそ、そこから先に引き上げる力を持つクリエイターの価値は、むしろ高まっています。
大切なのは「自分で作れる力」と「現場感の把握」の2つ(作る以外の職種なら「自分でなんとかする力」)。
「現場感」とは、現場で何が起きているか、何が求められているかをリアルに把握しているかどうかということ。それを知らないままAIを活用しても、本質的な課題解決は難しいです。AIを積極的に活用している人の多くが、”現場の空気”を読めている人なのだといいます。
近いキャリア同士だからこそ、本音で話せた懇親会

実はCREATOR COMPASSは、デジLIG卒業生が集まるイベントです。
セッションが終わり、いよいよ懇親会へ。この懇親会こそが、CREATOR COMPASSのメインと言っても過言ではありません。
同じスクールで学び、似た境遇を歩んできた仲間だからこそ生まれる会話があります。「副業ってどうしてる?」「プライベートと仕事の配分ってどうしてる?」など、普段の職場ではなかなか話せないリアルな悩みや本音が、自然と飛び交いました。
特に印象的だったのは、「以前伺った話が、最近の実務を通して腑に落ちてきました」という声を複数いただいたことです。
スクールで聞いた話が、現場での経験を経てはじめて「わかる」になる瞬間。そういった声が生まれること自体が、このような継続的なコミュニティの価値を表しているように感じました。
参加者アンケートにも、たくさんの声が寄せられました。
転職活動中の自分と同じような境遇の方から、未経験から転職されて一歩先を歩まれている方、もう何年も業界でキャリアを積まれている方まで、それぞれ違った角度から貴重なお話をお伺いすることができ、本当に密度の濃い時間になりました!
転職された先輩方のお話を伺い、転職後のリアルな課題を知ることができました。その中でどう行動し、気持ちを保っていくかというお話も伺えたことで、今後壁にぶつかっても皆さんのお話を思い出して前向きに取り組んでいけそうです。
自分と同じような悩みを持っている方や、悩みに対して「大丈夫だよ」とアドバイスしてくれる方がいて、転職うまくいかないのではないかと不安だったのですが、安心することができました。
年齢や働き方などさまざまな人たちと交流する機会が今までなかった私にとって、とても充実した交流会でした。たくさんお話させていただきましたが時間が足りなかったです!
「時間が足りなかった」という声が多数寄せられたのも、それだけ充実した時間だった証拠です。近いキャリアを歩む仲間と本音で話せる場は、なかなかありそうでないものですよね。
また、Xでも「#CREATORCOMPASS」のハッシュタグを通じて、参加者からの投稿が多く見られました。その中からいくつかご紹介します。
#CREATORCOMPASS 参加してきました!もりぐさんと安東さんのブッ刺さるお話とみなさんのリアルなお話を聞けて気合い入りました
懇親会でお話ししてくださった方、ありがとうございました☺️
チキンで話しかけられないのですが色んな方に声かけていただき感謝です
次回は自分からいきます笑 #デジLIG— まるがお (@marugaosan1101) March 29, 2026
昨日はありがとうございました!
これからのもやもやも直接相談できたし色んな方とお話してとても刺激になりました!
とりあえずやるしかないっ!!っ気持ちになったので頑張ります✊!
#CREATORCOMPASS
#クリエイターコンパス
#デジLIG— Nam! (ナミ) (@snm41_design) March 30, 2026
昨日 #CREATORCOMPASS へ参加してきました✏️
もりぐさんと安東さんの貴重なお話とそれぞれの方向に向かって挑戦している参加者の方々のお話をたくさん聞けて刺激的な時間でした
もりぐさんに副業のヒントももらえてよかった
お話ししてくださった皆さまありがとうございました☺️— こなつ (@ninjameshi31) March 30, 2026
デジLIGは、スクールを卒業して終わりではありません。CREATOR COMPASSのような場を通じて、卒業後もずっとつながり続けられるコミュニティを作っていきたいと思っています。
キャリアのモヤモヤは、一人で抱え込まなくていい

好評につき2回目の開催となったCREATOR COMPASSも、こうして大盛況のうちに幕を閉じました。
キャリアについて悩むことは、決して特別なことではありません。だからこそ、一人で抱え込まずに、誰かの話に耳を傾けたり、自分の考えを整理する機会を持つことが大切なのだと感じました。
私たちが運営するWebデザインスクール「デジLIG」では、デザインを学びキャリアをスタートすることができます。転職の際は「LIGエージェント」がサポートし、その後もCREATOR COMPASSのようなコミュニティの場で、同じ志を持つ仲間とつながり続けることができます。
次回のCREATOR COMPASSも開催予定です。詳細は今後LIGブログやLIG公式Xにて発信予定ですので、ぜひチェックしてみてください。
「このままの働き方でいいのかな?」とふと立ち止まることってありますよね。
クリエイター専門の転職エージェント「LIGエージェント」では、そんなモヤモヤに寄り添いながら、一人ひとりに合ったキャリアの選択肢をご提案しています。
「話を聞いてもらうだけでもいいのかな?」そんな気軽な気持ちでも大歓迎です。まずは無料の会員登録から。あなたのこれからを、一緒に考えていきましょう。
